ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

食べ方について2

2017-01-16 14:18:00 | 日記
甲斐さんは子供の頃から、お仕事をなさっているお母様に
夕食を作られたり、お店に届けたりなさるために

「今晩、何が食べたい?」と
クラスメイトの女の子にお訊ねになっていたくらい(笑)
料理に慣れていらっしゃるそうですが

作家の西川美和さんが「男がたまにやる料理」というコラムの中で…

「仕上げなければならない仕事が重なって、食事の暇すら惜しい」と
「大いに焦っていた、そんな中、当時の恋人がやって来た」

「[よおーし!今日は俺が作る!]
目の前が、さあっと暗くなった
男がたまにやる料理…材料費の浪費はもういい
しかし、調味料のありかをいちいち訊いて来る
冷蔵庫の中身の賞味期限を問いただす

指を切る、汁を散らす、焦がす、道具のせいにする
そして、旨いかどうか幾度も訊ねる…

私は最大限の笑顔でこう答えた
[すごく簡単なもので良いよ]
相手は目を輝かせ[じゃ、カレーにするかあ!]私の笑顔は固まった

カレーですか?それは、あなた達がすごく力んで作るメニューよね?
全く恐れていた通りに進んだ
[痛っ]とか[熱っ]とか[何だこりゃ!]という声が
断続的に台所から上がり、仕事どころじゃない

しかし、2時間を過ぎるとカレーの匂いも漂い始め、私は安堵した
もう終わる。あとは食べるだけ、と思った途端の悲鳴
[フォンドボーって何だよ!]」

そのカレールーについている別包装のスープは
材料を煮込む際に注入するべきだったのに
既にルーを割り入れた後に発見されたらしく
「私は[今からだっておんなじよ]と励ましたが、逆効果だった

[君は何でもどうでも良いんだ
玉ネギをきつね色に炒めなくても
牛でも豚でもカレーでなくても、俺でなくても
もう良いよ。食わなくて良い
カレーは俺が家に持って帰るさ]

私は心底イラついていた
フォンドボーめ、お前のせいで
仕事は片付かない、台所はメチャクチャ
煮えたぎるカレーを鍋ごと電車で運ぶと言って聞かない男…

[めんどくせえなあもう!]と思わず腹から言葉が転がり出た
しまった、と思った。相手もハッとした顔をした」

その後「カレーはやっぱり2人で食べた」ものの
「それがもう美味しいカレーでないのは、お互いよく解っていた
食を巡って諍うようになれば関係性も大詰めだ

その日、私が追い込まれていた仕事が何だったかは思い出せない
身すつるほどの仕事はありや、と
自分でこしらえたカレーを食べるごとにぼんやりと思いもする」
…と振り返っておられます(汗)

甲斐さんは、共働きでいらした頃
ご自分の方が先に帰宅できるようなら
食事の支度をなさったりもしたそうですが

それでも「男の料理は気まぐれなんで
肉が固かったりすると、それだけでイヤになる」とおっしゃってました(笑)

で、もうひとつ西川さんのコラムに…
取材のため、小さなお子さんのいるご友人のお宅を
次々に泊まり歩かれていた頃

「なるべく普段通りに」とお願いされ
そのご家庭でいつも作られている料理を召し上がっていたらしいんだけど

「どの家庭のどのメニューにも
これほど旨いものがあるだろうかと感激した
親の愛情という隠し味?彼らの子でもない私がそれを感じる?」と記され

また、お母様とチェーンの居酒屋に行かれた際に
「どこの居酒屋にもあるものを
母はしつこいほど[美味しい]と言って食べていた」そうで

「母は、ただ黙って座っていれば、次々運ばれて来ることの[旨味]を
噛み締めるように味わっていたのだ

私は家族も抱えず、食事のごとに母のような腐心がある訳ではないが
それでも、そろそろご飯ですよ、と言われて席に着くと
誰かが作った食事が湯気を立てて並んでいることの安堵感に意表をつかれる

野菜の切り方が揃っていなかったり
入れるはずの調味料を忘れていたり
それが人の味がしてなお旨い」…と、思うようになられたらしく
今なら「シャバシャバのカレー」も
美味しく感じられたんじゃないのかなあと…(笑)

母娘といえば、作家の姫野カオルコさんが
定食屋チェーンの某店舗で相席になった母娘について書かれた記事があり

「娘さんは、東大合格者の多いことで有名な
名門私立女子高[〇〇学園]の2年生」
「ママさんのスーツと娘さんのバッグがシャネル」

「二人は[イギリスの方に日本文化に親しんでもらう会]に出席するため
夏休みにロンドンへ行く」
…といったことを話しているのが、自然と耳に入って来たそうで

その時「私の頭には、同志社大学大学院の浜矩子教授と、作家の橋本治と
小学校で家庭科を受け持って下さったA先生がグラグラ浮かんだ」

…と、ここまで読んで
ナンで奥さんがこの記事を取っておいたかが発覚(笑)
【からくり】を絶賛された浜先生と
「ピンクヒップガール(笑)」の橋本さんですもんね(笑)

ともあれ「A先生は食事の所作を厳しく注意された
食べる時に肘をつくな。足を組むな。
箸は小笠原流どおりでなくてよいから、エレガントに持て
犬猫のように口を食器の方へ持って行くな

高2の娘さんの組んだ足が、常に私を蹴る
箸はバッテン持ちならまだしも
どういう指の動きで食べ物を挟んでるの?と
物理的興味がわくほどの握り箸である

〇〇学園が目指す東大の、かつての学園祭で
橋本治は[とめてくれるな、おっかさん
背中のいちょうが泣いている…]というコピーを作ったが

[とめてやれよ、おっかさん、手元のシャネルが泣いている…]と
名門女子校卒でも東大卒でもない私は
A先生の思い出と共に嘆きつつ、ママの方を見た

ダメだ。とめられない。ママが同じ持ち方なのだ
二人は揃って肘をテーブルにつき
揃って口を定食の食器に近づけていた

頼む。どうかロンドンでの会の時だけでも、A先生の所作でいてくれ
心中で祈った」んだとか…同感です!(笑)

あっ!ちなみに、浜先生を思い浮かべられたのは
A先生が「外見も声も浜教授に瓜二つだった」からみたいです(笑)

甲斐さんは、お子さん達に
「挨拶とテーブルマナーはかなり厳しく教えた」と話されてましたけど

「どこに行っても物怖じしないようになる」のはもちろん
何より要らない恥をかかなくて済みますよね
甲斐さんご自身のお箸の持ち方は、まあ…ナンですが…(失礼!)
コメント
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