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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

ネットの弊害②

2017年05月28日 | 現代の病理
『ネットが社会を破壊する』高田明典著(LEADERS NOTE)を読みました。著者は1961年東京生まれの現代思想評論家で、現在はフェリス女学院大学教授です。

色白な角度から論じていますが、ネットは汚染装置と、4分野の汚染を紹介しています。知性の汚染・精神の汚染・良心の汚染・知識の汚染の四つです。なかり大ざっぱな紹介です。興味ある人は本を読んでください。

知性の汚染
「速度」が重要となるネットにおいては、思考は当然「反射的」となり、じっくりと考えるという「反省的思考」が損なわれていく。反省的思考こそが、私たちの知性の正当性を担保する根幹であり、自分の内部に、自分の実体験をもとに世界認識を作り上げるというのは、反省的思考によってのみ達成される。

精神の汚染
ネットによってさまざまなものが大衆化され、この大衆化によって、行動の中で大切にされてきた“精神”が、「勝ち負け」や面白いなどの視点が入り込み損なわれていくという。

良心の汚染
巻き込まれれば巻き込まれるほど、価値判断せずに中途半端に放置して、次第次第に鈍感になって行くという。

知識の汚染
 知識の活用法についてネットでは教えてくれない。知識とはデーターベースであるという誤解が蔓延して、本来の知識の価値が貶められる。知識は「」データーベース的知識と思考技能」という二面あるが、後者が損なわれていく。

本の目次は、以下の通りです。
「はじめに」
第1章 問題9
第2章 ネットは増幅装置
第3章 ネットは汚染装置
第4章 ネットは偏向装置
第5章 傾向と対策

(以上)

『産経新聞』正論(29.5.23)に社会学者の竹内洋(関西大学東京センター長)氏が“ポピュリズムに潜む「刹那主義」”を執筆されていました。最後の次のようにありました。

歓呼喝采主義も機会主義もポピュリズムの特色であるが、さらに深堀すれば、「あとは野となら山となれ」になりかねない、陽気で能動的なニヒリズムである「今主義」「刹那主義」が浮かび上がってくる。これこそ現代のポピュリズムの厄介なところではないかと思うのである。(以上)

ネットの弊害の大方のことを大衆化してしまい刹那主義を増幅させていると思われます。
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