仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

ミッドライフ・クライシス②

2024年10月08日 | 現代の病理
『ミッドライフ・クライシス』(新書 –2021/7/2・鎌田實著)からの転載です。

■きっかけはひとつではない
 ミッドライフークライシスが起きる原因を鎌田流に分析してみたので紹介しよう。

① 自分の人生の山頂が見えてくる
 40代に突入し、人生の山頂が思い描いていた以上に低いことを知った途端、言葉では言い表せない絶望感が押し寄せる。
 これからの人生が下り坂なのは承知しながら、自分の限界を知った時、ほとんどの人は心の憂鬱に悩まされてしまう。

② 病気が発見され、病気との闘いが始まる
 健康だった人が病におかされると、これまでのありふれた生活が突然できなくなる。日常に訪れるさまざまな困難は想像以上のストレスとなって、そのままミットライフークライシスに突入してしまうことも珍しくない。

③ 酒・賭け事・不倫…自分でコントロールできないことにのめリ込む この時期に、アルコールなど依存性のあるものにのめり込んでいく人も多い。
 また、賭け事や不倫に走ってしまう人が多いのもこの時期の特徴と言える。
 ミツドライフークライシスの厄介なところは、多くの場合、本人が自分の不安定さを自覚していないことだ。
 40歳から65歳のこの成人後期を上手にコントロールして脱出しないと、ほんの些細なことで取り返しのつかない事態が起きてしまうということを意識しておく必要がある。

④ 下り坂の向こう側に、遠くではあるが死が見え始めている
 若い時期はほとんどの人が死など意識することはないだろう。ただ、人生の中間点に差し掛かると、人生の終わりが近づいていると、ふと感じる瞬間がある。下り坂の向こう側に死を意識した瞬間、自分がこれまで何を成し、これから先何かできるのかという焦りが生まれ、ミッドライフークライシスを引き起こす。

⑤ 自分探しが終わらない
 ‥マトリックス』『スピード』など激しいアクション映両で名を馳せた俳優のキアヌーリーーブスさんは、「40歳メルトダウン」「第二思春期」などと彼独特の表現を使いながら、ミッドライフークライシスを味わったようである。
 思春期や青年期の間に確立しておかなければならないアイデンティティが確戻できていない。モラトリアム状態が続き、青春時代の憧れをそのまま引きずっている。
そんな人達がミッドライフークライシスの波を大きな波にしているようだ。

⑥ 子どもが自分の元から巣立ち、「空の巣症候群」に陥る
 「空の巣症候群」は、女性に多いと言われている症状である。子育てを一生懸命やっ
てきた人は、子どもが成長し、自分の元から離れていく時に、自分は何のために生きているのかわからなくなってしまう。これから何をすればいいのかわからなくなっ、てしまう。もちろん男性にもある。
 生き方を迷った弱い心にミッドライフークライシスの闇は忍び込んでくる。

⑦ 過度なストレスを抱えたまま、オーバーワークを続けている
 ぼくは48歳の時にパニック障害に襲われた。1年ほど不眠症が続き、発作性心房細動にも悩まされた。はっきりとした原因はわからない。
 ただ当時、「多くの病院が赤字の中で、自分が院長を務める病院は黒字経営」をしながら「日本中から注目されるような温かい医療を」という。綱渡り”のようなことをしていた。おそらくストレス過剰だったのではないかと思う。
 自分の限界を超えた過度のストレスはミットライフ・クライシスをこじらせる危険因子となる。

⑧ 人生をうまく乗り切った人が初めて「つまずき」と向き合う
 8年ほど前、歌手の武田鉄矢さんと対談をした。
 彼も40代から20年問近く、鬱々とした時期があったという。彼の主演したドラマ『101回目のプロポーズ』が大ヒットした少し後のことだ。
 ここがミッドライフークライシスの難しいところで、人生が険しく、うまくいかなかった人だけがミッドライフークライシスに陥るわけではない。人生をうまく乗り切ってきた人達もこの人生の中間点で不穏な状態になる。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ミッドライフ・クライシス① | トップ | 共感する女脳、システム化す... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

現代の病理」カテゴリの最新記事