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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

知的障害者への不妊手術

2018年06月21日 | 現代の病理
『月刊住職』(2018.6月号)に、“旧優生保護法による知的障害者への不妊手術”について、毎日新聞社論説委員の野沢和弘氏が執筆されていました。

数字の部分を中心に転載紹介します。

この国ではかって知的障害があるというだけで強制的に不妊手術が行われていた。
 「不良な子孫の出生防止」という優生思想に基づく旧優生保護法による強制不妊手術を受けた知的障害者らは、計16.475人にも上る。
 旧優生保護法はナチスードイツの「断種法」の考えを取り入れた国民優生法が前身で、戦後の一九四八年に施行された。これによって、知的障害や精神疾患などを理由に、手術が必要と判断した医師が都道府県の審査会へ申請し、「適」とされれば本人の同意がなくても強制手術が認められた。ハンセン病患者は同意に基づき手術された。やむを得ない場合に身体拘束や麻酔薬の使用、だました上での手術も容認していた。
 (中略)
現在、全国的に救済を求める動きが広がっているのは、今年(二〇一八年) 一月に宮城県の女性が国を相手に損害賠償請求を求める裁判を起こしたことなどがきっかけだった。… たとえば、宮城県では1963(昭和38)~81(同56)年度に男性320人、女性535人、年齢性別不明4人の計859人が強制不妊手術を受けていた記録が残っている。
 そのうち未成年者は、男性191人 (59%)、女性257人(48%)。手術理由のうち最も多かったのは「遺伝性精神薄弱(知的障害)」の745人であり、全体の八割超を占めた。また、 「精神分裂病(統合失調症)」は39人、「遺伝性精神薄弱+てんかん」は26人、[てんかん]は15人だった。 最年少は女児が9歳、男児が10歳で、多くの年度で11歳前後がいたことが確認され、妊娠の可能性が低い年齢の子どもにまで手術を強いていたことが記録からは浮かび上がる。
 
日本の優生政策はナチスの断種法をそのまま輸入した戦時中の「国民優生法」によってではなく、戦後の「優生保護法」によって本格化したのである。(以上)

20世紀、最大の過ちは「知性への信頼」、人間の知性は、すベてを委ねるほど信頼できるというものです。そのひずみは、社会的弱者のうえに現れます。
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