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旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

「今年」の予兆 その伍

2008-01-05 13:38:10 | 日記・雑学
「今年」の予兆 その伍■ 年明け早々に原油先物価格が1バレルあたり100ドルを超えた!という悪い初夢みたいなニュースが世界中の人々を大いに不愉快にしてしまいました。売買規定の最低限度量を100ドルで買ったのは一人の英国人だそうですが、これが先例になって次の100ドル超えの騒動は欲張り軍団が大挙して殺到するかも知れませんなあ。年が明けたからと言っても、年始のお屠蘇気分が醒めてしまえば地球温暖化は止まらず、イラクの自爆テロは終息するどころからあちこちに飛火して米国民はトンデモない大統領を御丁寧に2度も選んでしまった余りの恥ずかしさに、もうブッシュの名前を忘れてまだ決まっていない新大統領の名前を呼び交わしているとか……。

■嫌な事があると強引に幕引きして「水に流す」のは日本独自の精神文化かと思ったら、米国の方が新し物好きのようです。でも、イラクを壊して世界中にテロを撒き散らしてしまった責任など、誰も取れないのは、日本の厚労省が政治家と手を結んで年金制度をボロボロにしてしまった無責任の構図はそっくり!テロは多くの死傷者を出して対処せねばなりませんし、年金制度に空いてしまった大穴は「増税」で埋めるしかありません。責任者は現場を去って悠々自適の好々爺生活を送ります。ブッシュ大統領も『自伝』など物するのでしょうか?出来ればそんな趣味の悪いトンデモ本よりも、ビン・ラディンの『自伝』が出たら是非とも読んでみたいものです。


12月29日、アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者は、米国政府がイラクの石油資源を手中に収めようとしていると非難するとともに米国が進めるイラク統一政府の樹立に反抗するようイラク国民に呼び掛けた。……29日に音声テープがインターネット上で配信された。

■世界一の情報収集設備を駆使して一発1億8000万円もする巡航ミサイルをバカスカ打ち込み、自慢のピンポイント爆撃が可能なバカ高い爆弾の雨を降らせ続けているのに、ビンラディンは元気なようです。このまま行けば、ブッシュ大統領の退任時には嫌味たっぷりの「祝辞」を発信しそうですなあ。能天気な大統領はあの間抜けな笑顔で「サンキュー!」などと言いそうで怖い!


同容疑者はまた、イスラエルを国家として容認することは決してないと主張。パレスチナの土地を解放するためのジハード(聖戦)を拡大すると明言した。一方、27日に起きたパキスタンの野党指導者ベナジル・ブット元首相の暗殺にアルカイダが関与した可能性を指摘されていることについての言及はなかった。
12月30日 ロイター

■パキスタンに関しては、狙うならムシャラフ大統領の方でしょうから、単純に考えればブット元首相を爆殺するはずはないような気がします。でも、イスラム諸国の中で最も親米の立場を採っているパキスタンを大混乱させるには、直ぐに次が決まりそうなムシャラフ大統領よりもブット女史を血祭りに上げた方が効果が大きいとも考えられます。言及しない事で疑心暗鬼を煽って国論を分裂させてカオスを作り出そうと考えているのでしょうか?


北朝鮮による核計画の申告は、6カ国協議で合意した年内の履行期限を守れず、来年に持ち越される見通しとなった。寧辺の核施設の無能力化作業も完了は来年3月以降とされ、核放棄プロセスは当面停滞を余儀なくされそうだ。これに伴い、テロ支援国指定解除問題も先送りされる。……米国がウラン濃縮活動やシリアへの核協力疑惑なども含めた「正確な申告」(ライス国務長官)を求めているのに対し、北朝鮮は従来通り、疑惑を否定する立場を崩しておらず、申告には含めないとの主張を展開しているとみられる。
12月30日 時事通信

■イラクで大失敗したブッシュ大統領は、足元を見られてすっかり手玉に取られての越年でした。イラクを新たなテロリストの訓練所にした上に、北朝鮮を国際社会の表舞台に御招待申し上げるための2期8年だったとしたら、歴代米国大統領の中でも群を抜いた大間抜けという事になりそうです。今のところは核兵器の流出・拡散はハリウッド映画と米国テレビドラマの『24シリーズ』で収まっているようなので、ブッシュ大統領をオチョクッてもいられますが……。

■北朝鮮の原爆(みたいな物)は、金社会主義王朝の親子二代にわたる偉大なる実績ですから、これはブッシュ一家が2代にわたってペルシア湾岸の石油利権を手に入れようと頑張った身勝手な物語とよく似ています。そう言えば、日本は三代目(父はスキップ)首相から二代目首相に交代して年を越したのでしたなあ。幸運にも日本国は独裁王朝国家でもないし、石油屋や武器屋を本業にしている首相は現われないことになっております。でも、そんな物騒な両国に挟まれて手出しが出来ない悲しい立場ではあります。

来(今)年の予兆 その四

2008-01-05 12:52:56 | 日記・雑学
この幹部はアフガニスタン国境に近い北西部の部族地域、南ワジリスタン地区の武装勢力を率いるバイトゥッラー・メフスード司令官。内務省のチーマ報道官は、ブット氏暗殺後にメフスード司令官が、暗殺に関与したとみられる「シャヒブ」という人物に電話をかけ、祝意などを伝えた内容を、治安当局が傍受したと説明した。

■苦し紛れとは言え、世界中がイランの現状にあきれ返っている間に、実はパキスタンというブッシュ政権の盟友と認定されている国家が、国家のテイを成していない悲しくも恐ろしい事実を、政府の報道官が白状してしまったという事です。パキスタンのアフガニスタ国境は権力の空白地帯になっているのは衆知の事実で、それを糊塗するために米国から莫大な軍資金が流れ込んでいるのも目新しい話ではありません。インドと三回目の戦争を行う前に、清浄なるイスラムの国という名を持つパキスタンが自壊して行くのでしょうか?


通話記録によると、暗殺の現場には武装勢力の仲間3人がおり、このうち2人が暗殺を実行したという。メフスード司令官は「彼女(=ブット元首相)を殺したのは本当に勇敢な少年たちだ」と述べた。これに対し、メフスード司令官の報道官は29日、「部族には独自の習慣があり、われわれは女性に危害を加えない」と、内務省の見解を強く否定した。ロイター通信に答えた。

■欧米諸国が「女性蔑視だ!」と目くじら立てるイスラム文化の習慣が、実は砂漠の「カカア天下」の反映だったりしますから、平和と民主主義の使徒を自認する米国の軍隊よりも遥かにイスラム教徒のテロリストの方が女性や子供に対して慈悲深いという事実があります。いよいよブッシュ息子大統領は苦しい立場に追い込まれそうですなあ。


ブット氏暗殺による暴動は29日もラワルピンディや北西辺境州のペシャワルなどで発生し、警察は催涙弾などを使用した。東部ラホールではムシャラフ大統領に抗議する集会に1万人が集まった。また、南部シンド州のハイデラバードでは、治安部隊の発砲などにより計3人の死者が出た。内務省によると、暴動によるこれまでの死者数は計38人で、損害は数千万ドルにのぼる。暴動の拡大を受けムシャラフ大統領は、断固とした措置をとるよう軍や治安当局に指示した。

■この段階でムシャラフ大統領が命じる「断固たる措置」は、日本の安倍前首相の「美しい国」やホイホイ福田首相の「処方箋」と同じく、無意味で虚しい言葉でしょうなあ。チャイナの世論調査で「好きな国」第一位にランクされたパキスタンは、世界各国からの援助に加えてブッシュ米国大統領政権からも莫大な資金を得ながら、驚くほど高い文盲立が改善されず、就職率の低さは驚くほどで、軍部の誰かさんだけはイスラム国らしく昔のスルタンのような生活をしているとか……。西洋かぶれ?のブット元首相であろうと、別の国粋主義者であろうと、現体制に対する不満は沸点に達しようとしているはずです。北京政府とムシャラフ政権が、ホイホイ福田首相の変な用語を使わせてもらえば「共鳴」しているようですなあ。


大統領はまた、与党幹部との会談で、来月8日の総選挙を予定通り実施するかどうかは、ブット氏が総裁のパキスタン人民党(PPP)の対応を見極めてから判断すると語った。PPPは30日に選挙への参加問題を協議する。シンド州などでは選挙事務所が襲撃されており、選挙管理委員会も緊急会議を31日に開く。……
12月30日 産経新聞

■野党最有力の候補者、それも元首相が銃撃・爆殺される映像が世界中に流れているというのに、「選挙」をやるというのは乱暴な話です。実のある「民主主義」が定着するまで、どれほどの血と愚行が重ねられねばならないか、それを知ることこそ「正しい歴史認識」を得る作業と申せましょうなあ。勿論、我が日本国が隣のメチャクチャな国だけではなく、世界中の国々に向かって「民主主義」の説教を垂れられるのか?と考えねばなりません。日本に民主主義が成立しているのかどうか?腹を据えてホイホイ福田総理・プッツン小沢民主党代表・バカヤロウ渡辺讀賣新聞主筆の「鼎談」を、皆様のNHKあたりが「新春特別番組」として放送すべきではないでしょうか?

■視聴率は軽く50%を越えるかも?勿論、そこには報道機関の責任者として、元NHK会長と次期会長も同席して頂きたいし、出来れば勝手に何百億円も受信料を相撲協会に注ぎ込んで横綱審議委員会委員長に納まっている海老ジョンイル元会長にもご同席願えれば幸いです。少なくとも、NHKが紅白歌合戦を放送している時点で、パキスタンで起こった暗殺事件の真相を知ることも、これが来年にどんな影響を及ぼすかを知ることは不可能です。

来(今)年の予兆 その参

2008-01-05 12:52:19 | 日記・雑学
反政府活動家に対する当局の弾圧は広範囲に及んでおり、これまでも強制中絶の被害者支援で知られ、マグサイサイ賞の候補ともなっていた盲目の活動家、陳光誠氏が逮捕されたほか、著名な人権派弁護士、高智晟氏も国家政権転覆扇動罪で執行猶予付きの有罪判決を受けている。さらに人権活動家である郭飛雄氏が11月に非合法経営罪で懲役5年の実刑となったほか、強制堕胎事件への支援で知られる李和平弁護士は最近、身元不明集団に拉致され暴行された。胡氏はこれら著名な活動家らと太いパイプがあり、その中核的な存在だった。北京の元弁護士は「五輪で国際社会の注目が集まる前に、活動家の動きを封じ込めようという当局の狙いがある」と話している。
12月30日 産経新聞

■根強い中華思想の影響で、こうした世界的に注目されている人権活動家もチベットやウイグルなどの少数民族問題には触れないことになっているようです。バブル崩壊や住民暴動が激化したらチャイナは分裂するだろうと予測する研究者が多いのも、こうした国内の亀裂が有るからでしょう。先に訪中したプッツン小沢代表にしても、ホイホイ福田首相にしても、きちんと「人権問題」について発言はしておりません。それが日中友好の本道なのでしょうなあ。

■お話は世界最大の不安定要因となってしまった米国に移ります。


パキスタンのブット元首相の暗殺は、来年1月3日のアイオワ州党員集会まで1週間を切った米大統領選の舌戦にも影響を与えている。民主党候補がブッシュ政権の外交政策を一斉に批判したのに対し、共和党候補は重要局面に対応する能力を競い合う構図となっている。民主党で全米支持率トップのヒラリー・クリントン上院議員は28日、CNNテレビとのインタビューで、最近のパキスタンにおける「司法への介入や言論弾圧」を糾弾し、「ムシャラフ政権には、何の信用もおけない」と言い切った。「テロとの戦い」を理由に同政権を支え続けるブッシュ外交との違いを鮮明にしたものだ。
12月29日 読売新聞

■間も無く幕引きとなって一応の総括を受けるブッシュ息子政権は、きっと「テロとサブプライム」をキーワードとして記録に残りそうです。御本人は「イラクがダメなら北朝鮮だ!」とライス教授国務長官の進言にすがり付いているようですが、強引な事をすると大人しいポチだって鎖を噛み切って土佐犬に変身するかも知れませんぞ!アホな二代目大統領の愚かしい虚栄心の犠牲になって原爆・ミサイル・拉致の三点セットを封印・先送りにでもなったら、日本中から反米・嫌米の声が上がるでしょう。北朝鮮で商売しようと張り切っている欧州諸国や北京政府、そこに外交上の得点を目的として最悪の妥協をしようとする米国、それらをまとめて敵に回してでも日本の「正義」を主張し続ける外交能力が生まれるかどうか……。米国の注文通りに動くだけの日本なら、サブプライム問題を発火点とする円高・原油高・食糧高の三重苦に喘ぐ年になるかも知れません。

■華々しく「対テロ戦争」を始めたブッシュ政権が終わりに近づいている一方で、ブッシュの宿敵ビンラディンは意気軒昂のようです。6年も苦労して少しばかりイラクの治安が改善したくらいで大袈裟に喜んで見せる情けないブッシュ大統領に対して、「不安定の弧」を舞台にして今でもテロ活動を続けているビンラディンの存在を考えれば、対テロ戦争は必要だったとしても結果としては失敗だった事になるでしょう。ビンラディンもアルカーイダも、メイド・イン・アメリカなのですからなあ。


ブット元首相暗殺に国際テロ組織アルカーイダが関与したことを示すものとして、パキスタン内務省が公表した電話の通話記録は、アルカーイダ、アフガニスタンの旧政権タリバンと関係が深いとされる武装勢力幹部らによるものだった。同省は幹部の関与も指摘している。ただ、この幹部の電話の相手や、会話の中で実行犯として登場する「勇敢な少年たち」が、アルカーイダである根拠は示してはいない。

■暗殺犯人が自爆してバラバラになってしまったので、あること無い事、言いたい者が言いたい事を好き放題にメディアに流してしまうので、何が何やら分かりません。電話の通話記録を「傍受」した!などと、ブッシュ政権と非常に仲の好いムシャラフ大統領側から早々と「真相」に直結する情報が発表されると、「それはエシュロンから仕入れた情報でしょ?」と誰でも思ってしまいます。物の本によりますと、米国が英国と協力してエシュロン・システムを構築し、同じ英語圏のオセアニアも巻き込んで世界中で盗み聞き出来る体制を完成させようとしていた頃に、旧ソ連も負けじとIT情報戦略を進めていたとか……。その狭間にアフガニスタンに生まれて育てられたのがアルカーイダだったという馬鹿馬鹿しい?
■ビンラディンが今も健在で、妙にIT技術を上手に使って尻尾を掴まれずに肝腎な時には必ず情報を発信しながら生き延びられているのも、米国の諜報機関がIT情報工作を基礎から叩き込んでくれたお蔭でとか……。自分で育てた正体不明の生物が、結果的に円谷プロが作った見事な町を蹴散らす巨大怪獣に育ってしまってオロオロする役回りは芸達者でなければ映画になりません。それが盆と正月のゴジラ映画の中だけだったら映画館の闇を一歩出てしまえば笑い話ですが、世界最大にして唯一の軍事大国の大統領が同じ役を演じたら、世界は未曾有の悲喜劇に巻き込まれてしまいます。

■ブット元首相を暗殺したのは誰か?と暫くは各マスコミが商売にするのでしょうが、日の日中に起こったケネディ大統領の暗殺事件さえも、その真相を解き明かせられないのが世界のジャーナリズムの限界ですからなあ。それに加えて「フセイン政権下のイラクに大量破壊兵器が山ほどあるぞ!」と世界中のメディアを相手にして断言したブッシュ大統領が政権を維持している時期に、手下同然のパキスタンが「情報」を発表しても誰も信用はしないでしょうし、逆効果になる可能性の方が高いでしょうなあ。

■ただの無能で愚かな石油屋二代目ならば笑い話で終わりますが、間抜けな大失敗を中東から際限も無く広げての政権交代となったら、同盟国の中でも最も弱い立場を唯々諾々と受け入れている日本国としては大変な迷惑です。まさか、年明け早々に「あの情報は米国から貰ったもの」などと火に油を注ぐような逃げ口上が飛び出すのではないでしょうな?!既に日本の愚かな我々庶民の目には、ブッシュ大統領はモンゴルの不良・朝青龍よりも影が薄いのですぞ!これは大問題です。
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来年の予兆 その弐

2007-12-31 10:56:59 | 日記・雑学
浮気の張本人である張アナは、胡アナとも実は「不倫成就」の末に結ばれた関係。当時、熱烈な張アナのファンだった胡アナが強引なアタックの末、妻子ある張アナを奪い取ったのだ。浮気する男は2度3度あると聞くが……3分間に及ぶ「不倫暴露ショー」は何とか幕を閉じた。この騒動を目の当たりにした記者たちは一様に、「CCTVは大丈夫か?」と首をかしげていた。
12月30日 Record China

■こうして世界に向かって否が応でも開かれ続ける電波とサイバー空間の広がりは、一党独裁の北京政府にとっては実に頭の痛い問題です。本年中もヒマラヤ山脈で越境亡命中のチベット人を「狙撃」する実写映像がネット上を駆け巡りました。北京五輪大会の開催中に、北京市内で何が起こるか?プロとアマチュアが持ち込む無数の撮影機器をすべて監視下に置くのは不可能ですから、小さな肉声や横断幕が音声と映像となってネット上を飛び回るかも知れません。これまでの五輪大会は「競技」の映像が中心でしたが、今回は初めて会場周辺の情報が貴重な価値を持つことになるかも?一般の観客や観光客が体験する「興味深い」文化摩擦体験が、演出抜きの生のチャイナを世界中に晒してしまう時、友好的な雰囲気が優るか?それとも反発と嫌悪感が強まるか?北京政府は伝統的な「学習運動」を展開中ですが、五輪大会の規模を考えるとその効果には限界がありそうです。

■開催が近づきだんだん追い詰められて危機感が膨らむと、過剰な予防策が次々と打ち出されそうです。既に、ややこしい事情がある地域では締め付けと脅迫が行われているとか……。


中国の著名な民主活動家で、HIV感染者の支援などで知られる胡佳氏(34)が国家政権転覆扇動容疑で逮捕されたもようだ。複数の民主活動家が明らかにした。胡氏は国内で幅広く人権活動を展開しており、当局は最も厳重な監視態勢を敷いていた。中国では民主・人権活動家の拘束が相次いでおり、胡氏の逮捕は、来年の北京五輪を前に影響力のある反体制派分子を根こそぎ摘み取る“浄化作戦”の一環とみられる。

■日本では年末に薬害肝炎犯罪が大問題となって、数年前の薬害エイズ問題を国民の多くが苦々しく思い出したものですが、チャイナのHIV問題は以前の日本政府がハンセン氏病政策で罪深い大間違いを犯した愚をさらに大きくして繰り返しているのは衆知の事実。社会との接触を断たれた「エイズ村」の存在が暴露されていますし、感染者と発病者の統計資料も隠蔽と改竄が激しく、友好な対策が打てない状況のようです。経済的な格差と少数民族問題に感染症対策の遅れが加わると、一挙に民主化運動が爆発する可能性が高まります。過熱する土地と株式のバブルが破裂するのが先か?国民の不満が合体するのが先か?既にチャイナに生産拠点を移してしまった日本企業の経営者は心配なことでしょうなあ。


関係者らによると、27日午後3時、20人ほどの当局者が自宅を訪れ逮捕を通告、連行した。妻の曽金燕さん(24)は自宅で軟禁されているという。胡氏の携帯電話は30日午後現在、不通になっている。

■実に皮肉な事に、この事件が起こった場所は山東省の曲阜!ひどい人権弾圧が行われた3日後に、日本のホイホイ首相が訪れて「日中両国が持つ共通の文化基盤」という奇怪な感動を口にした孔子さまの故地なのですなあ。一体、どんな「文化基盤」をホイホイ首相は考えたのでしょう?


胡氏は中国各地のほぼすべての民主活動家や人権派弁護士、欧米大使館員らと連携して当局の弾圧状況などを電子メールで発信。昨年7月から今年2月まで当局に拘束されていた。曽氏は夫が拘束された際、国際社会に支援を呼びかけ、今年、米タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた。胡氏も欧州議会が人権活動家に贈るサハロフ賞の候補の一人だった。

■これで来年度の「ノーベル平和賞」候補が決まったようなものでしょうか?欧米の人権運動家と連携している胡氏の消息は世界中が注目しているので、万が一、不自然な死亡などが報道されたら大変なことになりますし、行方不明同然の「安全に保護」したとしても、米国の大統領選挙あたりで大きく採りあげられるでしょう。まあ、日本のホイホイ首相であろうと、「まさか」の坂を登って民主党の小沢代表が政権交代を実現したとしても、どちらにしても「抗議」などはしないでしょうなあ。ご両人とも、来日したダライ・ラマ14世に会う事さえ出来ないのですから……。

来年の予兆 その壱

2007-12-31 10:56:23 | 日記・雑学
■いよいよ大晦日。福田首相のホイホイ訪中旅行の帰国を歓迎?するかのように、日本列島の空模様は大荒れ!北海道から日本海側は大雪と強風、関東平野上空も厚い雲の中に雷鳴が轟きました。年明けの三が日は全国的に好天に恵まれると、ますます的中率を低下させている気象庁が予測しているようですが……。来年の話をすると鬼が笑うと昔の人は言いましたが、越年する諸問題の大きさと根の深さを考えれば、嫌でも来年どころか再来年の事さえ考え込んでしまう平成17年の年末であります。
 
■大きな問題から考えますと、来年は米国の大統領選挙と北京五輪大会が開催されますので、世界全体もアジアもその影響をいろいろと受けると思われます。イラク戦争で開いていしまった中東のパンドラの箱は20世紀初頭まで存在していたオスマントルコ帝国の存在を思い出させ、帝国を解体して山分けにした英仏両国の罪業も思い出させてくれました。ブッシュ父子大統領は、中東に新たな線引きをしようとしているのではないか?と勘ぐれば、イラクの国境線が融解して行く過程が来年も続くような気がします。オスマントルコ帝国が解体した時に強引に作られた「王国」と、作られることなく終わったクルドやパレスチナの国々が現行の国境線を守る側と変更する側に分かれて、それぞれの動きを激しくして行きそうです。

■米国のブッシュ大統領は、サブプライム問題という巨大な地雷を残して政権の座を降ります。否、これは地雷よりも無数の子爆弾を撒き散らす「クラスター爆弾」の方が比喩としては最適でしょうなあ。呆れるほど広範囲に「不発弾」が残るのもそっくりです。その米国を莫大な外貨準備金で支えるチャイナは、問題山積のまま北京五輪を開催します。年末にブット暗殺が起こったパキスタンはもっとも親しい友好国の一つだったというのも、何かを予感させます。

■あまり注目されない事実ですが、今の中華人民共和国はパミール高原でアフガニスタンと短い国境線で接しています。そして、印パ紛争だけが注目されるカシュミールの帰属問題にも介入していて、当該地域の北に聳える崑崙山脈部分を実行支配しているという事実があります。もしも、カシュミールがインドに呑み込まれれば、パキスタンとチャイナは隣国ではなくなりまってインドとチャイナがヒマラヤ山脈の西側で隣り合うことになります。だからこそ、北京政府はチベット地域を絶対に手放さないというわけです。インドの北半分を射程に収めるミサイル基地が国境に近いチベット高原に設置され、それを恐れがインドはミサイル射程の外に産業基盤を逃がそうと、デカン高原南部にバンガロールというIT産業の拠点を建設したという経緯があります。

■そんな印中国境のキナ臭さを消そうと、北京政府はヒマラヤ山脈を舞台にして聖火リレーを行おうと計画しています。既に現地のチベットでは聖なる山を生臭い政治に利用しようとする罰当たりなイベントに対して、無言の反対運動が起こっているとかいないとか……。


2007年12月28日、中国国営テレビの中央テレビ(中国中央電視台、CCTV)が北京五輪専用の「五輪チャンネル」設立を発表する記者会見で……。CCTVの花形アナウンサー、張斌がちょうど壇上で発言しようとした時だった。突然1人の女性が血相を変えて乱入……それは張アナウンサーの妻で北京テレビ(BTV)のアナウンサー、胡紫薇だったのだ!

■BTVは昨年「ダンボール入り肉まん」という天下の大スクープ映像を世界に発信したユニークなテレビ局だったはずです。


「私に1分間だけ時間を下さい!」とマイクを奪い取るや否や、胡アナはこう叫んだ。「夫には『不適切な関係』の女性がいます!2008年、私と夫には皆さんのように良い年は来ません!」……CCTVの副局長など数人の制止を振り切り、涙ながらに続ける胡アナ。夫も近寄って止めようとしたが「下がって!あなたどういうつもりよ!」とついに夫婦バトルか?という勢いにまで発展した。

■「1分間だけ……」発言は、日本のNHK紅白歌合戦で鈴木健二アナウンサーが都はるみさんに歌わせるヤラセ演出で使われましたなあ。「ワン・ミニッツ」は万国共通の演出効果がある一言のようです。日本の政治家も一言の失言で失脚する間抜けな事件が続発しましたが、国民の心には鬱屈した不満と不安が溜まりに溜まっていますから、来年はちょっとした発言が思わぬ過剰反応と連鎖反応が起こりそうな気がします。

虎は檻の中へ その弐

2007-12-27 13:38:13 | 日記・雑学
クリスマスの動物園が、流血の惨劇に見舞われた。閉園間際の午後5時ごろ、カフェでくつろいでいた来園者に、いきなりトラが襲いかかった。最初に襲われた20歳代とみられる男性は、トラに全身をかみつかれて即死状態だったという。トラは続けて2人の男性を襲撃。うち1人の体の上に覆いかぶさっているところを、駆けつけた警官に射殺された。負傷したのは19歳と23歳の男性。……襲ったトラは、4歳のメスのシベリアトラ「タチアナ」で、体重は約160キロ。園内でトラなどの大型ネコ科を飼育する「ライオン・ハウス」には、計4頭のトラが飼育されていた。事件発生直後には、4頭すべてが逃走したとの情報も流れたが、逃げ出したのはタチアナだけだった。

■襲われたのが男性ばかりというのは偶然なのでしょうが、食事中の人間が虎に喰われるとは、何とも皮肉な話です。4歳で160キロならば体長3メートルを越す成獣ではないとも思われますが、狙われたら逃げようはありますまい。「野に虎を放す」という表現もありますが、動物園内に虎を放したら足の遅い人間は餌になってしまいます。大学での銃乱射も怖いですが、動物園での惨劇も恐ろしい米国です。これではますます猛獣のいないディズニーランドに人が集まりそうです。


ライオン・ハウスは園の中央付近にあり、周囲を約4・5メートルの堀に囲まれていた。タチアナがどのように逃げ出したかは不明で、警察が逃走状況などについて捜査している。園の管理者は「タチアナがどうやって逃げ出したかは分からない。オリを飛び越えることは出来なかったはずだ」と語った。……昨年12月22日、女性飼育員が来園者の前でトラにエサを与えるデモンストレーションを行っている最中、いきなり右腕にかみつき、重傷を負わせた。

■もしも素手で餌を与えていたのなら、餌を持っている手も腕も虎から見れば餌の肉と区別は付かないでしょう。虎の牙が届く所に腕を出していたのなら、やはり、この動物園の飼育方法に大きな問題が有りそうです。職員に問題が有るのなら、どんなに立派な施設を作っても事故は起こるでしょうなあ。


この事件後、州当局は園に対し、安全管理を怠ったと行政指導を行い、ライオン・ハウスを半年間閉鎖するよう命じていた。ハウスはその後、約25万ドル(2850万円)をかけて安全対策が施され、今年9月に再開したばかりだった。

■ブッシュ政権のイラク戦争と二重写しになるような後手に廻ったやり方で、慌てて対策を施しても効果が無いというのも似ていますなあ。ブッシュ政権末期に起こった悲劇として記憶されるかも知れません。イラクのフセイン政権を崩壊させるのは猛獣の檻を破壊するようなものだ、と誰かが言っていたような気がします。エジプトのムバラク大統領は「世界中に1000人のビンラディンが現われるだけだ」と言ったのは確かです。


◆過去の主な動物園、サファリパークでの死亡事故 ▼ゾウ 1990年8月、「群馬サファリワールド」で飼育係の男性がアフリカゾウの鼻に巻かれて死亡 ▼トラ 97年8月、「群馬サファリワールド」で車外に出た夫婦がベンガルトラにかまれて死亡 ▼ライオン 03年4月、大分県「九州自然動物公園」で男性職員が放し飼いのライオンにかまれ死亡 ▼ヒグマ 05年10月、静岡県の「富士サファリパーク富士自然動物公園」で、飼育員が頭や左足などをかまれ死亡 ▼トラ 07年12月、インド・アッサム州の動物園で、携帯電話のカメラでベンガルトラを撮影しようと、男性がオリのすき間から手を入れたところを2頭のトラに襲われて死亡
12月27日 スポーツ報知


■自然を甘く見ると大変な事になるという寓話とも考えられます。檻の中で昼寝をしている姿は大きな猫ですが、猫は人為的にペットにするまでは野生の猛獣だったのですから、人間が自然を改造したり支配したりは出来ないという教訓でしょう。考えてみれば、国際社会も猛獣が跋扈するジャングルのようなもので、国際連合などという隙間だらけの檻などは無力だという事も思い出させてくれる事件であります。猛獣使いは餌と鞭を巧みに使い分けつつ、常に警戒を怠らないそうですから、それは外交にも通じる注意点でしょうなあ。


電動リクライニングベッドのマットと木製ヘッドガードの間に首を挟まれ、4歳男児が窒息死する事故……今月9日、愛知県内で起きた。午後2時ごろ、父親が自宅居間のマット下に入りこんだ格好で、首を横向きに挟まれている男児を発見。男児は搬送先の病院で死亡が確認された。ベッドは母親が体調不良時に使用していた。……ベッドは中国製で、縦約2メートル、横約1メートル30。ベッド枠の中央部分から伸縮性があるコード(約160センチ)がのび、リモコンが付いている。「ネオ・ユニバーサル」の商品名で、通信販売会社のベルーナ(埼玉県上尾市)が輸入・販売。男児宅では05年12月、インターネット通販で4万円で購入したという。

■リクライニング型ベッドと壁との間に頸を挟まれてしまった悲劇のようですが、異物に反応して停止するセンサー装置は付けていなかったのでしょうなあ。通常のベッドと同様に、伸ばした時に壁と密着する位置に置かれていたようですから、動き回る幼児が間に入り込む事も予想しておくべきだったのでしょう。たとえ10センチでも壁から離しておけば避けられたかも知れない事故だったかも?そして、誤作動を起こさない製品であれば尚のこと……。


リモコンはマットの昇降ボタンが付いているだけで、電源スイッチはなし。ボタン操作で、上半身と下半身がそれぞれ約45度昇降する。父親によると、これまでリモコンを軽く振るだけでマットが動くことがあった。同センターが男児宅で調査中も、リモコンに触れないのに突然、マットが下がり始めることがあったという。同センターは事故品の提供を受け、原因を詳しく調べる。……ベルーナによると、このベッドは05年4月に販売開始。736台が売れたが、ほかに事故の報告はない。同社は同型商品の販売を中止し、購入者には注意を呼びかける文書を発送した。……
12月27日 毎日新聞

■一時、シンドラー社のエレベーターというのが恐怖の的でしたが、まだメイド・イン・チャイナの昇降機は現われていないようです。「世界の市場」から「世界の工場」へと脱皮しようとしているとも言われる今のチャイナですが、知的所有権どころか「安全」という重要な観念を身に付けるには、まだまだ時間が必要なようです。不景気が続く中で安価な商品に手が伸びるのは仕方がないのでしょうが、命に関わるような物を購入する時には慎重にならなくては……。北京に向かった福田総理が、危ない物を衝動買いして来ないように祈りましょう。クビを挟まれて身動き出来なくなったら大変ですからなあ。4歳の坊やのご冥福を祈りつつ。

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虎は檻の中へ その壱

2007-12-27 13:36:57 | 日記・雑学
■諺に「前門の虎、後門の狼」というのがあります。日本列島の太平洋側を「表日本」、日本海側を「裏日本」と呼ぶことが有りますが、米国が黒船で殴りこんで来るまでは日本海側こそが「表」で九州北部が「玄関」でした。まあ、どちらにしても米中に挟まれている日本の地政学的な位置は変わりませんから、どちらが虎か狼かは分かりません。それに隣で北朝鮮という予防ワクチンを受け付けない狂犬が牙を磨いている事は忘れては行けませんなあ。対米問題ではインド洋から補給艦が引き上げたままですし、北朝鮮の拉致問題は国交正常化が優先で後回しにされそうな気配です。

■虎か狼か?と悩んでいたら、米国の太平洋岸サンフランシスコで動物園の檻から本物の虎が逃げ出す大事件!やっぱり米国が虎なのかなあ?と思ったら、この虎はシベリア原産のウスリー虎!旧満州のハルビン市郊外には牛や羊の生餌を食べるところを見せてくれるチャイナ趣味いっぱいの虎園があります。ロシアのプーチン大統領が対欧米戦略を大幅に変更して強硬姿勢に転じていることも連想させるシベリア虎の暴走事件であります。


中国外交部の秦剛副局長は25日の定例記者会見で、27日から予定されている日本の福田康夫首相の訪中日程を説明し、「今回の訪中は両国関係の一層の改善と安定的な発展のために重要な意義がある」と述べた。……27日に北京入りし、28日に温家宝首相、胡錦濤国家主席、全国人民代表大会の呉邦国常務委員会委員長と相次いで会談した後、北京大学で講演する。29日には温首相と共に民間の日中友好団体の朝食会に出席、北京市内の小学校を視察する。また、温首相の出身地でもある天津市と、儒教の始祖・孔子の出生地として知られる山東省曲阜市を訪れる予定だ。

■相手が作ってくれた行動日程なのでしょうが、上海閥に対抗して天津・北京を権力基盤としている胡錦濤政権らしいメニューとも言えそうです。何となく共産党無いの熾烈な権力争いに翻弄されそうで、「飛んで火に入る夏の虫」という言葉を思い出しますなあ。今年の党大会で決定された中央政治局常務委員9人のうち6人が江沢民派閥で占められ、中でも次期政権を狙うダークホースとして常務委員に就任した54歳の習近平という江沢民の「刺客」が登場した事が話題になっています。あまり胡錦濤だけに得点を挙げさせるようなホイホイ約束をやり過ぎると危ないかも?


秦副局長は「中国は福田首相の訪中を極めて重要視しており、日本側と協力して新たな関係を築きたい」と述べた。東シナ海のガス田開発問題については、「両国間で意見の食い違いがあり、協議を進めるには難しい点もある。中国は一貫して、争議は棚上げして共同開発を行うべきだと主張しており、話し合いで早期解決を図りたい」とした。
12月26日 中国情報局

■「何事も話し合いで」というのは福田総理の口癖でもありますから、既に手の内を読み切られているような気もしますなあ。このガス田問題で使われる「共同開発」という言葉は要注意で、実際に採掘をしようとすると今のチャイナの技術では困難な面が多いのだそうです。つまり、日本の技術(下手をすると資金まで?)を提供して貰ってじゃんじゃん掘りたい放題に掘っておいて、日本が主張している領海内には一歩の入れない、という厚かましい事をやるかも知れないという説がありますぞ。協議を「棚上げ」するというのは、損をするのが目に見えているからとも考えられます。

■日本側としては国際的な司法組織に持ち込んで、暫定的と断った上でさっさと自分達が主張している領域で自慢の技術を駆使しててきぱきと採掘を始めてしまえば良いようなものなのですが……。そんな事をしたら「軍艦を派遣するぞ!」と胡錦濤主席が言ったとか言わないとか。以前の北朝鮮の武装不審船の時のように、海上自衛隊の皆さんに御苦労を掛けるかも知れませんが、少しは緊張状態を作った方が世界の注目も集まって交渉が進展するような気もします。小泉元首相でも出来なかった決断ですから、今の総理では無理なのは百も承知なのですが……。

■とても嫌な予感がする米国での虎騒動です。何だか『動物の謝肉祭』みたいな実に嫌なクリスマスの惨劇であります。


米カリフォルニア州のサンフランシスコ動物園で25日午後5時ごろ、シベリアトラ1頭がオリから逃げ出して来園者を襲い、1人が死亡、2人が負傷した。……トラは来園者の体に覆いかぶさっているところを、現場に駆け付けた警官らに射殺された。このトラは、昨年12月にも飼育員を襲って負傷させており、施設は一時閉鎖されたが、今年9月に再開されたばかりだった。

■クリスマス時期に事故が繰り返されているのは不思議な気もしますが、係員の気が緩む季節的な問題なのでしょうか?福田総理も正月気分での訪中ではないことを祈るばかりです。

祝!スポーツ大賞

2007-12-27 09:36:43 | 日記・雑学
■とうとうホイホイ福田首相御一行様が北京に出発です。小泉政権時代の「負の遺産」が山積みのまま、自民党内では次の総選挙の候補者同士が共食いをしているわ、民主党との大連立構想が表沙汰になって潰れるわ、厚労省と防衛省から吹き上がった炎は延焼中で、予算では「公約違反だ!」と言われないように強引な切り貼り作業で組み上げた予算案は面白くも可笑しくもない内容、薬害肝炎に冒された患者さん達を寒空に立たせて放しにして「カネで解決」しようとすれば、北朝鮮による拉致被害者を絶望させた悪夢が蘇り、ホイホイ福田さんの冷血ぶりが表面化!その効果は覿面で各マスコミが発表した支持率はぎりぎり3割の宙ぶらりん状態と分かったら、今度は一転して「全員一律救済」だと仰る無定見ぶりを披露。
 
■元々、就任当初から「話し合い」と「処方箋」しか言わなかったホイホイ福田さんですから、煎じ詰めれば何事も「先送り」しか出来ない無決断が特徴だった総理大臣ですから、変な期待を持っては行けないのでしょう。所詮は父親の地盤・看板・鞄を押し付けられた長男坊、鞄の中身は票とカネばかりでなくてアジア重視の『福田ドクトリン』というお札も入っていましたから、アジアの盟主を自認している北京政府は熱烈大歓迎!最初から位負け状態の訪中ですから、下手をすると「朝貢外交」そのものを演じさせられる危険がいっぱい!

■伝統的な「朝貢」ならば、僅かばかりの手土産を持って世界に唯一の聖人天子様に拝謁して恭順の姿勢を見せれば「王位」を認定して貰える上に莫大な御下賜物を頂けたのでした。中華人民共和国になってからも、アフリカや東南アジアから昔通りの「朝貢」に訪れてあれこれとプレゼントを貰って帰った王様達が居ましたなあ。どういうわけだか日本政府に押し付けられたのは朝貢ではなくて「謝罪外交」です。朝貢ならば御下賜品の方が多いのですが、「謝罪」となれば何も貰えません。ひたすら援助・支援・協力と熨斗にはいろいろ書いては現金を運び続けねばなりません。

■小泉時代の「喧嘩腰」、安倍時代の「あいまい戦術」、それを引き継ぐホイホイ福田さんは、もう一歩踏み出さざるを得ないでしょうなあ。日本国内でしか通用しない「玉虫色」の作文を長々と読み上げたりすると、勝手に「編集」されて意図的に拡大解釈されたり曲解の実害が出る恐れもあります。既にNHKなどは、今回の訪中目的を「東シナ海のガス田問題」を解決することだと先回りして報道しているようですが、福田父総理の時代からの懸案事項を、息子の代にホイホイ解決などされたらエイライことです。

■訪中前に『日本プロスポーツ大賞』の授賞式がニギニギしく催されたそうで、健康長寿社会を目指しているはずの厚労省が年金制度を食い潰し、薬害被害を繰り返しているのですから、「スポーツどころじゃないだろ!」と腹を立てている国民も多いかも知れませんなあ。ちょっと調べてみると『日本プロスポーツ大賞』は1968年に始まって今年で40回目なのだそうです。総理大臣賞を手渡しているホイホイ福田さんの姿に、福田父総理がどさくさ紛れに創設した『国民栄誉賞』を思い出してしまいましたが、こちらは1977年の創設です。「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えた」人を選んで贈られるのですが、要するにプロ野球の王貞治さんがホームランの世界記録を達成して国民が熱狂しているのに便乗した浅薄な人気取り政策だったのは衆知の事実!授賞の度に恥ずかしいドタバタ劇が起こるのも仕方がないのです。

■それでは『日本プロスポーツ大賞』の総理大臣賞はどうか?と思えば、財団法人日本プロスポーツ協会が制定しているので、露骨にプロスポーツを商売と割り切っていて歴代受賞者を見ても、その年に一番ゼニを稼ぎ出してくれた人が並んでいるようです。問題は「総理大臣賞」の方で、スポーツ関連では大相撲の「総理大臣杯」が有名ですが、政治家が顧問や会長を務めている団体が山ほどありますから、意外?な競技にも贈られているようです。その代表例を挙げますと……。


総理大臣杯競走(競艇)
桜花賞、皐月賞、優駿牝馬、東京優駿、菊花賞(中央競馬)
日本選手権競輪
ものづくり日本大賞
全国花火競技大会
全国ママさんバレーボール大会

■競艇と言えば故笹川良一さんの顔を思い出しますなあ。競馬は元々は軍用の馬を増産する目的で始まった歴史が有りますが、競艇や競輪が公営ギャンブルになった経緯にはいろいろと怪しげな話もあるとも言われていますなあ。「ものづくり」はズバリ!汚職事件を起こした曰く付きの大賞ですし、「花火」だの「ママさんバレー」と並べば、どこかの地方議員が露骨な運動をした結果と想像されます。つまり、「総理大臣賞」というものは大した権威など無いという結論になりそうです。まあ、「国民栄誉賞」よりはマシなのでしょうが……。勿論、今年の浦和レッズの大活躍には大いに敬意を払うべきであります。すっかり日本に定着したサッカーが輝けば輝くほど、旧態依然とした日本プロ野球の地盤沈下が目立ち、米国大リーグの下請け稼業でジリ貧です。

今年の10大ニュース?

2007-12-21 00:49:44 | 日記・雑学
  ■紅白歌合戦が化石となっているのを民放テレビは陰湿に笑っているようですが、新聞社との系列関係の影響でもありましょうが、調子に乗って「今年の10大ニュース」を各局が放送ネタにしているようです。清水寺のお坊さんが書いて下さった今年の一文字が「偽」だったことから、姉歯問題の後始末に続いて起こった食品表示偽装問題を、得意の映像記録を編集して大々的に放送するのでしょうが、ちょっと待って頂きたい!

■「偽」という大きな漢字を他でもないテレビ画面で目にしたら、フジテレビ系列の『あるある』ウソ番組や、日本テレビ出身の軽薄さが売りの福澤とかいう方が命を懸けているTBSテレビが正にテレビが偽装したハニカミ王子の骨までしゃぶろうと、昼に放送しているワイドショーで公式のゴルフ試合で「盗聴」未遂事件を起こしたこと。さらに同じTBSが放送している『朝、ズパッ!』という日本語を破壊してしまった題名の番組で、不二家製菓の表示偽装に関して過剰な演出と司会者の暴言が発せられたこと。

■トドメは自称1000万の発行部数を誇示している讀賣新聞の「主筆」が民主主義を踏みにじる政界裏工作を嬉々として仕掛けた揚句に大失敗した大事件が起こっています。こうした事件が一つも含まれない「今年の10大ニュース」など無意味でしょうなあ。もしかしたら、今年がテレビ時代の終わりの始まりになるかも知れないのに……。厚労省や防衛省が反省していない!などと大きな声で放送すればするほど、視聴者は馬鹿馬鹿しくなって他局も含めてテレビを観なくなりますぞ!NHKと抱き合い心中か?


政府が未確認飛行物体(UFO)について「存在を確認していない」とする答弁書を閣議決定したことをめぐり、政府・与党内の反響が収まっていない。石破防衛相は20日の記者会見で「ゴジラがやってきたら災害派遣だが、UFO襲来だとどうか」と述べ、自衛隊によるUFO対処のあり方を問題提起した。石破氏は「UFOは『外国』というカテゴリーに入らないので領空侵犯とするのは難しい。攻撃してくれば、防衛出動になるが、『仲良くしよう』と言ってきたら我が国への武力攻撃にならない」との見方を披露。「(UFOが)存在しないと断定する根拠がない以上、私自身どうなるか考えたい」と語った。
12月20日 読売新聞

■事の発端は暇な民主党議員が国会内の某委員会で質問したことのようですが、馬鹿馬鹿しい質問は腐るほど飛び出すのが悲しいことながら民主主義の議会というものです。それを取捨選択するのがジャーナリストの重責というもので……。考えてみれば、気が付いたら800兆円の大借金を背負ってしまい、少子高齢化と格差社会に苦しんでいる現状も、決してジャーナリストのお仕事とは無関係ではありません。知っているのに報道せず、知らねばならない大問題の芽を見過ごし続けた結果が今の日本かも知れないのですからなあ。「今年の10大ニュース」の裏側で、「今年の10大トンデモ報道」などを誰かが企画したら、さぞや面白いでしょう。これを10年間のスパンでまとめたら、実に興味深い記録になりそうです。勿論、戦争を挟んだ100年間で発表したら、翌日から駅売りの新聞は在庫の山?

■UFOというのは、「空中に浮いている正体不明の物体」のことですから、言葉の上では直接「宇宙人の乗り物」という意味にはなりません。気象現象の錯覚や、それこそ人騒がせな偽造映像も多く、少なくとも現在の日本が抱える防衛問題を差し置いて、貴重なニュースの時間を占拠して報道するような話ではありません。サービス精神旺盛の、プラモデル大好きの「兵器オタク」などと陰口を叩かれる石破さんですから、戦後の日本が防衛の名目でどれほどの税金を無駄に使って来たのか?省に昇格した防衛省の人事と人材は世界に通用するのか?などなど、一人ではとても背負い切れない大問題を担当しなければならない立場に追い込まれてしまっているのですから、ゴジラやモスラの話で息抜きするのも結構でしょう。しかし、電波映像による報道を観ますと、記者達が焚き付けて石破さんの軽口を引き出しているのは明らかです。

■資質に恵まれた政治家の不在を嘆く前に、戦後ジャーナリズムの伝統を引き継いでいる今の日本マスコミを凝視した方が良いかも知れません。勿論、既にテレビや新聞を相手にしない人達が増えている現実を踏まえてのお話です。最近、終(敗)戦以前の映画作品をDVDで楽しめるようになったのは御同慶の至りですなあ。

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お金の有るところ 其の参

2007-11-29 17:33:29 | 日記・雑学
浄土宗(総本山・知恩院、京都市東山区)の資金約1億4700万円を着服したとして、京都府警捜査2課は29日、業務上横領の疑いで、同府城陽市富野、元宗務庁財務局課長補佐、桑生義文容疑者(52)=懲戒解雇=を逮捕した。宗務庁は計約7億4500万円を着服したとして告訴しており、府警は全容解明に向け裏付けを進める。……平成15年1月から16年9月にかけ、僧侶が加入する共済会の積立金約1億4700万円を銀行口座から引き出し、着服した疑い。

■税制の問題には「坊主丸儲け」という酷い話も入っているのですが、宗教法人の非課税問題は消費税よりも前に議論すべき事かも知れません。ただ、連立与党の面子に若干の障害があるようですが……。法然さんを開祖とする浄土宗は、極楽往生を説く阿弥陀様への絶対的信仰が特徴ですから、たとえその源が中央アジアのミトラ信仰という仏教とは無縁の象徴だったとしても、他力本願の教えは釈尊の「諸行無常」「諸法無我」に通じるものがあります。阿弥陀様の前に全存在を投げ出して運命を預ける信仰のはず……。でもお坊さん達の「共済会」は必要のようです。まさか、桑生容疑者は阿弥陀様に頼って先物取引をしていたわけでもないのでしょうなあ。


……着服した資金は原油や大豆の商品先物取引などに使ったという。桑生容疑者は8年から会計担当者として口座の通帳や印鑑を管理していたが、18年春の異動に伴う引き継ぎの過程で着服が発覚。浄土宗は同年7月に桑生容疑者を懲戒解雇するとともに刑事告訴し、12月には教団トップだった水谷幸正宗務総長が引責辞任した。……
11月29日 産経新聞

■すべての衆生を救って下さる慈悲の塊のような阿弥陀様を信仰していれば、極楽浄土間違いなし!のはずなのですが、やっぱり「地獄の沙汰もカネ次第」というのも真理なのでしょうか?桑生容疑者が儲けたカネで巨大な阿弥陀像やら寺院を建立するつもりだったら、許して……やっぱり貰えないでしょうなあ。それにしましても、7億円以上ものカネが消えてしまっても気が付かないとは、周囲には世俗の欲望を超越した人々ばかりが集まっていたという事なのでしょうか?


埼玉や栃木など関東4県で空き巣を繰り返した疑いが強まったとして、埼玉、栃木両県警の合同捜査班は29日、栃木県小山市に住む中国籍の男3人、女1人の計4人を窃盗容疑で逮捕する方針を固めた。逮捕状を取って任意同行し、取り調べを始めた。容疑が固まり次第逮捕する。4人は今年2月ごろから少なくとも300件の空き巣に入り、被害総額は約2億5000万円に上るとみられる。窃盗団は敷地が広い留守宅を主に狙っていたとみられ、両県警は組織的で大胆な手口と被害の全容解明を進める。

■300件で2億5000万円なら、単純計算で1件80万円強という事になりますかな?4人で山分けすると1人20万ちょっとになります。割のよい仕事と言えなくもないのが問題ですなあ。


調べでは、4人は今月上旬、茨城県筑西市の会社役員の女性方に侵入し、指輪など貴金属類70点以上(時価総額約4000万円相当)を盗んだ疑いが持たれている。貴金属が入った金庫ごと持ち去り、近くの山林でこじ開けて取り出し、金庫は池に捨てたという。4人は栃木県のマンションを拠点に茨城、群馬、埼玉へ車で移動し、男2人が空き巣に入り、別の男1人は見張り役、女は運転手……夜間に留守の一軒家を狙い、ドライバーで窓を破るなどして侵入……他にも1度に1000万円以上の貴金属類や現金が盗まれた被害を複数確認しており、4人は敷地の広い大きな家を狙って空き巣に入っていた可能性が高いとみている。
11月29日 毎日新聞

■チャイナに比べれば日本の金持ちの家など裸も同然でしょう。出入り口には3個以上の錠前とバーナーでなければ切れない太い鎖、窓には頑丈な鉄格子、塀の上にはガラス片や尖った鉄棒などを埋め込み、凶暴な犬を放し飼いにして屈強の番人を配置。大金持ちになれば政府から許可を取って拳銃を所持したガードマンも雇えるようですからなあ。嫌な世の中になってしまった、と溜息が出て来ますが、世界の大金持ちの皆さんは、もっと大金持ちになろうと思って競って原油や食糧品を買い漁り、投資する元手のない庶民を苦しめておりますから、質素倹約を旨として○○商戦などには乗せられずに地味で大人しい年末年始を送るしかないようです。返せる当てのない借金をしたり、他人のカネを巻き上げて使っても楽しい事はないんだと、改めて肝に銘じて暮らしたいものでございますなあ。


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お金の有るところ 其の弐

2007-11-29 17:33:01 | 日記・雑学
■このニュースには続報があります。

……現行犯逮捕された無職南沢聡容疑者(43)が、下着1枚で押し入った理由について「酒を飲み、暑かったから」と供述していることが27日、分かった。……8月に刑務所を出所。同市西成区の簡易宿泊所を転々とし、ホームレスのような生活をしていた。事件の2日前に包丁やかつらを購入。当日は酒を飲み、自転車を用意して強盗に入った。南沢容疑者は当時、上半身裸で、かつらや帽子を着けていた。
11月27日 時事通信

■酒代と顔を隠す道具と刃物は買えたわけですなあ。この寒空に裸になりたいほど酒を飲むのなら、ちょっと考えた方が良かったでしょうに!逮捕に御協力頂き負傷された皆様の勇気に敬意を表するとともに、一日も早い御快癒をお祈り申し上げます。犯人の南沢さんは懲役になるのでしょうが、刑務所内でもパンツ一丁の刑にしたら、やっぱり人権問題なのでしょうなあ。さてさて、徐々に金額が増えて来ます。


在コートジボワール日本大使館員が在職時、小切手など260万円相当を横領したとして、警視庁捜査2課は18日、業務上横領容疑で、同大使館の2等書記官で会計担当者だった酒井悟容疑者(47)=東京都品川区、懲戒免職=を逮捕した。容疑を認めているという。……18年8~9月、大使館員の出張に使う航空券購入のための小切手を着服したり、フランス国内の銀行で勝手に換金したりして、計260万円相当を横領した疑い。

■外務省キャリアなら、海外勤務を数年すれば莫大な手当てを貰えて帰国したら家が建つのだそうです。「国の威信を示す」という名目で書画骨董などの美術品や銘酒を掻き集めておいて、それが行方不明になっている案件も多いとか……。2等書記官ぐらいで小銭?に手を出さずに我慢していればよいのに、と省内で話題になっていたりするのでしょうなあ。でも、キャリアでないと牛馬の如く扱われるとの嫌な噂も……。


コートジボワールは当時、政情不安のため大使館員はフランス国内で勤務。酒井容疑者は換金した金をパリのカジノなどで使っていたという。外務省は8月、酒井容疑者が同大使館と前任のマダガスカル大使館在任中に計1590万円が不明になったとして懲戒免職処分とし、警視庁に告発していた。
10月18日 産経ニュース

■年金保険料と同じく、ツカミ金と勘違いされるようなカネがごろごろしている様子であります。「パリのカジノ」で遊んでいたのなら、被害額は遥かに大きなものだった可能性も有りますなあ。とうとう話は一千万円台に乗りました。


取引相手から集金した額面4300万円の小切手を着服したとして、警視庁捜査2課は26日、業務上横領の疑いで、物流サービス「山九」の元社員、杉本和仁容疑者(33)=東京都東大和市=を逮捕した。容疑を認めており、着服した金は海外旅行や飲食に使ったという。……営業担当として勤務していた平成18年12月下旬から19年7月上旬までの間、担当していた衣料品輸入販売会社(新宿区)から航空貨物などの通関作業代金として集金した小切手6枚、額面合計4300万円を自分の口座に入金し、着服した疑い。衣料品輸入販売会社から代金が入金されていないことを不審に思った山九が社内調査をし、横領が発覚。……19年7月に杉本容疑者を懲戒解雇処分にするとともに、警視庁に刑事告訴していた。
11月26日 産経ニュース

■緊急に「海外旅行や飲食」の費用が必要だったのでしょうか?穴埋め偽装工作もせずに着服して遊んでいたとすると、「事件の陰にはオンナあり」という事も考えられますぞ。貢いで貰ったオネエちゃんは善意の第三者ですから、「ごちそうさまあ。楽しかったわ」でオシマイです。それにしましても4000万円で何処に行って何を食ったのでしょうなあ?さて、あとの2件は大物ですぞ!

お金の有るところ 其の壱

2007-11-29 17:32:31 | 日記・雑学
■守屋前事務次官の夫婦が収賄容疑で逮捕されまして、その容疑が数百万円分の国内旅行接待だったとか……。ゴルフ接待だの、焼肉、マージャン、娘の留学、奥様の贅沢品、奥様の手下との飲み食い、ついでに1億数千万円の豪邸だのと、世の中にはお金の有るところには余るほど有るもののようです。税金を抜き取って酒池肉林を楽しんでいられる神経も凄まじいものがありますが、手段を選ばず人様の金に手を出す輩が増える年末でもありますなあ。

■身内の犯行という最悪の結果になってしまった四国坂出市の祖母孫殺人事件も、漏れ聞くところでは200万ほどの借財が怨恨の源になったとか……。


国民年金保険料や固定資産税など計約120万円を横領したとして、警視庁日野署は7日、業務上横領の疑いで、東京都日野市の女性元職員(56)=同多摩市=を東京地検八王子支部に書類送検した。容疑を認めており、着服した金は自宅のローンの返済や生活費に使ったという。……日野市役所で納税などを担当していた平成12年10月上旬から12月中旬の間、窓口で37回にわたって、受け取った国民年金保険料10万円など計約120万円を着服した疑い。元職員は全額を弁済。同市は13年1月に元職員を懲戒免職処分としたが刑事告発はしておらず、社保庁や自治体への批判の高まりを受けて、今年10月4日に告発した。……
11月8日 産経ニュース

■これこそ「氷山の一角」で、厚労大臣が「盗ッ人」と呼んだ悪い奴が日本中で息を潜めているとかいないとか……。「牢屋にぶち込む」などと威勢のよい事を言っていた舛添大臣でしたが、時効と役人の団結の前に敗北の模様です。安倍首相が声を嗄らしてお約束していた宙に浮いた年金保険料もどうなる事やら……。ちょっと前までは市役所などの窓口に直接年金保険料を払い国民はカモ扱いされ、受け取る方は「お小遣」だと思っていたようですから、時効の壁を取り払って被害総額を集計したら大変な金額になるかも?


大阪市中央区の大阪南船場一郵便局に男が押し入り現金約140万円を奪って逃走、通行人や局員が刺された事件で、強盗の現行犯で逮捕された住所不定、無職、南澤聡容疑者(43)が逮捕時、所持金が全くなかったことが27日、府警捜査1課などの調べで分かった。南澤容疑者は「刑務所を出た後、西成でホームレスをしていた」と供述……果物ナイフと包丁を持って犯行に及んでいたが、それぞれの柄には粘着テープが巻かれていたことも判明。着衣は、下着のパンツだけを身につける異様な格好だったが、顔はマスクやサングラスで覆面をするなど、周到に計画した犯行だった可能性もあるとみている。

■最近流行の「そんなのカンケイねえ」と叫ぶ小島某の真似かと日本中が笑ってしまった強盗は、年越し用の資金を求めて犯行に及んだそうです。街角の郵便局はやっぱり日本一のネットワークを誇る便利な場所に建っているのでしょうが、銀行も地元の一等地に建っているのですから、郵便局が狙われる原因をしっかり考えねばなりませんなあ。見よう見真似で始めた金融商品は、実は元本割れ続出で大赤字との噂もあるのに、手軽?に強盗をやろうと思ったら取り合えずビールならぬ、郵便局なのでしょうか?


南澤容疑者は平成16年8月に強盗未遂や銃刀法違反容疑などで逮捕され、同年10月に懲役3年の実刑判決を受けて服役……犯行当時、グレーのボクサータイプのパンツだけを身につけ上半身裸で、スリッパを履いていた。マスクとサングラスで顔を隠し、長髪を束ねたかつらの上にキャップで変装。ウエストポーチとポリ袋を持参し、奪った金はウエストポーチに入れ、逃走の際にポリ袋を振り回していたという。
11月27日 産経新聞

■カツラとキャップ、マスクとサングラス、頭部には結構なカネを掛けているのにその下はパンツ一丁でスリッパ、というのは犯行準備の段階で上から整えている間に資金が底を突き、「そんなのカンケーねえ」と見切り発車してしまったのかも知れません。でも、こんなに目立つ姿で逃走できるわけもなく、ほとんど自爆覚悟の愚かな犯行でしたなあ。笑われて逮捕されるのは個人の問題ですが、無駄な抵抗どころか大きな迷惑を御通行中の皆様に掛けたのは大問題!強盗未遂と銃刀法違反などという物騒な罪を犯した者を、3年間で更正させられるのでしょうか?「そんなのカンケーねえ」と言ってはいられませんなあ。

問題の整理の入り口 

2007-11-26 11:26:50 | 日記・雑学
■このところ、国の内外ともに訳の分からない混乱が続いていますが、どれこもこれも脈絡も無く報道されているので、頭の中を整理するのが大変です。妙な「予測」を先行させて無責任な「推理」を楽しむのは非常に危険でしょうなあ。何よりも重要性のランキングがまったく分からない「大事件」が続出しているのが困ります。長い眼で見れば環境問題に関わる「京都議定書」の後始末についてじっくり考えねばなりないでしょうし、政治家や評論家が気軽に使いすぎる「歳出見直し」の本気度を試すには恰好の大問題になっている「防衛費」というパンドラの箱が開きかけているのですから、成長路線VS増税路線などという気忙しい対立構造に仕立てあげる前に、防衛庁時代からの天文学的な「無駄遣い」の全貌を明らかにして、本当の「歳出カット」を実現して見せて貰わないと、次の総選挙でどこの政党を指示するかが決められません。
 
■そんな大仕事をするより、怪しい(退職した)役人を国会に引っ張り出して、テレビとラジオを利用した選挙運動でしかない「証人喚問」で時間と予算を食い潰している方が、野党としては気楽なのでしょうなあ。今頃になって『テロ特措法』の立法理念自体に反対する小沢民主党は、「生活第一」を公約にしているのは奇妙な話です。防衛省の闇の利権を生み育てたのが金丸信という人で、その一番弟子として利権を引き継いでいたのは小沢さんだとも言われていますから、『テロ特措法』の前に防衛省スキャンダルを解決する!と張り切っている民主党は自分の親分の頸に刃物をあてがっているようにも見えますなあ。
 
■長い間、「憲法9条」を便利に使って来た日本の野党勢力は、防衛問題に関して勉強しなくても良い特権的な地位を確保していました。国民の生命と財産を守る自衛権を語れなくても政治家が務まるのですから、日本の野党議員は世界でも珍しい「不労所得」を得ていられる気楽な稼業をしています。大きな「憲法」を振り回していれば、個別具体的な「防衛費」を詳しく研究する努力は必要ありませんからなあ。マスコミは守屋さんが受けた接待の内容に焦点を当てて、毎度お馴染みの物欲しそうな糾弾を始めようとしたようですが、それほど大きな反応は起こっていないようです。防衛問題をあれこれと語ったり考えたりするのを、一方では忌み嫌い、また一方では呑気に油断して怠けていた習慣が染み付いているからでしょうなあ。

■オウム真理教による史上初の都市型テロを経験し、現役の法務大臣が国内にアルカーイダが徘徊しているぞ!と公言しているというのに、テロ対策と「復興支援」がごちゃまぜになってしまうのが日本の頭脳構造のようです。何事かが目の前で起こらないと反応しないのは、日本人に限った事ではないのでしょうが……。あれこれと奇妙な事が起こるのは、米国大統領の任期が間も無く切れるという時期的な問題が最も大きく、日本に何の特徴も無いのが特徴という変な総理大臣が出て来たというのが、第二の原因のような気がします。

■守屋スキャンダルを時系列に従って事実関係を検証しなければ、と思ってはいますが材料となる事実が今でも小出しに報道される状況では、実のある検証は不可能のようです。しかし、その入り口を探しておくのは決して無駄な作業ではないでしょう。ここで1月前の記事を取り上げてみます。


インド洋での海上自衛隊の補給活動継続のための新テロ対策特別措置法案は23日、衆院本会議で審議入りしたが、イラク作戦への転用疑惑や守屋武昌前防衛事務次官(63)と防衛商社元幹部の癒着問題などが表面化し、行く手には暗雲がたれ込んでいる。……

■10月23日に国家審議が始まっていた!と今更ながら驚いてしまいます。安部首相が参議院選挙の大敗を認めても辞任しなかったのに、『テロ特措法』延長問題が暗礁に乗り上げたと見るや、一夜にして辞意を決めた事を思い出しますと、この1ヶ月の空白は何だろう?と改めて感じますなあ。


……海自は現テロ特措法の失効に伴い、11月に撤収する。石破茂防衛相(50)は20日夜、都内での討論会で「(補給活動を)中断したら、突然何らかの不利益が出るとは考えにくい。だが、1カ月、半年、1年でじわじわと(不利益が)出てくる。オペレーションが大事であればどこかの国が補う」と述べた。

■国会審議が始まってから丁度一ヵ月後の11月23日、補給艦「ときわ」(8150トン、菅原貞真艦長、乗員約140人)が東京湾に戻りました。一足先に護衛艦「きりさめ」(4550トン)は22日に母港の佐世保基地に帰って来ていました。本当にご苦労様でありました。


……イラク派遣陸自先遣隊長で「ひげの佐藤」として知られる佐藤正久・現自民党参院議員(47)は、次のように指摘する。
 「もし中国海軍がこの時とばかりに、海自に代わってインド洋でプレゼンスを示そうとしたらどうなる」
 中国海軍が「テロとの戦い」に新たに参加すれば、
(1)中国海軍がインド洋を大手を振って動き回れるため、中東・アフリカ原油輸入のシーレーン確保につながる
(2)日米両国の離間策となる
(3)2008年北京五輪、2010年上海万博をひかえ、欧米との関係安定化に寄与する-といった利益が中国にあると、佐藤氏はみる。(1)と(2)はそのまま日本の国益を損なうものだ。中国の補給艦派遣は「給油方式が異なるため可能性は高くない」(佐藤氏)と分かった。ただ中国海軍が、海自撤収で各国艦船の行動範囲が粗くなるのを見越してパトロールに手を挙げたらどうだろうか。佐藤氏は「派遣は中国とイスラム、中央アジア、ロシアとの関係など他の要因もあって一概に言えないが、国際社会にはライバルがいるとの発想がわが国には欠けている」と語る。……

■杞憂であってくれれば結構なのですが、中国のミサイル駆逐艦「深セン」は、既に日本への親善訪問のため21日の午前、広東省の湛江港を出航しています。28日には東京港に入って12月1日まで滞在するのだそうです。御丁寧にも自民党と公明党の訪中団が22日に北京に出向いていますなあ。人民大会で新たに発足した新体制で、次期国家主席候補として注目されている中国共産党中央書記局の習近平書記(政治局常務委員)と会見したそうですから、谷垣禎一自民党政調会長さんや、斉藤鉄夫公明党政調会長さんは大いに興奮したことでありましょうなあ。谷垣さんは胡錦濤国家主席に「早く日本に来てね」という福田首相の御手紙を持っていたのだそうです。

■善隣外交は良いことですが、万一、日本の補給艦を中国人民解放軍の軍艦が「インド洋で護衛してあげるよ」とでも言われたらどうしましょう?国会の中には「まことに有り難いお話です」と言い出しそうな人がいそうですなあ。


……安倍氏は8月中に衆院でテロ対策特別措置法改正案を可決、参院へ送付させればよかったのだ。衆院で3分の2以上ある与党は、憲法59条の60日ルールによって、野党が参院で抵抗しても、派遣期限が切れる11月1日以前に改正案を衆院で再議決し、活動は継続できた。なぜ安倍氏はこの憲法上の仕組みを利用しなかったのか。安倍氏は9月に「職を賭(と)す」と語ったが、チャンスを自ら放棄してからの発言だった。

■こうした視点は非常に重要です。安倍さんは「美しい日本」の国造りを実現するために留任したはずでしたが、実際は対テロ戦争に協力する事が最優先課題だったのか?!と辞任した時に判明したのでした。つまり「美しい日本」=「米国に気に入られる日本」だったわけですなあ。


安倍氏や当時の麻生太郎外相、小池百合子防衛相は8月、延期すれば済む外遊や、人事問題で貴重な日々をムダに費やした。当時の所管閣僚だった麻生、小池両氏、塩崎恭久官房長官は、なぜ安倍氏に「外遊も内閣改造も後回し。最優先で8月中に法案を通そう」と決断させなかったのか、不思議でならない。当時の中川秀直幹事長、中川昭一政調会長、二階俊博国対委員長ら自民党執行部も同様だ。これが保守政治の劣化を示すものでなければ幸いだ。……
2007年10月25日 産経ニュース

■あれこれと手を広げて拙速に独自色を出そうとした安部政権は、「小泉改革の継続」と「小泉改革の後始末」との二兎を追って国内で迷走し、「対話と圧力」の対北朝鮮政策が行き詰まり、対米政策と対北京政策との調整が出来ず、何が何やら分からないまま、玩具箱をひっくり返したままで、総理の晋ちゃんは家に帰ってしまったとさ……。次に総理になった福田さんは、晋ちゃんが遊んでいた玩具は全部嫌いらしく、自分の玩具箱を持って来たようなのですが、なかなか中身を見せてくれません。本当は中身が空っぽなのじゃないか?とお友達は疑い始めているそうです。

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巨星墜つ

2007-11-13 23:31:04 | 日記・雑学
■『三丁目の夕陽』という、原作はひどくクセのあるマンガがCG山盛りの映画になって、自分が生まれた頃を楽しそうに演じる俳優の情熱も手伝って、続編まで作られています。大雑把に言えば、昭和20年代は国家が消滅した「敗戦」という地獄の中で、日本人は凄まじいサバイバル闘争を強いられたと言えるでしょうし、昭和30年代はそろそろ「戦争を忘れられるかも知れない」と思える熱気が日本中を包んでいたとも言えるでしょう。でも、それに続く40年代は、世の中が落ち着くのに合わせて、気が付いたらしっかりとあれこれと「区別」が出来ていたようです。その典型が日本の野球文化で、極々最近でも「永久に不滅」の巨人を弄繰り回した老人が、「日本が滅びる!」と心配して政界を弄繰り回そうとしましたなあ。
 
■「野球は巨人!司会は巨泉!」と叫び続けて日本テレビで大活躍した大橋巨泉さんは民主党議員を「半年だけ」務めて政界引退したのを覚えている人も居ないような状態です。大きく時代が折れ曲がり、本当に先が見えなくなっている事を思い知る毎日ですが、とうとう、昭和30年代に出現した「神様・仏様」が天に召されました。


昔の日本シリーズは結構変則日程で、1958年の巨人-西鉄戦の5戦目と6戦目は2日あいていた。4戦目も雨で1日流れている。連投続きの稲尾和久にはありがたい休みで、第6戦に完封勝ちし、3連勝で五分に戻した。6戦中、先発4、救援1の5試合38回を投げた鉄腕を、三原脩監督は宿舎の自室に呼んだ。稲尾によると、相応の小遣いをくれた三原は「今夜は羽を伸ばしてくるといいよ」と言ったという。当然お役御免ととり、朝帰りした。第7戦の試合前、後楽園球場でのんびり体慣らしをしていた稲尾を、三原はベンチの隅に引っ張っていった。「もう一つ頼むよ」……

■高校野球という現代の青い「コロシアム」なら、あれこれとタブーが有って、変な「武士道」理屈で青少年の心身をぼろぼろにしても国民は文句の一つも言いませんが、大人が職業としているプロ野球の世界ですから、これは今なら立派な「パワハラ」でしょう。「朝帰り」するまで休養と体のメンテナンスをしているはずはないので、稲尾さんと三原さんの関係は史上初の戦闘機に爆弾を抱かせて自爆する特別攻撃を行った「大西中将と関大尉」との関係に重なります。米国の大リーグなら「弁護士を呼ぶ!」の騒ぎになるのに、当時の日本人は違っていたのでした。


「どうすんじゃ、とあわてたよ」といいながら6-1で完投勝ちし、3連覇を果たした。「神様、仏様、稲尾様」の誕生である。頑健に生まれついた。小さな船で漁師をしていた父親に連れられ、子供のころから舟をこいでいたのもプラスした。拾われるように入った西鉄では、来る日も来る日もバッティング投手。すごいところは、3球に1球は内外角の高低ぎりぎりに投げ、自分の練習にしたこと。中学時代から、風呂では水をかいて手首を強くしていたことなどを合わせると、頭もよかったといえる。

■これは産経の記事ですが、「舟を漕いでいた」事実を軽く扱っている点が不満ですなあ。「……もプラス」ではなくて、小船を操る苦労の中から抜群のバランス感覚を養っていたのです。勿論、プレジャー・ボートだの「体験学習」などではありません。おそらく、水揚げが少ない時には怖い親父の鉄拳も飛んだでしょうし、獲物を狙う一点に集中する神経も鍛えられたはずです。元々、すべてのスポーツの動きは、追い詰められた「人間の営み」を原型としています。暇な羊番が小石を杖で叩いていたのが発祥だと言われるゴルフにしても、その杖は狼除けにもなるし羊の群をコントロールするための武器でした。そして、幸運にも羊の群が無事に草を食んでいる時にも群から離れない工夫として足元の小石を利用したのですから、これも命懸けの工夫です。チベットの牧民なら無数の民謡を唄ったり、聞き覚えた面白い話を反芻したりするようですが……。

■そう言えば、わざわざチベット地域で「高地トレーニング」をするアスリートも多くなりましたなあ。現地のガキンチョは同じ場所で走ったり投げたり、実に元気なものです。付き合っているとこちらの心臓が爆発してしまいますぞ。


つま先立ちで、上から投げるフォームは柔らかい理想形そのもの。ストレートは速く、握りもひじの使い方もまったく逆のスライダー、シュートが決め球だった。これも本人の話だが、ある日、マウンドで遊撃を守る豊田の叫び声を聞いた。ハッとして捕手を見ると、足元を指さしている。見るとボールが転がっている。「疲れて一瞬眠ってたんだな」

■「FA制度」だの、大問題になった高校の特待生制度だの、結局は銭カネの問題だろう?と言われてしまえば元も子もなくなる話ですが、昭和30年代の日本は「食えるのなら」何でも良かったのです。写真週刊誌も無かったし、ネタ不足で悩むテレビのワイドショーも無かったのです。野球選手は野球に命を懸けるし、相撲取りは相撲の取組みに集中していた時代だったのでしょうなあ。不思議なことに、昭和30年代の文化には「老い」という要素はまったく有りませんでした。戦死した人が多かったし、追放されたり謹慎したりした先輩が多かったからかも知れませんなあ。何はともあれ、妙に若々しかった時代だったのは確かで、プロ野球選手も力道山も、決して老人にはならない!と誰もが信じていたような気がします。


別の日の試合前、ひどい二日酔いでグラウンドに出ると、三原が近づいてきた。においで分かるので風下にいくと、三原も風下に立とうとする。話しながら風下の奪い合いをして、気が付くと外野のポールの所にいた。
11月13日 産経ニュース

■稲尾さんは、間違いなく日本野球史に巨大な数頁を残した巨人です。でも、活躍したのが「パ・リーグ」で、伝説の日本シリーズも相手が巨人でしたから、翌年にトンデモ映画に数えられるような映画が制作されただけで、その後の世代にメッセージが伝わるような漫画雑誌やアニメ作品の題材にはならなかったのでした。人に語れるほどの野球に関する知識は有りませんが、梶原一騎さんが作り出した昭和後期の若者文化の大きさを考えながら、稲尾さんの対極に江川クンが居るような気がしてなりません。それぞれが時代の流れに乗っただけのことなのですが……。それにしても、本当に「我が巨人軍は永久に不滅」なのでしょうか?巨人軍よりも、稲尾さんの名前が長く残った方が日本の野球文化に益するところが多いのではないでしょうか?

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カリフォルニアとバグダッド 其の弐

2007-10-25 23:41:45 | 日記・雑学

25日付米紙ワシントン・ポストは、複数の米政府高官の話として、ブッシュ政権が同日、イランの精鋭部隊「革命防衛隊」などを対象に新たな制裁を発動すると報じた。発動されれば、米国が他国の軍隊に制裁を科す初のケースとなる。……革命防衛隊と同隊の在外機関アルクッズ部隊は、大量破壊兵器を拡散しているほか、イスラム教シーア派組織ヒズボラやイスラム原理主義組織ハマスなどのテロ組織に武器の供与や訓練を行っているとして、米国内の資産が凍結され、米国企業は取引が禁止される。制裁はライス国務長官とポールソン財務長官が共同発表する予定という。また、核開発にかかわる民間人や軍当局者のリストも公表され、同様の制裁措置が科せられるほか、イラン国防省や防衛産業を制裁対象にする手続きも始めるという。
10月25日 読売新聞

■サダム・フセインという留め金・瓶の栓が消えて無くなったら、旧イラク内部から、そして外部から、単純なブッシュ政権になど想像も出来ない数百年もの時間が育てた複雑怪奇なネットワークが復活するのは分かりきっていた事でした。イラク戦争直前、エジプトのムバラク大統領は「攻撃によって1000人のビン・ラディンが誕生する!」と、非常に分かり易い警告を発していた事を覚えている人は少ないのかも知れません。北からクルド、スンナ派、シーア派ときれいに色分けされているイラクの形を、曲がりなりにも保っていたフセイン体制が吹き飛べば、ブッシュ政権やNATOが前提にしている「国境」が消失するという単純な事実を忘れた粗忽者が、やっては行けない事をやってしまった結果が、イラク国外ばかりでなく、国内にも戦争難民があふれる現状を生み出してしまいましたなあ。

■「次はイランだ!」と、本気なのか冗談の続きなのかは知りませんが、ブッシュ大統領は自分の間違いを認めずに「毒を喰らわば皿までも!」と、正気に戻る退路を断って、北朝鮮との国交などというイタチの最後ッ屁をひり出そうと熱心なようです。尾篭(びろう)な話ですが、表現と趣味の自由が保証されている日本には、『屁燃す会』なる呑気なサークルが存在するらしい……。まさか、サンタアナの風に煽られているカリフォルニアの炎が、ブッシュ政権の最後ッ屁に馬鹿者が放火した種火が引火したわけでもないのでしょうが、ちょっとそんな想像もしたくなるタイミングです。

■一昨年は地元のテキサス州の製油所がハリケーンで壊滅……と報道されたものの、元々設備が老朽化している事が判明し、昨年はニューオリンズ市街が水没し、外国で戦争をやっている場合なのか?と世界中が心配した歪な米国ですが、とうとう地球温暖化を遠因とする大火事に「非常事態宣言」が出ています。冷戦に勝利した世界最大にして唯一の軍事大国、経済力も世界一だし、文化も政治も指導しているのは自分達だ!と思っている米国ですから、世界に向かって山火事がらみで救援をお願いするわけには行きません。単なる米国内の野球試合が、どうして「ワールド・シリーズ」なのか?などと考える日本人は少ないらしく、皆様のNHKでさえ?普通地上波で生中継しているとか……。「日本人対決!」などと騒いでいるのは日本だけですから、どっちのチームが「世界一」になったにせよ、それで日本の野球全体が見直されることにはなりません。中南米から必死でのし上って来た選手と、松井君も松坂君もイチロー君も、大した違いはないと考えるのが米国という国でしょう。

■「他山の石」などと贅沢は言いませんが、少なくとも皆様のNHKは、「ワールドシリーズ」よりも未曾有の山火事の恐ろしさと、米国の窮状を熱心に伝えるべきなのではないでしょうか?「戦争やっている場合じゃないでしょ?」と言ってあげるのが同盟国の義務かもしれませんし、自然界が秘めている水と火の脅威を実例を示して知らせる絶好の機会でもありますぞ。それにしましても、米国の山火事で100万人が焼け出されると大ニュースになるのに、イラクから逃げ出した人が100万人を越えても、少なくとも日本では大ニュースにならないのは何故だろう?

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