フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

1月29日(火) 晴れ

2019-01-31 23:08:05 | Weblog

8時、起床。

私が洗面所に行くとき飼い猫のハルが付いてくる。洗面台のぼって蛇口から出てくる水を飲みたいのである。

トースト、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

今日の「まんぷく」。咲(内田有紀)がなくなってずっと独身を通していた小野塚真一(大谷亮平)が再婚を決意した。相手は咲とはまったく性格が違う子持ちの女性だ。再婚を決意したことも、咲とはちがうタイプの女性だったことも、どちらもよいこと(視聴者の支持を得る)だろう。今井家のみんなに了承をとろうとする姿勢も古風だが好感がもてる。相手の女性を演じる女優は、すぐに誰だか分らなかったが、真中瞳(東風真万子)だった。久しぶりである。最初、真一が再婚と聞いて、池田信用組合で萬平の秘書をしていた女性のことが頭に浮かんだのだが、おそらく萬平に秘かな思いを寄せていた彼女ではやっぱりいかんかな。

午後から大学へ。 

いま卒業生の間ではリニューアルなった戸山キャンパスが話題になっている。 キャンパスの入口周辺の風景が大きく変わった。

 訪れる卒業生も多いのではないかと思うが、2月11日から22日は入試のためロックアウトになるのでご注意を。

昼食は蒲田駅構内にある「権米衛」で買ったおにぎり(鮭、梅干し、おかか)。コンビニのおにぎりの1.5倍くらいのボリュームがある。2個にしておくべきだった。 

ゼミ論集編集作業2日目。IMさん、SMさんは昨日に引き続き。今日はOMさん(中央)が加わった。

個々のゼミ論(最終版)を読んでいて不明のところ、疑問のところがあった場合は、本人にラインで連絡をとって確認する。だから今週は旅行等で連絡が取れない、いま手元に資料がなくてわからない、というようなことがないように言ってある。最終版を提出したからもう終わりというわけではない。最終版が完成版になるまでは気を抜かないこと。 

作業は6時半まで行った。お疲れ様でした。 

小腹が空いたので、ミニワンタンメンを食べてから大学を出る。 

先週の火曜日、江古田の兎亭で「プリコラシアター3×3」でリーリング版『THE BEAST』 を観たが、今夜はリーリング版『贋作マッチ売りの少女』を観に来た。『贋作マッチ売りの少女』は「舞台芸術創造機関SAI」の演目だが、今回の配役は、リーディング版『THE BEAST』がそうだったように、他の劇団のメンバー、フリーの役者のコラボで構成されている。

 部屋の真ん中に簡易な別途が置かれている。舞台は病院だ(場面によっては娼館であったりしたようだが、両者にはベットという共通項がある)。

 開演に先だって「舞台芸術創造機関SAI」の主宰、倉垣吉宏から説明があった。ジョーカーか。

今回も上演中の席の移動、写真撮影も自由とのこと。ただ、実際にはそれはなかなか難しかった。教え子の結婚披露宴ではそういうことを躊躇なくする私だが、役者と観客の間に割り込んで、役者の写真を撮るというのはハードルが高い(他の観客の後ろからなら撮れそうだが、そういうスペースはない)。なので、以下の写真は自分の席から撮ったものばかりである。

 芝居が始まった。タモリみたいな男が登場。彼はゴッホの腹違いの弟のジオである。

応対するのはレイ医師。史実では、ゴッホが耳切り落とし事件を起こした時に対応した医師だが、ここでは精神病院の院長のようである。 彼はジオに兄の状態について説明する。もう贋作の制作は無理であると。ゴッホは贋作の名手で、ジオはそれを売って大金を手にしていたのだ。

入院患者の一人、ゴーギャン。猿のような奇声を発し、猿のように飛び跳ねる。私は猿の惑星に不時着した宇宙飛行士のような気分になった。

ゴッホ、登場。 

ゴッホとゴーギャンが激しくやりあう。  

精神病院という場所は芝居や映画や小説の舞台にしばしばなる。たしか劇団「獣の仕業」にも精神病院を舞台にした演目があった。作家にとって精神病院は創作意欲を刺激する場所なのだろう。第一に、そこは世間から空間的に隔絶されている。第二に、そこは世間の常識や価値観が通用しない世界である。世間から見れば異常な世界だが、そちらから見れば、世間の方が異常なのである。 

ゴーギャンはやたらと私の方にお尻をつきだしてくるので、カメラを構えてよいものかどうか躊躇したが、撮らせていただきました。

そういう世界に入り込んできたジオはいわば世間(市場原理)の代理人である。芸術とか、愛情とか、そういうことよりも金儲けになるかならないかが重要なのだ。 

医療関係の3人は、精神病院と世間とのインターフェイスである。白塗りのキョンシーのようなメイクがそのことを暗示している。ちなみに3人の役者は今回の「ブリコラシアター3×3」に参加している3つの劇団それぞれの主宰である。いうなれば劇団と世間のインタ―フェイスである。

ジオにとってゴッホが金づるであるように、レイ医師にとってはゴッホの入院費を払ってくれるジオは大切な顧客である。レイ医師はジオの機嫌をとるように今後のゴッホの治療方針について説明する。 

しかし、破滅は訪れる(この写真はゴッホが観客の私に語りかけた瞬間を撮ったもの)。

 

ゴッホはゴーギャンに銃を向ける。

患者が精神病院を出る方法は3つある。病気を治すか、脱走するか、死ぬかである。ゴーギャンはゴッホに撃たれたかったのかもしれない。

銃声が上がる。 

ゴーギャン死す。 

ここで登場したのは前衛芸術家アントナン・アルトー。 

彼はゴッホの評伝を書いたことでも知られる、ゴッホの芸術の理解者である。ただし、 アルトーが生まれたのはゴッホの死の数年後であるから、二人が出会って話をするというのは完全なファンタジーである。

ゴッホはアルトーとの会話の最中に銃で頭を撃って死ぬ。思わぬ展開に狼狽するレイ医師たち。 

ゴッホの死を知ったジオは兄の遺体にすがりついて悲嘆する。金儲けのことしか頭にないように振る舞っていた彼だったが、実は兄のことを敬愛していたことを独白する。そして兄を死に追いやったレイ医師を射殺する。

一人生き残った医療関係者が物語の終りを告げる。

以上は私の解釈で実はそういうストーリーではなかったかもしれない。間違っていたらあしからず。 

芝居は終わった。 

自由には動き回れなかったとはいえ、演劇している人を撮ることは、実に面白かった。

役者たちと話をしながら写真を撮らせていただく。 

 7人の役者さんにもう一度拍手。

 ヴァン・ゴッホ 小堀佳恵

 ホール・ゴーギャン 常盤美紀(舞台芸術創造機関SAI)

 アントナン・アルトー 三國谷花(PATCH-WORKS)

 ジオ 柳橋龍(兎団)

 ジャック先輩 斎藤加南子(兎団)

 ジャック後輩 立夏(獣の仕業)

 レイ医師 倉垣吉宏(舞台芸術創造機関SAI)

兎亭を出たのは9時半ごろ。

江古田駅のホームには待合室がある。都会の駅では珍しいように思うが、西武池袋線には一般的なのだろうか。冬の夜の寒さをしのぐにはありがたい。シートの数は10.待合室を舞台にした芝居を考えたくなる。いつまでたっても来ない電車を待つ客たちが繰り広げる不条理劇『電車を待ちながら』とか、ホーム上で起こった事件の真相をめぐって客たちが熱く議論をする『10人の怒れる男と女たち』とか。 

 蒲田に着いて遅い夕食は「つけ麺大王」で。

チャーシューつけ麺(750円)を注文。ここではたいていこれを注文する。

濃いめのスープにたっぷりの野菜炒めとチャーシューが入っている。

11時過ぎに帰宅。

2時、就寝。

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