さらに、革命防衛隊が背後にいるとの見方が有力な核開発問題に絡んでも、国連安全保障理事会は24日、対イラン追加制裁決議を採択。一方、イランのラリジャニ最高安全保障委員会事務局長とソラナ欧州連合(EU)共通外交・安全保障上級代表が接触の動きをみせるなど、イラン側の保守現実派が協議による妥協点を模索する動きを捨てていないこともうかがわせている。英兵拘束事件はこうした動きを封じる効果もある。国内での影響力維持・拡大のため、革命防衛隊にとっては、非妥協的な核技術開発が利益となる。
■アルカーイダが、「米国の敵か味方か」の二分法を愛用し、ブッシュ政権も「米国の敵か味方か」と世界各国に選択を迫りました。そして、今度はイランが同じ理屈で核武装を進めようとしているというわけですなあ。残念ながら、日本政府には二分法を再考する選択の余地は残されていないようです。
イラン側はいまのところ、英政府の謝罪を要求するにとどまっている。しかし、保守現実派を含めたイラン政府にとって、革命防衛隊の顔を立てた形での解決策を見いだすのは難しく、国内的にも袋小路に陥っているといえそうだ。
4月1日 産経新聞
■敵を悪魔と呼んで後先考えずに戦争に持ち込み、目論見が外れて泥沼化したら、今度は開き直って「このまま進まねば元も子も無くなるぞ!」と同胞を脅迫する。何度も繰り返される破滅への道です。そういう理屈を使う国には原爆やら長距離ミサイルは持って欲しくはないのですが、皮肉なことにそういう国でないと核武装には成功しないのが現実のようですなあ。
ブッシュ米大統領は31日、イランが英海軍兵士15人を拘束していることについて、英兵士を「人質」と呼び、「彼らは何も悪いことをしておらず、イランは人質を解放しなければならない」と強調した。メリーランド州キャンプデービッド山荘で行ったブラジルのルラ大統領との会談後、共同会見で語った。ブッシュ大統領がイランの英兵拘束問題に関して公式の場で見解を表明したのは初めて。同大統領は「英兵はイラク領海内から連れ去られた」として、イラン領海に入ったとするイランの主張を退け、「弁解の余地のない行為」と厳しく非難。また、「この問題でイランに見返りを与えることを拒否しているブレア英首相を支持する」と述べ、無条件の解放を求めた。
4月1日 時事通信
■小泉前首相の「迷言録」に、「フセイン大統領が見つからないからフセイン大統領が居なかったという事にはならないのと同様に、大量破壊兵器が見つからないからと言って、それが無いとは言えない」という歴史に残る暴言が有ります。今度は、ホラ話の大量破壊兵器とは違って、立派な「人質」が現実に存在しますから、小泉流の暴言を駆使する必要も無いようです。イラク戦争で最強の同盟軍となってくれたブレア政権の英国に対して、ブッシュ大統領はこれ以外の発言は出来ませんから、だんだん「人質解放」の前に、何かを仕掛けてしまいたくなるのではないでしょうか?
イランのアハマディネジャド大統領は31日、南部フゼスタン州で行った演説で、ペルシャ湾で英兵15人がイランに拘束された事件に関し、英国は謝罪せずに逆にイランに要求を出していると非難した。……同大統領は英兵がイラン領海で拘束されたと改めて主張。「ごう慢な勢力(英国)は、そのごう慢さと利己的精神構造により、イラン国民に謝らないどころか、あたかも貸しがあるかのように振る舞っている」と述べた。一方、イラン外務省は同日声明を出し、英政府がイラン側に送付した覚書を受け取ったことを確認、「検討が可能な幾つかの点を含んでいる」と指摘した。また、「英側がバランスの取れた率直な態度に改めるのを待っている」と述べた。
4月1日 時事通信
■海上での拿捕事件ですから、目撃者や証拠を揃えての交渉は難しいでしょうなあ。互いに「再現CG映像」などを作って宣伝し合ったら、ますます話は拗(こじ)れるでしょうし、イランの強硬派の中には、領海の境界線自体を認めない勢力も居そうです。それに対する英国と米国の中には、イランの存在自体を危険視して体制崩壊を正当化する思考をしている人々が居そうなのが心配です。悲しいことに、領海・領土の問題は絶対に冗談のネタには出来ない恐ろしいものですからなあ。
……イラン国営通信は31日、駐露イラン大使が露テレビに語った話として、拘束中の15人に対する訴追手続きが始まったと報じた。ただ、大使はその後、翻訳ミスがあったとしてこの報道を否定し、情報が錯そうしている。当初の報道で、大使は「英兵に関する法手続きは開始された。容疑が立証されれば処罰されるだろう」と述べたとされていたが、その後、大使自身が報道の一部を否定し、「英兵の拘束は法的な手続きにしたがって行われているということを話しただけだ」と強調した。一方、相次ぎ公開されたビデオ映像で英兵が領海侵犯を「告白」したことに触発され、国民の間でも英国に対する抗議の動きが広がっている。
4月1日 読売新聞
■間違いなくイラン政府内に混乱と対立が存在しています。「処罰」が単なる領海侵犯ならば死刑にはならないでしょうが、これが意図的な侵略行為だったとされれば、事は重大で、戦時の捕虜として過酷な尋問やら調査の結果次第では厳しい刑罰が科される可能性も出て来るでしょう。平時の「事故」として穏便に処理するには、早急に交渉が開始されねばなりません。
1日付の英紙サンデー・テレグラフは、イラン・イラク国境水域での英水兵15人の拘束事件で、英政府が海軍幹部を近く政府特使としてテヘランに派遣、解放交渉を行う準備を進めていると報じた。特使は、海軍が今後、故意にイラン領海内に侵入しないことを確約し、全員釈放を求める計画という。同紙によると、派遣されるのは、海軍の准将または大佐。重要議題を討議する「国家緊急治安特別閣議(コブラ=COBRA)」が3月末に開催され、特使派遣を検討した。特使は、今回の事件で英兵がイラン領海に侵入しておらず、謝罪もしないとの英政府の立場を維持しながらも、今後の方針に言及するとみられる。英政府内では解放交渉が長期化するとの見方もあるが、国防省当局者は同紙に、「危機脱却の方策になり得る」と語った。
4月1日 読売新聞
■アクロバットみたいな外交交渉を行う方針が決まったようですが、担当するのが海軍幹部の特使となると、イラン側も革命防衛隊幹部が出て来ることになりそうです。しかし、互いの論拠となる「領海内」の問題を上手に避けて話をまとめる事など出来るでしょうか?領海侵犯も認めず、謝罪もせず、それでも拘束されている自国の兵を奪回する妙案が有るのなら、これは大いに興味を覚える話になります。でも、そんな交渉が成立するのなら、イラク戦争も起こらなかったような気がしますなあ。
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■アルカーイダが、「米国の敵か味方か」の二分法を愛用し、ブッシュ政権も「米国の敵か味方か」と世界各国に選択を迫りました。そして、今度はイランが同じ理屈で核武装を進めようとしているというわけですなあ。残念ながら、日本政府には二分法を再考する選択の余地は残されていないようです。
イラン側はいまのところ、英政府の謝罪を要求するにとどまっている。しかし、保守現実派を含めたイラン政府にとって、革命防衛隊の顔を立てた形での解決策を見いだすのは難しく、国内的にも袋小路に陥っているといえそうだ。
4月1日 産経新聞
■敵を悪魔と呼んで後先考えずに戦争に持ち込み、目論見が外れて泥沼化したら、今度は開き直って「このまま進まねば元も子も無くなるぞ!」と同胞を脅迫する。何度も繰り返される破滅への道です。そういう理屈を使う国には原爆やら長距離ミサイルは持って欲しくはないのですが、皮肉なことにそういう国でないと核武装には成功しないのが現実のようですなあ。
ブッシュ米大統領は31日、イランが英海軍兵士15人を拘束していることについて、英兵士を「人質」と呼び、「彼らは何も悪いことをしておらず、イランは人質を解放しなければならない」と強調した。メリーランド州キャンプデービッド山荘で行ったブラジルのルラ大統領との会談後、共同会見で語った。ブッシュ大統領がイランの英兵拘束問題に関して公式の場で見解を表明したのは初めて。同大統領は「英兵はイラク領海内から連れ去られた」として、イラン領海に入ったとするイランの主張を退け、「弁解の余地のない行為」と厳しく非難。また、「この問題でイランに見返りを与えることを拒否しているブレア英首相を支持する」と述べ、無条件の解放を求めた。
4月1日 時事通信
■小泉前首相の「迷言録」に、「フセイン大統領が見つからないからフセイン大統領が居なかったという事にはならないのと同様に、大量破壊兵器が見つからないからと言って、それが無いとは言えない」という歴史に残る暴言が有ります。今度は、ホラ話の大量破壊兵器とは違って、立派な「人質」が現実に存在しますから、小泉流の暴言を駆使する必要も無いようです。イラク戦争で最強の同盟軍となってくれたブレア政権の英国に対して、ブッシュ大統領はこれ以外の発言は出来ませんから、だんだん「人質解放」の前に、何かを仕掛けてしまいたくなるのではないでしょうか?
イランのアハマディネジャド大統領は31日、南部フゼスタン州で行った演説で、ペルシャ湾で英兵15人がイランに拘束された事件に関し、英国は謝罪せずに逆にイランに要求を出していると非難した。……同大統領は英兵がイラン領海で拘束されたと改めて主張。「ごう慢な勢力(英国)は、そのごう慢さと利己的精神構造により、イラン国民に謝らないどころか、あたかも貸しがあるかのように振る舞っている」と述べた。一方、イラン外務省は同日声明を出し、英政府がイラン側に送付した覚書を受け取ったことを確認、「検討が可能な幾つかの点を含んでいる」と指摘した。また、「英側がバランスの取れた率直な態度に改めるのを待っている」と述べた。
4月1日 時事通信
■海上での拿捕事件ですから、目撃者や証拠を揃えての交渉は難しいでしょうなあ。互いに「再現CG映像」などを作って宣伝し合ったら、ますます話は拗(こじ)れるでしょうし、イランの強硬派の中には、領海の境界線自体を認めない勢力も居そうです。それに対する英国と米国の中には、イランの存在自体を危険視して体制崩壊を正当化する思考をしている人々が居そうなのが心配です。悲しいことに、領海・領土の問題は絶対に冗談のネタには出来ない恐ろしいものですからなあ。
……イラン国営通信は31日、駐露イラン大使が露テレビに語った話として、拘束中の15人に対する訴追手続きが始まったと報じた。ただ、大使はその後、翻訳ミスがあったとしてこの報道を否定し、情報が錯そうしている。当初の報道で、大使は「英兵に関する法手続きは開始された。容疑が立証されれば処罰されるだろう」と述べたとされていたが、その後、大使自身が報道の一部を否定し、「英兵の拘束は法的な手続きにしたがって行われているということを話しただけだ」と強調した。一方、相次ぎ公開されたビデオ映像で英兵が領海侵犯を「告白」したことに触発され、国民の間でも英国に対する抗議の動きが広がっている。
4月1日 読売新聞
■間違いなくイラン政府内に混乱と対立が存在しています。「処罰」が単なる領海侵犯ならば死刑にはならないでしょうが、これが意図的な侵略行為だったとされれば、事は重大で、戦時の捕虜として過酷な尋問やら調査の結果次第では厳しい刑罰が科される可能性も出て来るでしょう。平時の「事故」として穏便に処理するには、早急に交渉が開始されねばなりません。
1日付の英紙サンデー・テレグラフは、イラン・イラク国境水域での英水兵15人の拘束事件で、英政府が海軍幹部を近く政府特使としてテヘランに派遣、解放交渉を行う準備を進めていると報じた。特使は、海軍が今後、故意にイラン領海内に侵入しないことを確約し、全員釈放を求める計画という。同紙によると、派遣されるのは、海軍の准将または大佐。重要議題を討議する「国家緊急治安特別閣議(コブラ=COBRA)」が3月末に開催され、特使派遣を検討した。特使は、今回の事件で英兵がイラン領海に侵入しておらず、謝罪もしないとの英政府の立場を維持しながらも、今後の方針に言及するとみられる。英政府内では解放交渉が長期化するとの見方もあるが、国防省当局者は同紙に、「危機脱却の方策になり得る」と語った。
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■アクロバットみたいな外交交渉を行う方針が決まったようですが、担当するのが海軍幹部の特使となると、イラン側も革命防衛隊幹部が出て来ることになりそうです。しかし、互いの論拠となる「領海内」の問題を上手に避けて話をまとめる事など出来るでしょうか?領海侵犯も認めず、謝罪もせず、それでも拘束されている自国の兵を奪回する妙案が有るのなら、これは大いに興味を覚える話になります。でも、そんな交渉が成立するのなら、イラク戦争も起こらなかったような気がしますなあ。
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