フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

3月10日(日) 晴れ

2024-03-11 08:59:45 | Weblog

9時、起床。

チーズトースト(+ソーセージ)、スープパスタ、スクランブルエッグ、サラダ、牛乳、珈琲の朝食。

昨日のブログを書きながら、NHK杯将棋トーナメント準決勝(藤井八冠対羽生九段)の一戦を観る。後手の藤井が羽生の一瞬の緩手を咎めて先手玉に必死をかけ、羽生の攻めを切らせて(これ以上王手の続かない局面まで持っていって)勝つ。時間のないなか、あの局面で、自玉は詰まないと読み切ったのが凄い。これで来週の決勝は藤井八冠対佐々木八段、二年連続の同一カードによる決勝戦だ。

1時からオンラインの「いろは句会」。今回が60回目だ。隔月開催なので、年6回、ちょうど10年続いたことになる。地味にすごいことである。

今回のライブ参加者は、月白さん、渺さん、恵美子さん、羽衣さん、さやかさん、犬茶房さん、桜子さん、私(たかじ)の8名。事前投句・選句は蚕豆さん、花さん、事前選句のみが紀本さん。

俳句は27句。兼題は「電」という字を使うこと(前回特選の桜子さんの出題)。まず月白さんが全作品をしっとりとしたお声で読み上げる。

そして選句タイムに入る。いつものように各自が天(5点)1句、地(3点)2句、人(1点)2句を選ぶ。

私は次の句を選んだ。

天 伴うは薬師(くすし)に楽士青き踏む

 季語は「青き踏む」。春、野山に青く芽生えた草を踏んで歩くこと。平安時代の歌のような言葉遣いと調べだが、現代風に読めば、薬剤師や音楽家の友人と一緒にピクニックに出かけたということである。優雅で遊び心のある句である。

地 冬の雷青く帯電する獣

 雪原。雷が鳴っている。そこに熊か、オオカミか、雷の光に青く浮かび上がっている。凄惨な美しさがある。

地 花咲くと母病室の蛍光灯

 陽射しの差し込まない病室だが、「蛍光灯の明かりでも花は咲くのよ」とベットの母が花瓶の花を見て言った。

人 留守電の声がかすれて春嵐

 帰宅して留守電を再生する。その声がいがらっぽいのは春嵐のせいだろうか。

人 宇治に住み十帖知らぬ山笑う

 宇治に住んでいるのに宇治十帖(『源氏物語』の最後の方)を知らない。「山笑う」は山にいっせいに花が咲く様子だが、ここでは宇治十帖を知らないことを山が笑っているという意味もかけているようだ。大河ドラマを背景にした挨拶句として秀逸。

全員の選句が終わり、一人一人選んだ句を披露する。集計結果は以下の通り。上位の句から選者を中心に感想を述べて、作者が明らかにされていく。今回は票が分散した。

15点 三月の電車は少し浮いている たかじ

 今回の特選句は私の句。羽衣さんとさやかさんから天を戴いた。兼題句である。紀本さんに「八月の終電はみな広島へ」という句があるが、「三月の電車」はどんな電車だろうと電車の中で考え、「少し浮いている」のではないかと思った。物理的には春休みで通学の学生が減ってその分軽量になり、心理的には遠出する客たちでウキウキしている。夜になったら銀河鉄道に接続するかもしれない。

13点 伴うは薬師に楽士青き踏む 渺

 桜子さんと私が天を付けた。感想はすでに述べたが、春の句会にふさわしい秀句である。

11点 春霞市電の窓にマルチーズ 月白

 これも兼題句。恵美子さんが天を付けた。この句を選んだ人たちが口をそろえて「ずるい句だ」と言った。「市電の窓にマルチーズ」かわいいに決まっている、作為がわかっていても、選ばないわけにはいかないと。私がこの句を選ばなかったのはチャイ(私の愛猫)で免疫ができているからである。その手には乗りませんよと。

10点 留守電の声がかすれて春嵐 犬茶房

 これも兼題句。感想はすでに述べた。

 9点 冬の古書レシート挟みし亡きひとよ 蚕豆

 蚕豆さんは今回の投句すべてが冬の句だった。3月の句会は春の句を作るのが慣例であるが、北海道はまだそういう気分ではないのだろう。ただ、この句に関しては、「春の古書」とした方が「亡き人よ」との対比がより効果的ではなかったか。古書に栞代わりにレシートを挟む人だったのだろう。

 9点 陽春やビニール傘の錆茶色 犬茶房

 蚕豆さんが天を付けた。このビニール傘は道に投げ捨てられているのかしら。日頃、使っているビニール傘が錆茶色になることはそうないだろうから。そう考えると、陽春の道の傍らのビニール傘の哀れさというものを感じる。

 8点 新しき眼鏡マーガレット眩し 羽衣

月白さんが天を付けた。「マルチーズ」をずるく使った月白さんは、この句の「マーガレット」にずるさを感じなかったのだろうか(笑)。

 7点 冬の雷(らい)青く帯電する獣 蚕豆

感想はすでに述べたが、蚕豆さんはもしかして兼題を「電」ではなく「雷」と勘違いしたのではないかしらという疑惑がわいた。三句の中に兼題句がないからである。月白さんはこの獣を龍ではないかと言った。それはスケールが大きい。青龍というのがありますね。

 7点 はとバスのはとはれのひにはるのたび 恵美子

 犬茶房さんが天を付けた。はとバスのマークの鳩が飛び出して晴れた日に春の旅をするというファンタジックは句なのだが、仮名だけで書かれいるので、最初に読むときはすらすらと(羽ばたくように)読めないのが難点。

 7点 電柱のてっぺんに刺さる春三日月 花

 電柱のてっぺん近くの三日月というのはよく見かける風景なのだが、三日月が電柱(電線)に引っかかっているように見えるのを、「刺さる」と表現したところがポイントだろう。三日月が手裏剣のように見えたのかもしれない。

 7点 私服着て電車乗りたるお雛様 恵美子

 普段、堅苦しい衣装(十二単)を着ているお雛様(お姫様)がお忍びでお屋敷の外にお出ましという感じと作者は言っていた。『ローマの休日』のオードリー・ヘプバーンみたいですねと言ってみたが、反応は薄かった。もしかして『ローマの休日』知らないのか? 山笑うぞ(笑)。

 時間の関係で以下は結果だけ。

 6点 春泥からこちらを覗くイタチサメ 桜子

 5点 蛤はドのシャープとラッコ言う 桜子

 4点 嬉しきは「また春が来た」といえること たかじ

 4点 春浅し寒暖計の上下動 たかじ

 4点 あくびで発電可能朧月 桜子

 4点 梅が香や色鉛筆の百種類 恵美子

 3点 正直は美徳ではない朧月 花

 3点 春宵の推しは都電荒川線 渺

 3点 花咲くと母病室の蛍光灯 羽衣

 2点 宇治に住み十帖知らぬ山笑う 花

 1点 綴じ直す左隅にエイ百匹 犬茶房

 1点 風邪の子を隣に寝かせオンライン 蚕豆

集計結果を書道家の恵美子さんがまとめて下さった。ありがとうございます。下段に作者の名前が書かれているが、月白さんが言われたように、「この字で見ると、すごい人達の句会に見える」。

終わったのは3時20分頃。普段の句会より20分ほど長くなった。お疲れ様でした。

次回の句会は5月12日(日)。兼題は「天」。また、お会いしましょう。

昼食を食べていなかった。カップヌードルで済ます。

句会で中断した昨日のブログを最後まで書いてアップする。

夕食はビフテキ、サラダ、スープ、ごはん。

『さよならマエストロ』(録画)を観る。

名古屋から息子が来る。高校・大学を通じての友人が海外赴任となり、今夜は送別会らしい。

今日のブログ(句会ブログ)を書く。いつもであれば、明日の午前中に書くところだが、明日は入院なので今夜のうちに簡易版ではあるが、書いておく。

風呂から出て、今日の日記を付ける。

1時半、就寝。

*少しの間、ブログの更新はお休みします。

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