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フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

4月21日(月) 晴れ

2025-04-22 13:36:28 | Weblog

8時、起床。

チーズトースト、目玉焼き、サラダ、牛乳、珈琲の朝食。

昨日のブログを書いて、昼過ぎに家を出る。卒業生とのカフェの約束があるのだ。

京浜東北線で東京駅に行き、丸の内南口を出る。大学に行くときは丸の内北口を出るので、南口は珍しい。

向かったのは東京ステーションホテル。

アフタヌーンティー(要予約)。ここのアフタヌーンティーは、場所柄もあり、人気がある。週末なら2カ月前、平日でも一カ月前に予約をする必要がある。

席に案内されてちょっと戸惑ったのは、ソファーに横並びに座るようにセッティングされていたことである。お店の方の説明によると「対面ですと間に衝立ができてお話がしにくいと思いまして」ということだったが、もしかすると、お店の方は男女のカップルを想定していたのではないだろうか。私の日頃のカフェでの観察では、対面でも横並びでも座れるテーブルの場合、あえて横並びに座る(身体的距離が近い)のはカップルに多いからである。しかし、御覧のように、われわれはシニアのおじさん(じいさん)とミドルのおじさんである。「写真をお撮りしましょうか」とお店の方が言ったので、きっと客の方からそういうリクエストが多いのだろうと思いながら、ツーショットを撮っていただいた。おじさん二人が横並びでアフタヌーンティーというのはなかなか珍しい図ではなかろうか。

北野武なんかの映画では、これはスイーツ好きのヤクザの親分と若頭(あるいは敵対するヤクザの若い親分)の図である。映画ではこの後、突然、何人かの覆面をした者がやってきて、私が銃でハチの巣にされるのである。「は、はかったな・・・」と私が息も絶え絶えに言うと、ミドルおじさんは「親分、どうです、最後のスイーツのお味は?」とニヤリとして、立ち去るのである。

ミドルおじさんの名はジュンジ君。先日会った2000年卒(一文・社会学専修)の卒業生たちと入学年は同じだが、留学をしたため、卒業年は彼らよりも遅い。その後、英国の大学院で社会人類学の勉強し、帰国後は新聞社に就職した。

しかし、体調を崩して新聞社を退社し、それからは体調と相談しながら、いくつかの仕事に就いた。

最近10年間は専業主夫をしているそうである。

先月、高校2年生の息子さんを連れてキャンパスを訪れた際、息子さんがスロープの私の最終講義の立看に気づいた(私の話は息子さんにしていたそうである)。それで帰宅してから、私の最終講義を視聴し、はじめはパート1の最初のあたりだけ聴いてみるつもりだったが、気付いたらパート3の最後まで聴いてしまい、奥さんにも聴講を勧めて(彼女とは留学中に知り合ったそうである)、パート3のライフスタイル論は一緒にもう一度聴いたそうである。

そして「大変ごぶさたしております」と私にメールを送ってくれて、定年退職の祝いと、長いこと音信不通であったことのお詫びにと、今回のおじさん二人のアフタヌーンティーの予約をしてくれたのである。

「自分は先生の幸福の物語の分類でいうと、「多様な家族の幸福な幸福」を生きているのだと思います。親子三人仲良くくらしております。しかし、いまだ「成功の物語(立身出世の物語)」も捨てきれずにおります」と彼は語った。クールな分析であり、同時に、素直な自己呈示である。クールなのは学生時代からだが、素直さは卒業後の人生経験の中で身に着けたものであろう。いろいろなことがあったのだろうと私は想像しながら、それが人生の養分としてちゃんと吸収されれていることを感じた。

「40歳を過ぎてから、昔の友人らと連絡をとるようになり、「社交」というものの大切さを若い頃よりも身に染みて感じるようになりました」とも彼は語った。それはいいね。忙中閑あり、忙中社交ありですよ。ポストモダンのライフスタイルのキーは「社交」ですから。

何回かお茶のお替りをして、おしゃべりをして、2時間はあっという間だった。論系ゼミ4期生の集まり、論系ゼミ1ー3期生の集まり、一文社会学専修2000年卒の集まり、いずれも時間は2時間だったと思うが、今日のように一人の相手と2時間話してもあっという間なのだから(どれだけ私がおしゃべりなんだということはおいておいても)、一体、一人一人と語り合うにはどれだけの時間が必要なのだろう。

長い間、音信不通でしたが、今日、その長い空白がいっぺんに縮まったような気がします。声をかけてくれてありがとう。定年退職というもの、最終講義というものがあったからこそ、彼も私に連絡を取りやすかったのだろう。そう考えると、定年退職や最終講義というものも悪くないと思った。

ジュンジ君とはここで別れた。また、会いましょう。奥様や息子さんにもよろしくね。

長いこと音信不通のみなさん、ご連絡まってます(笑)。当方、時間だけはたっぷりありますので。

私はその足で大学へ。

教員ロビーに置かせてもらっていた荷物の整理。

ゼミ1期生・2期生のテキストは1冊だけ自分のために持って帰って、残った4冊は廃棄処分にした。

教員ロビーにもう私のメールボックスはないのだが、私宛の郵便物をロビーの方が預かってくれていた。品治さん(目白大学専任講師で清水幾太郎の研究者)からである。

「タビビトの木」に寄っていく。

品治さんから清水幾太郎の三冊目の自伝『わが人生の断片』(文春文庫)の新しい版だった。カヴァーが変わり、品治さんの解説が新たに付されている。清水研究にとって重要な資料であるだけでなく、自伝文学としても一級品で、これが文庫本として新しい命が吹き込まれたことはまことに喜ばしい。

バインミー(エビ)と旅人珈琲。

小一時間ほど滞在して店を出る。さあ、旅に出よう。いや、家に帰ろう。

蒲田に帰って来る。

夕食は鶏むね肉とブロッコリーの炒め、漬物、味噌汁、ごはん(軽め)。

妻は鶏むね肉が好きである。

食事をしながら『ダメマネ』初回(録画)を観る。川栄李奈の演技がなかなかのものである。次回も観ることにする。

品治さんに本のお礼のメールを出す。

風呂から出て、今日の日記を付ける。

1時半、就寝。