風が強くて烏帽子が飛ばされそうです。
こんにちは。禰宜です。
本日は仏滅の平日ですが、それでもたくさんのお参りがありました。
11月は平日も賑やかです。
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さて。
毎日毎日七五三の話題ばかり・・・というのもあれですので、
本日は趣を変えて神様のお話。
さっそく「にほんのかみさまじてん(仮称)」をパラパラとめくってみましょう。
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よし!
この神様にしましょう!
月読尊(つくよみのみこと)
月読尊はその名前の文字から判るとおり月の神様で、太陽の女神である天照大神(あまてらすおおみかみ)の弟です。そして素戔男尊(すさのおのみこと)の兄神にあたります。
※月読尊はウサギではありません・・・
世界の神話の中では太陽と月は兄弟関係にある場合が多く見られるのですが、日本でもやっぱり太陽と月は姉弟です。
日本書紀での月読尊は「太陽の光に次ぐ存在」とされています。
太陽神の弟ですからね。それはそれは貴公子然とした神様だったのでしょう。
また平安時代に書かれた伊勢神宮の儀式文書には、
「馬に乗った男神で、紫の衣を纏い、黄金の太刀を佩いている」
と書かれています。
騎乗で、しかも紫の衣を着こなして・・・さらに黄金づくりの太刀を佩いているなんて・・・
ますますもって貴公子ですね。
この月読尊、はじめはお姉様の天照大神と一緒に天上にあって世の中を統治しておられたのですが、ある日、天照大神から「地上にいる食べ物の神様である保食神(うけもちのかみ・女神)に会っていらっしゃい」と言われて、地上に降り立ちます。
訪ねてきた月読尊に対し、保食神(女神)はこれを歓迎し、早速宴を催してたくさんの食事で月読尊をもてなします。
そう。保食神(女神)は食事の神。
突然訪れた貴公子に対する豪勢な宴の用意など造作も無い事。
そんな保食神(女神)の食事の用意をご紹介しましょう。
①まず口を開けます
②出します
③召し上がれ
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月読尊は(何故か)これに大激怒!
己の太刀をさっと抜くや保食神(女神)を斬り殺してしまうのでした。
月読尊は天上に帰還し、事の詳細を姉の天照大神に報告すると、今度は天照大神が大激怒!
「貴方はなんて悪い神なんでしょう!私はもう貴方となんか一緒に住みたくないわ!」
哀れ、月読尊は保食神(女神)が何かと頑張って出した食事を我慢して食べなかったばかりに、姉神から離別を宣言されてしまうのでした。
これ以降、太陽と月は昼と夜別れて現れるようになった…という事です。
以上が世界に昼と夜が出来たお話でした。
姉の天照大神や弟の素戔男尊と違い、あまり数は多くはありませんが月読尊を祀った神社は全国にもチラホラ見うけられます。
一番有名なのは伊勢神宮の・・・
内宮別宮・月読宮(『伊勢の神宮』サイトより)
と、
外宮別宮・月夜見宮(『伊勢の神宮』サイトより)
でしょうね。
その他にも山形の月山神社や、全国各地の月読神社に祀られています。
さてさて。
最後に月読尊のちょっと素敵なお話を一つ。
伊勢神宮の外宮・豊受大神宮とその別宮である月夜見宮は細長い道で繋がっています。
地元の人はこれを「神路通り」と呼んで、その道(特に正中)を進むのを避ける風習があります。
なんでもその道は夜になると、月読尊が白馬に跨って外宮の豊受大神(女神)のもとへ通うんだとか。
白馬に乗った月の神様が、女神様のもとへ通う道。
「神路通り」はそんなロマンティックな道です。
禰宜