静聴雨読

歴史文化を読み解く

「便利屋」礼賛(60歳台の半ばで・続)

2007-12-15 07:26:32 | 現代を生きる
「定年後」に何をするか? 大きく分けて、4つある。
1.別の仕事に就く。
2.趣味に生きる。
3.ボランティア活動に参加する。
4.家族の世話をする。

この4つの活動をどう組み合わせて「定年後」の人生設計を行うか? 
私の場合は、今のところ、(2.趣味に生きる)と(4.家族の世話をする)の組み合わせで過ごしている。

趣味の中には、19世紀歴史文化の研究、ブログ「歴史文化を読み解く」の運営、ホームページ「BIBLOSの本棚」の運営、将棋、などがある。
家族の世話とは母の世話のことだ。

今のところ、以上の活動で一杯で、(3.ボランティア活動に参加する)には目が向かない。しかし、ボランティア活動に興味がないわけではない。

私の考えるボランティア活動はあまり高尚なものではなく、自分の得意とすること、を提供することがボランティア活動だと思っている。

今の世の中は、物やサービスがあふれていて、便利になっている。
一方、誰でも経験していることだが、あふれている物やサービスを使い切っているかというと、そうではない。使い方がわからない物やサービス、故障したままの物、仕様通りに動かないサービスが至るところにあるというのが現実だ。とくに、お年寄りの世帯でこの傾向が著しい。

試みに近くのお年寄りの世帯で尋ねてみるといい。
「天井の蛍光灯が切れたまま」、「洗濯機の水もれが止まらない」、「留守電のメッセージの吹き込み方がわからない」、「クローゼットの入口に段ボール箱を積んでしまったために、クローゼットに入れない」、「タンスのレイアウトを変えたいが、重くて動かない」、「Outlook Express の『連絡先』からメールアドレスを拾う方法がわからない」、などなどの答えが返ってくるはずだ。枚挙にいとまがないほどだ。

一件一件の悩みを分析すると、なるほど、とうなずく。少しの知識・ノウハウ・体力・マニュアルの読解力があれば解決する悩みばかりだ。この悩みを解決するのが「便利屋」の仕事だ。ただし、世間の「便利屋」には問題がある。頼むと高いのだ。「蛍光灯の取替えに5,000円」「家具のレイアウト変更に10,000円」では、うかつに頼めないではないか。

ここに、ボランティアの出番があるのではないだろうか。つまり、自分の得意とする作業を進んで提供して相手に喜んでもらう、という考え方だ。
現代はIT社会で、その中で、いわゆる「情報弱者」といわれる、ITに強くない人たちが孤立しがちだ。一方、退役したIT経験者が数多くいる。この「情報弱者」とIT経験者との出会いがうまくいけば、世の中が格段に明るくなる、というのが私の明るい展望だ。

「便利屋」は商売にもなっているが、ボランティア活動の対象としても最適である。悩みが一つ解決するたびに、お客様(ボランティア活動を受ける人)の喜びが伝わってくるのだから。「便利屋」礼賛の所以だ。  (つづく。2007/12)