ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

機関紙BEATNIK(Vol.5)その2

2016-08-30 11:54:00 | 日記
武道館でのもうひとつの「宣言」について
甲斐さんは「甲斐バンドには、今、余ってる金がほとんどない

コンサートのギャラやレコードとか音楽で稼いだ金は
ある一定の暮らしと自分達の音楽…スタジオ代が大部分だけどね
…に注ぎ込むって考え方だったから

でも、スタジオ代は無駄も多いよね
それだったら、みんなで一緒に生活して食事しながら
俺が作った曲をラジカセに入れて、野外でその曲について話し合う
向こうに海が見えてたらいいねっていうのが発端だった訳よ」

…と、南のある島に練習場を兼ねた拠点を持ち
スタジオ代に費やされる費用をあてて
時間を気にせずに集中したい…との計画を明かしておられます

これは、かつての甲斐バンドが
箱根のロックウェル・スタジオでレコーディングなさっていた頃のように
東京という生活圏を離れ、食・住を共にしながら
作業を進めるスタイルと同じですが

後に甲斐さんが「メンバーそれぞれが家庭を持ってから
スタジオに集まるだけでも一苦労」とおっしゃっていた
「ダウンの時」に入りかけておられたのかなあと…?

ともあれ、この「南の島」のスタジオに関しても
「物凄く正しそうに見えて
まるで発展的じゃない理論があるんだ
偏見というのかな、ロックンローラーっていうのは
女にモテてSEXが強いっていう固定観念、錯覚があるよね

それと同じように詰まらないのが
雑踏の中にいないとロックンロールは書けないっていうヤツ
この言い方に飽き飽きしてる
フォークが海で、ロックが雑踏だなんて考え方は嘘っぱちだよ

ロックンローラーだって、完全な結婚を目指してるし
要は、何が自分を駆り立てるもので
何が憤りを感じるものなのかという見定め方だけあればいいと思う
それが刺激的ってことだよ

まあ、でも、そうやって何ヶ月もやったら飽きる(笑)
初めの内は、向こうに住んでもいいと思ってたんだけど
それも、ロックンローラーは雑踏にいなきゃいけないというのと
同じ錯覚だって気づいたんだよね

息を抜くなら南の島(笑)
つまり、偏見と偏見、錯覚と錯覚は
いつも隣り合わせの落とし穴だと思った方がいいんだよ

ロックやってるからクスリをやらなきゃというのも錯覚だよね
ジム・モリソンになるのを選ぶのは、自分の生き方だけど
それを本道だと思い込んでしまうのもまた錯覚だからね」という訳で

当初は「良い状態で子供を産ませたいという衝動」もあって
「移住」を考えておられたようだけど
「出産は東京」「九州は練習場」と分けられ
「九州にいる時間がやや増えるだけで
生活自体は今とさほど変わらない」ことになったんだとか…

それはさておき…
「[甲斐達が出て来た時は良かった
今のロックバンドは可哀想だ]って書いてる(記事について)
何が可哀想か判らないよ
俺に言わせれば、今の方が状況は恵まれてる、彼らに個性があれば…

俺達の時は何にもなかったもの
フォークロックなんていう言葉しかなくて
60年代のフォークの名残りみたいなものもあって
ただ、いつは良かったって言えば、状況はいつだって同じだよ
そう思った方がいい

確かに【HERO】の頃には、敵と見据えていたものはあったけどね
若い言い方をすると[へなちょこフォークをぶっ潰せ]とか
言葉にしないけど、気持ちとしてはあった

でも、ものを壊して行くというのは、そんなもんじゃないもん
既成概念の壊し方というのは
もっと普通のやり方で壊せることもあるし
ホントはそっちの方が大きいんだよね

一般常識とか平等とかが、どこに行けばあるのか
いまだに俺には判らなくなったりする
それよりも誇りとか充実感とかいった方が、俺達には判りやすい

その差だと思うよ、世間と違うのは
そういう意味では世間の常識からは外れてるよね
他人が思っているようには行動しないもの

甲斐バンドが、今、素晴らしくも難しくもなってるのは
自分達が敵だと思い始めたからなのね
外に向けて敵を探してる時は
ある種の焦燥感があって、ヒップなカッコ良さはあるけど
ホントの大きさや力にはなってないんだよね

でも、自分の敵が自分で
自分が相手にして行かなきゃいけないのが自分だったら、その方がスゴイと思う
外からは見えにくいけどね
結局は何の音楽をやって、何の音楽で食うかということなんだと思う」

…と話されてますが、後の記事によると
「俺達って[自分がどうあるべきか]なんて
[今、俺はどうなのか]という現実しか見てないよね

[どういう所にいて、どういう風に生きてるのか]しか関心がないし
そこしか書こうとしないよね
俺達の変わらない唯一のことは、強い現実感なんだよ
それも、自分達で決めたルールじゃなくて
[体が求めて止まないもの]みたいだね

たまたま【漂泊者】みたいな曲が
甲斐バンドだと思ってる人がいたとしたら
それさえも俺達は否定し始めて
腹の中では舌を出して笑ってるよね

何と言われてもいいよ
俺は俺の決めたことをドンドンやる
俺達の最終目的というのは
[自分達がどこまで行けるか]ということしかないんだ」とおっしゃっていて

それは後の「甲斐よしひろの正体を探すために音楽を続けている」発言にも
繋がっているんじゃないかと…
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする