日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

世界の書棚から第17回「チェコの絵本 昔と今」に行ってきました(2023.8.5)@いたばしボローニャ絵本館 

2023年10月18日 | イタリアの本・絵本・雑誌

世界の書棚から第17回「チェコの絵本 昔と今」に行ってきました(2023.8.5)@いたばしボローニャ絵本館 

 

アメリカ」に引き続き 第17回「世界の書棚から」は チェコでした:

 

チェコの絵本や児童書について 歴史の流れとともに丁寧にご説明いただきました

またそれに先立つ チェコの絵本のおはなし会では 作曲家スメタナがモルダウのインスピレーションを得たというチェコの童謡を歌っていただき またミューシャ展(2017年新国立美術館)で国外初の展示となった ミューシャの「スラブ叙事詩」の作品のことにも触れてくださり 私も当時観に行きましたのでその感動がよみがえりました💕 

 

 チェコの絵本の数々

 

チェコの挿絵入り子どもの本の物語 1900-2000年』(2010年) をもとに 時代ごとのチェコの絵本の変遷をご紹介いただきました: 

 

1. 歴史への一瞥 19世紀以前の子供向けの本

1620年 白山の戦い

世界初の絵本といわれる 1658年ニュルンベルクで出版された コメニウス(ヤン・アモス・コメンスキー)の『世界図絵』 

チェコでは1744年に普通教育が始まったそうです

民族のおとぎ話や 昔話の収集 『チェコの伝説と歴史』等があります 

19世紀に学校は国の管理下に置かれていました 

 

2.  チェコの近代絵本の始まり 第一次世界大戦までの子どもの本

アールヌーボーが入ります

ヴォイチェフ・プライスィックおうちがいっけんあったとさ』等 ようやくカラー印刷が始まります

 

3.  二つの大戦間のチェコの子どもの本 

1918年 第一次世界大戦が終結し チェコスロヴァキア共和国(1918~1992)が成立します

ヨゼフ・ラダ ヨゼフ・チャペック オンドジェイ・セコラ等の3人の作家が新聞社で連載していたものが 絵本になります

ズデ二ェック・ブリアンは子ども時代に古生物を描くように勧められて恐竜等を描くようになり 先般開催されていた上野の「恐竜博2023」でも その作品が展示されていたそうです

日本でも有名なカレル・チャペックの『ダーシェンカ』(犬の意味) 等

 

このあとファシズムが台頭してゆきます...

アントニーン・ストゥルナデルの『チェコの古代年代記』(1940)そして アニメ好きだった私も大変懐かしさを覚える人形アニメ監督・絵本作家の イジー・トルンカの『チェコの昔話』 等...

 

4. 戦後の新しい道の模索 

1945年の第二次世界大戦終結から 1950年代の子どもの本

1948年チェコスロヴァキアが 社会主義体制に入ります 

民間の出版社は閉鎖され 国に管理された出版社が生き残ります 

また のちにアルバトロスとなる国立図書出版局(SNDK)が設立されます 

トルンカ画『アンデルセン童話』は アンデルセン協会から20世紀前半の最も美しい絵本に採用されます

1953年にチェコ作家協会の指導のもとで 「子どもの本の友だちの輪」「青年のための本の友好協会」が設立され 1957年に雑誌『金色の五月』を発刊します

 

5. 60年代の黄金期 ー 新しい波 

1958年 ブリュッセル博が開催されます 

1968年にプラハの春が起こり 検閲が廃止されます これは同時に質の低下をももたらしました 

中国絵画を学んだ作家 ミルコ・ハナークも現れました 

2023年2月に亡くなったクヴィエタ・パツォフスカーは 日本でも有名でした

風刺画の得意なヴラジミール・フカは ユーモラスな絵の先駆者でもありました

 

6. チェコのグロテスカ/コメディー 

1968年8月のチェコ事件(プラハの春)をはさみ、1989年までの子どもの本 

グロテスカとは 奇怪な 滑稽な おどけたという意味で 1968年の軍事侵攻で社会主義となり 「正常化」とされる動きが始まり それが1970年から厳しくなり 子どもの本の方が危険は少ないとされ 民話や伝説等の出版に流れてゆきました 

1965年に 夕方の子ども番組「ヴェチェルニーチェク」が放送開始されます (私は旧東ドイツの同様の子ども向け夕方アニメSandmänchenがあったのを覚えています)

1957年にテレビ放映が開始され 「クルテク」というもぐらくんシリーズも人気となり チェコのドラえもんと言われているそうです

 

  チェコの絵本の数々

 

7. 1989年以降に失ったもの、得たもの、そして展望 (1989年~2005年までの本)

1989年11月に起きたビロード革命 これは社会主義の終焉でもありました

出版社はつぶれてゆき アルバトロスは民営化され 外国の本が増えてゆきます やがてテレビゲームが流行し 本の出版は減ってゆきます 

1993年にチェコとスロヴァキアに分離します 2004年にチェコはEUに加盟します

33才で米国に移住したピーター・シスをはじめ 国外で活躍する作家も増えてゆきました

講師の先生おすすめのペトル・ニクルは遊び心豊かで 音楽家・役者でもあり 日本にも来たことがあるそうです

 

8. 近年の作品

パヴェル・チェフ エヴァ・ヴォルフォヴァー その他 チェコ在住等の日本人作家等が紹介されました

 

絵本の未来を決めるのは 主に読者です」との講師の先生の言葉が 

心に残りました...

 

世界の書棚から」は こちら 

次回はいよいよ ドイツです

 

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