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"It never gets easier, you just go faster."

Domane 5.2 インプレ  

2014年03月14日 | インプレ




カンチェラーラはトレックのエンジニアにファビアン語で「石畳の上の走る線路を作ってくれ」と新製品開発時に依頼したそうな。そのファビアン語をエンジニアが翻訳した答えがDomaneなんだそうです。

- 悪路の登りをサドルに座って体力を温存しながら登りきりたい。
- 1g、1秒を削ってアルプスの山岳を登るわけではないが、先頭集団で峠を登りきりたい。
- 直進安定性はもちろん必要だが、密接した集団の中でバイクをコントロールできる操縦応答性も高次元でバランスさせたい。
- 毎回集団スプリントに加わるわけではないが、サバイバルレースの最後でスプリントをする際にパワーを受け止める剛性が欲しい。
- 今までダンシングで衝撃を逃がしていた段差や穴を、座ったまま通過してレースに集中したい。
- 平地を独走するための低いポジションが欲しい。


動画のリンクはこちら


というわけで、2月の最終週に一週間ほど、BEX ISOYAさんからDomaneちゃんを借りて試乗しまくってまいりました。週末は子育て優先ですので、土日の明るい時間には乗れません。日曜日の55km、月曜日の通勤160km、木曜日の通勤135kmで試乗を終えました。

結論から先に:
★★★★☆ 4(4.5)/5
PROs
- 高速バスのような巡航性能、直進安定性
- ワイドリムディープホイールのもたらす安心感(Domaneには関係ないけど)
- 道を選ばず段差に突っ込める。段差で腰を浮かす必要がない。
- 通勤でセンチュリー乗ってもダメージなし!(強がり)
- シッティングでパワーをかけて登るスタイルには最適
- ロングに出かけた時の、入りの60km位の疲労感のなさは異常。永遠に走り続けられそうな錯覚に陥ります。(もちろん、その後は脚力次第です。)

CONs
- 長いヘッドチューブによるポジション制約
- ダンシングのスイートスポット小さい
- 集団走行の際、悪路にかまわず突っ込むので、後ろについた人が迷惑する。
- 純正サドルが私には合わない
- 俊敏なバイクではない

・・・ポジションを煮詰めれば、4.5点ですね。
他のバイクにはない付加価値が手に入り、しかもレースもOKという所が魅力。他メーカーのエンデュランス系バイクが、細かい改良の総合的価値で勝負しているのに対し、DomaneはIsoSpeed Decouplerというキラーハードウェア+他の部分の改良で価値を提供しているところがアドバンテージ、と考えます。
後は家計的に先にたつものがあれば・・・(シクシクシク)

マドンと比較していないので満点は時期尚早なので、こんな採点です。
マドンは7を近日試乗予定!!!

+++Domaneフレーム剛性の数値データについて+++
一部コミュニティでかなり読まれたらしい、各社フラッグシップの剛性データ比較は、当ブログのこちらの記事をご覧くだしゃい。

+++本編+++

IsoSpeed

DomaneのキラーハードウェアであるIsoSpeed Decoupler。構造は専門のページに譲るとして、水平方向の剛性を犠牲にせず(=フレームのたわみによる出力ロスがない)、垂直方向のコンプライアンスにより路面の衝撃を吸収する。トレックの発表によるとVertical Compliaceは2倍に改善しているんだとか。シートポストが全てたわむことで、最大で4cm(!)もベンドするそうな。4cmはベンドしすぎだろう、と思いますが、動画を見ると確かにそのくらい曲がっているかも。

シートポストがたわんでいる動画はこちら


信号待ちなどで体重をかけて撓らせてニヤニヤしてしまいます。尻に体重をかけて踏み込むような、60年代ツールドフランス流の重いギアを踏み倒すスタイルのペダリングをすると、若干、いや、かなりシートポストがしなります。長距離を乗り込んで、悪路の衝撃が少ないのがここまで疲労軽減に寄与するのかがよ~くわかりました。アルミのTTバイクで100kmを越えるようなロングをするとライドの後半はずっと上ハンドルで体の節々が痛くなりますが、カーボンバイクなのにクロモリ+手組みホイールの衝撃吸収性を得つつも、最新の軽量バイクなので最後まで高速巡航できます。(脚が残っていれば、ネ…)

パヴェを走っている時の動画はこちら


ベアリング部が長い期間乗っているとどのくらいへたってくるのか(異音)、が未知数ですね。これはインプレしようがありません。

ダンシング
ダンシング性能は普通です。自転車を振ってすごい軽いというわけでもない。ダンシングで自転車が勝手に進んでいくスイートスポットは比較的小さい印象。また、小さなフレームサイズを選んだので、ダンシングで強度をあげた場合、前輪を真っ直ぐ保持するのが難しく左右にヨレヨレしてしまった。これは慣れの問題なので大きな欠点とは感じない。

シッティング
平地も坂も、シッティングが気持ちよい。後述するハンドルとアップライトなジオメトリーと合わせて、いつもならダンシングに切り替える勾配もシッティングのまま行けちゃう。まさにクラシック用バイクだと思う。長距離全部座って走るとさすがに血流が悪くなるので、ダンシングを血流を良くするために時々はさむことは重要だが。

平地巡航
路面状況を選ばないのと、長めのホイールベース、そしてバイクそのものの剛性が寄与しているのか、平地巡航が本当に楽しい。エンジンの脚が持っている間だけですが・・・
たとえて言うならば、大型バスに乗っている感じ。

ホイール

Aeolus D3最高ですね。こりゃええわ。一度この剛性と安心感を経験してしまうと、普通のリム幅に戻れるか不安になるほど。
ボントレガーブランドですが、どうやらリムはZippがOEMしているらしいですね。タイヤが試乗車は23Cだったので、ここは25Cにしてみたいところ。カーボンクリンチャーなので普段使いにも死角はなし。ブレーキシューはボントレガーのコルクタイプ。コルクはリムへの攻撃性がすくなく、「シューゥゥゥゥ」という音がいかにもカーボンホイールという感じで気分が高揚します。音って大事ですよね。
機材、トレーニング的にはパワーメーターを新調したいのですが、一度ワイドリムとDomaneフレームのコンボを経験してしまうと、この圧倒的な安心感のバランスを崩したくないですね。困りました。予算的に全部新調は多分むりなので、困るという意味。
欠点をあげるならば、現保有のAeolus 6.5チューブラーの存在意義がなくなること(涙)

ハンドル

アルミでした。フレームとフォークの振動減衰が優秀なので、ハンドルまでカーボンにする必要はないです。
上ハンドル部分が扁平加工で平たくなっているので、登り坂でここを持つと実にぴったりとした感覚で手にフィットします。欠点は、ワイヤーを沿わす溝がないので、ハンドル脇のワイヤー集合部分を握れないこと。この箇所のバーテープはすぐ剥がれてしまいそうです。

フロントフォーク

IsoSpeedはダンシングしてしまうと主な恩恵はなくなりますが、フォークは常に振動を減衰する重要なパーツ。でこぼこの登りのダンシングで振動吸収のよさが確認できました。(試したのは根岸の不動坂)


ベンドフォークで、見るからに振動を吸収しそうです。下り坂の剛性感は言わずもがな。この形状で、リーフ式サスペンション的効果を発揮するわけですな。その一方レイクが更に後ろにオフセット(5.3cm)されているので、ベンドした分ホイールベースが伸びて操舵性が緩慢になったわけではありません。この辺りはバイクコントロールに長けたカンチェラーラのリクエストっぽいですね。

ヘッドチューブ、ポジション

ヘッドチューブの剛性は申し分ない。困った点は、私が小さなフレームサイズを選んだせいで、ハンドル位置がこれ以上さげられなくなってしまったこと。Domaneはもともとヘッドチューブが長大なので、これからレーサーポジションに近づけようとLow and Forwardにしようにもこれ以上ステムを下げられないのは問題。というわけで、ヘッドチューブの短いレーサー用Domane Classic
Editionにするか、適性サイズのフレームを選ぶことになる。
通常のDomaneにもレーサー用ジオメトリーが欲しい次第(だったらMadone買えってことなのかな)

サドル
純正のサドルは、100km越えるとちょっと自分には合わないことがわかりました。先端がちょっと幅広すぎるようなので、ここは要交換。

BB
BBハイトが通常のバイクより1cm低いらしく、長いホイールベースとあいまって直進安定性に寄与するらしい。
確かに直進安定性はある。1cm車高が低いということは自分がエアロポジションをとらなくても、既に1cmエアロになっているということなのかな・・・

トップチューブとBBの剛性

IsoSpeedとフォークが衝撃を吸収するので、それ以外の結節点はこれでもかというばかり硬くしている印象。

リアステー



ほっせぇ~。大丈夫?ッて心配になるくらい。

ハンドリング
ホイールベース、フォークのレイク、低BBハイトなどの要因により、ターンイン(ハンドルの切り始めの応答性)は緩やかな印象。跳び回る猫のような敏捷性はない。でも平地踏み倒し用だから気にしないでいい。

以上、他にもAeolusやUltegraについてもコメントしたいのですが、また別の機会に。
比較対象のマドネちゃんには3.15の週末に試乗する予定なので、またレポート致しまする。

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