静聴雨読

歴史文化を読み解く

カースン・マカラーズ

2013-10-05 07:04:11 | 文学をめぐるエッセー

 

アメリカ南部の女流作家カースン・マカラーズ( 1917- 1967 )を読み始めた。THE LIBRARY OF AMERIKA が1巻ものの小説選集を出しており、そこに彼女の主要な小説5作が収められている。B6判相当で、827ページ。これなら3ヶ月もあれば読み通せるのではないか、という見当だ。

5作を発表順に並べると:

1940       The Heart is a Lonely Hunter (心は孤独な狩人)

1941       Reflections in a Golden Eye (黄金の眼に映るもの)

1943     The Ballad of the Sad Café (悲しみ酒場の唄)

1946       The Member of the Wedding (結婚式のメンバー)

1961       Clock without Hands (針のない時計)

 

ほかに、詩・短編小説・戯曲・エッセーなどがあるが、彼女を知るには上記小説5編で十分だろう。

 

なぜ、マカラーズなのか?

古くは、劇団民芸が、渡辺浩子の演出で『悲しみの酒場のバラード』を上演したのを観た印象が鮮烈に残っていること。

そして、最近では、夏になると隣家で繰り広げられる家族喧嘩がマカラーズの世界を思い起こさせること。一昨年と今年の夏がとくにひどかった。

 

このようなきっかけで、マカラーズを本格的に読んでみようか、という気になった。

 

マカラーズはアメリカ南部のジョージア州を舞台に小説を展開する。蒸し暑い気候条件は、人の心も狂わせる。それを彼女がグロテスクに描く。しかし、奥底に、人間の持つ原始的優しさが垣間見える。そこが魅力だ。

 

さて、マカラーズにとりかかろう。と思ったのだが、日本語訳の本がなかなか見つからない。やむなく、英語の原書で読むことにする。 (2013/10)