読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『トゥーランドット』

2012年07月01日 | 舞台芸術
プッチーニ『トゥーランドット』(河内長野市マイタウンオペラ)

プッチーニの『トゥーランドット』はかなり以前から存在した話にシモーニたちが台本を作ってプッチーニが音楽をつけた最後の作品だということだ。未完成だったがアルファーニが完成させて、1926年にトスカニーニの指揮で初演された。

私は名前だけは知っていたが一度も聞いたことも見たこともなかい状態で、初めて舞台で見た。ヴェルディの『アイーダ』などと同じで、架空の物語すぎて、登場人物の感情の動きが大雑把すぎるし、とにかく大文字の「愛」ですべてが決まるというような、大味の物語と、大音響の音楽に閉口した。

まだ同じプッチーニでも『蝶々夫人』のほうは、これも作り物とはいえ、同時代の日本で現実におきたかもしれないと思わせる内容で、蝶々夫人の感情の動きにもじっくり向き合っていればこそ、音楽も生きていたが、こちらはまったくお話にならない。見ている側がまったく感情移入できない。たしかに「誰も寝てはならぬ』だとかフィナーレのアリアだとか、どこかで耳にしたことがあるメロディーが出てきたりするが、ただそれだけのこと。

唯一の収穫は、ピン・パン・ポンだった。もともとイタリアの伝統的なコメディア・デラルテのスタイルに基づいているそうで、仮面をかぶったり白塗りにして登場するらしいから、日本での上演ということを考えて、『西遊記』の三蔵法師の物語の付き人役の孫悟空、猪八戒、沙悟浄を模して、猿、豚、河童のメイクをして登場させたのは、じつに素晴らしい演出だと思う。しかも歌手がまたぴったり。とくにピン役の歌手は豚そっくり。もっと面白おかしく動いてもよかったと思う。

最近は真面目一筋のオペラには面白みを感じなくなってきている。その点モーツァルトは素晴らしい。

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