心と神経の哲学/あるいは/脳と精神の哲学

心の哲学と美学、その他なんでもあり

哲学B1 文章講義(第35回目)

2021-01-05 09:05:08 | 哲学

今回は「2  部分と全体、あるいは要素とシステム」について説明する。

 

これまで何度も創発の概念ないし現象を理解するためには、「全体」は「要素」の総和ではない、ということの理解が重要だと述べてきた。

そして、ここにきてそのことの決定的説明がなされているのである。

 

まず「全体性」とは対象の物体的外延性を指し示すものではない、ということを理解する必要がある。

あなたの全体性は一見、鏡や写真に写ったあなたの身体の全体像のことだと思われるが、そんなことはない。

あなたの全体性とは、あなたの意識と生理活動と生活履歴と人間関係と住居と身の回りの空間すべてを含んでおり、その中に中核としての脳があり、これが関係の外延性を

あなたの皮膚に囲まれた身体全体性を超えて、真のあなたの一個人として、人間としての全体性を形成しているのである。

つまり、あなたの全体性は関係性と時空的要素まで含んだ複雑系なのである。

それを要素の総和で割り切るなとどいうのは、あまりに軽薄である。

 

それゆえ、あなたの人生経路上の出来事は、すべてこの複雑系としての全体性による創発性を帯びることになる。

 

次に重要なのは、「システム」という観点から要素と全体の関係を捉えることである。

システムという言葉は今日あらゆる場面で使われる。

しかし、その精密な意味を把握している人は少ない。

システムとは基本的に「構成」と「仕組み」を意味する。

そして同時に要素と全体の関係を取りまとめる機能を意味する。

それゆえ、システムが不安定になってたり、それに不具合が生じると、ある組織の秩序が乱れ始める。

取り返しがつかない損傷を被り、破綻したり、死ぬこともある。

 

創発の現象を理解するためには、こうしたシステムの概念と働きを深く理解することが肝要となる。

 

面白い話だにゃ。猫の僕にもわかるから、分からない学生はstupidだにゃ。

 

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