超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

NICO Touches the Walls「TOUR2012 ALGORHYTMIQUE」@NHKホール 12.12.17

2012-12-19 14:38:37 | ライブレポ










一昨日、NICO Touches the Wallsを観に東京は渋谷まで。










意外な事にNHKホールって初めて行きました。
場所自体は渋谷公会堂とAXに行く時に何度も観ていたんで初めてって感じはしないんですけどね。
近くにはエッグマンもあるしあの辺も本当にハコが密集してますよね・・・笑
会場の雰囲気や音響に関しては完全に申し分なし
流石に絶賛されるだけの事はあるな、と
出来ればまたここでNICOや別のバンドでもいいから観たいな~って、
個人的にはそう感じましたね。座席は3階席の後ろの方でしたが音も姿も案外離れてないように思えた
ライブハウスと同じ感覚で踊り盛り上がれたかなあ、という気は往々にしてしています。

ライブ自体は、正直AXの2倍くらい良かったです・・・笑
なんかもう明らかに脂が乗りまくってて、AXもAXで最高でしたけど
あれすら確実に通過点にすぎなかったんだな~とか思える珠玉のライブで
時にはプログレがあったり、ロックンロールをかましたり、オルタナ色の強い曲もあったり
元々素晴らしいバンドなのは間違いないんですが
また更に惚れ直す事の出来たような、
私にとってはそんなライブで
周りの観客の盛り上がりも異常なくらい良かったような気がします。AXでは実験的な要素もあったけど
それが長いツアーの果てに肉体化されて来たという感じかなあ?

このツアーって何のリリースもなく、
ただ単純にロングツアーというコンセプトだけでやってるツアーな訳で
それほどドラマ性のあるツアーという感じではなかったはずなんですけど
正直出来栄え自体は「HUMANIA」と「PASSENGER」のツアーのあのドラマチックな名演にも負けてなかった
特に大きなトピックを用意せずとも、あそこまで情熱溢れるライブを興奮を演出出来た
そこにバンドとしての確かな成長を感じざるを得ませんでした。
幕張公演とどっちが最高か選べないですもん。
いやあ、本当に楽しかったです。
同時に、まだまだ引き出し多いな、と(笑 どんどんオルタナティブなバンドになっていきそうで楽しみです。
NICO Touches the Wallsというバンドのユニークさとパワフルさが炸裂した完全無欠の一夜でした。
やはりニコは最高級のロックンロールバンドだな、と。









一曲目はAXの時と同じく「ビッグフット」。
これが前述の公演の時には「懐かしいな」という印象が先行してたんですけど
この夜はノスタルジー的な感覚を越えて完全に最新モードのロックンロールに仕上がってた印象
具体的に言えば固さが抜けてより今のニコのテクニックで鳴らせている感覚で
初っ端からいきなり大きく興奮させてもらいました。
この時点で良公演を確信、
続く「バイシクル」の全力感に本気で奮え、汚れてしまった自分の心を浄化される感覚に救われる
求めているのはいつだって純粋な気持ちと誠実な衝動。相当感情移入して聴いてました。
憶えれば憶えるだけ悲しい気持ちも増えるからその分忘れて行きたい気持ちも確かにあったりするんですね。
そういう自身が抱えてる本音にグサッと突き刺さる音と言葉に完全にやられました。

「夕立マーチ」は、ここに来て更にナチュラルに演奏出来てる印象
最早古村くんの作詞作曲~って紹介を付けなくともしっかりとニコ色光村色に染まってる
更には軽いレイヴ感もあったりして気持ち良く踊れる楽曲でもありました
したら、これまた益々完成度を上げてきた「カルーセル」の威力!
一気に会場を哀愁塗れるディスコ色に染めあげて
そこにロックンロールのテイストも注入、
よりダンサブルに、ロック色強く鳴らされる新境地にこれまた興奮を禁じえない
バンド演奏の一体感も相当なもので、気付けばしっかりと人気曲として育っているな~と
「HUMANIA」収録の楽曲の中でも特に磨き上げられた曲だなあと感じますね。
しかもホールだからまた雰囲気満点で良いのよ・・・笑

「エトランジェ」はイントロの時点で大歓声、周りの人も喜んでた
やっぱこの曲ファン人気高いんですかね?斯く言う自分も大好きな曲ですけど 笑
古村くんの弾く繊細で儚げな音色の数々にウットリしつつ
そこから一転、
転げ落ちるように泥まみれになって叫び弾き倒した「業々」に突入
「HUMANIA」のツアーでは割とアクセントや繋ぎ的な立ち位置って印象も振り返るとありましたが
この日はバラッドの後という事で以前以上にキレキレで攻撃的なモードの演奏
憎悪や憤怒すら感じる挑発的なボーカリゼイション、
それに呼応する古村くんのギター・・・と
この曲もまた確実にリリースツアー以上に磨かれていてお客さんの反応もその時より良かった気がします。
その流れでこれまたキレキレのロックナンバー「バニーガールとダニーボーイ」を注入!
コール&レスポンスも取り入れ光村龍哉の極まりっぷりも頂点に達する
自分も相当無心で興奮状態に陥ってましたが(笑
正直楽しすぎて記憶飛ぶかと思いました。
誇張抜きで。


とどめに「風人」で煮え滾るマグマのような怒涛の演奏を披露、
最後の叫び連発といいハイライトの作成にこの曲もまた随分貢献してた気がする
流れも本当に良かったんだよな。ド真ん中を打ち抜くサビの高揚感もまた絶品でした。
「Aurora」をじっくり歌い上げて一旦クールダウンを促すと
アレンジされた「行方」に突入、
前回AXでのアレンジ曲は大体実験的~って印象が先行してたんですけど
この日のアレンジ曲は正直原曲を越えてる気が個人的にしました
実験的ではなく、正当進化というか・・・終わってから「すごく良かった」という声も聴こえましたし
これは本当に新鮮以上にニコらしいアレンジにもなっていて大成功だったのではないかと
正直ライブ音源にして欲しいくらいですね(笑
めっちゃ格好良かった!
具体的に書くと多少砕いた事で歌とメロディの良さが伝わりやすくなってる感じ。

どう考えても若者が多いニコの客層的に伝わらないのでは?と思える「ラッパと娘」のライブバージョン
音源の数倍難解でオルタナティブなアレンジになってるんですが少々ZAZENっぽくもあり、
コアなニコファンにとっては正に絶品のアクトになっていた気もした
こういう突き放すような独自性の追求、
それもまた確かにストイックなロックンロールバンドであることの証、ですよね。
この曲は個人的に半分定番化して欲しいですね・・・笑 絶対こういうの好きな層もいるはず!
度肝を抜かれる、でも恍惚でもあったこれまた最高のハイライトの一つでした。

そこから「マトリョーシカ」で一気にプログレッシヴな空気から解放
再び転げ落ちるようなド真ん中のロックンロールを奏でだす!
芯にガンガン来る様な切迫感溢れるボーカル
以前よりもキレを増したギターサウンド、
更にダイレクトに届く感覚が伝わって来てこれまた最高でした
いつも以上にギターの音色がキラキラしていた名曲「ホログラム」もまた抜群の出来で
この辺はもう完璧にメンバーの手腕に骨抜きにされていた感じ、心の琴線揺さぶられまくりでした。

しかしまだまだ興奮は続きます!
AXの時から好きだった新曲「チェインリアクション」はより鋭角に磨かれ
早くも観客を踊らせまくるキラーチューンに変貌を遂げてました
まだリリースの予定すら立ってないのに、もう口ずさめるあたり早くも音源化が楽しみです。
結構初期に近い感覚で鳴らされている原点回帰曲のようにも感じられたので。
最新の福音「手をたたけ」の多幸感に浸りつつ、
恒例の光村vs古村ギターバトルの展開も盛り上がった代表曲「THE BUNGY」、
観客とのコールアンドレスポンスもいつも以上に白熱してみんな全力を出し切れたアクトだったかな、と
最後は「夏の大三角形」、ライブで聴くと音源以上にドラマチックに感じられて気分も高まる
この曲は単なるラブソングではなく、下らない観念や雑音に捉われてると
本当に大事なものまで見失ってしまう、という
実はメッセージ性にも長けた楽曲だと個人的に感じてるんですよね。
だから、この曲って半分決意表明のようにも思えて最後には案外ピッタリだなと思う
神秘的な雰囲気を携えつつも根底にはロック魂も静かに息を潜めている、確かな名曲に仕上がっていて。
仄かに香る感動もしっかりと獲得する事が出来て心に残る最高のラストだったと思います。

光村さんが語ってたんですが、
古い曲を演奏する時は今のファンにちゃんと受け入れられるのか、
イントロが鳴っても無反応だったらどうしよう、だとか
ニュアンスですがそういう事で結構センシティブな気持ちになる事もあるんだとか
でも、今日最初期の楽曲を演奏しても盛り上がってくれたことで
一つ自信にも繋がった
最近の曲ばかりのセットリストじゃなくても一体感や温かい反応があったことが嬉しかった
個人的に噛み砕いた部分もありますが、このツアーで確かなものを沢山得ることが出来たみたいです
しかし、ファン側からしても今までとこれからの広い引き出しと説得力を垣間見れて
よりニコタッチズザウォールズというバンドを好きになれた
そういう公演だったと思いますよ。
改めて今ツアーの企画と名演に拍手と感謝を。
また一段とタフになったニコの今後の展開にもまた期待です!







セトリ
1.ビッグフット
2.バイシクル
3.夕立マーチ
4.カルーセル
5.エトランジェ
6.業々
7.バニーガールとダニーボーイ
8.風人
9.Aurora
10.行方
11.ラッパと娘
12.マトリョーシカ
13.ホログラム
14.チェインリアクション(新曲)
15.手をたたけ
16.THE BUNGY
17.夏の大三角形
encore
18.夢1号
19.N極とN極







特に何の挨拶も無く、登場シーンすらもなく
気付けば淡々と始まって淡々と歌いきった「夢1号」、
こりゃ確かに変な曲だわ(笑
でもめちゃめちゃ新鮮で面白かったし、音源手に入れるのも楽しみになった。
また一歩壁を突き破れた感覚のある曲。
オルタナっぽくもありますよね。

そんな印象バッチリな新曲の後でメンバー紹介を挟みつつ、「N極とN極」で締め
気が付けばこの曲もまた定番化してますよね・・・笑
明るいけど、切ない
切ないけど、サッパリしてる
でもそれが余計に悲しさを煽る楽曲で
こういう曲で締めるっていうのもまた中々捻りが効いてていいな、と
NHKホールという伝統ある会場で極上のロックショウを堪能出来たという経験は決して忘れる事が出来ません
これまた自分の記憶にずっと残っていくだろう名演が生まれた気がして正直ならないですね。
明らかに最高のコンディションのライブでした。早くも次がまた観たいです(笑







総括としては、
明確にツアー前半とは調子も構成も、伝わり方も良くなっていたという事で
このツアーはきっとメンバーとしても試行錯誤を繰り返して
よりストイックにいいライブを追求したんだろうな、って個人的には想像出来る
今まででも一二を争うくらい意識の高いライブ、ツアーになった気がする
その手応えは半端なくあった志に溢れたワンマンになったかなと
今年最後のニコのライブでしたが
もう最初の横ブリワンマンから情熱が溢れ出して収まり切らないような熱量の高いライブをやってたので
それも含めて今年は相当にライブバンドとして躍進出来たのではないか?と思います
王道を往くロックバンドというイメージを持ってる人も
是非ライブで「ラッパと娘」や「夢1号」を聴いて実はプログレオルタナの気質も備わってるんだよ
という事を知ってもらいたいですね(笑)。手放しで絶賛出来る類の素敵な一夜でした。