久々に攻めの“小沢節”が爆発し遺憾なく発揮された。訥弁にしては上出
来の痛快な弁舌に支援者もホッとすると同時に意を強くしたであろう。それに引
き換え、あの自公認する“麻生節”は皆無で精彩を欠いた。それもそうだろう。
あれだけ舌禍・失言の連続では 麻生節 も発揮しようがない。討論の柱は「第
二次補正予算」の早期提出の攻防に終始した。現状を考えれば、喫緊に解決
しなければならない問題なので当然である。一刻も早く審議して国民の生活不
安を取り除く手を打つべきだ。なかんずく中小企業の倒産を未然に防ぐべきで
ある。末端の庶民の生活にも連動する死活を左右する問題であるからだ。政
府・与党は先送りの理由を、世界的金融危機、百年に一度 有るか無いかの非
常事態発生に対処する為に先延ばしした、と弁明に終始した。あまつさえ 政治
空白 をつくってはいけない、とも言い放った。その為の「金融機能強化法案」
の参院での早期可決を迫るが、事の本質を はぐらかした、論点を掏り替えた
苦肉の防戦としか映らなかった。誰の眼にも小沢氏の論理が理路整然として
分かりやすかった。麻生首相の完敗である。麻生首相の主張は前後脈略がチ
グハグで一貫性が無く先延ばし理由が分かり辛い。“政局より政策”、“景気対
策”が最優先、中小企業支援、倒産防止、中小企業の“信用保証枠の拡大”の
早急に実施、云々を喧伝した。今もそうである。・・・そうだったら、そういう事も
念頭に置いて、≪当初に≫ <「金融機能強化法案」も可決して「第二次補正予
算」も最優先、可決したい>と公言していたら、先送りせずに、こういう混乱は
起きなかった。党首討論後の記者会見で細田幹事長は「金融機能強化法案」
を民主党が先延ばしして参院で可決しない、政局優先だ、と捲くし立てていた
が政府・与党の一貫性のない公言・言動が、こういう事態を招いた。どんなに弁
解・弁明しても国民は納得しない。政府・与党の招いた今日の事態の責任は政
府・与党にある。少なくとも国民は、そう観ている。欲を言えば当面の諸物価高
騰の打開支援策を具体的な庶民の生活に即しての即効性と、中期・長期の目
標に視野を移しての討論が欲しかった。当然、世界の動向と連動しての政策で
ある事は言うまでもない。