日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

講演会「基礎イタリア語新辞典-言葉の盛衰(Il Nuovo Vocabolario di base d'italiano)」に行ってきました(2016.11.3)@イタリア文化会館

2016年11月12日 | イタリア語

講演会「基礎イタリア語新辞典-言葉の盛衰 Il Nuovo Vocabolario di base d'italiano: Parole emergenti, parole declinanti」に行ってきました(2016.11.3)@イタリア文化会館



この日はちょうど展示中だった「イタリアと日本の天匠 ギアンダ工房とヒノキ工芸」展を見たり(ヒノキのよい匂いがして 質の高い作品揃いで堪能しました!)  ひさびさに以前のクラスメート等に会ったりしながら イタリア文化会館の夜を過ごしました 

36年前に基礎イタリア語辞典の初版本を出版したデ・マウロ教授は、現在、新たな辞書の作成に取り組んでおり、すでにその一部は“Internazionale”誌のオンライン上で閲覧することができます
検索ワード: dizionario De Mauro

この講演会では 近年のイタリア語の変遷をテーマに 使用頻度が高まり基本単語2000語の中に入ったもの 逆にあまり使われなくなってきている言葉について 数字をもとに解説してくださいました

抽象的な言葉、低俗な言葉や英語由来の言葉が頻繁に使われる ようになっている反面 実在するものを表す言葉などの使用頻度が低下しています。

通訳はなんとR.アマデイ先生!! とっても安心して聞けただけでなく アマデイ先生の補足解説も聞けて貴重な機会でした 

      *         *        *

Il Nuovo Vocabolario di base d'italiano: Parole emergenti, parole declinanti

講師:Tullio De Mauroトゥッリオ・デ・マウロ(言語学者、ローマ・ラ・サピエンツァ大学名誉教授)
8巻に及ぶ“Grande dizionario italiano dell’uso” (8 voll., UTET, Torino 2007)をはじめ、言語学の分野で多数の著作がある。
クルスカ学会会員。アッカデミア・デイ・リンチェイ名誉会員。イタリア国外のさまざまな大学から名誉学位を授与されている。2000年から2001年にかけて教育大臣を務めた。

   
イタリア語の基礎語彙の量的現象について:
1. FO vocabolario fondamentale  2,000 (日常使われる言葉の90%を占める)
2. AU vocabolario di alto uso  2,750 (ひんぱんに使われる語彙 6%)
3. AD vocabolario di alta disponibilità  2,300  
(毎日は使われない、頻度は極めて低い)
    totale 7,050

1.の2,000語はどの言語でも同じで 日常使われる語彙の90%を占めています
2.は 日常の読み書きに使われ 6%を占めています (1ではちょっと足りない、補足で)
3.は 常に使われない、頻度が極めて低い語彙です
  例: 食材(peperone等)、ボタンをかける(abbottonarsi)など 


Italia linguistica allora e oggi
(1970年代と2000年を比べてみる)
   1970年代     2000年
1. indice scolarità  (学歴指数、70年代には小学校卒業 2000年で高卒)
2. cittadini costituzionali (義務教育/70年代では4人に1人が中学卒)
3. dialettofoni escl. (方言使用者  70年代は半数が方言)
4. italofoni escl. (イタリア語のみの使用者)2000年で半数
5. ital-dialettofoni:       (イタリア語・方言を状況で両方使用する人たち)2000年で半数


Il corpus(集成) del NVdB (nuovo vocaboraio di base)

Occorrenze (統計度的、どのくらい頻繁に用いられるか) 

stampa,saggi e testi, romanzi e poetici, spettacolo, CMC(PC), parlato等の各階層でどのくらい語彙が使われたかの集計で grezze(未加工)で 合計18,843,457語 ripulite(整頓された)で15,994,727語もありました!


VdB e NVdB: destinati e provenienze 1

こちらは 古い語彙のうち3/4が 新しい語彙の中に残っており 消えた1/4についての考察は...

Chi entra e chi esce FO(fondamentale)


escono da FO: naturali concreti.
例えば「基礎語彙から消えた言葉」は 自然の中の具体的な言葉: barba, ginocchio, erba, foglia, ramo, pozzo, nuvola, sabbia, prato, pastore, ruota, stalla(家畜小屋), tronco(幹), apposta, oramai, ebbene, volentieri, lassù, cretinoなど...

(ここでついつい私などは、古い文学作品などに出てくる語彙が消えゆくものだとすれば、文学を読んでなくてもよいのかと...ついつい思ってしまったり...スミマセン)

次は頻繁に使われるようになった言葉についてです:

Chi entra per campi semantici(意味論) 2

semiotica(記号論),e comunicazioneコミュニケーションで使われる言葉: dialogo, telefonico, test, disegnare, contesto(文脈), ritmo, dichiarare, segnarle, lettura, stile, grafico, discussione,ecc... これらが基礎語彙に入ったそうです
そして parolaccia(パロラッチャ、下品な言葉)が増えたとのこと!!

ストレーガ賞候補作品は以前はparolacciaの出てくる作品ははねられていたのですが 今やそれのない作品が見当たらない程になったそうです...言葉はまさに時代とともに変わるのですね...

4. area epistenica (抽象的な、認識論の): analisi, basazle, elettronico, specifico, dentificare, set, calcolare, ipotesi, ignorare, mente, ragionare, filosofia, ecc...

5. Finanza, diritto, complessità sociale:  euro, dollaro, tecnologia, gestione, proprietario, controllo, impianto, reistro, insegnante, meccanico, democrazia, legale, tecnica, diritto, ecc. これらの言葉は昔からあったものの使用頻度が高まったとのこと

Chi entra e chi esce FO(fondamentale) e AU(alto uso):
 Esotismi(外来語): design, e-mail, blog, web, brand, ok.
Tra gli AU(alto uso): baby, box, chat, gossip, link, spot, style, tour,ecc.
これらは英語ですが 昔はフランス語が多言語に言葉を貸していたのですが、それらが今や英語にその座を奪われたというわけですね!


Confronti tra lessici di frequenza
percentuali di copertura 


これらのデータからは いつも使っている語彙がさらにもっと使われていることが示されました

まとめに


L'antico che vive nel nuovo
2021年はダンテ・アリギエーリの  没後700周年の年となります
今のイタリア語の語彙の65%が 神曲(divina commedia)の頃にあったものであり 神曲の中に出てくる語彙(parole dantesche)の85%が 今も使われているのです
grande conservatività (偉大なる保存性)は 多言語には見られないほどのもので これほど昔から一貫してあらゆる社会層によって使われてきた言語はほとんどないのです
日本語でも 700年前の言葉は「古文」として学校で習わないといけませんよね...

最後は アルタンの漫画で ローマ方言の紹介(Pani Italianaの解説は長くて含蓄に富んでいました...)そして質疑応答で終わりました

Mauro教授の辞書は今 検索でフリーで入手できるそうです 

質疑の中で印象的だったのは あるジャーナリストが 職業名で女性が増えたことにともないどう書いたらよいのか迷うというもので Mauro教授が教育大臣だった時の経験を話してくださいました: 
 sindaco, sindaca あるいは ministro,ministraとするか
また la presedenteと呼んでほしいという場合もあったとのこと また la sordataというのが今の主流だが年長者は受け入れがたく 一方で poetessa, soldatessaは昔からの言い方であるものの 若い人には批判される傾向があるとのことです
まさに言葉は時代とともに変化してゆくものですね...
 
    *        *        *

聞き取りがだいぶできるようになっておりとても嬉しく 内容もだいたいわかりました

私自身は 伊検3級あたりで出てきた 生活で使う基本単語(第1群)が次第に抜けてゆき 抽象的な単語(第2群)が増えてゆくのを日々の学習で感じています 
またこの講演の最初を聞いてついつい 「それなら伊検1級過去問に出てきたformicolare(アリが列を作って這う)という単語なんて 第3類に分類されるよな~(; ・`д・´)」と思ってしまったのでした!!←なんとかして~(泣笑)

アニェッリホールの最前列に並ぶイタリアのトップの方々を見ながら 久々に特別な空気の中でイタリアを味わってきました 

お知らせは こちら

素晴らしい催しを開催してくださいましたイタリア文化会館様に 心よりお礼申し上げます

* 知人のロシア語通訳の方は語彙が20,000語とのこと 基礎語彙2,000語~計7,050語とのことで いかにスゴイかがよくわかりました(; ・`д・´)

*昨日今日(11/11,12)と またまたイタリア文化会館の「イタリア留学フェア」に行ってきました!!




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