アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

先住民族に土地を返した事実はある!

2018-07-06 14:32:54 | 日記

don-xuixoteさんのブログの7/2の記事をみると、さる、6月28日に内閣官房の小山参事官とアイヌの参加者が話し合いを持った際に、小山参事官が「世界で先住民族に土地を返した事実があるのですか? 自分たちが調べた限りでは世界で先住民族に土地を返還した事実はない」と言ったとの話(しかし、「これは間接的な情報なので、そういう主旨のことを言ったという程度に読んで戴きたい」とも書かれています)。それに対し、アイヌ側の出席者が「返還した事実があれば、日本もアイヌに返還するのか」と聞いたけれど、小山参事官からの返事はなかった、と。

先住民族に土地を返還した事実があることをdon-xuixoteさんはオーストラリアでの例で紹介(The Guardian, 21 June 2016)。さらに、わかりやすく地図(オーストラリア国立大学のジョン アルトマン教授作成)も紹介して証明しています。地図には1788年の時点では、オーストラリア全土が先住民族のものだったのが1965年には事実上0になり、1960年代半ばから土地回復運動が徐々に進行し、1993年と2013年の時点で増えているのがよくわかります。

また、7/5の記事によると、カナダ政府がモゥホークのガナワーゲ コミュニティに対して土地返還を正式に決定したという新たなニュースを紹介。

 ニュージーランドも過去のニュース記事の記憶では、土地の返還を行なっていたかと。この小山参事官の発言がどういったものだったか真実を知りたいものです。そして、誠実に土地返還を含めた先住権の審議をするべきだと考えます。ちなみに、先住民族の土地への権利に関して2007年に採択された国連の先住民族権利宣言ここでは、25条から28条に書かれています。

第25 条 【土地や領域、資源との精神的つながり】 先住民族は、自らが伝統的に所有もしくはその他の方法で占有または使用してきた土地、領域、水域および沿岸海域、その他の資源との自らの独特な精神的つながりを維持し、強化する権利を有し、これに関する未来の世代に対するその責任を保持する権利を有する。

第26 条 【土地や領域、資源に対する権利】
1.先住民族は、自らが伝統的に所有し、占有し、またはその他の方法で使用し、もしくは取得してきた土地や領域、資源に対する権利を有する。
2.先住民族は、自らが、伝統的な所有権もしくはその他の伝統的な占有または使用により所有し、あるいはその他の方法で取得した土地や領域、資源を所有し、使用し、開発し、管理する権利を有する。
3.国家は、これらの土地と領域、資源に対する法的承認および保護を与える。そのような承認は、関係する先住民族の慣習、伝統、および土地保有制度を十分に尊重してなされる。

第27 条 【土地や資源、領域に関する権利の承認】 国家は、関係する先住民族と連携して、伝統的に所有もしくは他の方法で占有または使用されたものを含む先住民族の土地と領域、資源に関する権利を承認し裁定するために、公平、独立、中立で公開された透明性のある手続きを、先住民族の法律や慣習、および土地保有制度を十分に尊重しつつ設立し、かつ実施する。先住民族はこの手続きに参加する権利を有する。

第28 条 【土地や領域、資源の回復と補償を受ける権利】
1.先住民族は、自らが伝統的に所有し、または占有もしくは使用してきた土地、領域および資源であって、その自由で事前の情報に基づいた合意なくして没収、収奪、占有、使用され、または損害を与えられたものに対して、原状回復を含む手段により、またはそれが可能でなければ正当、公正かつ衡平な補償の手段により救済を受ける権利を有する。
2.関係する民族による自由な別段の合意がなければ、補償は、質、規模および法的地位において同等の土地、領域および資源の形態、または金銭的な賠償、もしくはその他の適切な救済の形をとらなければならない。(市民外交センター仮訳 2008.09/21)

オオアカゲラ

いましがた、文科省情報公開係から仲間が開示請求していた『大学等におけるアイヌの人々の遺骨の保管状況等に関する調査 調査票』のデータファイルが届き、北大開示文書研究会サイトにアップされました。こちら

北大・札医大は以前に開示請求し、状況は把握できていましたが、それ以外の各大学アイヌ遺骨収蔵状況が記されています。各地のアイヌ民族に届きますように。