夕食が終る。おいしかった。酔った。起きていられない。寝る。だらしないさぶろう。
大相撲初場所が今日から始まった。楽しめそう。大関稀勢の里が安美錦に敗れたが物言いがついた。取り直しになった。それでも勝てなかった。身をかわされてしまった。初日の敗退は悔しいだろう。
1
今日は日曜日である。さぶろうには呼びかけたい人がいる。しかし、呼びかけに応じてくれる人ではない。だから、谺のようなもので、自分に戻ってくるしかないのだが。たしかに人だ。人であってほしい。神でもなく、仏でもなく。人であって欲しい。しかもやさしい。
2
やさしいその人に何を呼びかけたいのか。それは分からない。ただ呼びかけたいだけである。何かをして欲しいという要求ではない。確認をすればそれですむだけの呼びかけである。
3
わたしはあなたが好き。それを発信するためにはそこに人がいてくれねばならない。わたしに好かれる人がいてくれなければならない。あなたが好きだあなたが好きだを言いたくてたまらなくなっているさぶろう。おかしなさぶろうだ。
4
空がにょっきり現れて来て、「わたしではどうですか」と言って来る。さぶろうは譲歩をしてもいい気分にさせられる。冬の空はしかしはっきりしないところがある。澄み渡った青空ではない。雲が光を吸いこんでさぶろうに近づいてくる。
5
待ったなしだ。okを出す。
8
それを見ていた山が、「わたしもそこに加わります」と言って来る。愛される対象に参入して来る。
9
okを出す。だらしないさぶろうだ。ついつい拡大にまかせてしまう。
10
するとそれが拡大拡大をしてもうどれがどれだか区別もつかなくなる。ぼやけてしまって、愛の対象だがどうかの判別がつかなくなってくる。とうとう宇宙中ということになってしまう。
宇宙が愛でできている。そう思うと嬉しい。嬉しいのならなおさら強くそう思おう。そう思うと、宇宙が大威張りで愛に満ちて来る。あなたのご配慮に感謝しますと言って来る。そしてますます大威張りにかかる。さぶろうもそれでまた胸を張ることができる。両者が愛らしいプラスプラスになる。愛は自己意思を持っている。他己(たこ)を容れる器、認識体としての自己意思である。その意思がさぶろうにまで届いて来る。さぶろうを尊重する意思だ。嬉しい。今朝はことさら素直に。
朝ご飯はお餅。味噌汁餅。電子レンジでやわらかくした後で汁の中に加える。アペタイトの前菜はサツマイモの焼き芋。前夜の里芋の煮転がしが副菜になる。デザートはヨーグルト。苺ジャムを混ぜて。満ちて足りて、口を拭った。歯磨きして終わり。さあ、一日が始まるぞ。透明ガラスからこっち降り注いでくる光がまぶしい。手の平に遊ぶ光子たち。見上げる空が輝き渡っている。里中の空気は新鮮だ。宇宙発信の愛を受信したいのちが歓呼の声を挙げる。身心花蕾のチャクラが7つ開いて呼応している。生きよ生きよ生きよ。明るく明るく。朗らかに健やかに安けく。いただけるものは何もかも有り難くお受けしております。そうしている己の姿をさぶろうはイメージする。
神さまは驚かせ上手だから、さぶろうはことごとに驚きます。乗せ上手だからすぐにも乗ります。さぶろうも乗り上手です。さぶろうが乗ると、神さまはますます乗せて来ます。さぶろうもしたたか驚き上手ですから神さまはますます驚かせて来ます。プロレスのタグを組んでいるようなものです。タッチが早くなります。今はどっちなのか分からなくなります。驚くのも乗るのも、乗せるのも驚かせるのも楽しいことです。
どうせ分身の術を使うのなら一人を仏陀にしておくことも可能なのではないか? そうすれば仏陀とも同居ができるのではないか?
それは名案である。即身成仏が成立する。見守って導いてもらうことができるだろう。
いやいや分身の術ではなくて、合わせ技なのではないか、これは?
分身の術も合わせ技も既得していたのではなかったのか?
ふたつとも神業であるとすれば、さぶろうは神だったことにもなる。
などと遊び心旺盛な、他愛もない今朝のさぶろうである。
もういいか、起きても。たっぷり寝たんだから。
ではそうしよう。
一人なのに二人。話すのもさぶろう。聞くのもさぶろう。
部屋の中に、さぶろう1とさぶろう2といるのでさみしくない。
分身の術を使う使い手であればすむことだ。
形と影に分かれるという手もある。たしか陶淵明の作品にもそういうのがあったようだ。
話の中にもう一人登場させて三人にすることもできる。四人にすることもできる。五人六人にすることもできる。
その中の一人は美女であってもいい。
非実在だから自由自在である。
最初の一人だって実在なのかどうか分かったものではないのだから。
驚いてくれるので、驚かそうという気になる。彼が因を作り、さぶろうが果を収める。彼が驚くのが因。驚ろかそうとするのが果。名コンビだ。するとまた、驚かそうとするのが因となり、彼を驚かす。彼は上手に驚いてくれる。彼が右足になり、さぶろうが左足となり、話が動いて行く。次へ進んで行く。驚くということがモーターの役目をしている。入力が出力を誘う。驚いて見せてごらん。相手は驚くほどの成果を示して来るから。お母さんが驚いて見せてごらん。子供は驚くほどの好結果を示して来るから。夫が驚いて見せると妻が反応する。バイスバーサ。
真夜中の2時、今。さぶろうが何をしていても、真夜中の2時。眠っていようと2時。起きていようと2時。濃くもならない。薄くもならない。重くもならない。軽くもならない。同等同質である。常に。影響を受けない。関係を絶って来る。それでさぶろうは起きていてもいいし、眠っていてもいいことになる。有り難い話じゃないか。この寛容な時間のお陰ではじめて、眠りとせ目覚が同等同質になる。充実と非充実とが同等同質になる。