(1)16日投開票の沖縄県議選は玉城知事県政与党が半数を大きく割り込み大敗した。沖縄問題のむずかしさを示したものだ。沖縄には駐留米軍基地の70%以上が集中し、地位協定で米軍の治外法権化が進み、沖縄県民には平和で自由で安全な普通の生活を求めての米軍基地との闘いの歴史だ。
(2)米軍普天間飛行場の移設を巡り、政府の辺野古移設工事に対して玉城知事は許認可権を盾に国の工事に反対、阻止を表明しているが、政府は日米同盟関係強化に向けて辺野古移設を唯一の解決策として推進し、県民の総意として沖縄県の辺野古移設工事取り消し、阻止訴訟では司法、裁判は政府の立場、権利を支持して、政府側の訴訟勝利が続き沖縄県も四方を埋められて身動きがとれない状況が続いていた。
(3)今回の沖縄県議選の知事与党大敗は、県民のいくら抵抗しても沖縄米軍基地問題の政府の方針、対策は変わらずに司法、裁判も政府寄りの判断、判決が続いて、このままの状態を覆すことへの無力感を玉城県政に感じての失望を込めての現状を受け入れるしかない、受け入れて政府の支援、協力、負担軽減策に県民の生活の安定、向上を求めるしかないとのパラドックスな「判断」だったと推測する。
(4)しかしこういう政治的結論を導き出した沖縄県民には苦渋の選択であり、応えられない玉城県政に向けるしかない沖縄県民のやむを得ない究極の政治不信(ultimate political distrust)の判断でもある。
岸田首相はウクライナ戦争に対して、東アジアでもいつ起きてもおかしくないとして露を非難しているが、「沖縄」に起きていることが日本全国でいつ起きてもおかしくない国家的、国民的、社会的問題なだけに、岸田首相の「東アジア」発言からすれば沖縄問題もウクライナ戦争と同様にあってはならない平和と生活、国家主権にかかわる問題ということができる。
(5)報道でも米軍ヘリが都心の高層ビル群より低い空域を自由に飛行して、安全上も危険で問題がありながら規制されることがない現実もすでにある。バイデン大統領は日本は外国人嫌いとたびたび発言しているが(多分に大統領選に向けた移民規制問題もあるが)、米軍基地問題、地位協定(の不平等)問題をどう考えているのか、トランプ前大統領は日本の米軍基地維持負担の大幅増額を求めたことがあり、日本政府の「沖縄」を守れない政治が冒頭の県民の究極の政治不信の判断につながっていると考える。