フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

10月22日(土) 曇り

2022-10-23 11:03:03 | Weblog

8時45分、起床。

トースト(はちみつ&オリーブオイル)、目玉焼き、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。今日の目玉焼きはすそ野がずいぶんと広がって「羽根付き」のようになった。

昨日のブログを書いてアップする。

1時に家を出て、王子神谷へ行く。劇団「獣の仕業」の公演『マクベス』が蒲田から京浜東北線で王子まで行き、南北線に乗り換えて1つ目の駅だ。初めて降りる駅だ。

劇場は商店街を抜けたあたりにある。まだ昼食をとっていなかったので、途中のどこかの店で食べよう。

商店街の入口付近にネパール料理の店があったが、そういう気分ではなかったので、スルーしたところ、シャッター通り化した商店街でなかなか飲食店がない。これはネパール料理店に戻るしかないかと思っていた時に蕎麦屋があってホッとした。

すき焼きうどんを注文する。

劇場「バビロンの流れのほとりにて」(森有正の本のタイトルみたいだ)に着いたのは上演開始時刻(2時)の15分前だった。席はもうあらかた埋まっていて、最前列の左側の席に座る。

今日の演目は『マクベス』。魔女の予言に翻弄されて自滅していく武将の物語だ。劇団「獣の仕業」がシェークスピアの作品をやるのは今回が初めてではない。『オセロ』『ベニスの商人』『空騒ぎ』をこれまでやってきた。演劇人にとってシェークスピアの作品群は踏破してみたい連峰のようなものなのかもしれないし、大学の英文科でシェークスピア研究のゼミにいた主宰の立夏にとってはとくにそうなのかもしれない。一般の観客にとってのシェークスピア作品の魅力は登場人物たちのレトリック過剰な「語り」にあるだろう。そこには人間についての洞察のすべてがある、と思わせるところがある。

NHKの『鎌倉殿の13人』が話題になっているが、それと重ね合わせて観る楽しみというものも今回はあるだろう。小心なところのあるマクベスをけしかけて国王暗殺という大それた行為に至らせたマクベス夫人は、北条時政の妻りくを髣髴とさせる(ドラマでは宮沢りえが演じているが、マクベス夫人役の雑賀玲衣ははまり役だ)。

開演前から俳優たちは舞台の上にいた。水を飲んだり、ストレッチをしたり、台詞回しのチェックをしている。これから「演劇」が始まるのだという観客へのメッセージになっている。そして開園。

冒頭でマクベスの独白。

明日、また明日、そしてまた明日、
忍び足はちいさな歩幅で一日一日と、
記録された時の最後の音節へたどりつく;
すべての昨日は愚か者どもが塵のように死んでいく
道を照らし続けている。消えろ、消えろ、つかの間の灯火、
人の命などただの歩いている影に過ぎない、
舞台の上で気取って歩いても、思い悩んでも、かわいそうな俳優たちは、
いつの間にか誰にも相手にされなくなる。
これは、そんな馬鹿が話す物語だ、たくさんの音と激しい怒りでいっぱいなのに、そこには何もない。

うん?『マクベス』は荒野で三人の魔女の会話を交わしているところから始まるはずである。いきなりの脚色だ。人生を演劇、人間を俳優とみるシェークスピア的人生観が流麗な台詞で語られる。劇中に登場する台詞を取り出して冒頭にもってきたのだろうと思ったが、すぐにどのシーンなのかを思い出せなかった(夫人の死を知らされたときのマクベスの独白だった)。この台詞は劇の最後にもう一度、こんどは役者全員が客席の方を向いて語られた。いわば本編の額縁として使われたわけだ。ちなみに翻訳は坪内逍遥訳に依拠しているが、この部分は立夏の訳とのこと。演劇人として思い入れがある台詞なのだろう。

俳優たちの声がよく通っていたのが印象的だった。シェイクスピア劇ではこれは大切なことで、台詞が全部ちゃんと聞き取れないと「語り」を十分に味わうことができない。劇場の音響がいいこともあるだろうが、立夏に後から聞いたところ、「残響が強く出る劇場で、響きがきれいになる反面、腹から声を出さないと元の音の輪郭がボヤけるので、台詞が綺麗に聞こえたのは俳優さんたちのお陰だよ」と言っていた。私は何人かの俳優については彼らの学生時代から知っているので(カミカミエブリバディ)、明瞭な台詞回しというものがいかに彼らの普段の努力、訓練の成果であるかを理解している。

舞踏的演出は劇団の特色の一つであるが、今回はそこに呪術的な要素が加わっていた(舞台上に描かれた魔法陣を思わせる模様がそれを象徴している)。照明と音響のきれのよさはあいかわらずである。

千秋楽(23日)の18:00からの回は空席がけっこうあるそうなので、興味を持たれた方は哀愁の漂う商店街の先にある「バビロンの流れのほとりにて」へ足をのばしてみることをお勧めします。

5時過ぎに蒲田に戻ってきて、「スリック」に顔を出す。今日は蒲田元気まつり(主として子供たちが対象の商店街のスタンプラリー)が2時頃まで行われていた。店先ににわか作りの屋台が出ていた。想定外の盛況で、マダムもスタッフの上杉さんもクタクタになっていた。私が明日は休みにしたいでしょと聞いたら、「休んでもいいですか!?」とマダムがすがるような表情で言った。でも、頑張るそうである。

紅茶はイングリッシュ・ブレックファーストをチョイス。

シフォンケーキはハロウィン仕様のものが1つ残っていた。

明日も営業されるのであれば、明日も顔を出しますね。

本日発表の東京の新規感染者数は3231人。昨日の都の専門家グループの「下げ止まり」発言はこのデータをあらかじめ知った上でのものだったのかしら。

『福山雅治 福のラジオ』をタイムフリーで聴く。

夕食は鶏団子汁(これがメイン)、茄子とベーコンの煮物、漬物、ご飯。

食事をしながら『ザ・トラベルナース』初回(録画)を観る。よくW主演という言葉が使われるが、岡田将生と中井貴一、このドラマについてはその言葉がピッタリだ。

昨日、ハユさんからいただいたお菓子を食べる。

レビューシートのチェック。

風呂から出て、今日の日記を付ける。

2時、就寝。

 

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