アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

国立博物館設置準備

2011-12-24 09:53:20 | インポート
時おり、朝早く、おもむろに「旧○人だよ~」と名乗られるエカシから電話を頂きます(はじめはびっくりしました・・・)。
昨日も電話を頂きました。北海道新聞の一面をすぐに見なさい、と。
12月23日朝刊一面に以下の記事が掲載されていました。

白老に国立博物館 アイヌ民族 共生の象徴に
 政府は22日、胆振管内白老町に予定しているアイヌ民族の「民族共生の象徴となる空間」(共生空間)に国立博物館を設置する方針を固め、来年度予算案に調査費約600万円を計上することを内定した。これにより道内初の国立博物館が誕生することになる。
 共生空間は、政府のアイヌ政策推進会議の作業部会が6月、候補地として白老町のポロト湖畔を選定していた。同部会は空間内に慰霊碑や公園のほか、アイヌ民族の歴史や文化を紹介する博物館などの展示施設の設置を検討してきており、博物館のあり方については、同部会の報告書が「国が主体的に整備する」と定めていた。
 独立行政法人国立文化財機構が運営する国立博物館は現在、東京、京都、奈良、九州(福岡)の4ヶ所あり、白老町は5ヶ所目となる。開設時期はまだ固まっておらず、文部科学省は来年度、地元関係者やアイヌ民族を交えた調査検討会を設置し、基本構想の策定に着手する見通しだ。
 白老町は博物館の整備について、ポロト湖畔にある、財団法人所有のアイヌ民族博物館を転用して活用するよう要望している。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/topic/339534.html


着々と「共生空間」の準備が進んでいますが、北大開示文書研究会は以前から批判し、それ以前に、過去の遺骨収集の徹底的な事実調査と返還を訴えてきました。

かつて明治期より戦後に至る間、北海道大学医学部の故児玉作左衛門教授など、人類学関係者をはじめとした研究者が国策を背景にした学問の権威を主張して北海道内外のアイヌ民族の墓地から多数の人骨をはじめ副葬品を発掘しました。アイヌ人骨に関心を持つ研究者はアイヌ民族を「滅びゆく民族」と位置づけ、その研究が急務であると、アイヌ民族との間に誠実な諒解もないままアイヌ墓地の発掘を続け、1000体を越える遺骨を大学に集め、同時に発掘されたたくさんの副葬品も大学に集められました。しかし、発掘された人骨の歴史的経緯やその後の副葬品の扱いは今日に至るも真相は明らかにされておらず、多くの疑問が残された状態のままです。略
この問題は北海道大学のみのものではありません。北海道大学以外の旧帝国大学などにも人骨が収蔵されてきました。アイヌ墓地発掘は明治政府の北海道開拓と植民地政策に伴うアイヌ民族へのレイシズムがもたらしたものであり、アイヌ民族の伝統的追悼儀礼を無視した非人道的な発掘の記憶は今日もアイヌの人々の深い傷となって残されております。アイヌ墓地発掘問題に対する誠実な対応と解決への努力は、今日に残された、まさに『国民的な課題』です。日本政府は政府の責任においてアイヌ人骨問題の歴史的経緯を検証し、その歴史的責任を自覚し、遺骨の収集と今日までの処置に関して、アイヌの人々の意に反して収集した過去を反省し、アイヌ民族への謝罪がなされるべきです。
「共生空間」の整備に伴うアイヌ民族の遺骨を納める慰霊施設を設ける計画について、「報告書」に、「各大学等に保管されているアイヌの人骨について、遺族等への返還が可能なものについては、各大学等において返還する」(P.8)とあります。このことはアイヌ墓地発掘の経緯を検証し、遺族への返還のための積極的な努力なくしては出来ません。北海道大学においてはその努力が全く見られないばかりか、名目的な「返還」にとどめ、研究対象化しようとする意図さえ感じます。
また、遺骨を一か所に集めるなどの安易な解決を図ることがあってはなりません。ましてや慰霊施設と同じ空間に研究施設を設置することは、さらなる研究対象としてアイヌ民族を辱める行為ですから、そうするべきではありません。遺骨に関しては、アイヌ民族への遺骨奉還および静謐な安置と追悼を中心に据えるべきで、研究材料としての扱いを進めるべきではありません。
(アイヌ民族の権利確立を考える議員の会各氏への要請文2011年7月12日)

※上記の資料はすべて、北大開示文書研究会ホームページから確認できますし、開示された文章もDL可能です。
http://hmjk.world.coocan.jp/index.html

過去blog(11/1)にも書いたように、全国の大学・研究機関が収蔵する人骨(アイヌ人骨を除く)は、
縄 文  (1836体)
弥 生  (2783体)
古 墳  (2011体)
中 世  (3516体)
江 戸  (10863体)
現代日本(1308体)。
小さなかけらを加えるとこの数倍になるとのこと。
朝日新聞(2011年12月17日)の記事「江戸を語る人骨1万体 小柄な体・栄養失調・伝染病」で国立科学博物館(科博)が大量に保管している1万人分の遺骨とは、上記の「江戸時代」の骨のことでしょう。それが、来春までに茨城県つくば市に移転するため、「荷造りを前に人骨の分類やクリーニング」をしているとのこと。
http://www.asahi.com/national/update/1217/TKY201112170155.html

次に全国の国公立大学に収蔵されているアイヌ人骨(合計1574体)は以下の通り。
北海道大学  (965体)  未調査
札幌医科大学 (248体)  55体返還
東京大学    (217体)
京都大学    (80体)  55体は樺太アイヌ
東北大学    (21体)  樺太5、千島4
大阪大学    (19体)  概数
新潟大学    (24体)  概数     

これらのご遺骨がたいした調査もせずに「共生空間」の慰霊施設に持ち込まれ、研究として使われることになるのは大きな問題です。



海から霧がでる現象。朝焼けが重なりました。

機関紙「ノヤ」41号を発送し、活動日誌随時更新中と宣伝しつつ、クリスマス準備で忙しく、更新できずに失礼しています。
今日はクリスマス・イヴです。
わが家恒例のクリスマスカードも400件分発送を済ませ、いよいよ礼拝のみとなりました。
多くの方からクリスマスカードや祝会用の御菓子などのプレゼントを頂きました。本当に感謝です。
慰めと希望の主の誕生を記念し、今夜はイブ礼拝(キャンドル・サービス)とその後に小さなパーティーを行い、明日はクリスマス記念礼拝を持ちます。
毎日遊びに来るこどもたちも昨日から冬休みに入り、午後1時に来てみんなで宿題を行い、夕方4時半まで遊んでいっています。この子達の親にもメッセージを送り、クリスマスのご案内をしました。
こども達だけでもたくさん来て、クリスマスの意味を知って頂きたいと願っています。
久々に藤城清二の影絵スライド「イエス」を使って、イエスの誕生から復活までを短くまとめ、さんびかで綴る礼拝を準備しました。これならこども達も飽きずにすむでしょう。これから今夜と明日のメニューであるパスタの具(イカスミ・ボンゴレ)、スペアリブ、クリームシチュー、サラダ、フルーツポンチの準備に入ります。
昨日から月曜日まで留萌地方は警報が出て大荒れですので、集まりは少ないかもしれませんが心を込めて準備しようと思います。
皆さんも豊かなクリスマスを!