Velo-city

"It never gets easier, you just go faster."

大阪>>>東京キャノンボール ①大阪~暗峠~安城

2007年11月27日 | 長距離
今シーズン最後にして最狂の一大祭り、大阪東京キャノンボール。

きっかけは今年のゴールデンウイーク、東京>大阪ソロ600キロであった。一度走るとその時はウンザリだがまた熱病のように走りたくなってしまう、それが東海道の旅。どうせなら一人よりも仲間で、向かい風より追い風で、ということで大阪から東上するルートを辿った。



GPSデータ提供:さくぞう先生


22日夜、東京駅。三連休とあってのぞみ自由席エリアは難○キャ○プのような大混雑。輪行袋をさす殺意のある視線が痛い。一本やり過ごして8時46分に出発。結局新大阪まで車内は混雑し、立っている乗客はずっと。


大阪市内のコンビニから輪行袋を入れた荷物を宅配便で川崎のショップに届ける。


差出人名は「3バカトリオ」

本当は数時間仮眠をとってから早朝出発の予定でしたが、適当な健康ランドが見つからず、ニョホホさんの
「行きましょう!」
に背中を押され、いきなり徹夜走行開始。今回は劇坂「酷」道として悪名をはせる暗峠をセレクト。闇の花園ラグビー場、東大阪市を抜け一路生駒山のどてっ腹に突き進む。時刻は朝の三時。道行くおじさんへ暗峠への道を聞く。一言

「ひどい坂だよ。」



暗(くらがり)峠
ヒルクライムの開始。ここがスタート地点。こっ国道なの?

国道なのに住宅街。路面にあいた輪っかは山頂まで続く。


聳え立つ壁。


ウィリーしそうになるのを堪えギリギリのトルクと前後バランスで進むが、後ろのキャリアに数キロ担いでいるので、20%を超える勾配ではさすがに後ろにひっくり返りそうになる。
そして前から車のライトが。一度降りるともう再発車はできない。


ここからは果てしなく続く手押し登山の旅。(ニョホホさんの背中が雄弁だ)

住宅街が途切れ、山寺ゾーンに入るといよいよ急勾配が牙をむく。


平均20%


時々30%


たまに10%。

この道は本当に山に向かって真っ向に直角に登っていく。


ひぇ~


なんじゃこりゃ~


どうしろと~

30分、いやもっとの間押しが入っていただろうか、やっと10%くらいに落ち着いた。おそらくクリートは激減だろう。


風情のある石畳が見えてくると、やっと山頂だ。


真っ暗闇暗峠ヒルクライム無事完登。
おそるべし暗峠。この山の存在自体が人道に対する罪である。
「これがホントの暗峠」
この台詞が言いたいが為にこのような暴挙に出てしまった…


ふりさきみすれば月は東に

気温は四度。これから奈良盆地を横切り、木津川を遡上し、伊賀を目指す。出発してまだ五時間。先はまだまだ長い…

暗峠からの下りですっかり冷え切ってしまい、途中コンビニでカップラーメンで息をつき、サムイーサムイ~言いながら途中みぞれ?も降る中、


木津川を越え、


京都府南山城村を抜け伊賀を目指す。


三人を睡魔が襲い始めたので、伊賀にあった健康ランドで三時間昼寝休憩。

温泉で生き返った三バカ、1時に伊賀を再出発。突然朝練メンバーものまね大会が勃発する。要するにみんな走りすぎて自転車に飽きてきている。


完璧に自転車の振りをコントロールしたパワーロスのない理想的なダンシングフォーム。


肘も適度に折れ、上半身はリラックス。膝関節の曲がり具合がパワーをペダリングに余すことなく伝導する、本場欧州レーサーのような完璧な巡航フォーム。




気持ちの良い伊賀峠ダウンヒルを終えると、


ご覧の通りの超追い風!これに乗って亀山>鈴鹿>四日市とあっという間に通過。


四日市の民話に伝わる大入道をモチーフにしたゆるキャラ、「こにゅうどうくん」のお出迎え。


ニョホホ大僧正のリアがスローパンク気味なので、桑名にあるWILSON CYCLEで空気補充。なかなかの品揃えでしたぞ!


今日学校にでてから夕方の新幹線で我々を迎撃に来るスーパー高校生タグちゃんが6時に名古屋に到着なので、それにあわせるべく我々も急ぐ。だが、既にほぼ徹夜で160キロを走り、おのおの補給に失敗すると一気にペースが落ちる魔の時間帯だ。ここで各人勝手なやりかたで補給を取っている。
私: コーラで血糖値をターボチャージ。塩分は梅干で。
O久保さん: スニッカーズ鬼食い
ニョホホさん: 薄皮あんぱん一気食い


長良川・揖斐川を越えると愛知県だ!


そして、クリスマスイルミネーションに彩られたおされな名古屋駅コンコースに、タイツ姿のローディがまた一人降り立った…

既に200キロを走り、もうお腹一杯のおじじ3人を、高校生がいきなり40キロ巡航で引っ張ろうとします。当然隊列は縦に乱れますが、実はこのペースアップが疲れて眠いおじさま3人組にはよい刺激となったのでした。この後豊明、知立とトレインは運行し、安城市に到着。当地の健康ランドに滑り込みました。ここの施設は他の娯楽施設も併設していて、巨大です。併設レストランに「食うぞ~食うぞ~。」と入ります。


まずビールは?
「大ジョッキ」
注文は?
「味噌カツ煮定食」
「あとたぬき蕎麦ね。」

飢えた四人はまさにご飯を液体のように飲み干したのである。

入浴後4人はヘルメットを枕に数秒で夢の世界へ旅立ったのである…

註:健康ランドの仮眠室は薄暗く、みな同じ浴衣等の格好をしているので同志を発見しづらい。このためヘルメットを目印にすることにした。

大阪>>>東京キャノンボール ②安城~小田原~川崎

2007年11月27日 | 長距離
二日目の朝。


30分寝坊して、朝日の中を6時出発。

いきなり道を間違い北上して一号に合流するはずが、南下。10kmロス。そのせいで下記のようなヒルクライムが追加された。


県道324の大井池ヒルクライムです。まったり団子になって話しながらツーリングです。楽しいぞぉ。

頂上で~すと後方にアナウンスした瞬間、○久保先生に山岳賞をとられた!
この日豊橋近辺は完全な追い風。


この区間は心拍130でこの速度がラクに保持できるほど良コンディションです。基本40キロ巡航で、登り基調でも30キロが保持できる夢のような追い風♪



下りはエアロになってぐいぐいぶっ飛ばします。サイコー!!!


豊橋市内にて。タグチャン、ちょっと下りすぎで上半身がコリマスネ。路面電車の線路が見えます。


静岡県に突入。このあとこの県の長大さにみな悩まされるのだが、このときはみんなサイクリングるんるん気分で流している。

五月に逆ルートを走行した際、豊橋の手前の超向かい風でリタイアしそうになった区間も、高速トレインで通過♪


浜名湖が見え、弁天島へ。


カメラをむけると過敏に反応するニョホホ大僧正。


弁天島でしばらく休憩。しかし重心が異状に後ろに高いな。キャリアをつけるまでは良かったのですが、重心高すぎ、荷物重すぎでした。
これだと重量14キロとかあったかも。ここまで重心が高く重いと坂道のダンシングがたわみまくった。クロモリがしなりまくって楽しいぜい。


天竜川!静岡は川が多いで~


浜松のロングストレートが終わり、磐田、袋井を抜けると国道一号線は丘陵地帯へ。



日阪で少し登ります。


ここは381号線。小夜の中山といふところかな?ここも小クライムでした。


大井川をわたれば東日本。後は安部川と富士川を残すのみ。


出た!東京200キロ。静岡手前の島田か藤枝でのことです。

…実はここからが今回の旅の一番きつかったところで、当然写真も取れなくなるまで疲労してしまいました。
幹事としてもメンバーに残りの距離と到着予想時間を何度も聞かれるのがつらいです。
今回気づきましたが、このようなときサイクリストは残りの距離と時間を楽観的に見積もる傾向があるようです。
そんなみんなの前で
「いや~沼津まで5時間はかか・・・」とは言えないねぇ。イヒヒー。
この希望を打ち砕く距離の長さは本当に実際に経験しないと分からないもんね。

この後の宇津の谷峠の下りで、歩道を走っている時に、突然後輪が
「カシャリンコ♪」
と音を立てました。
頼む!何も起きないでくれ!!!!と願うこと1秒・・・
「シュウウゥゥゥ~――……」


これは酷い。ねじが後輪に突き刺さっています。今までこんな漫画みたいなパンクはしたことがありません。しかし!
今回パンクトラブルに備え、スペアのタイヤも持ってきていたのが功を奏しました。ここまで巨大な穴が開いたわけですから、ここはタイヤごと新品に。
すばらしいリスク管理体制。この管理能力が私生活にも欲しいぜ!

こんなこともあり、静岡に着いたころは日が暮れてしまっていました。まだまだ小田原まで100キロくらい残しています。ここからが遠い…
清水の先、由比のラーメン屋でしっかり晩御飯(ラーメン+チャーハン+ギョーザ+強強打破)をとります。
そうそう、この旅行ではみなさんガス欠後はリポDや眠眠打破などの強壮ドリンクでドーピングしていました。時にお勧めは強強打破。これは頭がシャッキリンコします。さすがWADAのドーピングに抵触しているだけあるな。

富士川を渡り田子の浦を疾走し沼津を通過し、箱根へのアプローチに差し掛かったのがなんと11時半。これから20キロの道を登る裏箱根ヒルクライムであります。


最初はヤッホーヤッホーと登り始めますが…
240キロ走ってからの箱根峠はさすがに厳しい。一気に出力が低下し、時速9キロがやっと。しかもこのルート、勾配が緩いかわりにやたら長い。一時間乗り続けても頂は見えない…いつ終わるんだ…
シルビアやらランエボやらの走り屋が猛スピードで横をパスしていく。
クオオオン
オオオン
オォン

クォォォ…ン

エキゾーストノートが果てしなく続いているのが上の方から聞こえてくる。あぁまだ登りは続く…

そして一時間半。1230に箱根峠に最後尾で到着!早く着いたクライマーの人々はすっかり冷え切ってしまった模様。気温は二度。
ストレッチなどをしていると後ろでニョホホさんがポンピングを始めました。
「キャッ。」
後ろを振り返ると、ニョホさんが「やっちまった・・・」というひきつった顔で立ち尽くしています。バルブが折れた模様。
タグちゃんは寒さで顔面蒼白。明らかに「僕はやんないよー」と言う顔をしています。
というわけで、パンク修理。でもニョホホさんのタイヤははめやすいので交換は五分もかかりません。
冷たいのは、気温と周りの空気だけ・・・

ここから気温2度のダウンヒル。そして芦ノ湖のセブンイレブンで生き返った!暖房のきいた店内に入ると凍りついた体がとろ~りと溶けだしていく。


そして…国道一号最高地点に。


マンガだ…○久保さんの表情が幸せなお爺さんになっている。

小田原には2時半着。六時まで寝ることにする。風呂に浸かりながら寝てしまいそうになる。二時間半の睡眠でひとまず息を吹き返した。

三日目の朝。

朝練参加は諦め、朝練終了後みんなが店の前でくつろいでいる時間のゴールを目指す。たかが80キロ、されど80キロ。ここまで来ると気力のあるもののみが先頭を牽く。補給は充分しているのに、出力が著しく低下。もう限界?道中ず~っとハンガーノック。前はタグちゃんとニョホホさんに託した。ごめん、もう牽けないよ・・・

途中藤沢でビーフジャーキーを摂取。すると何故か酒の肴で疲労回復!?突然先頭にでてしまった。藤沢!戸塚!保土ヶ谷!青木橋!国道駅!元木の交差点!


ここで570キロ!

そしてとうとう…
イソヤ前の歩道に入った!ギアをインナーローに落としてケイデンスをあげる!


まさに倒れ込むようにゴール!


漕ぎ続ければいつかは届く

<完>