いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

愛国主義。 patriotism

2021-03-16 20:38:49 | 日記
 (1)中国が「愛国主義」を打ち出した。香港を「愛国者による統治」で立法会(議会)選挙の候補者を「愛国者」に限定して審査する香港選挙制度改革だ。これまで多数を占めていた民主派議員を排除、一掃するもので、1国2制度香港の「中国化」をさらに進めるものだ。

 愛国主義は建前だけをみればあたり前のものだが、政権がそれで意見を異にするものを排除して思想統一、統治をすることになれば誤ったメッセージとなり、誤った道に突き進むことになるもので統治制御が効かなくなる。

 (2)愛国主義は戦前の日本にもあって、厳格な封建保守思想に裏打ちされた国民社会が愛国主義のもとに規律、統制、統治されてアジア侵略支配戦争に突き進み、植民地化政策を進めた。絶対的優位な軍事力の欧米連合国を相手に第二次世界大戦に進んだのも、軍事政権による愛国心(patriotism)を煽(あお)られた国民社会が引きづり込まれたアジア植民地支配拡大路線の幻想主義の結果としてであり、広島、長崎原爆投下により10万人以上が即座に犠牲になり終戦敗北を迎える。

 (3)愛国という誤った独善性が異なる意見を排除して価値観偏向(bias)をつくりだして、極めて狭い世界観で国、国民、社会を統制、統治する危険性だ。愛国主義といわずとも米トランプ前大統領は米国第一、保護主義を打ち出して国際秩序、基準を破壊して自国主義を進めたのも誤った愛国主義だった。

 愛国主義より多様で自由な価値観、意見を尊重する民主主義、自由主義が衰退、後退する中でヨーロッパでは極右勢力が台頭してきたのも中国、ロシアの権威主義国家が影響力を拡大しているのも愛国主義の行き着くあらわれだ。

 (4)日本でも安倍前首相が強い保守思想政治を打ち出して、平和憲法をなし崩しにして米国など軍事同盟国との集団的自衛権の行使を容認する方針転換を進めて、特定秘密保護法、共謀罪制定で戦前回帰を思わせる愛国主義だった。

 愛国主義は主権国家、国民としてはあたり前のことと書いたが、「愛国主義」の言葉の響き、意味には思想偏向、独善性が強く感じられて危険な香りがする。

 (5)特に国際社会は情報化、技術革命、近代化のグローバリズムが進んで国境を自由に超えて運命共同体をつくりあげている。EUはヒト、モノ、カネの自由往来を理念に共同体国家主義の壮大な実験場ともなっており、しかし難民の受け入れ、財政負担の混乱で近年の愛国主義、権威主義、極右勢力の台頭を招いて結束に破たんがみられる。

 (6)日、米、豪、印の4か国はインド、太平洋構想のもとにクアッド枠組みの連携強化で中国海洋進出に対抗する首脳会合をオンラインで行ったが、愛国主義に対抗する地域、海域利益連携主義であり、民主主義、自由主義陣営の復活、回復に向けた国際協調主義の確認を目指すものだ。

 (7)世界はコロナ感染流行拡大でも「ひとつ」にはなりえずに、経済主義で愛国主義国家と自由理想主義国家の勢力拡大競争が続く。

 

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