噛みつき評論 ブログ版

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テレビが需要を開拓する、盗聴調査ビジネス

2008-04-03 10:44:59 | Weblog
 テレビ朝日4月1日のワイドスクランブルは盗聴器調査現場の模様を臨場感豊かに映しだしていました。調査スタッフはある家からの盗聴電波を察知し、その家の中年の男性と思われる人物の了解を得て、家の中の捜索を始めます。

 カメラは部屋の中を巡り、盗聴器はすぐに見つかりました。「警察に届けますか」というスタッフの薦めを男性は拒否し、自分が取り付けたことを認めます。男性には若い妻がおり、その監視のための盗聴器だったというストーリーが完結します(記憶によっていますので多少の不正確さはご容赦下さい)。

 ありそうなストーリーですが、自分で盗聴器取り付けたという後ろめたい行為を果たしてテレビに公開する人がいるでしょうか。また彼の若妻がテレビを見れば自分の部屋だと気づき、夫の行為がばれてしまいます。あまりに不自然なのでヤラセが強く疑われます。ヤラセにしても、安易に過ぎます。もう少しましなストーリーが作れないものでしょうかね。

 話を戻します。Googleで「盗聴器調査」を検索すると252000件、gooでは150000件がヒットし、上位200件をざっと見たところ、大半が盗聴器の調査業者の案内ページです。正確な数はわかりませんが、かなりの規模の産業となっていることが伺えます。

 盗聴器の実況調査はワイドショーでよく取り上げられるネタのようです。そのおかげで盗聴器が仕掛けられることはよくあること、という認識が広まり、盗聴器調査業、盗聴器発見器、盗聴防止機器などの産業が栄えるというわけです。

 テレビが面白おかしく不安をかきたて、業界が潤うという構図です。繰り返し放映されるのは盗聴器が見つかる場合だけです。視聴者に与える不安のレベルが実態に見合ったものであれば問題はないのですが、恐らく必要以上の不安を与えているのではないでしょうか。

 せめてテレビ局は同時に盗聴器の発見率(仕掛けられていた率・・・かなり低いものと思われます)を視聴者に提示して、余計な不安を与えないようにすべきでしょう。盗聴調査をネタにした詐欺の被害が広がらないためにも。

 ワイドショーが盗聴関連業界の振興に手を貸し、僅かでもGDPの増加に寄与したことは否定しませんが、このような"GDPの豊かさ"はあまり歓迎できません。