しかし、国連筋は「中国製について確実に言えるのは『見つかった』という事実だけだ」と強調。「不発弾とは断定できない」としたうえで、発見場所付近にあったロケット弾の発射装置などがイスラエル軍の攻撃で破壊され、ロケット弾に詰め込まれていた子爆弾が散乱した可能性もあると話している。イスラエル軍は昨年夏、ヒズボラ攻撃で自国製などのクラスター爆弾をレバノン南部に投下したが、同軍報道官は毎日新聞の取材に「中国製のクラスター爆弾を使用したことは一切ない」と説明している。一方で、ヒューマン・ライツ・ウオッチやイスラエル警察によると、紛争時、中国製のクラスター型ロケット弾113発がイスラエル北部のナハリヤなどに撃ち込まれたことが確認された。
■ナハリアはレバノン国境から20キロにも満たない所に有る海辺の町です。夜陰に紛れてゴム・ボートでレバノン領からゲリラが上陸したこともある場所ですが、今回の戦闘では国境を越えてロケットが着弾しました。普通ののどかな町ですから、被害は一般住民が受けました。中東の戦争は根深い報復の連鎖ですから、眼には眼を!の倍返しが繰り返されます。互いに市街地を標的にしてクラスター弾を投げ合うような事は止めて欲しいものですなあ。
これに対して、レバノン国会議員でヒズボラ幹部のハッサン・ホバラ氏は毎日新聞のインタビューの中で、クラスター爆弾について「我々には必要ない武器だ」と強調、ヒズボラが保有したり、使用したことはないと主張した。レバノン南部で見つかった中国製については「イスラエル軍が使用したものだ」と語った。レバノン軍で地雷・不発弾の除去を担当するムハンマド・フェフミ大佐も「イスラエル軍が使用した」と述べた。両氏はその「根拠」として「(クラスター爆弾は)誰でも闇市場で入手できる」と指摘したが、イスラエル軍による使用の具体的な証拠は示さなかった。
4月4日 毎日新聞
■何だか、旧満州で掘り返された毒ガスみたいな話で、使ったり埋めたりした者と元々の所有者と、製造元の特定は水掛論になって困難です。旧日本軍のように「武装解除」されたわけではない両者ですから、互いに使用を認めない袋小路に入り込むのは仕方が無いでしょうが、ここに「闇市場」という話が紛れ込むのは由々しい事ですぞ!何処かから流れ込む軍事資金が、闇の市場に流れて物騒な武器に化けると、相手の装備が正確に把握できずないので、互いに過剰な防衛を考えねばなりませんからなあ。しかし、そろそろ「地雷」の製造と使用を止めましょう、という国際世論が出ている時代ですから、地雷を発展させたような武器は早急に「卒業」するべき時でしょう。とは言っても、「地雷」は良い商売になるらしいですから、作っている国としては止められないのが現実で……。
不発弾が散らばり、「第二の地雷」と恐れられるクラスター(集束)弾の禁止条約を作る動きがようやく始まった。ノルウェーのオスロでの国際会議で条約交渉の開始が決まった。クラスター弾は一発の爆弾に数十―数百の子爆弾を内蔵。投下後に子爆弾が空中で飛び散り落下するため、広い範囲に打撃を与える。半面、子爆弾は不発率が高く、戦闘終結後も爆発する被害が相次ぎ、非人道兵器との批判は強い。目標とする2008年末までの条約制定をぜひ実現したい
古くは米軍がベトナムで、最近ではアフガニスタンやイラクで使った。昨夏にはイスラエル軍がレバノンで使用した。これまで16カ国が使い、確認されただけで民間人の死傷者は1万人近くに上る。子どもや農民が巻き添えになることが多く、痛ましい限りだ。
■ヴェトナム戦争からポル・ポト派との内戦でインドシナ半島には呆れるほど多くの地雷が放置され、熱帯雨林気候の降雨によって泥の中をうろうろするので危険きわまりと言われていますし、アフガニスタンやイラクにもごろごろしているそうで、世界中に1億個も未処理の地雷が埋まっているという話も有りますなあ。全部、何処かの国が製造して現地の誰かさんが買って埋めた物です。作って売った国は、単なる商売として済ましているので、後始末などする気はまったく無いようです。
……毎日新聞カメラマンがイラク戦争取材の記念に子爆弾を持ち出そうとして空港で爆発、6人が死傷する事故もあった。これで日本でもクラスター弾に関心が集まった。保有国は日本など70カ国。自衛隊は北朝鮮有事などを想定し、数千発配備している。オスロ会議の参加49カ国のうち、日本など3カ国が条約交渉に加わらないとしたのは残念だ。会議には米ロ中など軍事大国も参加しておらず、実効性ある条約となるかは未知数だ。だが、10年前の対人地雷禁止条約と同様、NGOの積極的な動きで国際的な機運は高まる。地雷100万個を全廃した日本なのだから、廃止に踏み切れないはずはなかろう。
2007年3月21日 愛媛新聞
■この種の記事が各紙に掲載されますが、拉致と密輸で国境線が易々と破られて許せぬ国家犯罪が横行しているのですから、サダム・フセインが過去に毒ガスを実際に使用した前科が命取りになったように、因果応報で軍事的に国境線が破られる可能性を日本は捨てられませんなあ。「もうやりません」「ああ、そうですか」という訳には行きませんぞ。どんなに超人的な能力を持つ将軍様の特殊部隊でも、地雷原を作られたら海岸部での活動は大きく制約されますから、部活帰りの女子中学生が拉致されても気付かないような国の防衛策としては、地雷に変わる備えは必要なのでしょうなあ。海岸線や島嶼部をまんべんなく警戒出来ない「事情」を考えれば、飛行機から散布できる機動性は捨て難いところです。