<おでいげ>においでおいで

たのしくおしゃべり。そう、おしゃべりは楽しいよ。

永遠のいのちの宇宙

2008年05月08日 09時38分36秒 | Weblog
膨張と収縮。収縮と膨張。宇宙は膨張と収縮を繰り返している。

      *

X波がまず出発する。ゆっくり目の低周波だ。山を作り谷底を作りながら波は進む。

      *

Y波があとに続く。ワンテンポ遅れて旅立つ。
X波が谷底に沈んでいこうとしているときに、Y波は山を駈け上がる。

      *

するとX波とY波がそこにラグビーボールを作ることになる。

      *

X波が最高値の位置にいるときに、Y波は最低値の位置にいる。
そのときにラグビーボールは膨張の頂点にある。ここから一挙に収縮に向かう。

      *

収縮が終わって二つの波が交差する。ここがビッグバンだ。宇宙のビッグバンだ。
無の瞬間だ。爆発が起こる。

      *

ふたたび拡大が始まる。膨張の頂点に辿り着くと今度は収縮に向かう。

      *

わたしの外なる宇宙とわたしの内なる宇宙も、やっぱり膨張と収縮を繰り返している。

      *

そうやって宇宙はかぎりなく進んでいる。二つの宇宙はかぎりなく前進を続けていく。
どちらもともにそれが永遠のいのちだからである。
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祝福

2008年05月04日 06時33分01秒 | Weblog
おはよう。

春の空へ声をかける。

空は、ぼくの恋人を買って出る。

ぼくたちはたがいに恋をする。

恋をするからうつくしいのか、
うつくしいから恋をするのか、
それはもうどうでもいい。

ぼくはともかく仰ぐ。首が痛くなってしまうほど仰ぐ。見つめる。

見つめられている空が嬉しそうな顔をする。

それを見届けてぼくは森へ歩き出す。椎の若葉の森がそよぐ。

あなたが何処へ行っても、わたしはあなたといっしょよ、と声がする。

声のする方は見ない。わざと見ない。

森の中の静かな湖まで歩く。するとそこに春の空がうっすらと顔を映す。

ぼくはやっと手を振る。帽子もとって帽子も振る。

小鳥が鳴いて鳴いて、ここへやってきたふたりを祝福する。

祝福をされている気分はいいものだから、ぼくはノートにクレヨン画を描き出す。水彩。

空の水彩。

水なんかは一滴も汲んでこなかったのに、描き出すものがどれもこれも空の水に溶けてしまう。

空にとけてしまう。うっすら空の水彩。

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こくりこの花園にいた男

2008年05月03日 02時04分54秒 | Weblog
「こくりこの花園」

すまぬので あります という ものがいる 

たましいだけに なっているのだ
                                     
       *

目が覚めた 死ぬことばかり 考える 

たましいが いて 清められてく

       *

生きている者は 早晩 死ぬのだ。

男は それが今夜はことのほかに気になるらしい。

男は 風呂に浸かってからだを清めた。

清めたら、たましいが目を覚ました。

      *

目を覚ましたたましいは、「すまぬ すまぬ」を繰り返している。

一生を歩いてきてなにからなにまでが すまないらしい。

そう

悪いことをしたことも

よい目に遭わせてもらったことも なにからなにまで。

      *

「すまぬ」は たましいのことばでは

「どうにも言いようがない」

「ありがたくってありがたくって どうにもしようがない」ということだ。

      *

男は 昼間 こくりこの花園にいた。

赤い赤いこくりこは おとこを 花園の中へ手招いて

そうしていっしょになって 春の微風にそよいだ。
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ヒバリと麦の花

2008年05月01日 09時42分03秒 | Weblog
ヒバリが鳴いている。

    *

麦畑が続いている。

    *

麦の穂に無数の小さな白い花。

    *

ぼくのたましいは、まだ肉体を持っていないので、そこへ下りていって人間の生活を
することはできない。

    *

生まれてもいい。悪くはない。でも、空の上も地上に負けず劣らず愉快なのだ。

    *

それにいったん肉体にはいりこんだら、そうそう抜け出すわけにも行かない。

    *

肉体が元気でいる間はそこにとどまっていなければならないからだ。

    *

肉体はすぐに見つかる。臨月の女性を見つければいいからだ。
順番待ちをして待つということもあるが、そこはじゃんけんぽんだ。

    *

ヒバリが鳴いている。ヒバリが鳴いて、一面、青い麦が白い小さな花を着けて、
「早くおいでなさいよ、楽しいところだから」と誘ってくる。
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