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Dr.白澤・100歳への道:脂肪細胞老化と体重増 長寿ホルモンで燃焼効率上げ抑制

2019年10月20日 22時23分56秒 | 介護福祉高齢者
Dr.白澤・100歳への道:脂肪細胞老化と体重増 長寿ホルモンで燃焼効率上げ抑制
2019年10月18日 (金)配信毎日新聞社

 年を取ると、食事を制限しても運動をしても若い頃のように体重を減らすことができないという経験をしている人が多いのではないか。脂肪細胞が老化すると代謝効率が下がるために若い頃のようには脂肪が燃焼しなくなるといわれる。ただし、脂肪細胞の加齢現象なのか筋肉組織や心肺機能の加齢性変化なのかは、必ずしも正確には理解されていなかった。
 そんな中、スウェーデンのカロリンスカ大学医学部内科のピーター・アーネル博士らの研究グループは、加齢に伴う体重増加が脂肪細胞の代謝効率の低下が原因であるとの仮説を立てた。研究グループは54人の成人男女を対象に食事の摂取量、体重変化、脂肪細胞の脂肪の代謝効率を平均13年間にわたり追跡調査した。
 その結果、追跡調査期間中に体重が増えた人も減った人も、加齢に伴って脂肪の代謝効率が低下していることが分かった。食事の摂取量が減らなかった人の体重が増加していると分かった点もまた興味深かった。もし、脂肪細胞の老化を抑制することができ、年を取っても脂肪細胞を若々しく保つことができるのなら、加齢に伴う体重増加を抑えることが可能だろう。
 実は、老化した脂肪細胞の燃焼効率を上げる作用が報告されているのが、脂肪細胞が分泌するホルモン、アディポネクチンだ。別名、長寿ホルモンとも呼ばれ、長寿者においてはその血中濃度が高いとの報告がある。ネズミの実験ではアディポネクチンをたくさん分泌するネズミが長寿になるとの報告もある。運動によりアディポネクチンの分泌が増え、生活習慣病や動脈硬化の予防効果、体重の減量効果も報告されている。
 大豆たんぱく質やオメガ3脂肪酸、かんきつ類に含まれるノビレチンという物質がアディポネクチンの分泌を促進する効果が報告されているため、食事を工夫することで高齢期の体重増加を抑制できるかもしれない。最近の研究で、アディポネクチンにはさらに脳に作用することにより認知機能の改善が期待されていて、認知症の治療に応用されている。
 脂肪細胞の代謝障害は体重増加、神経細胞の代謝障害は認知機能低下をもたらすが、いずれの代謝障害にも長寿ホルモンの不足という共通点があるかもしれない。(白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)
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