今日は、月に一度の「ためになる話シリーズ」です。
毎年この時期になりますと、社会保険の「算定基礎届」という言葉を耳にします。
では、そもそもこの「算定基礎届」っていったいどういうものなのでしょうか?
今回はここを解き明かしたいと思います。
◎社会保険料の“総決算”
まず、ここでいう「社会保険」というのは、『健康保険・介護保険・厚生年金保険』の3つのことを指しています。
で、その社会保険の保険料をどのように決めるのか簡単に申しますと、4月~6月の間に払われたお給料(税引き前)の平均値を個人ごとに出し、それを「保険料額表」(下記参照:ワード形式の表を元に載せたため、ブラウザによっては体裁が少しズレているかもしれません。ご了承下さい。)にあてはめて算出します。
その“平均額を出した結果を報告するために年金事務所に提出する書類”のことを「算定基礎届」と呼んでいます。
つまり、この書類を提出することにより、その年の9月から翌年の8月までの1年間の個人ごとの社会保険料が決まるのです。(ちなみに、提出期間は通常7月1日~10日までの間です。)
なお、このお給料の平均額を出す際には、原則として賞与の額やお祝い金、出張旅費などの一時的な所得は含まれませんが、通勤費は含めて計算をします。
【「保険料額表」(健康保険は東京都の額)から一部抜粋】 ※下記金額と同じ額を会社が負担
給料の額(以上~未満) 健康保険料 介護保険料 厚生年金保険料
290,000円~310,000円 14,955円 2,325円 25,149円
310,000円~330,000円 15,952円 2,480円 26,826円
※例えば、43歳の方の4月~6月の給料の平均額が「323,556円」だった場合は、この年の9月~翌年8月までの保険料は(上記の表に当てはめて)「健康保険料:15,952円、介護保険料:2,480円、厚生年金保険料:26,826円」となります。
◎「月額変更届」とは?
同じ時期によく聞く名称として「月額変更届」というものがあります。
書式も記入する内容も「算定基礎届」と非常によく似ています。
こちらは、“昇給や降給などで大幅に給料の額が変動した時に”出すものです。
つまり、固定給の変動があった際には不公平が出ないように算定基礎届の時期でなくてもそのつど届け出て保険料の変更を行うのです。(上記の表で2等級にわたって上下した時だけとなります。)
これを提出しますと、給料の変動があった月から数えて4ヶ月目の保険料から変更になります。
【ex.※8月に昇給があった場合⇒「8~10月の平均をとって、11月分から保険料が変更」】
実際に注意を要するのは、あくまでも基本給や毎月定額で払う手当などの“固定給”が変動した場合だけで、残業手当などが一時的にかさんで給料が増えた場合には提出の必要はありません。