静聴雨読

歴史文化を読み解く

アウシュビッツについて・2

2012-11-17 07:00:23 | 異文化紀行

 

(2)心理分析

「アウシュビッツについては、おびただしい記録が発表されています。」

「『夜と霧』という本を読んだことがあるわ。」

「オーストリアの精神分析学者フランクルが自らの強制収容所体験を綴ったものですね。」

「あの中で、アウシュビッツに連れてこられた人たちが、初めの反発・憤りから次第に収容所に馴化させられていく過程がヴィヴィッドに描かれていて、痛々しく感じたわ。」

「そう、精神分析学者らしい記述です。」

 

「同じような記述をどこかで読んだ覚えがあるわ。そう、E・キューブラー・ロスの『死ぬ瞬間』。その中で、彼女は、死を前にした人間の態度を分析して、7つほどの段階を踏むと言っていたわ。」

「今手元にその本がないので、正確ではありませんが、自分が死ぬことへの怒りや反発が初期にあり、やがて、死の受容にまで遷移する過程は、フランクルの描写したアウシュビッツの囚人のそれに照応していますね。」  (2012/11)