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旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

カリフォルニアとバグダッド 其の壱

2007-10-25 23:24:34 | 日記・雑学
■単なる偶然なのでしょうが、既に国家の体(てい)をなしていないイラクの泥沼内戦状態がますます酷くなる中で、米国カリフォルニア州が炎上中です。シエラネバダ山脈を越えて乾燥し切ったサンタアナの風が、人智と文明の勝利を誇っていたロサンゼルスからサンディエゴ一帯を火の海にしているようです。

米カリフォルニア州南部の大規模な山火事は発生3日目の23日になっても延焼を続け、現地メディアによると、焼失面積は約1620平方キロと、東京都面積の74%相当に達した。避難者数は推定100万人近く、「カリフォルニア史上最悪の災害避難劇」と指摘する声も上がっている。山火事は、ロサンゼルス郊外からメキシコ国境に近いサンディエゴ郡にかけて10カ所以上で同時発生。同郡だけで35万世帯に避難勧告が出され、住民は体育館やホテルに避難した。全体で1300棟以上の住宅や教会などが燃えたという。

■「火事と喧嘩は江戸の華」と意地っ張りの江戸っ子は強がったものですが、大火が起こる度に材木価格と大工さんの賃金が跳ね上がり、特に先手を打って材木投機に走った者は巨万の富を得たとか……。米国は「貸し倒れ」住宅ローンで荒稼ぎした悪い奴らがゲップが出るほど大儲けした後に火事になったようなわけです。ハリウッド映画の有名人が住んでいる地区が燃えた、などという価値が逆立ちした情報が日本でも垂れ流されましたが、建て替え可能な人達の豪邸が焼け落ちても、避難が間に合えば「思い出の品」が消失するくらいで済むでしょう。しかし、「サブ・プライム借金」が焦げ付いて手放したばかりの安売り住宅が、「売り家」の立て看板ごと焼け落ちたら大変なことになりますぞ!


同郡では火事場泥棒で2人が逮捕されたほか、同様の窃盗事件の報告が多数寄せられており、治安悪化も懸念され始めた。また、日本語補習校の教師一家が避難し、ソニーやNEC現地法人が社員の安全確保のため休業するなど、日本人や日本企業の活動にも影響が出ている。
2007年10月24日 時事通信

■中には「放火」の疑いが濃い火事も発生しているとか……。半世紀前の大戦争で、大日本帝国は若い娘さんたちに覚醒剤を飲ませて製造した「風船爆弾」という一種の宇宙兵器?を実際に使いました。米国側では「ファントム・バルーン」と呼んで大騒ぎになったのでした。いわゆる「自虐史観」では、苦し紛れの愚かな作戦という事になるのですが、なかなかどうして、米国側は「生物化学兵器」だったら大変だ!と大いに緊張したと言われています。でも、いろいろと間抜けな作戦を繰り広げた旧日本軍でも、米国相手に毒ガス戦争を仕掛けるほど愚かではなかったようで、その目的は「山火事」だったのでした。日本国内の戦史本の中でも「被害は山火事程度……」と鼻で笑うような表現が多いようですが、物資とエネルギーに余裕のある時期、つまり超長距離爆撃機のB29が実用化される前に、地球規模の風上に位置している利点を活かし「風船爆弾」を大量に放っていたら……。

■これは決して、お手軽な「もしも戦記」とは違います。米国だけでなく、山火事は本当に恐ろしい災害だという話なのです。中南米政府、西欧州征服、太平洋征服、フィリピン征服、日本征服……月面征服、中東征服、と支配圏を広げてきた世界最強の軍事大国米国でさえ、猛烈な山火事を消し止める方法が無いのです。旧日本軍が考案した、和紙と蒟蒻(こんにゃく)芋で製作した「風船爆弾」は、高度計と油を満たした焼夷弾をぶら下げて太平洋上のジェット気流に乗って流れて行きました。本当は大規模な山火事を発生させて人心を動揺させ、消防作業に州兵を引っ張り込み、それでも足りなくなったら太平洋戦線に展開する部隊からも消火作業に人員が抜き取られる……。という皮算用だったようです。でも、勝った勝ったのお祭騒ぎに足元を救われて、作戦の実施がどんどん遅れて愚かしい特攻作戦と同じ時期になってしまったので、心身の限界を越える苦労の末に大和撫子が製造した決戦戦略兵器が笑い話のネタにされた戦後の歴史が有ったことは覚えておいた方が良いでしょう。

■広大な米国は山火事に弱い!これを学んだテロリストが、ジャンボ機を乗っ取るような大掛かりな攻撃を諦めて、あちこちに放火して歩いたら、米国は右往左往してしまいます。勿論、起伏が多く中山間地に農地や村落を持っている日本はもっと山火事には弱いはずです。身近な危険を思い出すべき他国の災害ですから、よくよく我が身を思って学ぶべきでしょうなあ。たまたま、四半世紀ほど前に、カリフォルニア州に滞在した経験がある者としましては、蒼穹(そうきゅう)を覆う灰が太陽を隠してしまう体験を思い出して、ぞっとしてしまいます。あの時はロサンゼルス近郊の山道を、バイクのマフラーを外して爆音を楽しむ馬鹿ライダーが撒き散らした火花が原因だったと判明し、摘発された馬鹿ライダーは極悪人扱いされていたようですが……。今回の放火犯の中に、国際テロリストが含まれていない事を願うばかりです。

インド洋の疑惑の疑惑 

2007-10-22 08:26:53 | 日記・雑学
■怪しいですなあ。実に怪しい。

防衛省は16日、インド洋で給油活動に従事していた海上自衛隊の補給艦「とわだ」について、平成15年7月から11月までの5カ月分の航海日誌を、文書の保存期間内にもかかわらず廃棄したことを明らかにした。海自の文書管理規則によると、艦船の航海日誌の保存期間は4年間になっている。同補給艦は15年7月中旬から同11月中旬まで給油活動にあたっていた。……16日午前、民主党の外務防衛部門会議での資料要求に対しこたえた。防衛省側は「19年7月に『とわだ』艦内で保存期間が過ぎている資料を整理した際に、誤って保存すべき資料も廃棄した」と説明。分量は一航海分の日誌すべてという。規則上、航海日誌は艦内で1年間、さらに所属する地方総監部で3年間保管することになっているが、「とわだ」は1年を過ぎても艦内で保管するという規則違反……。防衛省側は「規則違反だが、情報公開法などの法令違反には当たらない」との認識を示した。
10月16日 産経ニュース

■「規則違反」と「法令違反」とが、素人にとっては大した違いが無いような気もしますが、官僚にとっては「規」と「法」とでは大違いなのでしょうなあ。自分のキャリアに傷が付くか付かないか、それが出世や天下りという重大事に直結する問題は、最後の最後まで組織を挙げて一致団結!徹底的に庇い合って隠蔽工作に粉骨砕身!その熱心さには頭が下がる?航海日誌を艦内に置きっ放しにした事が「規則違反」に当たると自衛隊は言い張っているわけですが、問題は「廃棄」した事ですし、重要なのは破棄した時期でしょう。

■「19年7月」といえば、参議院選挙の真っ最中でしたなあ。政治家もマスコミも当落予想に熱中している時期ですから、いろいろと悪巧みするには最適なタイミングだったでしょう。保存期間の「4年間」が経過していたのは「15年6月分」までですから、それに保存期間中だった「5か月分」を上乗せして捨ててしまったというわけです。疑惑としては、余分に「廃棄」した書類に嬉しくない事が書かれていたのではないか?という事になります。でも、今時、デジタル化もせずに紙情報だけを保管しているのでしょうか?IT化されていれば、どれほど膨大な情報でも圧縮して半永久的に保存可能でしょうし、万が一の事を考えればバック・アップを取ってあるはずで、わざわざバック・アップ分までまとめて廃棄しているのなら、まるで敗戦直前の機密書類を大急ぎで焼却する姿みたいですなあ。

■破棄したのは「15年7月中旬から同11月中旬まで給油活動」の記録だそうですが、この期間のアフガニスタンとイラクで行われた軍事作戦の全貌が分からなければ、疑惑の濃淡もはっきりしないわけですが、米国を中心とする給油を受けていた艦船が「軍事機密」を簡単に提供してくれるとも思えませんから、絶対にバレないと確信した上で捨てたのではないでしょうか?本当の軍事機密は個人所有のノート・パソコンに入れたまま持ち歩いているというのに、給油記録は簡単に捨ててしまうというのも、不思議な話です。


海上自衛隊の補給艦「ときわ」が2003年2月にインド洋で米補給艦「ペコス」に提供した給油量が今年9月に訂正された問題で、海上幕僚監部が03年中に誤りに気付きながら、当時の石破防衛長官(現防衛相)らに報告していなかったことが分かった。……同首脳は「意図的な隠ぺいではなかった」としているが、野党側は反発しており、新テロ対策特別措置法案の国会審議に影響を与えることは必至だ。

■これも「4年前」の不祥事なのですから、どうも疑惑が絡み合っているような……。参議院選挙が終わって福田内閣が発足した「今年の9月」に訂正しているというのも、充分に「意図的」なものを感じさせます。攻撃型空母のキティホークに給油した分量が「20万トン」だから、イラク作戦には参加できない、ゆえに日本が提供している燃料は『テロ特措法』が定めるアフガニスタンでの掃討作戦支援に限定されて使われている、と会見で発表したのは官房長官時代の福田さんです。


ときわからペコスへの給油量は、03年5月の国会答弁などで当時の福田官房長官(現首相)と石破防衛長官が「20万ガロン」と説明。今年9月に民間団体が米国の公文書などをもとに誤りを指摘したことを受け、防衛省は給油量を80万ガロンに訂正した。ペコスは補給を受けた後、イラク作戦に参加した米空母「キティホーク」に給油しており、野党は「イラク作戦への海自の燃料の転用だ」と追及している。
10月22日 読売新聞

■給油記録を含む航海日誌を廃棄したのが2003年の7月から11月までのもので、給油量を取り違えたのが同年の2月……。勘ぐれば同年6月分までの記録にも大きな問題が有って、更に困る事が7月~11月分の記録にも書かれていたのではないか?と誰でも思うでしょうなあ。因みに民間企業のゴルフ場では、納税事務の必要上、来客記録がきちんと保存されているらしく、防衛庁のエライ人が毎週やって来ていた事も代金を支払った人もしっかりと書かれているらしいですなあ。情報管理は軍人よりも民間人の方がしっかりしているという事なのでしょうか?世間には「湯水の如く」という表現が有りますが、これからは「海自の油の如く」という表現でも同じ意味になるかも知れませんなあ。でも、それは税金の無駄遣いと同義でもあります。国内で増税、海外で垂れ流しと隠蔽では、筋が通りませんぞ!

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祭りの後で 其の弐

2007-10-17 15:49:29 | 日記・雑学
■組織を温存して金平会長もそのままなら、1年後の亀田大毅の復帰戦やその前にきっと行われる亀田兄弟の試合は、もっと格好の悪い「亀田負けろ!」の集団リンチみたいな陰湿なものになるでしょう。「不敗神話」や「秒殺神話」が崩れ去った後、「反則一家」「ヤクザ選手」のレッテルが貼られてしまうと、試合前のパフォーマンスも試合自体も、これまで通りの見世物を提供しなければ商売が成立しません。すっかり騙された気分になっている「国民」は、ひどく意地悪になってしまい、更正した亀田兄弟を決して受け入れないような気がします。定着してしまった下品下劣なスタイルで登場してくれて、無様に負ける姿を晒すことを要求するのではないでしょうか?そうなれば、責任上、TBSはその悲惨な物語を「特集」しなければなりませんなあ。きっと陰湿な高視聴率が期待されるでしょう。

卓球女子の世界ランク12位の福原愛(18)=ANA=が16日、同じ年のボクシングの亀田大毅を反面教師に「腹切り」ならぬ“乗り切り”宣言で、北京五輪代表内定への最終関門となるプロツアー欧州5連戦へと旅立った。福原はこの日、成田空港で宿泊先で手にした「大毅引退危機」の見出しが躍る本紙を熟読。報道陣から亀田に関する質問が飛ぶと、「私は負けても切腹はしませんよ」とジョークで応戦。……
10月17日 スポーツ報知

■進学先の大学で、露骨な人気取りと分かる「選手枠の拡張」が行われたと話題になった福原選手でしたが、こちらの「世界ランク」は亀田大毅の水増しランキングよりは信憑性が有りそうです。でも、マスコミが作った人気先行型の偶像であることでは、亀田兄弟の先輩格に当たる人ですから、何とか名声に負けない実力を付けて欲しいものであります。福原選手も亀田兄弟も、幼さい頃からの映像を繰り返し放送して国民を「洗脳」してしまうマスコミの術中に陥っている点では同じですが、片方は絵に描いたような「熱血卓球少女」として報道され、もう一方は「歪んだヒーロー」として演出され続けたという点では対照的です。同じ18歳の女の子に「切腹」をジョークに使われるようでは、いよいよ亀田一家もオシマイですなあ。スポーツ商売もほどほどにしておかないと、次々と犠牲者が出てしまいますから、楽しむ方としても、改めて「報道」と「宣伝」とを、きっちりと区別して騙されないようにしましょう。

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祭りの後で 其の壱

2007-10-17 15:48:55 | 日記・雑学
■プロのスポーツ選手は、勝っても負けても「話題」にならなければ商売にならない稼業です。勝てば英雄、負けたら犯罪者扱いというのは遣り過ぎでしょうが、とかく世間はそんなものかも知れませんなあ。でも、自腹を切って試合場に出向いて応援と罵声に精力を傾ける人と、無料?でテレビを眺めている自称ファンとは、いささか立場が違うような気もします。とは言っても米国の大リーグなどのファンとなりますと、ご贔屓の選手を負い掛けて太平洋を往復するわけにも行きませんから、時差を我慢してテレビ画面に齧り付くか、熱心にスポーツ新聞を購入して応援するしかありません。

■毀誉褒貶は世の常とは言う物の、鳴り物入りで部外者まで巻き込んだ国民的話題の主に祭り上げられると、あとは放り出されて悪口雑言を投げつけられる時を待つばかりという立場になってしまうようです。「売らんかな」のマスコミ商売に利用されると目も当てられない事になるのも、今回の亀田一家とTBSとの「持ちつ持たれつ」スキャンダルで改めて学んだ日本国民でしたが……。


米大リーグ・ア・リーグ優勝決定戦、15日の第3戦に先発し、負け投手になったレッドソックス・松坂。プレーオフで2試合続けて先発投手の責任回数を投げきれなかったことを、米メディアは痛烈に批判した。AP通信は試合後のクラブハウスで、ぼう然としていた様子を詳細に描写。「(6年契約の年俸と入札額合計の)1億ドルの投資は失敗に終わった」地元のボストン・グローブ紙は8月15日以降、10度の登板で2勝5敗、防御率7・07の成績を表で紹介。「1億ドルの男は、ストライクを投げ、試合に勝ち、プレーオフの主役に値することを証明しなければならない」とした。……
10月17日 読売新聞

■松坂君の大リーグ入りは、あまりの巨額さに野球好きでもなく、西武ファンでもない多くの人々も興味を持たされたものです。世界一のスポーツ産業を持っている米国でも、契約金の大きさは尋常でなかったらしく、地元ボストンはお祭騒ぎで、他の地域ではやっかみ半分で粗探しをしていたようですが、やっぱり期待外れだったようですなあ。日本のプロ・スポーツ界も米国に選手を奪われないようにと年棒を高騰させたのでしたが、松井秀樹君を筆頭に人気選手を引き止められない状態が続いているようですなあ。勿論、「お呼びでない」勘違い選手が赤っ恥を掻く事件も起こっていますが……。あまり大リーグ熱が高まると、日本で野球をしている選手が「オチコボレ」みたいに見えて来るので、報道もほどほどにしておいた方が良いでしょうなあ。ヤンキースの松井君も脚の故障で苦しんでいるとか……。


世界ボクシング評議会(WBC)フライ級タイトル戦(11日)で亀田大毅(協栄)が反則行為を繰り返した問題で、同選手ならびに指導する父親の亀田史郎氏、協栄ジムの金平桂一郎会長が17日夕、日本ボクシングコミッション(JBC)に出向いて陳謝することが決まった。JBCの安河内剛事務局長は「亀田側の陳謝したいという意向が漏れ伝わってきたから、こちらから『来てください』と求めた」と経緯を説明した。問題が起きてから亀田父子が公の場で陳謝するのは初めて。

■やっぱり、この騒動はまだまだ後を引きますなあ。それにしましても、「陳謝」の方向がまったく違うような気がします。レッドソックスの松坂君は、きっとシーズンが終わったら日米のファンに対して不本意な成績を詫びるコメントを出すでしょうが、それが真っ当な話です。日本相撲協会といい、亀田一家と金平会長といい、内藤チャンプや会場に来てくれたお客様、それにテレビを「見せられた」多くの野次馬に対して、試合直後に謝っておけば、こんなに大騒ぎにならなかったでしょうなあ。日本相撲協会などは、時系列で言うと時太山のリンチ殺人事件から朝青龍問題まで、その都度、適切に対処していれば、文科省の責任問題や愛知県の警察が疑惑の目で見られることも無かったでしょう。

■前時津風親方は、最後まで時太山の遺族にはきちんと謝らなかったようですし、日本相撲協会も責任能力の無さを晒しただけで、ファンに対する姿勢が不誠実なままです。それでも巡業会場には多くの観客が足を運んでいるそうですから、今のところは日本人の優しさに甘えてもいられるのでしょうが、亀田一家の騒動が飽きられた頃に、本格的な警察沙汰となって前時津風親方が逮捕などされると一気に国民の怒りは爆発しそうですなあ。一番の抗議方法は本場所に閑古鳥を鳴かせ、NHKの中継放送をボイコットすることですが、さてさて、次の本場所では、「満員御礼」の垂れ幕が何回出るのでしょう?


JBCは亀田大に1年間のボクサーライセンス停止、史郎氏に無期限のセコンドライセンス停止、亀田興に厳重戒告、金平会長に3カ月のクラブオーナーライセンス停止といった処分を科した。史郎氏は反則行為があったことについて既に非を認めているが、実際に足を運んで陳謝することになった。 
10月17日 時事通信

■商売道具のライセンスを握っているJBCには頭を下げても、内藤チャンプや観客に対しては無言で通す心算なのでしょうか?「来てください」と呼びつけたJBCも、自分達だけで優越感に浸って得意になっている場合ではありませんぞ!「疑惑の判定」「反則パンチ」など、試合中でも問題が多く、試合前の記者会見だけでも「ボクシングを冒涜」していたのは素人が見ても分かっていたのに、それを「黙認」していた大きな責任が有りますからなあ。日本相撲協会よりも遥かに早い対応を見せたのですから、更に組織として差を付けるには、JBCの幹部が総退陣して見せるべきでしょう。それこそがボクシングというスポーツを守る最善の選択というものです。

亀田一家も崖っぷち 其の伍

2007-10-13 12:24:49 | 日記・雑学
■地味なボクシング試合ではさっぱり視聴率が取れないのに、亀田一家が登場すると驚異的な数値になるということは、スポーツ番組を視聴する「浮動票」が大きく動くという事でしょう。ボクシングにはまったく興味が無いけれど、亀田一家は面白い!この「面白い」という点が問題で、面白がっている間に大きな戦争も起きますし、巨大な経済犯罪も起こりますからなあ。面白さを過剰に求める人々が多いからこそ、どこのテレビ局も同じ様な「爆笑!トーク」番組を編成しているのでしょう。でも、ほとんど笑えない内容なのに案外の視聴率を稼ぐところをみると、これも一種のブランド化で、誰かが「面白い!」と言っているから、きっと面白いのだろうと思って漫然と画面を眺めているという人も居そうです。

■勧善懲悪の芝居を基本とするプロレス興行がテレビの人気番組ではなくなり、芝居を脱して「真剣勝負」と銘打ってからは、命の危険を感じるような「何でも有り」の殴り合い・蹴り合いが商売になるような御時勢で、破壊力の大きな選手を各団体が奪い合っているとも聞きますから、観客は「事故」を期待しているとしか思えません。どんなに鍛え上げた肉体でも、急所というポイントは残ります。そこを攻撃しては行けないというのがルールで、その制限が無くなれば殺し合いになってしまいます。古代ローマ帝国の「剣闘士」を求めるようになったら大変なことです。だからと言って、国技で八百長をやっては行けませんぞ。

■バブル時代の熱狂の後、何となく殺伐とした空気が膨らんでいた時に野蛮な雰囲気を持った「変人」総理が現れて、政界が面白くはなりましたが不毛で野蛮な世界に変わってしまいました。世間でもモラルや限度が忘れられ、儲かれば良い、面白ければよい、という暗黙の尺度が幅を利かせているようです。そこから人命軽視や人権無視の思想ではなくて「感覚」が生まれているような気もしますなあ。面白い笑いのためには恥を忘れて醜態を晒す芸もあるのでしょうが、本来の磨かれた芸は決して「恥ずかしい」ものではありません。「恥ずかしいこと」が面白さと直結するのが恐ろしい結果を生むのでしょう。分かり易い政治というのも同じような危険を孕んでいるようです。

■本当かウソかは分かりませんが、マスコミは今でも「小泉人気」という死語としか思えない表現を愛用しているようです。間も無く、「小泉チルドレン」と呼ばれた新人議員が、「政界の亀田一家」と呼ばれる日も近いかも?


自民党の小泉純一郎元首相は12日夜、武部勤元幹事長が主催する勉強会「新しい風」メンバーの若手議員や、二階俊博総務会長らと都内で会食し「来年中に衆院解散・総選挙はある。任期満了ということはほとんどない」と述べ、来年中の総選挙を予告した。……小泉氏は「今の政局は自民党にとって波も荒いし逆風だ。政治の世界には『まさか』ということはしょっちゅうある」と持論を展開。衆院当選1回の「小泉チルドレン」らには「選挙区の情勢が厳しいと言われている人もどうなるか全く分からない。みんな頑張ってほしい」とエールを送った。また、民主党の小沢一郎代表の名前を挙げ「もともと自民党の人だ。政治の世界では離合集散は当たり前」と政界再編の可能性にも言及した。
10月13日 産経新聞

■相変わらず勘でモノを言っているような小泉さんです。文章化して落ち着いて読み直せば、馬鹿馬鹿しいくりに当たり前の事を深刻な表情で言っているか、支離滅裂で無責任な事を笑顔で意味ありげに語っているかのどちらかなのですが、得体の知れないところの多い小泉さんには、不思議な可能性が感じられるのかも知れません。小泉さんと亀田一家には、多くの共通点が有るようですが、マスコミが足並みを揃えて過去に分かれた家族(妻や子供)に関しては一切報道しないという点も似ているようです。両者ともに、一般的な「家庭」の臭いをまったく出さないように演出されているのが無気味ですし、あちこちで家庭崩壊が起こっている世相を反映しているようで、恐ろしいものを感じることもありますなあ。

■「小泉チルドレン」は小泉さんを父親とでも思っているのか、先の総裁選挙でも小泉再登板を画策して滑稽な動きを見せていました。小泉さんには家族の臭いが無いことを、ご本人達がまったく分かっていないのかも知れません。このまま衆議院の選挙に雪崩込んだらどうなるのでしょう?政界も相撲協会もボクシング界も、同じような曲がり角で立ちすくんでいるようですなあ。オシマイ

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亀田一家も崖っぷち 其の四

2007-10-13 12:24:17 | 日記・雑学

大毅だけではない。協栄ジム・金平桂一郎会長(42)、史郎トレーナーも大毅の反則を止めなかった監督責任を問われ、厳重処分を受ける可能性が高い。とくに史郎トレーナーはこれまで、ファンとの乱闘を扇動したり、レフェリーへの抗議などで「厳重戒告」を受けており、3度目の処分となれば、セコンド・ライセンス停止は確実となる。同トレーナーは協栄ジムを通じて「反則行為は故意ではない。セコンドについたトレーナーとして大毅の反則行為を止められなかったことは反省している」とコメントした。……史郎トレーナー、興毅は反省の気持ちを表したが、肝心の大毅は反則について口をつぐんだまま。波紋も広がりそうだ。
10月13日 サンケイスポーツ

■観客と乱闘してしまうのは、『あしたのジョー』の丹下段平さんも同じで、彼もボクシング界から実質的には追放されていた身で、矢吹丈と出会ったのでした。でも、夢いっぱいの漫画の世界での話ですからなあ。そう言えば、野性を身に付けるための練習と称して映画の『ロッキー』そのまま真似たパフォーマンスをやったり、「丹下拳闘倶楽部」の貧乏トレーニングを参考にしたような練習も考案した亀田一家は、テレビ業界の救世主みたいなものでした。何だか、恩を仇で返しているようにさえ見えるマスコミの扱いは、ちょっと卑怯にも見えて来ますが、これも人気商売の厳しさというところなのでしょうなあ。国民的な憎まれ役に徹して荒稼ぎする手もあったのですが、ライセンス剥奪や追放処分となったら、これは大変です。


……過去2度の処分を受けているトレーナーの父・史郎氏(42)は3か月以上のライセンス停止処分が濃厚。大毅の世界戦惨敗に続き、司令塔の危機で亀田家が大ピンチに陥った。……JBCでは、最終ラウンドで大毅が王者の内藤を2度投げたことを、選手生命を危機にさらす悪質行為と見ており、大毅本人の処分を検討。また、セコンドの亀田史郎トレーナー、所属の協栄ジム・金平桂一郎会長(41)の監督責任も追及される見込みで、場合によっては同委員会に呼び出し事情聴取を行う可能性も出てきた。……JBCが問題視するのは、11ラウンド開始前の1分間のインターバルでの兄・興毅(20)と史郎トレーナーの発言。テレビでは「ヒジでもいいから目入れろ」「玉(急所)打ってまえ」などの声が入っている。安河内事務局長は、ビデオ検証で実態が把握されれば、即日厳罰処分もあるとした。

■ビデオ映像を審査に採用したのは日本相撲協会の英断として有名ですが、勿論、今の第9代理事長の英断ではありません。第5代の栃錦さんあたりだったでしょうか?まあ誰でもよいのですが……。映像と音声の記録は時代を変えましたなあ。野球界は断固として「ビデオ映像」の採用を拒否していますが、それはそれで各個とした信念と理由が有ってのことだそうです。今回の騒動は、試合内容やら判定結果についての「証拠」ではないのですから、不祥事が起これば何処の団体も採用するのでしょう。「ヒジでもいいから眼入れろ」は亀田一家の暗号だそうですが、「タマうってまえ」はどんな意味の暗号なのでしょう?


すでに12日午前中には金平会長はJBCに謝罪。15日の東日本協会の理事会には謝罪文を提出するという。ただ、史郎氏は過去2度の処分を受けており、3か月以上のライセンス停止は免れそうもない。1回目の昨年9月は東京・後楽園ホールでの観客との乱闘騒動、2度目は今年3月の試合でレフェリーら試合役員に暴言を吐いたとして、ともに厳重戒告処分を受けた。JBCからは前回の処分の際、「次は厳罰処分を科す」と最後通告を突き付けられていた。一連の行為に、史郎氏はこの日、協栄ジムを通じてコメントを発表した。「反則行為は、故意ではありません。……ただこれも闘志の表れであって、結果として反則行為となってしまったことをご理解していただきたい」と訴えた。

■マスコミに登場したばかりの頃、「人をドツイてカネ儲けでける」と子供に教えているんだと明言していた父親は、若い頃からご近所でも有名な人物だったという報道もありまして、格闘技をスポーツとは思っていない疑いが濃厚だった親子なのに、それを面白がって商売にしてしまったのは誰でしょう?


◆JBCの罰則規定 軽い方から警告、厳重戒告、ライセンス停止(1か月、3か月、6か月、1年、無期限)、同はく奪となっている。選手、セコンド、トレーナー、クラブオーナーなどが処分対象。選手の罰則には、これにファイトマネーの減額・没収が加えられる。1年以上のライセンス停止、はく奪は、過去は刑事事件で実刑が科された場合などが理由で、試合での反則行為に適用された前例はない。
10月13日 スポーツ報知

■これだけの大きな騒動になってしまったからには、何らかの処分をしないとエライことになるでしょうから、無傷で残るのは三男だけということになりそうです。まだプロ・デヴューしていないので、世間が腰を抜かすようなクリーン・ファイトの優等生として登場するかも知れません。髪形から変えるのでしょうか?礼儀作法は小笠原流に入門して免許を貰い、言葉はNHKの話し言葉教室がよろしいかと……。リングに上がる衣装は黒紋付に白足袋姿で、試合前には表千家のお手前か草月流の活花など……。

■一つの時代が終わりそうな予感に満ちている今の日本では、考えられないような事件が頻発しています。あちこちに露呈している時代の断片が凝縮した形でTBSのスポーツ番組に表われただけかも知れません。先に小泉時代と亀田一家の人気は共鳴しているのではないか?と書いたところ、肯定的に引用して下さる読者もいらっしゃるようですから、日本が大きく方向を変えようとしている事を感じている人も多いのかも知れません。ボクシングを喧嘩(商売)にしてしまった亀田一家が人気を博して急成長した時期に、小泉さんは政治や外交を喧嘩に仕立てて国民を煽動することに成功したのでした。その方がまどろこしい政治記事の解説よりも、遥かに分かり易いので、選挙権は持っていても政治にはまったく興味の無い多くの人達を「浮動票」として浮かび上がらせて吸引したのでした。

亀田一家も崖っぷち 其の参

2007-10-13 12:23:48 | 日記・雑学

練習の模様は公開されなかったが、試合直前の兄弟によるスパーリングは亀田家の恒例行事。今回は興毅が大毅の相手を務めた。試合と同じ8オンスのグローブをつけ、ヘッドギアはなし。手加減なしのガチンコスパーリング。まさに真剣勝負だ。結果は興毅が1回でギブアップし、大毅のTKO勝利に終わった。興毅はスパーリングの模様を興奮気味に振り返った。「大毅はバケモンや。こんなにパンチがあるとは俺も正直思わなかった。ガードの上からのパンチも効いたわ。1ラウンドもたんかったわ。今の大毅は恐ろしいくらいに強い。KOは間違いあらへん」と太鼓判を押した。……父・史郎氏(42)は「大毅はええ意味で緊張してる。今は気持ちが張ってる状態や。こんな大毅を見るんは俺も初めてや。この気持ちを試合まで持ち続けて、リングの上で一気に爆発させるんや。大毅の勝ちは間違いあらへん」と自信たっぷりに言い放った。
10月10日 デイリースポーツ

■兄の興毅が本気でやって「1ラウンドもたんかった」のなら、多くの「国民」が期待している亀田ノックアウト!も可能性はあるのかも知れません。でも、試合前の「非公開」スパーリングをこんな風に見てきたような記事にしてしまうのですから、スポーツ新聞の記者も「役者」ですなあ。まあ、リングの上で本当に「一気に爆発」してしまったようですから、父親はウソを言っているわけではない事にはなりましたが……。

■さてさて、試合から一夜が明けたら世の中が一変してしまったようです。この騒動で一番喜んでいるのは、日本相撲協会の理事長さんかも知れませんなあ。スポーツ全紙が一面を亀田バッシングの記事で埋めているそうですから。


亀田家に厳罰!? 「亀田3兄弟」の二男・大毅(18)=協栄=がボクサーライセンスを停止される可能性が12日、急浮上した。大毅は前日、WBC世界フライ級王者・内藤大助(33)=宮田=に挑み、大差の判定負けを喫したが、レスリング行為などの反則行為を繰り返した。これを問題視した日本ボクシングコミッション(JBC)は15日に倫理委員会を開き、厳しい処分を決める。

■さすがに「世界」をマーケットにする組織だけあって、動きが素早い!日本相撲協会にも爪の垢でも進呈したらいかがでしょうか?若手力士の奇怪な死亡事件が起こって警察沙汰にまでなっているというのに「倫理委員会」さえも作れない国技より、JBCは興行の厳しさをよく知っている組織なのでしょうなあ。相撲協会の方は、若貴人気が終わって閑古鳥が泣いていた時が改革の絶好のチャンスだったのですが、今は横綱審議委員会の親分に納まっている前NHK会長が、放送権料を倍増させて救済してくれたという「美談」があるくらいのぬるま湯体質ですからなあ。


……JBCはこの日、倫理委員会を15日に開催して処分を検討することを決め、安河内剛事務局長は大毅や父・史郎トレーナー(42)らにファイトマネーの没収、ライセンス停止などの重い処分を科す可能性を示唆した。大毅は前日、初の世界挑戦で、12回に内藤を抱え上げて投げ飛ばす行為を2度はたらき、異例の3点減点をされたほか、レフェリーの死角に入ると反則を繰り返した。判明しているだけでも(1)ローブロー(2)ホールド(3)頭突き行為(4)レスリング行為(5)サミング(6)スリップダウン後の加撃-を犯している。

■「ファイトマネーの没収」は相撲協会の理事が減棒を決めたことに対応しそうですが、「ライセンス停止」に当たる時津風部屋廃止の流れはまったく見えないまま、現役力士を無理やり引退させて親方にしてしまうのは「反則」でしょう。JBCに処分を「外注」してみたらどうでしょう?冗談はともかくとして、反則の羅列を見ていますと、またまた『あしたのジョー』を思い出しますなあ。矢吹丈が始めてプロ・テストを受験した時、筆記試験に「反則行為」を書かされる場面が出て来ました。心配する同僚のマンモス西が確認すると、矢吹丈は「噛み付き、投げ技、蹴り……」などのトンデモない解答を書いたと自慢する名場面があります。一緒に受験した者達に大笑いされた矢吹丈は逆上して「ペテンみてぇな問題出しやがって!」と大暴れ……。でも、矢吹の解答も考慮しなければ行けないことになりそうであります。


倫理委員会では大毅の反則行為などについて、5人の委員がビデオで検証し、明確に故意であると認定した場合には、大毅らからの事情聴取は行わず、即刻処分を下す方針だ。過去、1年以上のライセンス停止処分を受けたボクサーは、いずれも刑事処分を受けた者ばかり。試合中の反則で、ライセンス停止の処分を受けることになれば、きわめて異例のケース。安河内事務局長は「3点の減点なんて記憶にない。(相手を持ち上げて投げた)反則がボクサー生命にかかわる影響があったかを一番問題視する。重大な処分が出る可能性がある」とした。

■ボクサー資格も他の格闘技の段位と同様に「凶器」扱いされるそうですから、殺傷能力ばかり磨き上げた乱暴者が世間を跋扈(ばっこ)しないように法律の縛りが有るわけですが、プロのライセンスは営業許可証みたいなものでしょうから、これを剥奪されたら失業です。

亀田一家も崖っぷち 其の弐

2007-10-13 11:02:16 | 日記・雑学
元WBA世界Lフライ級王者で、大毅の試合のセコンドに入った長男・興毅(20)=協栄=にも日本ボクシングコミッション(JBC)の処分が及ぶ可能性が出てきた。12日、試合途中に大毅に反則行為を促した疑惑が浮上。……問題の場面は、敗色が濃厚となった11回開始前、赤コーナーに座る大毅の耳元で、興毅が「ひじでいいから目に入れろ」と声をかけた。この声は中継したTBSテレビで全国に流され、音声が“証拠”として残ってしまった。

■TBSが「音を拾った」と聞きますと、昼の『ピンポン』とかいうワイド・ショーが若手プロボルファーのハニカミ王子と囃し立てられている選手の公式戦のラウンド中に「盗聴」しようとしたという事件が有ったのを思い出します。盗聴しようとしたのは事実だったと確認された時、日本テレビから流れて来た司会者が「辞める」ような話も出ていたはずですが……。今回は「盗聴」ではなくてコーナーに集音マイクを向けた成果?だったようです。でも、内藤サイドにもマイクを向けていたのでしょうか?TBSは試合後のネタとして使いまわせる音を求めたとしか思えませんなあ。試合前から名物になっている下品な発言を常用愛用しているテレビ局としては、もっと臨場感のある下品な発言が欲しかったのでしょうなあ。


反則行為の指示を指摘された興毅は12日、協栄ジムを通じて文書で反論。「オレの発言が誤解されているみたいやけど、あれは亀田家のボクシング用語で、ひじを上げてしっかりガードして、目の位置を狙えという意味」などと強調したが、苦しい弁明だ。ジム会長らで組織する東日本ボクシング協会は、15日の理事会で協栄ジムに戒告などの処分を下す方針。同協会・北沢鈴春事務局長は「父親が急所を狙えと指示し、興毅がひじで目を打てと発言したのをビデオで確認した」と明言している。

■え?!喧嘩でも厳禁の「キンテキ」を狙っていた?喧嘩の作法も滅びた昨今の日本ですから、公共の電波を使う格闘技でもこんな暴言が出てしまうのでしょうか?協栄ジムと言えば、かつて具志堅選手の対戦相手に下剤入り蜜柑を差し入れるという騒ぎを起こした事もあったはずです。亀田一家と協栄ジムが合体した時から、こうなる事は分かっていたのかも?


また、協栄ジムはこの日、興毅が25日にパシフィコ横浜で予定していたノンタイトル10回戦を中止にすると発表した。試合まで2週間を切って相手が決定しなかったためとし、15日から11月1日までプレイガイドでチケットの払い戻しの手続きを行う。Lフライ級に続き、階級を上げて2階級制覇を狙う興毅は、WBC世界フライ級王座への挑戦を狙っている。WBA世界同級王者には、同じ協栄ジムに所属する坂田健史が君臨するため、同門対決はできない。弟・大毅の敵討ちをアピールして内藤への挑戦を視野に入れるが、試合日程の変更でスケジュールの組みかえを余儀なくされる。……
10月13日 サンケイスポーツ

■一夜にして天下がひっくり返るような騒ぎになっているようですが、内藤チャンプが大人気となったからには、商売だけならば是非とも「兄貴の敵討ち」VS「正統派の返り討ち」は実現したいところでしょう。でも、今回の騒動はマスコミ各社の過剰演出の反動とも言えるのですから、あちこちで反省をして貰わねばならないでしょうなあ。試合直前にこんな記事も有ったようです。


……挑戦者・亀田大毅(18)=協栄=が9日、都内自宅道場で亀田家流のガチンコスパーリングで練習を打ち上げた。試合用の8オンスグローブを使用して兄・興毅(協栄)とスパーリングを行い、興毅を1回“TKO”で破った。亀田家恒例の試合直前の兄弟対決で、豪快に興毅をたたきのめし、王座奪取へ猛アピールだ。自信は確信となり、大毅の中では勝利が「確定」した。すべての練習メニューを終えた大毅は静かに言った。「俺がやることは全部やった。この前まで確信やったけど、今日、それが確定したわ。今の俺に勝てるヤツはおらん」。表情には気負いはなく、勝利を宣言すると唇を真一文字に結んだ。

■「自信が確信にかわった」というのは、大リーグのレッドソックスで苦労している松坂投手がイチロー選手との対戦を終えた後に残した名言だったはずです。でも、試合前に「確定」などと言うと、競馬のヨタ記事みたいですなあ。

亀田一家も崖っぷち 其の壱

2007-10-13 11:00:53 | 日記・雑学
■福田政権は「背水の陣内閣」だそうで、田中真紀子さんもその名前を使って「ご祝辞」申し上げたそうですが……。内藤VS亀田のフライ級タイトルマッチは、単なるボクシング試合だったのではなかったようです。TBSの生中継番組は、瞬間的に視聴率が40%に達したとの報道がありましたが、ボクシング番組など何処を探しても放送されていない日本のテレビ業界で、これは尋常な事ではないでしょうなあ。普通ならば、TBS局内では「大入袋!」「社長賞!」の声が飛び交っているはずなのですが、そんな事をやったと世間に知れたら、現在は相撲協会に向けられている怒りの矛先がくるりと向きを変えてTBSに向って来るでしょうから、早く世間が忘れてくれるように祈っているばかりなのではないでしょうか?でも、TBSの各種スポーツ・ニュース枠では、若手の兄ちゃんキャスターが笑顔で亀田戦関連のニュースを報道しているらしいのですが……。そんな能天気なことをして大丈夫でしょうか?

■亀田一家の「物語」を社会現象にまで仕立て上げたのは、間違いなくTBSの「業績」だったはずです。他のマスコミ各社も文字や映像に亀田一家を登場させては商売にしていたようですし、スポーツ関連は扱わない性格の女性週刊誌までもが亀田一家を取り上げていたはずです。それだけ広範囲に露出してしまったからには、大なり小なり、国民の多くはウソか本当か分からない話の断片を記憶の何処かに仕舞い込んでいたことになります。諸手を挙げて男所帯のボクシング一家の「物語」に感動した人がどれほどいるかは分かりませんが、マスコミ協同の「刷り込み」効果は抜群だったでしょう。それを証明するように、自民党の某議員が自分の選挙区に亀田一家を移住させたというような馬鹿馬鹿しい話があるくらいです。その他の政治家も何とか利用しようとあれこれと考えていた節も有ります。でも、利用の仕方がエゲツナイと、見棄てる時にも非人情な仕打ちをするのが世間というものでもあります。

■さてさて、「友を知りたくば患ってみよ」とも言いますが、これからの亀田一家を誰が粘り強く擁護し続けるのか、それも見物ではあります。TBSに頼まれたのか、恩義があるのかは分かりませんが、アノ試合直後にも、「12ラウンドを戦い抜いた」という一点に絞って亀田次男を褒めていたスポーツ・ジャーナリストも居たようですが……。


11日に行われたWBC世界フライ級タイトルマッチ(東京・有明コロシアム)に関して亀田家の長男、亀田興毅が協栄ボクシングを通じてコメントを発表した。興毅は11ラウンド前のインターバル中に「ヒジでエエから目に入れろ」と反則を指示していたとされる問題について、「あれは亀田家のボクシング用語で誤解されてるようなもんやない」と説明。「俺が大毅に反則をさせるようなことは絶対にあらへん」として、テレビ中継を見た視聴者らの間で非難されている“反則指示”疑惑について否定した。……

11ラウンドの開始前の俺の発言が誤解されてるみたいやけど、あれは亀田家のボクシング用語で誤解されてるようなもんやない。あれはヒジを上げてしっかりガードして、目の位置を狙えいう意味。亀田スタイルの基本や。それに今のグローブはサミング出来へんように親指のところが縫いつけられてるから、サミングなんて出来るわけあらへん。俺が大毅に反則をさせるような事は絶対にあらへん。10月12日 スポーツナビ

■ますます泥沼。語るに墜ちるから、黙って反省の姿勢を見せていた方が良いのですが……。「亀田スタイルの基本」はパンチを相手の顎や顔面(頬・こめかみ)ではなくて「目玉」を狙うのか?ボクサーにとって網膜剥離がもっともコワい故障なのではないのか?何と亀田一家は相手の職業を奪うことを「基本」としていることになりますぞ!名作『あしたのジョー』に出て来る「打つべし!」の「あしたのための その○」にも、「相手の目玉を狙って打つべし」というのは無かったはずですなあ。

やっぱり原点に戻る? 其の四

2007-10-12 23:38:47 | 日記・雑学

「これで昨日亀田が勝ってたら世の中狂ってましたよ。言いたい事を好きなだけ言って人を称える事もできないやつがチャンプになったりしたら。内藤選手の勝利はいろいろな意味ですごい価値があるものでした」と、掲示板にはボクシングファンのみならず、過剰な演出やモラルの低下を憂える“国民的な”賞賛の声があふれた。
10月12日 産経新聞

■これは文科省から及び腰ながら「呼び出し」を受けただけで、日本相撲協会がビビった話にも通じます。亀田一家のガラの悪さは「商品」です。これを発見して企画を練って売り出した有象無象が居るはずです。「過剰な演出やモラルの低下」は亀田一家が負うべき問題ではないでしょうなあ。TBSから「見放される」予告を受けたからこそ、早々に親子が揃って謝罪と反省を発表したのでしょう。日本相撲協会は公益法人資格の喪失が最も恐ろしい、それは相撲の「伝統」やら横綱の「品格」、「武士道」「大和魂」などよりも遥かに重要な物なのだと、日本中が知ってしまいました。ガッツのない文科相だったのがせめてもの救いで、将来の総理総裁を狙っているようなギラギラした実力派だったら、ああ恐ろしい。


「KOはできなかったけど、勝ったことを素直に喜びたい。亀田に初黒星をつけたことで国民の皆さんの期待に少しは応えられた」33歳1カ月という日本のジム所属選手の最年長防衛記録を更新した内藤は、心底ホッとした表情で語った。ただでさえ重圧がかかる初防衛戦。「勝って当然」という空気の中での戦い。「負けて当然」といわれた戴冠戦とは比べものにならない重圧がのしかかった。試合直前は眠れない日が続いた。

■その重圧と苦労は分かりますが、「国民の期待」は判定勝ちや反則勝ちではなかったはずです。亀田一家から「今後」の話など一切出ないほどの惨敗、最終ラウンドまで攻め倦(あぐ)むチャンプの姿ではなかったはずです。でも、「重圧」の多くはマスコミがどんどん膨らませてしまった宣伝効果によるものなのでしょうなあ。蓋を開けたら「7割の入り」では、ちょっとチャンプが可哀想です。「国民の期待」もその程度だったという事でしょう。


母・道子さん(66)は……「雰囲気に飲まれると心配していたので勝ってうれしい。王者になって防衛もした。故郷に帰ってきたら、ほめてやりたい」と語った。8月、内藤は「小さい時からほめられたことがないんですよ。世界タイトルを取ればさすがにほめてもらえると思ったんですが…」と告白していた。母にも認められる王者になった瞬間だった。

■いろいろとぎくしゃくしている日本の親子関係に、これは光が射し込む話かも知れません。「褒めて育てよ」とは言われますが、どんどん厳しくなる学歴社会や正社員・公務員の特権と既得権がますます目立ってしまう世の中ですからなあ。


今回手にしたファイトマネーは1000万円。北海道・豊浦町で民宿を経営する両親に、この一部を建物のリフォーム代として贈る予定だ。内藤は中学時代はいじめられっ子。プロボクサーになっても月収12万円の清貧生活を送った。2002年の世界初挑戦では、絶対王者ポンサクレック(タイ)と対戦。史上最短という1R34秒のKO負けを喫し、「日本の恥」とまで言われた。それでも、その相手に奇跡的に勝利し、王座についた。対する大毅は過激な言動と試合後の歌などパフォーマンスで話題先行型。内藤を「ゴキブリ」とののしり続けた。こうした亀田家の言動もあり、この一戦はプロレスも真っ青の善玉VS悪玉の構図となり、会場は内藤への声援、大毅へのブーイングに包まれた。……

■内藤チャンプが「善」なのかどうかは分かりません。片方を「悪」と認定したらその敵は「善」にしないと話がややこしい。乏しい語彙の中から「ゴキブリ」が出て来て、自分には「宇宙一」という表現を使ったようですが、何の意味も無い虚しい言葉でしたなあ。それを大々的に繰り返し垂れ流すマスコミにも問題はあるでしょう。18歳の若者が、大人に言わされた一度の発言なのですから……。


だが、試合に勝った内藤は、大毅を「いい選手だった」と持ち上げ、「切腹」発言にも「最初から切らないのは分かっているから。ネチネチとこれ以上いったらかわいそう」と大人の対応で好感度を演出した。……世界的には、ランク14位の格下を倒しきれずに順当勝ちしたにすぎない。観客のなかには「大毅すら倒せないようでは、期待に応えたのは『少し』だ。興毅とやったら案外負けるかも」(40代男性)と見る向きもあった。真価が問われるのは次戦。……内藤は「今はゆっくり休みたい」と語ったが、休んでいる暇はない。
10月12日 夕刊フジ

■「次戦」を要求するのですかな?「最年長防衛戦」で国民の期待に応えたのですから、ボクシングはもう終えてもよいのではないでしょうか?これまでに精一杯の努力を重ねて来たのですから、これから「真価」を問うてどうするのでしょう?世界最年長チャンピオンになれ!というのでしょうか?何とも残酷な世界のようですが、映画の『ロッキー』みたいなドラマを生身の人間に強いるのは、亀田一家を利用して話題作りに励んできた以上の罪な事ではないでしょうか?今回の一戦でボクシング人気が急に高まるという事はないでしょうが、世界陸上を台無しにしたTBSだけでなくテレビ業界に対する不信感は確実に増していくでしょうなあ。

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やっぱり原点に戻る? 其の参

2007-10-12 23:38:17 | 日記・雑学

11日に行われた世界ボクシング評議会(WBC)フライ級タイトルマッチのテレビ放送をめぐり、放送したTBSに「亀田大毅(協栄)寄りの実況、解説だ」などという抗議の電話やメールが殺到している。TBSによると、12日午前9時までに、電話857件、メール628件の抗議や問い合わせが寄せられた。最も多かったのは、放送開始からゴングまでに約1時間あったことに「長すぎる」という抗議。「なぜ亀田は切腹しないんだ」という質問もあったほか、亀田が内藤大助(宮田)を投げ飛ばす試合に「プロレスみたいだ」という意見も寄せられた。
10月12日 産経新聞

■とても新聞紙上には書けない「抗議」が山ほど来ていると推察されますが、「切腹」を期待してテレビを観ていた人が一人でも居たとしたら、これこそ驚きです。TBSというテレビ局が、ボクシング文化の歴史に深く敬意を払い、その振興に大いに努力しているという話は聞いた事がありませんから、日本刀を振り回して商売する蝦蟇の油売りさん達の口上(勿論!芸としては数段上ですが……)みたいに商売に利用しただけなのですし、ビッグ・マウスの本家カシアス・クレイ、モハメッド・アリの政治性と宗教性と歴史性をちりばめた「芸」には、悲しいほど及ばない亀田一家の盛り場で酔っ払いが虎になって放つような「言葉」しか用意できない事を、最も悩んでいたのはTBSなのではないでしょうか?

■それにしても、ラジオでもないあのテレビ放送で「解説」を熱心に聴いていた人が存在した事に、ちょっと旅限無は嬉しくなります!商売上の太鼓持ちでしかない立場に追い込まれているスポーツ番組の「解説」というプロの仕事が、独自の言語文化を生み出して来たはずなのに、それがすっかり衰退している事を悲しみます。最悪の「解説」を垂れ流しているのが日本相撲協会「認定」のNHK実況放送だというのは誰もが知っている事ではありますが……。


11日夜に毎日系で中継されたWBC世界フライ級タイトルマッチ、内藤大助対亀田大毅戦の平均視聴率が、関西地区で32・3%、関東地区で28%だったことが12日、ビデオリサーチの調べで分かった。瞬間最高視聴率は、いずれも試合結果が出た午後8時47分ごろで関西40・9%、関東37・5%だった。キー局のTBSには、試合終了から12日午前9時までに約850件の電話と約600件のメールが届き、「試合開始までが長すぎる」「実況や解説が亀田選手寄り」など、大半が苦情だったという。
10月12日 産経新聞

■テレビ局としては、乱闘事件が起ころうと、最悪の場合には観客を巻き込んだ流血や殺傷事件が起きようと、視聴率が取れればオーケー!なのでしょう。死亡事故?リンチ殺人事件の過去と「現状」が掘り起こされている相撲業界とは、視聴率の意味が違いますが、熱心なファンは新聞のテレビ欄を一瞥しただけで、TBSの目論みはバレてしるという事でしょう。本当は、出し物の「歌」や亀田一家総出のパフォーマンスが台本には書かれていて、それでも足りなければ「栄光の歴史」映像も用意されていたのでしょう。その証拠に内藤チャンプの記録映像はほとんど放送されなかったようですぞ。インタヴューもなおざりに見えたのは不公平でしょうか?


「亀田3兄弟」の二男で挑戦者の亀田大毅を大差の判定で下し、初防衛に成功した王者・内藤大助(33)の公式ホームページには試合直後から一夜明けた12日も、亀田への批判とともに「国民の期待にこたえてくれてありがとう」「亀田が勝ったら、世の中狂っていた」「日本の宝だ」と、ボクシングを超えた賞賛の声が殺到した。……「東京都に住む30代の女性」から「同年代ということもあり、応援していました。最初から最後まで、大人としての、またスポーツマンとしての対応に感動しました」、近畿地方の70代男性を名乗る書き込みには「あなたのような人を、真のボクサーと言う。立派だった。嬉し涙が、頬をつたう。これから君は、驕ることなくチャンピオン街道をひた向きにはしれ。君は日本の宝・世界の宝です」といった声が寄せられた。

■こうした「感動」のコメントには、ずっとマスコミが結束して封じ込んで来た亀田一家に対する胡散臭さや不快感が一気に噴き出したような観があります。反動の恐ろしさで、「宝」と呼ぶには内藤チャンプのボクシングには感動や破壊力が不足しているような気がします。ガードが固いのなら、その腕を破壊するほどのパンチを浴びせて両腕をミミズ腫れにして欲しい!ボディの後は危険なテンプル(こめかみ)に突き刺すようなフックを繰り返して欲しい!ジャブの効果が無いと見て、ボディ攻撃から顔面狙いのワン・パターンが続いたのは残念でした。相手は最初から「勝てない」と計算していたのですから、セコンドも「203高地」のベトン要塞崩しのような執拗な攻撃を支持して欲しかったなあ。飽くまでも素人の感想ですが……。両方の上腕を骨にまで響くダメージを与えておけば、最終ラウンドにボディスラム崩れの反則技に驚くこともなかったかも?


亀田が年長の王者を「ゴキブリ」とののしるなど、傍若無人な振る舞いを続けたことに対する反感が噴出したのか、「亀田家がゴキブリ以下って事を証明できましたね。とにかく、相手にならなかった事が証明できて、感無量です」。最終ラウンドの反則を皮肉って「亀田はボクシングやめて、K1にいったらいいんじゃないかな」という声も。

■いくら内紛続きとはいえ、これではK1に失礼でしょう!噂が耐えない「朝青龍獲得」にしても同じで、アントニオ猪木以来の「最強伝説」が今でもマスコミでは商売に使えるのでしょうか?元横綱の曙で充分でしょうに……。

やっぱり原点に戻る? 其の弐

2007-10-12 23:37:38 | 日記・雑学
■話がこうなりますと、名作『あしたのジョー』を思い出してしまいますなあ。「無冠の帝王」「ヴェネズエラの黒豹」カーロス・リベラの得意技、左右の電撃ストレート・エルボー付き!白木よう子さんが「高等テクニック」と称した眼にも留まらぬ電光石火の地獄の左右「4連打」を思い出しますなあ。でも、不良少年上がりの矢吹丈が愛されたのは、反逆精神の中に悲しみと美意識が宿っていたからで、キンタマ攻撃やサミングの反則などは描かれませんでしたなあ。育ての親が丹下団平さんではなく、亀田父ちゃんだった事と、天涯孤独の矢吹丈と、男所帯の「家族愛」で出世を目論んだ亀田一家との違いだとしたら、やはり小泉時代に対する郷愁ではなく後悔の念が強くなりますなあ。

これを知ったJBCの関係者は「大毅のライセンスの剥奪や興毅や史郎氏の処分も検討しないといけないだろう」と話した。会場の有明コロシアムは7割ほどの観客の入りだったが、その大半が内藤の勝利を期待していた。試合前から亀田へのブーイングが渦巻き、内藤への声援が圧倒していた。一種異様な雰囲気でさえあった。内藤のいう通り、それは「国民の期待」とさえ言えた。礼儀知らずの言動は試合を盛り上げるための方便でもあったのだろうが、あまりにも度が過ぎた。なによりも技術が、実力がその虚像についてこれなかった。……だが、セコンドの反則指示まで明らかになり、亀田ブランドは地に墜ちた。亀田家に「次」があるかどうかも分からない。会場では「興毅の内藤へのリベンジマッチが見たい」という声も聞かれたが、もうたくさんではないか。
10月12日 夕刊フジ

■やっぱり「亀田ブランド」がマスコミには存在していた!こちらの方が驚きいですぞ!外来語の用法が乱暴なのは衆知の事実ですが、「ブランド」もこんな風に使われているのですなあ。「セレブ」や「ブランド」は、最近の日本語では「ああ、テレビで見た!」の一言になってしまった証拠でしょうなあ。これは困った!さんざん持ち上げて商売に使っておいて、「地に墜ちた」とは!一体、誰がそんなに高く持ち上げて飛ばしたのでしょう?罪作りな話です。


11日のWBC世界フライ級タイトルマッチ(東京・有明コロシアム)で王者の内藤大助に3-0の判定で敗れた亀田大毅が、協栄ボクシングを通じてコメントを発表した。……

今回は完敗やった。それは素直に認める。初めての世界戦で課題も分かった。これからは精神面も鍛えていきたい。体と心をもっと鍛えてまた世界の舞台に立ちたい。応援してくれたファンのみんなにはぶさいくな試合をしてもうてほんまに悪いと思ってる。しばらくは休んで、そしてまたトレーニングを開始する。これからも応援よろしく頼んます。
10月12日 スポーツナビ

■決して語彙の貧しさは亀田兄弟の負い目ではありません。そもそも格闘家誰もが『五輪の書』を書き上げるというわけでもありません。しかし!マスコミを巻き込んでスポンサーを集めて商売しているのなら、言語発信能力は必要でしょう。「ぶさいくな試合」という表現は何度も使ったものですし、「課題が分かった」という言い訳も新しいものではありません。「精神面を鍛える」という発言には不快なものが滲(にじ)んでいます。関西出身の18歳だから、「やった……頼んます」でパブリシティーの力となると思っているのなら、既に東京に「営業」拠点を移して高額な収入に関する報道も多くなっている立場では、ちょっと苦しいかも?坂田三吉の「明日は東京に出て行くからは、何が何でも勝たねばならぬ~♪」に便乗するのも無理が出て来ているようです。


亀田大毅の父親でありトレーナーの史郎氏が、11日のWBC世界フライ級タイトルマッチ(東京・有明コロシアム)に関して協栄ボクシングを通じてコメントを発表した。……

11日のタイトル戦での大毅の反則行為は、故意ではありません。大毅の若さ、精神的な未熟さが出た結果だと思います。セコンドについたトレーナーとして大毅の反則行為を止められなかった事は反省しております。ただこれも闘志の現れであって、結果として反則行為となってしまったことをご理解していただきたい。大毅本人も深く反省し、一から出直す覚悟ですので、今後ともよろしくお願いいたします。
10月12日 スポーツナビ

■父の言う「精神的な未熟さ」は、長男の「精神面」コメントと呼応しています。でも、それがJBCが試合内容に関して重大な決意を匂わせているのが原因だと分かってしまえば、商売上の言い訳にしか聞こえなのが残念です。その深刻さは「一から出直す覚悟」の一言に表われています。でも、手遅れかも?問題はTBSがオウム事件の時と同じ「営業的判断」を見せたら、あっさりと見棄てられてしまいそうです。神様仏様の巨人軍を日本テレビが見棄てる時代ですから、TBSが絞り取るだけ絞り取った後、汚い物でも扱うように捨てられたら憐れです。試合翌日、みのもんたの『朝ズバ!』という未だに意味不明の名前を持っているニュース・ショーでは、亀田一家がどんな朝を迎えているのか?独占テレビ局だからこそ報道できそうなネタも忘れて、内藤チャンプの妻子をスタジオに呼んで、さんざんにハシャイだそうですなあ。残酷なものです。

■みのもんた『朝ズバ!』では、下請け制作会社のスタッフの中で過労死・ノイローゼ自殺が連続しているという恐ろしい話が週刊誌に書かれていました。外注・派遣など、企業内「格差」を是正もしないテレビ会社が、「格差社会」を糾弾する番組を放送しているというのですから、実に皮肉な話です。「芸のためなら女房も泣かす」という演歌の歌詞がありますが、「視聴率のためなら人も殺す」では歌にもなりません。そんな業界なら、亀田一家を玩具にして放り出すくらいの事は平気でやりそうですなあ。そのTBSと密接な関係にある毎日新聞がどんな記事を書いているのか?


11日の世界ボクシング評議会(WBC)フライ級タイトルマッチで再三の反則行為をした亀田大毅(18)=協栄=に対し、日本ボクシングコミッション(JBC)は処分を検討することを決めた。15日にも倫理委員会を開き、本人への指導を含めた結論を出す。……亀田大は11日の試合で頭突きなどの反則を繰り返し、十二回にはレスリング行為で計3点を減点された。JBCの安河内剛事務局長は「レスリング行為に対する処分は3点の減点を受けているが、試合全体を通して反則が多すぎる。実効性のある対応が必要」と話している。また、テレビにはセコンドから反則を指示するような声が拾われていたとの情報もあり、JBCはすでに調査を開始。試合から一夜明けた12日は朝からはJBCに対して、亀田大の反則に対する抗議電話がひっきりなしにかかっているという。
10月12日 毎日新聞

■「抗議電話」が殺到したのはJBCではなくて、TBSだったという話が有ります。きっと毎日新聞としては「一夜明けた12日」という苦心を活かそう!という気なのでしょうなあ。放送直後からTBSは大変だったようです。視聴率がても高かったそうですから、あの中継を観た人のほんの僅かな割合であっても、テレビ局の電話回線など簡単にパンクするでしょう。「実効性のある対応」などは新聞ならでも表現で、メディアによってJBCも発言を変えているようです。でも、「レスリング行為」などと簡単に書かれてしまうと、そちらの方面から熱烈なファンから沢山の抗議が来そうですなあ。あんな「投げ技」では客は呼べません!

やっぱり原点に戻る? 其の壱

2007-10-12 19:22:09 | 日記・雑学
■政治が見世物になり、大相撲が酒乱の年寄りの憂さ晴らしになった日本ですから、ボクシングが繁華街の喧嘩やチンピラの果し合いに成り果てても、特別の感慨など湧かないのかと思っていたら、日本はなかなか健全でまだまだ元気な国のようです。同じ日本人同士のタイトルマッチなのに「国民の期待」という、石原慎太郎さんが大金を使ってでも東京五輪の幻影を呼び覚まして覚醒させようとしている大目標がひょっこりと浮上するような騒動になったのですからなあ。

■昔、プロレス全盛の頃にはシャチ横内さんとかいう日本人の悪役レスラーが活躍していた記憶が有りますが、亀田一家はそれ以上の「国産悪役」を生み出したようです。政治もテレビも詐欺師も、みんな揃って宣伝先行の人気商売に転じている日本ですから、格闘技の興行が大成功で、テレビの視聴率がウナギ上りなら、GNPは上がるし変なところで株価も上昇するかも知れないのですから、大手マスコミは「喜び」を報道しなければならないでしょうなあ。でも、相撲協会がトウの昔に忘れ去っていることが判明している「品格」などを、ボクシングに求めるのはちょっと無理なのかも知れませんが、世界に冠たる陰湿な「イジメ文化」を研ぎ澄ましている日本が生んだ、イジメの被害者の希望であり英雄になった内藤チャンピオンの存在は、今だからこそ輝きを増しているとも言えそうです。

■でも、亀田兄弟にもイジメ被害に遇ったという「美談」が添えられていたのではなかったでしかな?視聴率が上がって夕刊紙・スポーツ紙・週刊誌の売れ行きが良ければ、何でも良いというわけでもないでしょうが……。


最悪で醜悪な世界戦だった。もはやボクシングとはいえないシロモノだった。それでも「国民の期待」に応えた33歳の老チャンプ内藤大助(宮田)は冷静に、18歳の勘違いの挑戦者、亀田大毅(協栄)を大差の判定で退けた。頭突き、ヒジ打ち、タックル…。テレビ中継は反則のオンパレードの大毅に兄が「ヒジでエエから目に入れろ」と指示を与えるシーンまで映し出した。TBSへは抗議が殺到。日本ボクシングコミッション(JBC)も厳しい処分を検討する構え。亀田の名は、日本ボクシング史に「汚点」として刻まれることになりそうだ。……父親の史郎氏(42)が険しい表情で振り向いたが、大毅は無言で口に含んでいたジュースをピューと外に飛ばし、車に乗り込んだ。その背中に会場の外で待ち受けたファンの「腹を切れ」の罵声が飛んだ。

■マスコミが垂れ流す客寄せ用の「芸」を、本気にするファンもどうかと思いますが、TBSの慌てぶりは大変なものだったでしょうなあ。「疑惑のトロフィー」などの授与の後、勝者の内藤チャンプに対するインタビューの音声切り替えも失敗していたようですし、後始末に右往左往していたのかも?という馬鹿馬鹿しい「臨場感」は充分に日本中の茶の間に届いたものとお察しいたします。 


年長の王者を「ゴキブリ」とののしり、「負けたら腹を切る」と宣言して臨んだ世界戦。勝てば日本人として最年少王者に輝くはずだった。そのための無理やりのマッチメークでもあった。しかし、ひたすらガードを固めて頭をぶつけ、反則を連発するばかりの試合展開。怒った内藤がスリップした大毅の頭をこづいて減点されれば、勝ち目のなくなった大毅は最終ラウンドに内藤を担ぎ上げて投げ、極めて異例の3ポイント減点。元世界王者の名城信男氏は「最低!」と吐き捨て、日本ボクシング協会の原田政彦会長は「(大毅は)ボクシングをしていなかった」と酷評した。JBCの関係者は「失格負けにすべきだった」と憤った。

■発言だけを見ると、JBCの方が日本相撲協会よりも遥かに「格闘技」に関する感受性と責任感と美意識に優れているようです。これも「国技」ではないフットワークの良さなのでしょうか?中には相当に怪しいジム経営者も居るとも言われるボクシング業界ですが、少なくとも「親方株」の不明瞭な売買でジムを構えて、国家予算みたいな分け前を貰って経営するような甘い世界ではない分、ハングリー精神と客商売との微妙なバランスを保っていられるのかも知れませんなあ。裏はともかく、表では「試合中の死亡事故」が起こり易い競技でもありますから、その当たりからも緊張感が生まれているのでしょうなあ。

■観客をさんざん待たせて、立会いの瞬間に「はたきこみ」などという人を馬鹿にした見世物にはならない格闘技ですから、内藤チャンプが初のタイトル挑戦で「秒殺し」の餌食になった時には「国の恥!」とまで罵られたそうですが、大相撲の立会い時の「はたきこみ」は、醜悪な技とも言われず、立派な「白星」勘定になるのですから、見せる競技である以上、「見る価値」のある内容でなければウソでしょうなあ。それを徹底させるとプロレスになるわけですが……。


TBSの生中継は、さらに信じがたいセコンドの言葉を拾っていた。挽回の余地もなくなった11Rの開始前、赤コーナーに座る大毅の耳元に史郎氏が口を近づけ、「勝てへんで、分かってるな。※□〇×」とささやく。その直後に元世界王者の兄、興毅(20)が「ヒジでエエから目に入れろ」と声をかけた。その音声が全国に届いたのだ。試合後、内藤は「大毅は反則が多かった。太股を叩かれたり、サミング(目つぶし)までされた。最後までレフェリーが気づかないほど反則がうまかった」と語ったが、それらが亀田陣営の明確な意志の下に行われていたことが証明されたのだ。

疑惑のトロフィー 

2007-10-12 09:04:28 | 日記・雑学
■昨夜は「国民の期待」に応えるボクシングの試合が有りました。フライ級の世界王座をめぐって最年長の初防衛か、最年少の奪取か?とマスコミは大いに囃し立てていたようですが、大きな時代の節目、あるいは裂け目を見る思いがした人も多かったのではないでしょうか?国会での大きな変化が時代を移して流れて行くのと歩調を合わせて、世間もしっかりと変わっているのかも知れませんなあ。安倍政権の短くて混乱した1年間を含めて小泉時代が終わり、安定思考の福田政権へと政治が変わった時、マスコミが作り出した亀田一家の幻想が、時代と乖離していることが鮮明になった一夜だったような気がします。

……興毅「金は輝いとるからや。好きな色や。チャンピオンはそういうもんや。スター性が違うやろ。内藤君これ着ても似合わんと思うわ」
 内藤「いや、なかなか似合う人もいないと思うけど」(会場苦笑)
 --改めて内藤選手、明日はなんのために戦うのですか
 内藤「国民のためです」
 興毅「よっしゃよっしゃ。きっちりこたえだせや国民のためにな」
 --どう戦う
 内藤「KOとは言わない。勝ちにこだわります」
 大毅「おれはKOするよ。みとってくれればわかる。おれのパンチは宇宙一や」
10月10日 サンケイスポーツ

■低姿勢の話し合い路線を打ち出した福田政権に対する指示が高いと言われている今の世情を思うと、高齢で初当選した議員を集めて懇親会を作っている福田さんと、典型的な苦労人として急に注目され始めたチャンピオンの内藤は、やはり時代の気分を共有していると思われます。亀田一家が繰り返したマスコミを喜ばすためのパフォーマンスやセンスの悪い言動が、小泉時代には妙に時代にマッチしていたような印象を与えていたのに、今回は全国的に「違和感」と「反感」を生み出してしまったのは、単なる偶然ではないでしょうなあ。

■「負けたら切腹」という発言も、小泉元首相の「郵政民営化は殺されても断行する」に通じる見も蓋もない気味の悪さがありますし、「国民」を放り出して「宇宙」を持ち出す強がりも、「改革なくして成長なし」だの「自民党をぶっ壊す」だの、意味不明の小泉流フレーズと似た響きを持っているような気がします。御本家はさっさと表舞台から去って隠然たる影響力を発揮する存在に化けているようですが、同じ路線で突き進まねばならない亀田一家は時代に取り残された哀愁する感じさせているようです。敢えて世間のモラルを破って「勝てばよい」と言い切ることでマスコミの食い物となるのは、ホリエモン君や村上ファンドが荒稼ぎしていた時代の風潮を引き摺っている印象があります。

■政治家にとっては国民、株屋にとっては投資家、テレビにとっては視聴者、法律に触れないぎりぎりの線で情報を操作して商売に利用する時代が終わって、地道に努力している者を評価する世相が蘇って来たのなら、これは喜ぶべき事でしょう。行儀の悪さ、下品さを商売に利用できた時代が終わったのかも知れません。そんな時代に多くの人達が疲れ果ててしまったということなのでしょうか?予想を上回る人気を集めて放送された「国民のための」ボクシング試合は、亀田一家とタイアップし続けるTBSテレビにとっては嬉しい誤算だったのでしょうが、事はそれほど単純ではないでしょう。

■ざっとネット・ニュースを眺めてみましたが、試合後に勝者の内藤に贈られた品々の中に、「黄金のグローブ」を擬した醜悪なトロフィーがあった事を指摘する記事は見当たらないようです。あれは、一体、誰が用意した物なのでしょう?試合前の記者会見では金ぴかのジャケット、試合本場では髪の毛もマウスピースもグローブも金色だった亀田の姿を見れば、TBSテレビは「国民の期待を裏切る勝利」に期待して、あの変なトロフィーを手にした亀田が試合後のカラオケ独唱をやってくれると計算していた節が有りますぞ!以前にも変な仕込が問題になったことが有ったようですが、この時代感覚の欠如は大きな意味を持っているような気がしますなあ。どこかの週刊誌がきっと書き立てると思われますが、「勝てば官軍」のマスコミ商売ですから、ほとんどの大手マスコミは掌を返して内藤を神輿に載せて利用することになるのでしょうが、時代に翻弄された亀田一家は憐れを誘うことになるのは可哀想ですなあ。

■小泉時代の終わりを再認識しつつ、これからの日本の行方をあれこれと考える一夜でありました。でも、実質的な「反則負け」では亀田一家の将来は暗いですなあ。
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嫌な滑り出し 其の参

2007-10-01 20:13:18 | 日記・雑学

元力士 前相撲(03年春場所)までは、みんな優しく、自分はお客さん扱いでした。でも、出世披露が終わって番付にしこ名が載った途端、兄弟子の態度がガラリと変わったんです。出世披露の前後で待遇が違うのは角界の慣例だが、不条理な暴力は別次元の問題だ。当時、「何かあったら言ってきなさい」と親方から言われ、兄弟子に意味もなく殴られたことを親方に報告。結果、逆にいじめはエスカレートした。

■小中学校の陰惨なイジメ事件の根元がここに有ると言いたくなるような悲しい話です。単純過ぎる詐欺みたいな話でもありますが、平成不況の中で吹き荒れた「リストラの嵐」にも共通する風潮のようにも思えます。数年間のバブル時期に異常な特別待遇で掻き集められた新卒者が、不況の中でゴミのように放り出されたのと似たようなものとも言えそうです。


元力士 「お前、たきつけ(告げ口した)たな」と怒られ、何十発も殴られました。ショックで、静岡まで逃げたんですが、師匠とおかみさん、母親に説得されて部屋に戻りました。部屋に戻った後はさらなる制裁が待っていた。……ぶつかりげいこは、最長で1時間20分。途中、口の中に砂の混じった塩を入れられました。金属バットはなかったけど、鉄製の鍋やしゃもじで頭を殴られました。いつか死ぬと思いました。親方の鉄拳もあった。……左右の拳で何発も殴られて口の中から出血しました。親方は酒癖が悪く、時太山のようにビール瓶で殴られた兄弟子もいます。……連れ戻しに失敗し、引き留めを断念した時津風親方は、実家に約100万円の支払い請求書を送りつけてきたという。元力士側は支払いを拒んだ。

■ここまでの話でも「武士」の世界ではないのですが、ここからは悲しいお女郎さんの物語になって行きますぞ。


……着物代、食費などを返せという内容です。親方は、協会から力士養成費とかをもらっているのに。でも先代までのルールを変えて医療費を力士の負担にさせた人です。金銭の執着から、おれのことも引き留めたかったのでしょう。日本相撲協会から部屋には、1人の力士につき年間計186万円が支払われている。部屋から逃げ出した時太山を無理に引き戻し、悲劇が起こったのもこういう背景があると思われる。
10月1日 日刊スポーツ

■借金のカタに娘さんが買われて行く売春屋宿の仕来りが、国技を名乗る業界でも通用しているとは驚きです。親方株のやり取りでは凄まじい「実弾戦」が繰り広げられるという噂も有りますが、親方が女衒(ぜげん)と色町の店主の両方をやっているのなら、力士の苦労は『女工哀史』どころの話ではなくなりますなあ。「お前の体には高いゼニがかかってんだ!文句を言わずに客を取れ!」というのはお女郎映画の決まり文句なのですが……。こういう「伝統」が残っている国を、「安心で安全な国」にしようと言うのですから福田総理も大変です。


北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議は最終日の30日、共同文書の草案に暫定合意したものの、「本国に報告するため」いったん休会に入る異例の幕切れとなった。半年ぶりの全体会合も成果を急ぐ中国が主導し、米国と北朝鮮が駆け引きを展開。各国とも終了後、「協議の進展」を強調したが、北朝鮮が草案内容を不服とするなど承認・公表までには曲折もあり得る。ガラス細工の「合意」は、先行きが見通せない6カ国協議そのものを示唆しているようだ。

■米国のヒル代表は、キム・ジョン・ヒルという異名を貰っているとか……。大騒ぎしても「暫定合意」にしか至らないような国際会議をいつまで続けるのでしょう?米国はどんな思惑なのか、早々と原油5万トンのプレゼントを決定したという報道も有りましたぞ。福田新総理は「自分の手で拉致事件を解決します」などと軽々しく言ってしまいましたが、どうする心算なのでしょう?


「昨夜は期待していなかったが、議長国・中国のお陰でよいものができた」。米首席代表のヒル国務次官補は30日午後、帰国を前に北京空港で、共同文書案を一定程度評価した。採択への期待を口にしたが、文書案の細部には検討が必要な点があるとして慎重な姿勢も崩さなかった。北朝鮮が要求し続けてきた米国のテロ支援国家指定解除を共同文書に盛り込むかどうか。これが3月以来の開催となった6カ国協議全体会合での争点の一つだった。協議筋によると、北朝鮮は「年内の『無能力化』を文書に盛り込むなら、指定解除も入れるべきだ」と食い下がり、米国は「日本との関係で問題を起こしたくない」などの理由で拒否したという。

■北朝鮮が得意とする「食い逃げ」をまたやる心算なのでしょうなあ。「年内」などと期限を切っていながら、「無能力化」の定義はまだ決まっていないという馬鹿馬鹿しい交渉です。じりじりと後退する米国側の要求がどんどん見え難くなっていますから、いつ拉致問題を放り出して妥協してしまうか分かったものではありません。まさか、福田総理が訪米する前に話が終わっているなどという恐ろしい事にはならないでしょうな?!


北朝鮮は9月初めのジュネーブでの米朝国交正常化に関する作業部会直後、「米国がテロ支援国家の指定解除を約束した」と一方的に発表。年内の「無能力化」と「核計画の完全な申告」と引き換えに、米国が指定解除を約束したのではないかとの観測が流れた。共同文書案は指定解除の期限を設けずに「ジュネーブ合意」を守るという玉虫色の内容になった可能性が高い。その場合、問題を単に先送りしただけの形になる。

■欠陥だらけの『日朝平壌宣言』と同じ様な扱いになるわけですなあ。「ジュネーブ合意」というのは、「指定解除」と同義語で、『宣言』は「賠償金」と同義度ですから、米国からの先制攻撃を押さえ込み、日本から莫大なゼニを巻き上げるという計画を続行している北朝鮮です。


北朝鮮は非核化に向けた「初期段階措置」で、共同文書にないマカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」の資金凍結解除を合意履行の前提条件にした。それだけに、「第2段階措置」でテロ支援国家指定解除が実現しなければ、十分な非核化措置に応じないことも懸念されている。 
10月1日 毎日新聞

■この調子で拉致問題が実質的に解決に向かうのでしょうか?このまま進んだら、時津風親方みたいに「拉致してからの生活費と給与分を精算しろ!」などと北朝鮮が言い出して、拉致の犯罪性を飛び越して悪質な人身売買の相談になってしまうかも知れませんなあ。既に米朝会議に変質してしまった6カ国協議の会場で、佐々江賢一郎アジア大洋州局長さんは暇そうに座っているように見えます。どうせなら、現金を詰め込んだジュラルミンの箱を会場に運び込んで、北朝鮮の馬鹿馬鹿しい泣き言を無視して札束の勘定でもして見せたらどうでしょう?少しはマトモな事を言ったら札束を積み増して、アホな事を言ったらジュラルミン・ケースに仕舞いこむぐらいの嫌らしいパフォーマンスをして見せれば、北朝鮮代表の目が釘付けに出来てうっかり生返事をさせて交渉を打開できるかも?福田首相の「話し合い」路線が恐ろしい結果にならない事を祈るばかりです。
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