アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

第1回「政策推進作業部会」

2011-10-18 12:47:27 | インポート
さる、8月31日に開催された第1回「政策推進作業部会」議事概要がUPされました。
これはアイヌ政策推進会議のなかで「民族共生の象徴となる空間の作業部会」の論議をもとに「具体的な形の実現」をするべくつくられた新たな作業部会です。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/seisakusuishin/dai1/gijigaiyou.pdf

「議事概要」は相変わらず、誰の発言かは記されていませんので記述内容がどのような立場からの発言かが分からないまま読むしかありません。
今回も、問題になっているアイヌ人骨の取り扱いについての発言を中心にUPします。
まずは、「1 政策推進作業部会について」の「意見」には、以下があり。
○人骨の取扱いという問題を解決することは、とりもなおさず、民族共生の象徴となる空間をつくっていくときのもっとも大切な理念になっていくのではないかと考えている。どのように解決するかということが非常に重要だと考えており、できるだけのお手伝いをしたい。

次に、「2 民族共生の象徴となる空間の具体化について」の「主な意見」に以下(都合上、仮ナンバーを付けます)。
①人骨の取扱いについて一番大切なことは、どのような経緯だったのかということについて、可能な限りの情報開示、情報共有。最終的には、返還、集約についても合意が必要。
②「民族共生の象徴となる空間」作業部会報告書にある、返還が可能なものは返還するという文言に関して、これまでの経緯としては、北大にある1004 体については、当時の支部に連絡をして意向を聞いており、それに対応して進めている。また、札医大の骨は、札医大から遺族に返したということもある。ケースは多様であり、そういう意味で、ルールづくりとか、相互の共通認識、情報公開が重要。


①の通りで、是非とも情報開示をして頂きたいし、返還のための責任を担ってその実現をして欲しいものです。
②の「当時の支部に連絡をして意向を聞いており、それに対応して進めている」とありますが、連絡や意向の聞き方に疑問が残ります。だれがどこから誰の遺骨をどのような手続きや承諾を経て持ち出したかという多くの情報の開示をせずに、「この地方から掘り出した遺骨がこれだけありますから、返還希望ならどうぞお持ち下さい」というだけなら、誰がどうしたらいいか分からないままになってしまうでしょう。今日あらためて、国を挙げての徹底的な調査と情報公開を望みます。
もちろん、ここでは扱われていない(扱いたくない?)副葬品の問題も、しっかりと調査し情報公開をして頂きたい。


トリカブトの花です。アイヌ民族はこの根の毒を使って狩猟していました。


気になる他の「意見」も書いておきます。
① アイヌ協会としては、前回の作業部会の報告、考え方を尊重することになっている。適正な手続を経て研究に供することに問題はないので、迅速に進めてもらいたい。
② 国民理解の促進のために、有識者懇談会のメンバーの先生方に、全国で普及啓発講演会を開いてほしい。
③ アイヌの人たちの全国組織がないということは、運動の進め方、施策の進め方においてもやりにくいところがある。北海道アイヌ協会が中心となって検討をすすめてほしい。


①の「適正な手続き」とは、どういうものかが分からないのが残念。もう少し、具体的に書いてほしかったです。
②に関しては賛成です。今、論議していることの理解を促すためにもアイヌ政策推進会議のメンバーもどんどんと出かけてほしいものです。前回blogで紹介しましたが、来る10月29日(土)午前10:00~12:00に世界先住民族ネットワークAINU・チカ ラニサッタ共催で篠田謙一(国立科学博物館人類研究部人類史研究グループ長・「政策推進作業部会」メンバー)を招いて、「民族共生の象徴となる空間」作業部会報告について~アイヌの精神文化を尊重する機能~と題してお話しを聞きます。アイヌ人骨の慰霊と研究施設併用にまつわる問題を考える学習会です。楽しみにしています。
③は、「アイヌ協議会」(仮)なる組織ができ、じっくりと論議しつつ政府と話し合っていくのがいいと個人的に感じます。

最後の、「合意事項」の中には
① アイヌの人骨の取扱いについては、調査の進捗状況を次回の部会でご報告いただきたい。とありますので、是非ともすべて開示して頂きたいものです。



久々の日誌UPです。先週は前半にカトリック教会の月刊誌「あけぼの」編集者のお二人が話を聞きたいとのことで旭川で合流。お話しをした後、旭川アイヌ民族プチ・フィールドワーク。最後に川村カ子トアイヌ記念館にお寄りし、川村館長からたっぷりとお話しを伺うことが出来ました。
その後は相談の来客が留萌に一週間おられ、外出も控えて神経を集中しました。
昨夜から留萌は暴風が吹き荒れ、ビニールハウスを直撃して破れてしまいました。冬に入りますね。
みなさん風邪などひかずご自愛下さい。