大橋社労士の気まま日記

仕事上のエピソードや日常の出来事、日頃興味を持ったことなどを随時ご紹介していきます。

「ワーク・ライフバランス」を考える(その①)

2011-07-29 08:12:14 | Weblog
今回は月に一度の「ためになる話シリーズ」です。


ワーク・ライフバランスという言葉は、日本社会でも広く知られるようになっています。一時期ずいぶんもてはやされたりもしました。が、イマイチ定着していないかな・・というのも感じますし、言葉の意味について誤解されているような気もします。今回は、今一度その本質を再考してみたいと思います。

◎意味の誤解?
「仕事と私生活のバランスを保つ」とか「仕事にゆとりを持たせて家庭での時間を確保する」とか「仕事よりも趣味に打ち込む時間を増やす」とか、どれも必ずしも間違いではないですが、ワーク・ライフバランスの本質的な意味ではありません。そう、このように言葉の意味そのものを誤解しているがために定着がイマイチなのだと思うのです。
本来は「私生活の時間に得られた知識・経験・人脈などを仕事に活かすことで仕事の質や効率が高まり、結果として仕事も私生活もどちらも充実する」といったいわば“相乗効果”の上がることを意味しています。決してどちらかを優先するとか、どちらかに時間を割くとか、そういう意味合いではありません。

◎労働時間の長さがもたらすもの
日本人の残業時間は世界でもトップクラスというのは、どこのだれが見ても紛れもない事実です。日本人は伝統的に確かに勤勉であるのは事実で、決してそれは悪いことではありませんが、果たして長い時間働いた分のその成果はどれだけ生まれているでしょうか? 
労働生産性について見てみますと、OECD加盟国30ヶ国中、日本は22位と極めて低いのです。つまり、長い時間働いている割には成果を生み出せていないのです。戦後のモノやサービスが枯渇していた時代には、市場に商品を少しでも早く投入することが企業の命題で、その命題に合わせた働き方をすることが社会の発展を支え、企業の利益率も労働者の収入も高まる結果となっていました。つまり、長い時間働けば働くほど誰もが“得”をしたわけです。
ただ、現代はどうでしょう? モノもサービスもある程度充足しているのに、働き方だけは昔のままではないでしょうか? もちろん、ずいぶん改善はされてきましたが、「時間をかけて仕事をする」という慣習が根底から抜けていないのも事実ですし、企業自体も人件費がかさんでかえって利益が上がっていない所も多いと思います。

◎引き出しの中身の充実
毎日“仕事ばかり”の生活をしていますと、同質の集団の中ばかりで仕事をすることとなり、そこでは新しい発想は生まれてこないですし、頭の中の引きだしは空っぽのままで中身が充実してきません。
会社で仕事をする時間以外の時間を使って、知識や経験や人脈を広げることで頭の中の引き出しを常にいっぱいにし、なおかつしっかり休んで活力に満ちた状態で出社をすることが本当の意味での「ワーク・ライフバランス」であり、どちらかというと“充実した仕事をするために”ある言葉なのです。
(次回に続く)

※この内容は、月間社労士7月号「経営戦略としてのワーク・ライフバランス」を参考にしております。

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