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皮下の血管を非接触・リアルタイムで鮮明に可視化、小児採血など応用へ

2019年10月31日 01時59分08秒 | 大学
皮下の血管を非接触・リアルタイムで鮮明に可視化、小児採血など応用へ
奈良先端大ら、散乱光の観測で血管の様子を捉えることができることに着目
QLifePro 医療ニュース2019年10月30日 (水)配信 一般内科疾患小児科疾患

 奈良先端科学技術大学院大学は10月24日、皮下の血管の様子を非接触かつリアルタイムで鮮明に可視化する技術を開発したと発表した。この研究は、同大先端科学技術研究科情報科学領域光メディアインタフェース研究室の久保尋之助教、岩口尭史博士後期課程学生(現:九州大学助教)、舩冨卓哉准教授、向川康博教授らと、米カーネギーメロン大学のSrinivasa G. Narasimhan教授、アリゾナ州立大学のSuren Jayasuriya助教らの研究グループによるもの。研究成果は「IEEE Transaction on Visualization and Computer Graphics」に掲載されている。
 画像処理の研究分野では、人の目には見えないような被写体の隠された情報を可視化する研究が古くから行われている。光源から肌に光を照射すると、光の大部分は肌の表面で反射するが、ごく一部の光は肌の内部に入りこみ散乱する。このとき、光が肌に当たった位置と、内部を経由して外に出てくる位置との間には、わずかなギャップが生じる。研究グループは、このような肌の内部を経由している散乱光を観測することにより、皮下に分布する血管の様子を捉えることができるのではと推察した。
 研究では、2015年に提案された「時間同期式プロジェクタ-カメラシステム」を応用し、市販のレーザー走査型プロジェクタとローリングシャッター方式のカメラを並行に配置する計測装置を構築した。このプロジェクタは、レーザー光が内蔵の振動式小型のミラーに反射し、スクリーンを2次元的に走査することによって映像を投影できる装置だ。
 このプロジェクタの光線とカメラのシャッターは、被写体を高速にスクロールしている。そこで、光線の照射と撮影のタイミングに1ミリ秒以下のごくわずかな遅延時間を意図的に挿入することで、光線を照射する位置とカメラで観測する位置との間に若干の距離を設けた。肌の表面で反射する光は、光が当たった位置で反射するためこのシステムでは観測されず、一方、内部に入って散乱した光は、少し離れた位置まで広がって届くため観測される。結果、人の肌を観測した場合、肌の表面での反射光は全く観測されず、逆に肌の内部を経由した散乱光だけが計測されることで、肌の内部にある血管が、あたかも影のようにカメラでとらえることができる。また、撮影した動画像を解析することにより、脈拍の測定が可能となった。
 今回開発されたシステムは外光の影響を受けにくいため、日常的な明るさの室内で利用が可能であるうえ、光源は可視光を用いているため、X線などと比較して健康への影響が少ないことが特徴。「この技術によって、血管が細く注射や採血が難しい高齢者や子どもの静脈の視認が容易になるほか、足の血管がこぶのように膨らむ下肢静脈瘤などの疾患の診断などへの応用、さらに、小型でかつ安価な構成のため、家庭や発展途上国での利用も期待される」と、研究グループは述べている。
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