フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

11月19日(日) 晴れ

2023-11-20 16:29:58 | Weblog

8時15分、起床。

胡桃パン、目玉焼き、ソーセージ、サラダ、パスタスープ(トマト)、牛乳、珈琲の朝食。

昨日のブログを書いてアップする。

1時からオンラインの「いろは句会」。本日のライブ参加者は6名。画面左上から渺さん、私(たかじ)、月白さん、明子さん、さやかさん、恵美子さん。蚕豆さんと羽衣さんとはなさんが投句と事前選句、港さんが事前選句で参加。

主宰の直美さんがご家庭の事情でお休みなので、私が司会進行役を務めることになった。

投句された作品は26句。今回のお題は「比喩」を使うこと。

選考タイム。天(5点)一句、地(3点)二句、人(1点)二句の計五句を各自が選ぶ。

私は次の五句を選んだ。

天 手品師が空から出した柿三つ

 青空を背景に赤い柿がそこにある。よく見る秋らしい風景だが、「手品師が空から出した」という着想(比喩)が秀逸で、青空のキャンバスを破ってニュッと手品師の手が柿を手のひらにのせて出てきたようである。

地 息詰めて黒髪絞る夜寒かな

 「黒髪」は女性の象徴であるが、風呂の洗い場であろうか、寒い夜に、「息詰めて」(寒さに耐えながら)黒髪を絞る(水気をふき取る)女性の姿というのは官能的でかつ神秘的でもある。

地 賢治の忌妹を待つ停留所

 宮沢賢治(9月21日が命日)が天国に旅立つ妹を詠んだ「永訣の朝」は教科書にも載っている誰もが知っている詩である。それを踏まえて、妹の帰還を停留所で待っている自分(兄だろう)を対比させた句である。

人 秋夕焼け子猫の消えた世界線

 川村元気『世界から猫が消えたら』というタイトルの小説(映画化もされた)がある。読んではいないのだが、記憶に残るタイトルだった。それを思いだした。どういう理由で子猫が世界から消えたのか、死んでしまったのだろうか、あるいはもっとSFチックにこの世界からすべての子猫が消えたのだろうか。

人 赤トンボ母校更地になっている

 平明な句。「トンボ」とカタカナにしたのは、当時使っていた「トンボ鉛筆」からの連想であろう。

全員の選句が終わり、各自がその結果を述べ、事前選句のものと合わせて、入選句が出そろう。感想を述べあったところで作者を明らかにする(私の役目)。

22点 手品師が空から出した柿三つ 明子

 今回の特選句は久しぶりに参加の明子さんの句。恵美子さん、蚕豆さん、私が「天」をつけた。私の感想は選句のところで述べたが、恵美子さんが感想の中で「こういう絵を描く画家いましたよね」と言った。「マグリッドですか?」と私が言うと、「そうです!」と答えた。私も実は同じことを思っていたのである。彼の場合は林檎ですけどね。

14点 賢治の忌妹を待つ停留所 蚕豆

 月白さんと明子さんが「天」を付けた。私が選句のときに述べた感想をみな共有していた。上手い句であることは間違いのだが、多少「技巧的」というか「智」に働いている印象を与えるところが損をしている気味がある。

13点 息詰めて黒髪絞る夜寒かな 羽衣

 官能的でミステリアスな句として私は選んだのだが(月白さんにいたっては誰かを殺した女性が返り血を落としているところなんていう火曜サスペンス劇場みたいな読みをしていた)、作者が羽衣さんと知って、印象が変わった。母親が小さな娘さんの髪を拭いてあげているのかもしれない。

11点 林檎剥く無骨な指の催眠術 渺

 蚕豆さんと港さんが「天」を付けた。ライブ参加者の間では「催眠術」という意味が分からなかったのだが、さやかさんが不器用な彼が自分のために林檎を向いてくれているのを見ると「クラっと」してしまうというような意味のことを言ったので、「そうか!」と納得した。もっとも作者(渺さん)はそういう意図ではなかったようで、不器用な指の動きを表現したかっただけのようです。

10点 ちちろ載せ移動図書館は街を出る 蚕豆

 「ちちろ」とはコウロギのこと。うっかり紛れ込んでしまったコウロギを乗せて、移動図書館の車が次の街へ向かうという話。メルヘンチックですが、蚕豆さん、作風変わったんじゃないの、何かあったの、との声しきりであった。

9点 絨毯の厚み以上の愁思なし 恵美子

 渺さんが「天」を付けた。「絨毯の厚みくらいの愁思あり」とした場合と比べてみると、たいした「愁思」ではないというニュアンスが出ますね。ちなみにこんな絨毯を最近買われたのだそうです。

6点 秋夕焼け子猫のいない世界線 月白

 作者によると、保護猫を飼おうか思っても自分の年齢だともう飼うことができないので、自分のこれからの人生(世界)には子猫を飼うという選択肢はなくなったのだという気持ちを詠んだものだそうだ。ちなみにペットショップで猫を買うときはそういう条件はないですよね。うちのチャイ(2歳半)をペットショップで買ったとき、私はもちろん、妻も60歳を過ぎていた。妻にはチャイより長生きしてもらわないと。

「あなたもね」

6点 語りたきこと多くして冬の道 たかじ

 私の句。木枯らし1号の吹いた日に近所のカフェ仲間のトモミさんと道でばったり出会った。彼女はベビーカーを押していた。少しの間、おしゃべりしながら歩いたが、あまりに風が冷たいので、「今日はこれで」と別れたときのことを詠んだもの。ランチャーズの『真冬の帰り道』という曲を思いだした。

5点 星流る露天の風呂の黄泉のごと 月白

 羽衣さんが天を付けた。彼女が事前選句のときのメモ書き。「「黄泉」という比喩が効果的だと思いました。
「星流る」という季語と相まって、幻想的なイメージを醸し出していると思います」(羽衣)。

4点 紫に紅葉しているパスツアー 直美

 「紫に紅葉している」のはバスツアーに参加している年配の女性たちの(染めた)頭髪ではないかと恵美子さんの感想に一同納得。後から作者(直美さん)からのメッセージあり。「昨日話するつもりだったんですけど、癌で闘病中だったあざみさんが亡くなりました。紫とシウマイの句はあざみさんへの追悼句です。出版記念バスツアーに参加された方はあざみさんご存知なのでお知らせしします。私に俳句と着物と人生の楽しみ方を教えてくれた方でした」。そうでしたか。あざみさんのご冥福をお祈りいたします。

4点 赤トンボ母校更地になっている 月白

 作者は月白さんでしたか。やっぱり「トンボ鉛筆」の世代ですね。

4点 冬晴れの真白な十字小鷺飛ぶ 渺

 呑川を散歩するときに美しい十字の姿で白鷺が頭上を飛んでいるのを見かける。たぶん音数合わせのためだろう、「小鷺」としたのは十字のスケール感を損なっているような気がする。 「冬晴れの白き十字よ鷺は飛ぶ」とでもしたらよかったのではないでしょうか。

時間の関係で以下、入選句の紹介のみ。

3点 銀狐匿(かくま)うやうにむら芒(すすき) 羽衣

3点 年の瀬や縁切寺のごと決意 たかじ

3点 模様替え上々照りたる栗羊羹 恵美子

3点 遠距離は無理かもしれぬ冬隣 たかじ

3点 キッチンに並ぶ背の順の里芋 直美

3点 早寝する月とお団子三姉妹 明子

2点 焼き餅を薪ストーブで焼く気持ち 蚕豆

1点 幕間に懐かしき人秋の夜 明子

1点 熟れ柿は生きている又は死んでいる 恵美子

次回の句会は年明け1月21日(日)。お題は「湯」という字を使うこと。

では、ちょっと早いですが、みなさん、よいお年を!

句会を終えて、散歩に出る。

昼食をちゃんと食べていなかったので(句会の最中におにぎりを食べた)、珈琲豆を買いがてら「きりん珈琲」で厚焼き玉子サンドを食べようと思ったのだが、満席だった。

梅屋敷商店街まで足を延ばして「琵琶湖」へ行く。ここも混んではいたが(やっぱり日曜日の午後だけある)、空いていテーブルはあった。

Bセット(ミックスサンドウィッチのハーフサイズ、サラダ、珈琲、アイスクリーム)を注文。これで800円とはお得である。

商店街のペットショップを覗く。子猫が2匹いた。か、かわいい。

マンチカン。

ブリティッシュ・ショートヘアー。

注文しておいてティーバッグ(箱詰め)を受け取りがてら、「ティールーム101」に顔を出す。時刻は4時半を回っていた。

先客が一人いたが、ほどなくして出ていかれた。

スティーブン・スミスのロード・ベルガモット(ダージリン)を注文。

私が本日最後の客になった。来週の予約をし、月末の妻の誕生日のケーキの予約もした。

6時ちょっと前に店を出る。

うっかりしていたが、今日は将棋JT杯の決勝、藤井聡太八冠VS糸谷哲郎八段の公開対局がある日だった。妻に言われて思いだした。あわててネットTVを点ける。局面は中盤で、形成はほぼ互角だが、藤井の唯一の大駒である飛車は自陣にあり、糸谷は盤上に龍、駒台に角2枚がある。藤井の玉は固いが狭く、糸谷の玉は薄いが広い。ここから一手一手、攻めるにしろ守るにしろ、大局観が問われる盤面である。いま、藤井が4八金と自陣に打ったところ。龍を入らせませんよという守備の手である。

ここから3七香と打たれるのを嫌って糸谷は3二龍と自陣に引き、藤井は5六歩と打って玉頭に嫌味を付けにいった。

糸谷が2六角と金取に打った局面。疑問手だったようで、形成判断は藤井に傾いた。

糸谷の4八角成に藤井は4六金と桂馬を取った。形成はさらに開いた。同歩に3三銀と打たれる手が痛い。同龍だと4五桂と王手龍取りに打たれる。

3三銀を同龍とは取れない後手は4一龍とかわした。しかし、ここで狙いすました一手がある。

5九飛、同馬と飛車銀交換をして、取った銀で4二銀の王手龍取りがかかった。同龍、同銀不成。これを同玉とは取れない。取れば、2二飛の王手角取りである。

後手は4四玉と上に逃げたが、3九飛の準王手(次の3三飛成が厳しい)馬取りと打たれる。藤井の勝率が90%を超えた。これはもう決まりである。

投了一手前の局面。ここで先手は4六金と打ち、後手は投了となった。糸谷も善戦したが、結局は藤井の引き立て役だったように思う。

タイトル戦八冠+トーナメント戦優勝である。まだトーナメント戦は3つ残っているが(NHK杯、朝日杯、銀河戦)、勝ち越さねばならない番勝負(5番勝負、7番勝負)と違って、一発入ればいいので、誰かが藤井の快進撃を止める可能性はある。その千載一遇のチャンスを狙っている棋士はいるはずである。

夕食は赤魚、蓮根のきんぴら、サラダ、味噌汁、ごはん。

食事をしながら『どうする家康』をリアルタイムで観る。若いころから付き従っていた家臣たちが(いまはみな一国一城の主となっているが)、だんだん老いて死んでいく。とうとうあの本多忠勝(山田裕貴)も死んだか。

『サンデーソング・ブック』をタイムフリーで聴きながら、雑用を片付ける。

風呂から出て、今日の日記を付ける。

1時半、就寝。

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