『サウスバウンド』(森田芳光監督、2007年)
映画が始まって、森田芳光監督というタイトルを見て、しまったと私は思った。彼の作品は古くは「家族ゲーム」や「それから」以降ずいぶんと遠ざかって、最近「模倣犯」を見たことがあるが、この監督は映画作りが下手だなと思っているからだ。話の山を作ることができない監督というのが私の印象。「家族ゲーム」や「それから」は物語りそのものがひっそりと暮らす夫婦(「それから」)とか心の中に鬱屈を秘めて成長していく少年(「家族ゲーム」)というものだったから、それでも良かったけれども、「模倣犯」はさっぱり。だいたい主役に中居くんを使うのが間違っている。
それでやっぱり盛り上がりも山場もない映画になっている。救いはトヨカワが期待に反して上手かったこと。桃子ちゃん役の女の子がかわいかったからいいか。
原作は上原一郎の型破りだけども純粋なな生き方を子どもの視線で見ることからくる面白さにある。本来子どものほうが純粋な視線をもっている。でも父親があまりに純粋すぎて、子どもの二郎君のほうが世間ずれしているのだ。でも前半を盛り上げる一番は二郎君と彼のグループが中学生のグループからカツ上げをくってにっちもさっちも行かなくなった状況を一気に打ち破るところにある。原作はそこを丹念に描いて、この子たちどうなるんだろうと読者に心配させるくらいの筆力があるのだが、映画では中途半端に終わっている。
後半は業者による上原家の家屋解体がメインになってしまった。それは仕方がないとして、なぜ一郎がそこまで反抗するのか、まるでツッパリの中学生みたいに、社会権力にたいして頑なに抵抗するのか、そこに行くまでの登場人物の心の動きを丁寧に追って欲しかったのだが、映画では無理なのだろうか?
それにしても沖縄の映像が良かった。でも現地の人たちの登場が少なかったのは残念だ。上原一郎も沖縄の言葉を使って欲しかったね。

それでやっぱり盛り上がりも山場もない映画になっている。救いはトヨカワが期待に反して上手かったこと。桃子ちゃん役の女の子がかわいかったからいいか。
原作は上原一郎の型破りだけども純粋なな生き方を子どもの視線で見ることからくる面白さにある。本来子どものほうが純粋な視線をもっている。でも父親があまりに純粋すぎて、子どもの二郎君のほうが世間ずれしているのだ。でも前半を盛り上げる一番は二郎君と彼のグループが中学生のグループからカツ上げをくってにっちもさっちも行かなくなった状況を一気に打ち破るところにある。原作はそこを丹念に描いて、この子たちどうなるんだろうと読者に心配させるくらいの筆力があるのだが、映画では中途半端に終わっている。
後半は業者による上原家の家屋解体がメインになってしまった。それは仕方がないとして、なぜ一郎がそこまで反抗するのか、まるでツッパリの中学生みたいに、社会権力にたいして頑なに抵抗するのか、そこに行くまでの登場人物の心の動きを丁寧に追って欲しかったのだが、映画では無理なのだろうか?
それにしても沖縄の映像が良かった。でも現地の人たちの登場が少なかったのは残念だ。上原一郎も沖縄の言葉を使って欲しかったね。