ジャン=リュック・ゴダール「万事快調」(1972年・仏)
原題は「Tout Va Bien」
僕がよく行く映画館の入口を入ってすぐ左の壁に
この映画の大きなポスターが貼ってある。
出演は昔から大人の男性の理想の姿だと思っている
映画監督役のイヴ・モンタンと
アメリカのラジオ局から派遣された特派員役の
最も好きな女優(たぶん)、ジェーン・フォンダ。
この二人の大スターは夫婦という設定。
しかし…初期のゴダール作品と思って観ると肩すかしを喰らう。
精肉工場の経営者と労働者の対立のお話。
この映画は1972年作品…すでにゴダールは商業映画を撮っていない。
ゴダールの軌跡を辿る上では重要な作品ですが、
映画単体としては“?”…“なんやこれは?”…そんな映画ですね。
なので、日本ではこの映画は長くお蔵入り→劇場公開は1990年代。
とはいえ、観るべきところはたくさんある。
演出のセンス(=切れ味)、大掛かりなセット、静かに移動するカメラ…
舞台劇=演劇を観ているような錯覚に陥ります。
ここでは詳細は割愛しますが、
ゴダール関連の本を読むといろいろな事柄がわかってくる。
この映画では映画監督役のイヴ・モンタンは政治映画を指向する。
僕はやはり「彼女について私が知っている二・三の事柄」(1967年・仏伊)
あたりまでのゴダールが好きですが、
1970年代に入ってからのゴダール映画もなんとも興味深いですね。