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旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

卯(兎)年の初めに 

2011-01-12 14:50:12 | 日記・雑学
■新年のご挨拶もせずに既に10日余りが過ぎてしまいました。暗澹たる気分のまま年末が過ぎて嫌な予感と共に新年を迎えねばならない最大の理由は、やはり現政権の混乱と迷走が醸し出す軽佻浮薄の雰囲気が全国に広まっているからでありましょう。聞くところに依りますと兎年は政治が混乱する年回りだそうで、幕末に大政奉還が起った1867年(慶応3年)が兎年で、明治時代には山縣有朋・若槻礼次郎の両内閣が総辞職、昭和の世では1939年(昭和14年)に第一次近衛文麿と平沼騏一郎内閣が同年中に連続して倒れ相次いで退陣しているそうですなあ。

■また、来日中のロシア皇太子が警備中の警察官に斬り付けられた「大津事件」やら、「ノモンハン事件」が起ったのも兎年だそうですし、天変地異でも浅間山が大噴火した1783年(天明3年)も、江戸が壊滅した安政大地震が発生した1855年(安政2年)も、死者7000人以上の濃尾大地震が起きた1891年(明治24年)も、3000人の犠牲が出た丹後地震の1927年(昭和2年)も、伊豆大島の三原山が大爆発した1951年(昭和26年)も、みんな兎年だそうで、特に大きな鉄道事故が起きているのも兎年だとか……。親方日の丸の権化だった国鉄(日本国有鉄道)が消滅した1987年(昭和62年)も兎年。

■「飛躍の年」とか何とか無理にこじつけて深刻な問題から目をそらすのも庶民の知恵なのではありましょうが、世界情勢が大きなうねりの中で急速に変化している歴史の節目に、あれこれと目に付くのは日本の周回遅れ状態で、元を質せば長過ぎた自民党政権が何だかんだと言い訳をしながら先送りし続けた歴史的責任に辿り着くのですが、折角の「政権交代」が起ってみれば大急ぎで周回遅れを取り戻す様子もなく、内政と外交の継続性を無視して乱暴で稚拙なやり方で中途半端にぶっ壊して回っては前言撤回を繰り返すばかりの民主党政権に対する嘆息と失望感ばかりが聞こえて来ます。

■菅アルイミ首相が最も情熱を傾けているのが「小沢切り」だそうで、政権交代が実現した議席数を揃えた最大の功労者を粛清しようと躍起になる一方で、次の総選挙は任期満了まで何の勝算も無いままに先送りして行けば、自分の首相在任日数が上積みされるて嬉しいなあ!などと一人悦に入って国家の危機を等閑に附しているように見えるのは錯覚でありましょうか?


漫画「タイガーマスク」の主人公・伊達直人を名乗った人物からのプレゼントが各地の児童養護施設などに贈られていることについて、細川律夫厚生労働相は11日の閣議後会見で「本当に温かい気持ちに感激している。一般の国民の皆さんも(施設で暮らす子供たちに)関心をもっていただくのはうれしい」と述べた。虐待や親の病気などの事情で児童養護施設や里親家庭で暮らす子供は全国で約4万人。少子化の中でも割合は増えており、大学進学率は一般家庭より低い。細川厚労相は「国としても懸命に取り組み、子供たちへの施策を充実させていく」と述べた。…… 

■社会全体で子育てを支援するとの美名の下に、寄り合い所帯の政党らしい選挙目当ての思い付きを寄せ集めて羅列した笑止千万な『マニフェスト』に大書された「子供手当て」を、唯一の目玉政策だと信じて帳尻合わせに大童(おおわらわ)の菅アルイミ政権ですから、既に選挙前に涼しい顔して「財源は幾らでもある!」と嘯(うそぶ)いていた舌の根もすっかりからからに乾いて、幻の財源話に関する検証も反省もせずに何となく消費税論議に世論を姑息に誘導して行くのも仕方がないのでしょうなあ。

■「子供手当て」は財源の問題に加えて支給対象世帯の所得制限も無上に、再来年度予算に組み込まれるかどうかも分からないという制度的な欠陥が指摘されておりますし、本当に子育て支援に役立てられるのか?という根本的な疑問も呈されているのですから、生煮え政策と申せましょう。その怪しい制度の所管大臣がタイガーマスク騒動に「感激している」というのは自分の職責と所属政党の責任能力を忘れた妄言のように聞こえます。行政府の大臣ならば「子供たちへの施策」の中身を具体的に提示してくれないと困りますが、既に官僚主導がすっかり板に付いてしまった菅アルイミ内閣は自民党時代よりも悪い役人の作文を暗記・棒読みする閣僚ばかりになっているとの指摘があるので、細川厚労相もアルイミ首相を見習って能天気なコメントを出してしまったのでしょう。

■考えようによっては「子供手当て」政策に対する大いなる疑念と拒否を示す動きが具体的に表われたとも言えそうですし、また、自民党時代の高齢者重視・未成年者軽視の露骨な選挙目当て政治に対する遅まきながらの批判も含まれているのかも知れません。軽薄なマスコミに同調して素朴に「感激」しているようでは、大臣としての資質に問題がありそうですが、内閣改造後も留任しそうな気配であります。でも、元々、法学部出身で弁護士でもある人ですから本来なら法務大臣になるべき人材で、2010年10月13日の予算委員会で、自民党議員から子ども手当の支給額と支給の時期について質問されても「事前の質問通告がなかった」からという理由で答弁できずに赤っ恥を掻く必要もなかったのでしょうが、長妻大臣の後釜に副大臣から自動的に繰り上がった悲喜劇も菅アルイミ内閣らしい人事ではありました。


……アニメで伊達直人の声を担当したことがある声優の森功至(かつじ)さん(65)は「40年たったこの時代に突然、伊達の名前がよみがえったようで不思議な感じです」とした上で「伊達の名前による寄付が今後も続いてよいものか、複雑な気持ちもあります」
2011年1月11日 毎日新聞 

■原作者の梶原一騎氏が亡くなっているので、声優の森功至さんを引っ張り出そうと考えるのは日本のマスコミが暇なのか構想力が枯渇してしまっているのか?どうせなら格闘家の佐山サトル氏にでもマイクを向けたら如何でしょう?民主党政権に対して激烈な批判コメントが貰えたでしょうに……。未だに寄付した人がタイガーマスク(伊達直人)を名乗った理由は、尖閣衝突事件の映像証拠を流出させた「sengoku 38」の名と同様に不明なのですが、最初のランドセルが群馬県の施設に届いたのが昨年のクリスマスだったのですから、本当は単に寅(虎)年からの連想でタイガーマスク=伊達直人と名乗っただけのことかも?真相がどうであれ、あまり騒ぎ過ぎない方が良いでしょうなあ。

■マスコミがまったく取り上げない地道な慈善活動を続けている人も多いでしょうし、付和雷同式にこの種の寄付行為が流行すると犯罪行為で得た表に出せないカネが美談の資金になる可能性も出て来るかも知れませんからなあ。閣僚の皆さんばかりでなく、国民全体で経済大国だと言われながら子供の貧困率が非常に高い日本の実情を改めて考える切っ掛けにした方が良いのではないでしょうか?

目くじらを立てる時? 其の弐

2010-05-13 09:40:44 | 日記・雑学
……上海万博にパビリオンを初出展した北朝鮮館が、設備故障を理由に5日午後から6日午後にかけて一時閉館……雨天となった5日、北朝鮮館で雨漏りが見つかり、さらに、平壌市内をイメージした展示スペースの橋が来場者の重みで一部破損したため、緊急修理を行ったという。金正日総書記の5日の北京入りとの関連を憶測する情報も流れたが、実際のところ北朝鮮館の“安普請”が問題だったようだ。……壁一面の平壌の写真、指導理念の主体思想の塔や高句麗壁画のレプリカなどがいずれも張りぼてで飾られ、係員は北朝鮮の切手など土産物販売にいそしんでいる。建物や展示など中国側の資金援助で建設されたとの情報もある。
2010年5月6日 産経ニュース

■万国博覧会に参加する資格と能力と意志が有るかどうか、それを勘案するのも主催国の務めのはずなのですが、数と量と規模が大きいことがすべてに優先してしまうチャイナが主催すると、こういう事が起こります。おそらく雨漏りによる閉館に「目くじら」立てて怒り狂った客は一人も居なかったのではないでしょうか?「怖いもの見たさ」で足を向ける暇人は少ないようですし、血で固めた同盟関係にあるチャイナの人民は欧米各国や日本の展示館に押し寄せているようですから、急に北朝鮮館が閉鎖されても、何の問題もなさそうです。

■でも、パビリオンではなく北朝鮮の国家体制が閉館ならぬ崩壊となったら、周辺国は「目くじら」立てて怒っている場合ではなくなりますから、その点は御用心、御用心。個人的にはまったく興味が湧かない上海万博ですが、この種のニュースが否応も無く世界に向けて発信される点は好意を以って見守りたいと思っております。

■日本ではいよいよ世間は「選挙モード」に入ったようでありますから、何に「目くじら」を立てて選挙に臨むか、有権者各位はそろそろ心の準備をしておかねばなりませんぞ。
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目くじらを立てる時? 其の壱

2010-05-12 22:58:19 | 日記・雑学
■些事に過剰な反応をすることを「目くじらを立てる」と言いまして、野暮・大人気ない・しつこい・むかつく……等々の非難の対象にされておりますが、世間の難しいところは「蟻の一穴」に相当する小さな現象が後々大きな社会変動を起こす切っ掛けになることを忘れていると大変なことになってしまう点にあります。情報化時代の中で日々刻々と怒涛のように押し寄せる玉石混淆の文字・映像・映像の中から、現在を知り未来を予想するのはますます難しくなっております。

鳩山由紀夫首相は12日夜、記者団の「ぶら下がり取材」への応対時間が短くなったとの指摘に対し、「一番、ぶら下がりの時間が短かったのは、小泉純一郎元首相だ。私はできる限り、丁寧にお答え申し上げているつもりだ」と反論した。……
2010年5月12日 産経ニュース

■バカが付くくらい「丁寧に」応答していることは、国民の誰もが存じ上げております。問題なのは言葉の選び方が余りにも乱暴で稚拙、度重なると無責任・不遜とも思える言い逃れと強弁が目立って来たからこそ、絶対に政局や国政に影響を与えないと身に滲みて分かっている記者諸君だからこそ、質は最悪でもせめて記事にする量だけは確保したい!という追い詰められた職業人の叫びが上がるのは当然でありましょう。

■俗な比喩を考えれば、人当たりは好いけれど腕の悪い御主人が経営する定食屋さんに足繁く通う常連客のようなものでしょう。多少不味くても便利な場所で「量」が多くて良心的な値段で商品を提供されていたのに、突然、「量」まで減らされたら客は怒るか素通りすることになるでしょう。「ワンフレーズ・ポリティクス」などという米国でも政治学の専門家しか使わない用語をカタカナで日本中に広めて定着させてしまったほどの小泉プレスリー元首相を引き合いに出すのは最悪の選択でありましょうなあ。

■でも、誰も本気で「量が少ないぞ!」と怒らなくなっている現実があります。
19:50

千葉県の森田健作知事は12日、夏の参院選で相次いでいるスポーツ関係者の出馬表明について「いろんな職業の方が挑戦するのは全然悪いことではない」……森田知事は「参院は(任期が)6年間あるので、これだと思ったことをやり通すことが大事だ」と国会議員経験者としてアドバイス。……民主党から参院選比例代表に立候補を表明した柔道女子の五輪金メダリスト谷亮子氏が「ロンドン五輪でも金メダルを目指す」と述べたことでは「金メダルは取れたらすごいと思うけど、ハードな議員活動をやりながら実際できるのか」と疑問も投げ掛けた。
2010年5月12日 産経ニュース

■同じ事を別の「経験者」が語れば、受け取る印象も随分と違ったのでしょうが……。危機的状況の県政を託す知事に「青春の巨匠」を選出した千葉県民の皆さんには失礼ながら、御尤もな御指摘ではあっても「貴方には言われたくなかった!」とヤワラちゃんが激怒しそうな発言になってしまいましたなあ。森田知事が国会議員として最も熱心に取り組んだのは「ゆとり教育」だったはずですからなあ。敢えて俳優としての代表作は大飯喰らっただけの『砂の器』ではなくて、未だにソフト販売されていない『徳川一族の崩壊』ではないのか?あるいは歌手としても御活躍だったのは有名な話ですから、あの微妙に声ではなく音程が震える『若者たち』を選挙運動中は封印してしまったのは勿体無かったですなあ、などと「目くじらを立てて」嫌味を言っても詮無いことです。

■任期中に、是非とも公約通りに千葉県を「格好よく」して頂かねばなりませんからなあ。それでも、一般の有権者のために、どこかの雑誌やテレビがヤワラちゃんとの「対談」を仕掛けたら、是非とも受けて立って頂、互いに「タレント議員」の真骨頂を遺憾なく発揮して少しでも選挙のレベルが上がり捨石になって欲しいものであります。


北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は12日、北朝鮮の科学者らが核融合技術を独自に開発したと報じた。……「科学者らは多くの科学技術の問題を100%自力で解決することでついに核融合反応に成功した」とし、「独自の熱核反応装置が設計、製作され、核融合反応とかかわった基礎研究は終わった」と伝えた。さらに「核融合に成功することで新しいエネルギー開発のための突破口が確実に開かれた」と論評した。韓国統一省報道官はこの報道について「確認中」としている。
2010年5月12日 産経ニュース

■世の中には「虚言症」という実に付き合い難い病(やまい)を抱えている人がおります。個人と同様に虚言をアイデンティティの基礎にしなければ生きて行けない国家というものも存在するから、国連などの国際組織も一筋縄では行かないことになります。特に無謬性の結晶体みたいな地に足が付いていないような「地上の楽園」を自称してしまうような国から飛び出して来る話に、いちいち「目くじら」を立てていたら、政治も経済も滅茶苦茶になってしまいますぞ。

■とは言っても、縁者や家族に虚言症患者を持ってしまったら、早く付き合い方に熟達して波風立たないように工夫するのが個人レベルの対処法であり、世間知というものでありましょうし、虚言症の国の隣国として生存しなければならない国家となりますと、時と場合に依っては頑張って「目くじら」を立てねばならない事情があるのでしょうなあ。


韓国政府高官は12日、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」が核融合反応に成功したと報じたことについて「秘密裏に(核融合実験)施設をつくるのは容易なことではなく、(報道は)根拠がないと思われる」と述べた。……同高官は、フランスに建設中の国際熱核融合実験炉(ITER)でさえ「実験が50年後に成功するかどうかも不確実な状況だ」とした上で、北朝鮮内で核融合技術開発に必要とみられる施設が探知されたことはないと指摘。仮に報道が事実であれば、国連安全保障理事会の制裁決議に「違反する」と語った。(共同)
2010年5月12日 産経ニュース

■ご苦労様なことに、韓国政府の反論は御丁寧にも二段構えの虚言症対策になっております。簡単に「ウソだ」と気って捨ててしまうには惜しいと思ったのかも知れませんが、国連安保理の決議という北朝鮮が最も気にしているツボにお灸を据えたのは見事だったと申せましょう。でも、深刻な食料難の噂が絶えない国のことですから、研究者や報道官が空腹の余りに幻覚・幻聴を素にして、国際的にまったく認められていない原爆地下実験の成功をしつこく「事実だ!」と言うために、将軍様から厳しい指令が下って命がけの発表をさせられた可能性が高いでしょうなあ。先日処刑されたというデノミ政策の責任者と同じ運命を誰かさんが押し付けられそうであります。

イルカは可愛い…… 

2010-03-08 22:53:22 | 日記・雑学
■胡散臭さでは「ノーベル平和賞」よりも前に米国(限定)アカデミー賞の受賞作品が怪しい!との噂は広がっていたような気がしますが、半世紀以上も前の占領時代から抜け出せない日本国は、今でも本国の米国と同等かそれ以上に「今年のアカデミー賞は!?」とマスコミが騒いでおりますなあ。悲しいほど小さな市場しか持てない日本映画界も、「日本!アカデミー賞」なる業界内の自画自賛イベントを恥じも外聞も無く開催しているとか……。

■日本のマスコミが米国アカデミー賞を飯のタネにする熱意の万分の一でも世界各国のマスメディアが取り上げてくれれば有り難いのですが、BS放送やメジャーな英語雑誌などにはまったく取り上げられていないようです。いつの頃からか、映画館での封切り・上映興行などよりも、その後の各種ソフト取り扱い業種が稼ぎ出す収益の方が圧倒的にオイシイ!という産業構造になっているとも聞きますが、そんな時代の風潮に合わせて日本の伝統的家屋(4畳半や6畳間)に馬鹿でかいテレビが続々と侵入し、4年に1度の夏と冬の五輪大会での買い替え需要に望みを懸けて、遠い昔の少年雑誌に描かれた「壁架けテレビ」やら「立体テレビ」を売り込もうと、どこかの誰かさん達は計画中なのかも知れませんなあ。

■でも、報道番組であれドラマであれ、是非ともデジタル波で受信して最高級画面で観たい!という番組が幾つあるのかいなあ?とテレビ欄を見渡すと愕然とするのではないでしょうか?家電メーカーの偉い人たちは……。(珠が無い)玉石混交の埋め草バラエティ番組だの、見ず知らずの誰かさんが美味そうな物を食って気持ち良さそうな風呂に漬かってハシャイでいるような視聴者を馬鹿にした番組などを、何が何でも「高画質・立体映像」で観たい!という人がどれほど居るのだろう?と偶に観るブラウン管テレビの画面を眺めつつ思う昨今であります。

■立体映像の「迫力」は何と言ってもスポーツ実況番組だ!という業界内からの宣伝も聞こえますが、これまで映像メディア技術を大発展させて来たのはお上のご意向に背き続けて根強く生き残るエロ・グロ文化の末裔たちだったことを思い起こせば、これから何が起るかは簡単に想像が出来そうです。まあ、どちらも生身の肉体で汗と血のドラマを作るのでしょうからスポーツもエロ・グロもさほどの違いは無いのかも知れませんが……。こうした話は正に『善悪の彼岸』の事柄ですから、これ以上の言及は控えておきましょう。

■次に鮮明画像・立体画像が活躍しそうなのがドキュメンタリー作品だと思われます。文字通り「手に取るように」送り手からのメッセージが逃げようもなく生々しく受け手に投げ付けられることになるでしょうからなあ。偽造・演出・ヤラセは論外としても編集技術で素人を騙すのは実に簡単だとも言われていますから、有無を言わせぬ迫力映像で人間の感情を揺さぶるような作品が次々と送りつけられるようになると、ちょと困りますなあ。


第82回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞に和歌山県太地町のイルカ漁を批判した米映画「ザ・コーヴ(入り江)」(ルイ・シホヨス監督)が受賞し、地元の太地町では反発している。映画はスタッフが立ち入り禁止区域に侵入し、隠しカメラを設置して撮影された。漁師たちが入り江に追い込んだイルカの群れを鉄の棒で突いて海面が真っ赤に染まる場面などが映し出されている。

■海に羊は居ないはずなのに「シー・シェパード」と名乗る過激な鯨愛好(業者)家が、調査捕鯨に携わる日本の船を攻撃していますが、こうした映像を利用して攻撃する連中の方が危険でしょうなあ。


受賞の知らせに、太地町漁協は「映像は昔のもので2年前からイルカが苦しまない方法で行っている。スタッフは現在のやり方も知っているのに自分らの都合のいいように取り上げている」と憤る。さらに、三軒一高町長は「事実誤認が多い映画が受賞したことに驚いている。われわれの町は鯨類については貴重な食料資源として認識している。海外には私たちが食べないものを食べる地域もあるが、その食文化を否定する気はない。今後も国内外に正当性を強く主張していく」と不快感をあらわにした。

■パンダと同様に「バッファローは可愛い!」と心底思う人は北米で起った歴史的事実に愕然とするでしょうし、「カンガルーは可愛い!」という人や、「ラクダは良いなあ」と思う人は、豪州大陸で行なわれている虐殺行為には我慢できないでしょう。そもそも、「牛が大好きだあ!」という声はインド以外では公然と発しては行けないのが不思議であります。

■動植物の命を奪って喰い、自己の生存を確保して子孫を残す。その悠久の歴史を自分達の尺度で断罪してしまうのは非常に危険なことになりましょう。身近な動物性蛋白を手に入れるために、人類は大変な努力を重ね、とうとう狩猟・漁撈を「スポーツ」にまでしてしまった国もありますが、さてさて、日本はどの辺りで留まっているのでしょうなあ?!

■確かに、数十年前の南氷洋では「頭数」競争が激化して、母船の加工技術を無視して無駄な殺戮を続けてしまった日本の名人達がいた事は事実のようですが、ランプの油にするためだけに鯨の脂身を求めて太平洋を押し渡って来た米国の捕鯨船団に比べれば……という議論もあります。そうした歴史を互いに反省しながら「○○は喰うな!」という文化摩擦を呼ぶような領域にまで話を広げるのは如何なものか?これを裏返せば「○○を喰え!」という話になりますからなあ。


映画の中には「(組合員を)ジャパニーズマフィア」「漁協は隠蔽(いんぺい)するためにイルカの肉を鯨肉として販売している」など事実に反するものも含まれており、町や漁協は信頼を著しく失墜させたとして配給会社などに抗議している。イルカは「鯨類」に分類され、国際捕鯨委員会(IWC)の管轄外。太地町での追い込み漁は漁業法に基づき県の許可を得て期間を定めて実施され、同漁協では「適法・適正に行っているもので何ら違法な行為はない。長年の伝統や地域の実情を理解したうえで食文化を尊重する精神が重要」としている。日本では5~6月ごろ公開予定という。
2010年3月8日 産経ニュース

■「○○を喰うな!」の○○の中には人間が最初に入るでしょう。しかし、歴史を紐解けばそれを世界的な規範にするのに大変な時間と議論があったことが分かるはずです。身近なペットになっている犬・猫を筆頭に、こちらでは家族同然に扱われている生き物が、あちらでは貴重な蛋白源になっているのが現状でありますから、「○○を喰うな」と「○○を喰え」との間には、何処かの誰かさんが自分の商売を繁盛させるために動物愛護を看板にして商売している集団を利用しているという構図がありそうです。

■地球温暖化の問題も含めて、環境だの生態圏などに関する国際会議というのは、実に胡散臭い背景を持っているのかも知れません。
 
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津波に注意 其の伍

2010-02-28 22:56:32 | 日記・雑学
■野党に転落した自民党が、学校の耐震補強工事を急げ!と民主党の予算案に文句をつけていましたが、いざという時の緊急避難先になる公共施設は丈夫にしておいて貰わねばなりません。でも、長い長い自民党政権の時代に、どうして十分な地震対策が出来なかったのか?という問題に答えて頂かない限り、自民党が自力で復活するのは不可能でしょうなあ。馬鹿馬鹿しい口喧嘩ばかりしている国会がある東京、関東地方では、ずっと大きな地震が発生していないのが気になります。いつになるか分からない二度目の五輪大会ですが、開催されるまでに直下型の大地震が起きないのか?開催中に起きたらどうするのか?ハイチやチリの復興支援をしながらも、自分達の足元をよくよく見つめ直すことを忘れないようにしたいものです。

■沖縄とチリが揺れる2日前にはチャイナの雲南省が揺れました。その翌日には冬季五輪の女子フィギュア・フリー演技が控えていましたから、ほとんどの日本人は隣国の地震など気にしていなかったのでしょうが……。
 
 
2010年2月25日、雲南省中部の楚雄イ族自治州で午後1時ごろにマグニチュード5.1の地震があり、29人が負傷、家屋や学校、病院などが損壊した。死者が出たとの報道はない。……家屋241戸が倒壊、約1万戸が被害を受け、3万5600人が避難した……
2月26日19時7分配信 Record China

■北京五輪の前に起きた四川パンダ大地震からの復興がどの程度済んだのか?無残に倒壊した学校の手抜き工事問題はどうなったのか?思い出したように救出されたパンダの話が流れて来ますが、被災地の実態はさっぱり分かりません。四川省を襲った大地震は南北に走る巨大な活断層が大きくズレて発生したもので、今回の地震が起った断層もつながっているか、隣り合って走っているかも知れません。地球の裏表で地殻がほぼ同時に大きく動いたのだとしたら、何とも気味の悪い話であります。大きな地震が連続すると救援・支援の活動が中途半端になって新たな被災地に関心が移って行く様なことにもなり兼ねません。勿論、日本がいつまでも「支援する側」にばかり居続けられる保証はまったくないのですが……。
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津波に注意 其の四

2010-02-28 22:56:02 | 日記・雑学
深海魚リュウグウノツカイが今冬、富山、石川県などの日本海沿岸で相次いで見つかっている。全長が5メートルを超え、生態はほとんどわかっていない謎の多い魚。……富山県では昨年12月以降、定置網で捕獲されたり、海岸に漂着したりするなど4匹が見つかっている。石川県では昨年11月以降、十数匹が見つかり、京都や島根、長崎などでも発見されている。……大きいものでは10メートルほどになるという。平たい体に長い腹びれと背びれがあり、水深200~1000メートルに生息している。姿を現すと、「地震の前触れ」との言い伝えもある。
2月27日 読売新聞

■日本海の底でも何かが起っているのかも?記事の通りだとすると、西南方向から順に深海魚が浮き上がって来たことになりますが……。ナマズを始めとして野生生物の異常な行動が地震予知に役立つのではないか?とあれこれ取り沙汰されることもありますが、まだ偶然や迷信と思われている事も多いようです。地震雲やら電波の異常なども研究されているようですが……。インドネシアの大津波では象が一斉に山に逃げ込んで一頭も死ななかったという話がありましたが、ハイチ地震や今回のチリ地震では動物関連の話は報道されていないようです。

■チリの大地震は日本時間で2月27日の午後3時34分に発生したそうですが、不思議なことに同日午前5時31分ごろ、沖縄県那覇市の東約50キロを震源とするM6.9の地震が発生していました。糸満市で震度5弱を観測したそうですが、震度5以上の強い揺れは1911年以来99年ぶりだそうです。被害は女性2人が軽傷を負っただけとのことで何よりでしたが、まさか、日本海に浮き上がった深海魚たちは、この地震を察知して何ヶ月も前から北上していたのでないでしょうな?!


今回の沖縄本島近海地震の震源近くでは、過去約90年間に4回、今回と同規模のM6級の地震が発生している。……過去4回の同規模の地震は、今回の震源地の東側にある琉球海溝付近を震源地とし、フィリピン海プレートが南西諸島側のユーラシアプレートに潜り込むことにより発生していた。今回の震源地は、琉球海溝の西側で沖縄本島に近い。また琉球海溝付近で発生する地震とは異なり、北東と南西方向から断層に圧力がかかる「横ずれ断層型」地震だった。この断層が発生地点の海底にもともとあったのか今回の地震で生じたかは不明。
2月28日 琉球新報

■誰も知らない断層が動いて予想もしていない地震が発生したというわけです。、2004年(平成16年)10月23日17時56分に新潟県で起った中越地震の時も、専門家が知らない断層が動いたのでした。陸上も海底も断層だらけだと思っていた方がよさそうです。


27日早朝に発生した沖縄本島近海地震。地震の研究者は原因となった活断層について「これまでにないパターン。未知の活断層が存在するかもしれない」と分析する。建築の研究者は県内で好まれる「ピロティ型建築物」住宅の脆弱性を指摘した。……本島東側の近海で活断層の調査はあまり行われていない。……新たな活断層が発見されれば地震予測で「想定しなければいけない断層が増えることになる」という。……琉大工学部の山川哲雄教授(建築構造学)によると、1階を駐車場にするピロティ型建築物は上部に力が集中し大きく揺れる「ホイッピング現象」が起こり、崩壊しやすいという。「古かったり、粘りのない建築物だと、震度5強の揺れに耐えられないものも少なくないはずだ。県民はもっと建築物の耐震性に関心を持ってほしい」と警鐘を鳴らした。
2月28日 琉球新報

■今回の地震で被害が少なかったのは沖縄の建物が丈夫だったからではないようです。地震の少ない所では指摘されているような構造の家が多いような気もしますが、関東地方でも珍しくはありません。地価が高くて駐車スペースを住居とは別に取れない場合は、この種の構造になってしまうのでしょうから、1階部分の柱を増やしたり壁に補強材を入れて耐震性を高めておかないと大変ですよ、というお話のようです。

津波に注意 其の参

2010-02-28 22:55:25 | 日記・雑学
■太平洋岸の各地で大規模な非難行動が実施されて、津波による人的被害は出ずに済みそうです。半世紀前には監視衛星もなく通信ネットワークも整っておらず、太平洋の反対側から襲って来る津波に気が付くのか到達直前だったのですから、来るぞ、来るぞとマスコミが総力を待ち構えているというのは隔世の感があります。

気象庁の関田康雄地震津波監視課長は28日午後4時45分から、同庁で記者会見を開き、今回のチリ沖地震に伴う津波について、「最初に小さい津波が到達した後に大きな津波が到達しており、50年前のチリ地震津波と同様の傾向が見られる」として、全国で142人の死者・行方不明者を出した1960年のチリ地震による津波と傾向が似ていることを指摘した。また、「第一波が小さいからと安心せず、海岸に近づかないよう、引き続き警戒をお願いしたい」と改めて注意を呼び掛けた。

■1993年(平成5年)7月12日22時17分に発生した北海道南西沖地震はM7.8で死者172名、行方不明26名、重軽傷者143名に登ったのでした。特に奥尻島では地震発生数分で最高30.5mの津波が押し寄せて壊滅的な被害を受けたのを覚えている方も多いのではないでしょうか?津波の恐ろしさをよく伝えている『稲むらの火』という作品が戦前には小学校の副読本に掲載されていたという防災教育の伝統を復活させるべきだという話もありますが、鮮明な映像記録が豊富になった現在ならば、もっと効果的で多様な教育方法があるようです。要は受け手の問題で、どこまで真剣に受け止められるかは最終的には個人の問題になりましょうなあ。

■津波到達までには時間があるからでしょうが、日曜日のサーフィンを楽しんでいる命知らずが散見されるニュース映像が流されていたようです。それも個人の判断ということになりますが、万が一の時には多くの人が救助やら捜索に苦労しなければならないのですから、素直に災難に遭ったことを受け入れて今日だけは我慢して安全な場所で別の楽しい事をして過ごした方がよいでしょう。


……同日午後4時5分現在、岩手県の久慈港で1メートル20センチ、北海道根室市、仙台市の仙台港で90センチの津波が観測されている。同庁ではこれらの数値はあくまで潮位の観測点の数値で、地形によっては今後も更に高い津波が起きる可能性があるとして警戒を呼びかけている。
2月28日 読売新聞

■半世紀前、チリ地震の発生から約22時間半後の未明に最大6メートルの津波が三陸海岸沿岸を中心に10波も繰り返し襲来して142名が犠牲になりました。53名の死者が出た岩手県大船渡市や41名の宮城県南三陸町などでは、今でも津波が襲来した5月24日を忘れないように避難訓練を続けていると聞いたことがあります。同じく被害を受けた北海道浜中町霧多布では11名が死亡しておりますが、その8年前の1952年に発生した十勝沖地震でも津波被害を受けたそうで、市街地は10年と空けずに2度目の被害を受けてしまいました。

■『稲むらの火』は実際に起った津波災害を下敷きにして書かれたフィクションだとも言われていますが、作品に出て来る津波は1854年(嘉永7年・安政元年)の安政東海地震(M8.4)と、その32時間後に続いて起った安政南海地震(M8.4)、もしかすると東南海地震も連動して発生したいたかも?とも言われる恐ろしい連続地震のうち、南海地震の震源に近かった和歌山県田郡広川町を襲ったものだったそうです。地震と津波に対しては警戒し過ぎということはないのかも知れませんなあ。

津波に注意 其の弐

2010-02-28 19:52:43 | 日記・雑学
2010年1月12日にハイチを襲い壊滅的な被害をもたらした大地震。専門家の発表によると、この地震によって異常な津波が発生し、複数の家屋が倒壊、3人が死亡したという。……その規模は平均波高およそ3メートルの荒波で、ポルトー・プランス湾沿岸、さらに湾と反対側のイスパニョーラ島南岸に押し寄せた。……津波はポルトー・プランス付近の震央(震源の真上)から100キロほどの沿岸部も襲った。……ハイチ地震はマグニチュード7.0だったが、それを大きく上回る規模の地震でなければ津波は発生しない……。

■ハイチ地震の震源は首都に近い陸地でしたが、津波は起こっていたのですなあ。カリブ海で津波が起っても日本には関係がないのですが、地震・津波の被害は他人事ではありません。


……今回は2種類の波が沿岸を襲ったことも明らかになった。海底プレートの移動による地殻変動が引き金となる津波と、地震後の不安定な陸地が海面に崩れ落ちて発生する地滑りによる津波だ。地殻変動による津波の場合は、波が沿岸部に到達するまでに数分から数時間かかることが多いため、危険察知に長けている者であれば安全な場所へ避難できる猶予がある。地滑りによる津波は局地的に発生し、たいていの場合は規模が小さい。……ポルトー・プランス湾沿岸の町グラン・ゴアーブでは、海岸にいた男性1名と少年2名が地滑りによる津波で死亡した……。海岸沿いの家々も波に呑まれ流されていた。死亡した3名は地震の生存者だった。浜辺を訪れていたのは避難のためではなく、押し寄せる大波を”見学”するためだったという。……
2010年 2月24日 ナショナルジオグラフィック

■土砂崩れでも津波が起るのですなあ。やはり、大きな地震の後は海辺には近寄らないのが一番のようです。インドネシアでの大津波でも、突然の引き潮が津波の前兆だと知らずに魚拾いをしていた人たちが犠牲になりましたし、茶の間でテレビを観ているようなつもりで災害を「見学」などしては行けません。野次馬根性は何処の人も同じように持っているのではありましょうが、「君子危うきに近寄らず」であります。テレビもラジオも一斉に津波情報をしつこく流すのも、君子になり損なう人が出て来ないようにするには必要な事なのでしょう。

■ハイチ地震から1月半、その間に日本では民主党の「政治とカネ」「選挙大敗」、トヨタ車の大規模リコー問題、そして冬季五輪に湧いて地震のことなどころりと忘れしまった感がありましたが、「天災は忘れた頃にやって来る」ものですから、明日は我が身と考えておくべきでしょう。勿論、それを肝に銘じておかねばならないのは鳩山サセテイタダク首相であります。


チリ政府は、同国で27日未明に発生したマグニチュード(M)8.8の巨大地震による死者が214人に達したと発表した。……、震源地はコンセプシオンの北東115キロで、震源の深さは35キロ。……日本やハワイ、ロシアを含む太平洋一帯に津波警報が出されている。
……地震の規模に対して犠牲者の数が比較的少ないのは、チリの建築の安全基準がしっかりしているためとみている。また現地の救急隊員は、今後同地震の死者数が大幅に増える可能性は低いとの見方を示した。しかし今回の地震は、1900年以降に世界で発生した地震の中で5番目の大きさ。先月12日にハイチを襲った大地震はM7.0だった。 
2月28日 ロイター

■1900年以降の大地震上位、1位はやはり1960年5月22日のチリ地震でM9.5で犠牲者は約5700人。2位は1964年3月28日の発生したアラスカ地震でM9.2。3位は1957年3月9日のアリューシャン地震でM9.1。4位は記憶に新しい2004年12月26日に起ったスマトラ沖地震でM9.0、津波被害を含めて犠牲者は16万6320人!ロイターの記事では今回のM8.8が5番目に大きいとしていますが、1952年11月4日にカムチャッカ地震がM9.0で5番目になり、今回のチリ地震は6番目になるのではないでしょうか?

■どちらにしても100年余の間に世界1位と6位の大地震に襲われているのですから、まともな政府が存在する国なら地震対策を真面目に行なっているでしょう。その点で日本は大丈夫なのでしょうか?


鳩山由紀夫首相は28日午後、チリ中部沿岸で発生した大地震による津波に関して設置した官邸対策室を視察し、「住民の被害を最小にするため、避難に万全を期し、沿岸住民に情報提供を適切に行うように」と指示した。視察後、記者団に「津波は初動だけではない。第1波が過ぎ去ったから安心だという楽観は絶対できない」と語り、国民に警戒を呼びかけた。

■鳩山サセテイタダク首相の口から「万全」や「適切」などの言葉を聞くと空々しく聞こえてしまうのは何故でしょう?「楽観は絶対にできない」のは内閣支持率か、夏の参議院選挙かも知れませんし、自分の脱税事件やら幹事長の不正献金疑惑も同様でしょう。沖縄の基地移転問題もマニュフェスト破りも本当に「楽観」はできません。民主党の全議員に対しても「警戒」を呼びかけたいところでありましょう。


首相は視察に先立ち、チリでの大地震の被害について「心からお悔やみを申し上げたい」と表明。被災地支援について「特に復興支援に関して、必要ならば常に『いつでも』という用意をしておきたい。その指示も出している」と強調した。……
2月28日 Nikkeiネット

■ハイチ地震に対する支援が出遅れた事をどう考えているのか?反省点は無いのか?「友愛」政治と支援活動はどのように関連付けられるのか?多くの機会があるのに鳩山サセテイタダク首相は何も語ってくれません。その上、今度は日本列島が載っている太平洋プレートの湧き出し側で大地震が起きたのですから、国内向けに地震対策に関して気が利いたことを言い添えておくべきではないでしょうかな?

津波に注意 其の壱

2010-02-28 19:51:26 | 日記・雑学
■米国の広範囲で春の豪雪が降り、遠く離れた日本でも例年になく何度も春の雪が降りました。日本では東京周辺が春霞どころではない濃霧に押し包まれて、潰れかかっているJALだけでなく、すべての飛行機が離発着不能の事態になったのは3日前のことでした。大地震と同様に濃霧も天災ではありますが、さすがに首都の玄関口で100便以上が欠航!などという恥かしい事態になりますと、前原誠司・国土交通相が計器着陸装置(ILS)を更新して霧や雲に強い空港にして行くと発表せざるを得ませんでしたから、羽田で起った春の椿事は人災の範囲だったようです。

■羽田は限界だから千葉県の富里に「新東京?国際空港」を作ろう!と思ったけど成田にしよう。と言い出して大騒ぎなったのは自民党の佐藤内閣の時代でしたなあ。時は流れて三里塚闘争もすっかり忘れられ、やっぱり羽田を拡張して「ハブ空港」にして「24時間運用」にしようという話になったのは自民党政権の最末期でありました。その間、日本中に98もの空港を建設したのも自民党政権でしたが、国会議事堂から最も近い羽田空港が旧式の誘導着陸システムしか持っていなかったとは?!驚くべきか、呆れるべきか……。

■JALの再建にしても自民党時代の負債を新政権が受け継いで対処せねばならない巡り合わせで、その点は鳩山サセテイタダク内閣は同情に値するでしょうが、選挙用にまとめたバラマキ政策の財源を含めて自民党が重ねた失政を一挙に清算できるような大風呂敷を広げたのは大失敗でした。不況デフレ対策や財政再建も重要な政治課題ではありますが、避けられない天災に対する備えも忘れては行けません。自社連立で誕生した村山内閣の時代に発生した阪神淡路の震災の犠牲者は6434人と記録されていますが、あの苦い経験から日本の政府は多くを学んだはずなのですが……。


ハイチのプレバル大統領は21日、訪問先のメキシコで、先月12日の大地震の死者が30万人に達する可能性があると語った。……24万2000人が犠牲となった1976年の中国・唐山地震を上回り、20世紀以降で最悪の人的被害をもたらした震災となる恐れが強まっている。……遺族などが自分たちの手で埋葬した遺体も多く、正確な犠牲者数は当局も把握できていないのが実情だ。
2月22日 時事通信

■政変が続く西半球で最も貧しいと言われる国が大きな地震に襲われたらどうなるか?想像を絶する困難が長く続くのは間違いありませんが、犠牲者の数さえ正確に把握できない政治状況からの復興は大変な苦労を覚悟しなければなりますまい。日本の「友愛」首相の決断が遅過ぎた!と非難する声があるようですから、もしも自国で大災害が起った時に「お母ちゃん」の指示を待たずに迅速に対処出来るかどうか、少々心配ではありますなあ。

226の日にフィギュア一色 

2010-02-27 13:21:53 | 日記・雑学
■日本中が五輪大会の女子フィギュア競技に熱中した一日でしたが、2月26日は昔のことながら日本の運命を大きく変えた「2・26事件」が起った日です。当日のテレビ・ラジオ欄をざっと見渡しても、歴史を振り返るような文言はまったく見付かりませんでした。軍事クーデターなど起りそうもない平和国家でもあるし、国民の半数以上が知らない昔の事件を掘り起こしても視聴率も聴取率も稼げないとの判断なのかも知れません。

■何より政治・経済に明るい話題が見当たらず、何やら大変動が近付いているような嫌な予感がしている人々が若者たちの活躍に時を忘れて感情を昂ぶらせたくなるのも分かります。石原東京都知事はまたまた莫大な税金を投じて短い宣伝映像を作らせていたそうですが、それも五輪大会を東京に誘致できれば国民が元気になるに違いない!と不思議な確信を持っているからのようです。先立った弟の石原裕次郎さんと一緒に過ごした若い頃の日本を懐かしんでいるだけの個人的な思い込みだと揶揄する声もありますが、少なくとも前回の東京五輪大会の時と同様に日本人選手があちこちで大活躍する情景は期待できそうにありません。

■青少年の体力が落ち、運動能力も下がり続けている現状が変わらないのなら、その大集団から抜け出して来る稀有な才能も減り続けて行くでしょう。バブル時代にピークだったスキー人気は低落して実際にスキー人口は半減しているとも聞きますし、日本中からスケート場が消えつつある現実から目を背けて冬季五輪の時だけ「メダルを取って欲しい」と選手達を追い立ててしまうのは如何なものでしょうなあ?

■朝から晩までマスコミに大きく取り上げられていた女子フィギュア競技に関して、周囲から洩れ聞こえて来る声を聞いているうちに、金メダルを取った選手が絶対に出来ない大技を2回も成功させ、金メダルを取った選手の得意技を1回失敗しただけで驚くほど得点差が大きくなって銀メダルになってしまう理由がさっぱり分かりませんでしたが……。


……最大の論争となったのは男子の4回転ジャンプだ。五輪優勝者は3大会連続で4回転を成功していたが、今回は回避したライサチェク(米国)が金メダル。SP、フリーともに4回転を降りて銀だったプルシェンコ(ロシア)は、「フィギュアの進歩は止まってしまった」と厳しく批判した。

■成程、成程、競技をしている御当人も疑問を感じるような評価基準で得点が決まっているわけですなあ。時間・距離・重要などの数値で勝敗が決まる競技が多い中で審査員の主観で評価が変わる競技もあります。競技する人は審査員の目と頭を信頼するしかない立場ですし、競技自体が持っている目標や理想が不明瞭だったり恣意的に変えられてしまうようだと、その競技は廃れて行くのではないでしょうか?観ていても実際にやってみても面白くありませんからなあ。


4回転トーループの基礎点は9・80で、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は8・20。連続ジャンプなら、4回転トーループ-2回転トーループ(同11・10)より、3回転半-3回転トーループ(同12・20)の方が高くなる。日本スケート連盟特別強化選手の中庭健介氏は「採点方法には現場の選手やコーチの意見があまり反映されていない。4回転の点数の低さは高橋(大輔)ともよく話している」という。

■氷の上で跳躍して1回転するだけでも素人にとっては神業で、それを4回も!スポーツというのは恐ろしいものですから、いつか誰かが4回転半、5回転などというトンデモないことを実現してしまう可能性があるものの、3回転半と4回転との間には想像を絶する違いがあるに違いありません。要するにチマチマした小技を器用にこなして地道に得点を積み上げた者が優勝するのなら、誰も困難な未知の分野に挑戦しなくなるだろう、という当然の心配が現場からも出ているわけであります。


技の評価という点では女子も事情は同じだ。浅田が跳んだ3回転半-2回転トーループの基礎点は9・50。金妍児の3回転ルッツ-3回転トーループは10・00。「3回転半の価値は男子と女子で全然違うのに、基礎点が同じというのにも疑問を感じる」と中庭氏。「(高難度技は)今の制度では評価されない。採点システムは変更されるべきだ」とプルシェンコ。スポーツとしてのあり方が問われている。
2010年2月26日 産経ニュース

■何だかどこかの国の大学入試を思い出すような話ですなあ。さらにこの競技には素人にも判断可能な「基礎点」の上に、Grade of Excusion(GOE)という出来映え評価、さらに Total Program Component Score(PCS)とかいう「構成点」なども上乗せされるそうで、観客が度肝を抜かれる大技もないのに「史上最高点」が飛び出す理由はこうした評価方法にあるようです。こんなにややこしく曖昧な要素も多い採点方法に振り回される選手も可哀想ですが、細かいことは知らないまま単純に応援している素人にとっては精神衛生上、甚だ宜しくないことにもなりそうです。急にカーリングという競技が注目された理由が分かるような気がします。
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相撲界の政権交代? 

2010-02-04 15:23:24 | 日記・雑学
■このブログ記事をアップする直前に朝青(暴)龍の引退が速報で流れました。……
 
■民主党の幹事長が不起訴処分になるとの報道が流れる前夜には、日本相撲協会の非民主的選挙のごたごた話が流れ、伝統と格式を重んじる相撲界の因習が表面化しました。政界で起った政権交代の熱気が急速に冷めてしまった時に、相撲界に貴乃花親方が新風を巻き起こしてくれたのですが、その風に舞い上がった砂埃の中に朝青龍(改め朝暴龍?)の暴行問題が紛れ込んで何が何だか分からなくなっておりますなあ。
 
■しどろもどろの老人談合会と化した相撲協会の中で、もしも貴乃花親方が胸の空く厳正な正論を吐いて朝暴龍を横綱の座から追い出すことにでもなれば、また新しい因縁話が生まれることになりそうです。先代の大関・貴乃花は相撲界を引っ張る人気力士でありましたが、その名大関に引退を決意させたのはウルフ千代の富士でした。歴代2位の幕内807勝、同じく2位の53連勝などの大記録を打ち立てた千代の富士は、少年時代に走り高跳びと三段跳びで五輪大会にも出られるほどの逸材だったとか……。引退した貴乃花の方も全国有数の水泳選手でしたから、当時のお相撲さんは本当に強かったのでした。

■ウルフ千代の富士に引退を決意させたのは貴乃花の次男で弟子の今の貴乃花親方だったというドラマに相撲ファンは感動したものです。空前の若貴ブームが起った頃は相撲協会もほくほくでしたが、その後は何処の国の国技なのか分からない不思議な場所が続くことになりました。いろいろな原因で人材不足に陥った相撲界は、手っ取り早く外国からガタイのよい若者を呼んで来て鍛え上げれば関取の頭数は揃うと考えたのでしょうが、気が付いたら横綱はいつでも外国人力士という奇妙な番付が定着してしまったのでした。柔軟性があると言うべきか、優勝を争う上位に日本人力士がほとんど名前が出ない相撲でも喜んで観戦してくれる有り難いファンが多かったのが相撲協会を油断させたのでしょうなあ。

■ファンは高齢化して力士は外国勢が多くなり続ければ、近い将来に何が起るか?それを真剣に考えたら眠れないほど不安になるはずなのに、財団法人で税金が免除され、NHKがテレビ・ラジオの放映権を高く買ってくれている限りは何とかなると誰かさん達はタカを括って現状に胡坐をかいていたのでしょう。地方巡業の勧進元も激減し弟子入りを希望する若者も払底しても、何から何まで昔通りに既得権益を山分けするのに熱心な理事会と部屋との凭(もた)れ合いが続いていれば、現場で危機感を持つ若い親方達は決起しなければならなくなるのは当然でありましょう。


日本相撲協会の理事選で立浪一門を造反し貴乃花親方(37)への投票で退職を明言していた安治川親方(36)=元幕内・光法=が3日、両国国技館で退職の撤回を表明した。一門の友綱親方(元関脇・魁輝)が慰留し、わずか1日での態度の急変は、まさに茶番劇。一方で貴乃花グループが水面下で安治川親方へ支持工作を行っていたことも判明。……

■テレビなどは選挙結果を速報してはしゃいでいたようですが、門閥ごとの票数と投票結果を照合する図表を作ってみれば、謎の3票が浮かび上がってしまいます。そう言えば、4期8年ぶりの投票になった!との報道に使われた資料映像に、アノ先代時津風親方が黄色い色付き眼鏡を掛けて投票箱を監視していたではありませんか?!誤字脱字の有無を確認するとの名目で実質的には記名投票だった時代の映像であります。伝統を重んじて紋付袴姿で並ぶ親方衆の写真のキャプションを差し替えれば、何処かのヤクザが襲名披露に集まったと言われても信じてしまいそうな怖い雰囲気が漂っておりましたなあ。

■今回の安治川親方の告白・引退表明の会見を見て、『仁義なき戦い』の1シーンを思い出した人もいたのではないでしょうか?主役の菅原文太さんが左手の小指を立てて「これしかないんじゃあ!これしか!包丁と俎板持って来いやあ」と吼えるシーンです。組織や仕来りに逆らったら「落とし前」を付けねばならない厳しい渡世……。そんな息苦しい世界に今時の若者が憧れるはずもなく、ずっと前から相撲部屋は一種の更正施設の機能を負わされているというマスコミのタブーとなっている話もあるそうで、今場所で引退したツッパリしか出来ない大関・千代大海も凄まじい青年時代を送っていたのは紛れもない事実。そんな人材集めの手法で外国に目を向けたら、トンデモない不良を引っ張り込むことになるのは時間の問題だったのでしょうなあ。


……まさかの退職撤回。決定打は監督官庁の動きだ。文科省が、無記名投票の理事選で立浪一門が造反者の割り出しを行う動きを協会に問い合わせた。退職されれば同省からの指導の危機が発生。こうした圧力に一門の理事の友綱親方(元関脇・魁輝)が一門の親方の同意を得て夕方に安治川親方を慰留。一門の規律違反の処罰もなく残留が決まった。……「2年後も働きぶりを見て考える」と立浪一門にいながら貴乃花親方への支持を表明。会見に同席した友綱親方は「2年間で教育していきたい」と渋い表情を浮かべた。結果的に退職を掲げたことで慰留を引き出す茶番劇。一門の規律を破ってもおとがめはなし。安治川親方を許したことでこれまでの一門の結束は完全に崩壊した。

■鬼より怖い文科省。神様仏様のNHK。マスコミを味方に付けた貴乃花親方に風が吹くのは当たり前なのに、票読み通りの票割をゴリ押ししようとした親方衆はすっかり悪役か骨董品扱いになりつつあるようです。安治川親方に詰め腹を切らせたら民主的な文科省が起って財団法人の認定を取り消したら大変だあ!負担することになる税金分をNHKにねだって「ごっつぁんです」という話にはならないでしょうから、文科省の逆鱗に触れないことが相撲協会の最も大事な仕事になって、ファンや関取はすっかり忘れ去られて久しいのでありましょう。


造反の裏側で貴乃花グループが水面下で支持工作に動いていた疑惑が発覚した。関係者によると音羽山親方(元大関・貴ノ浪)が仲介役で初場所中に「オレたちが一生面倒を見る」と説得。退職すれば大嶽部屋のマネジャーのポストも用意していたという。会見では「金銭が渡ったのでは?」との質問も出たが「一切、ありません」と否定。ただ前夜の会見場となった大嶽部屋の大嶽親方(元関脇・貴闘力)とは「仲がいいので食事した」と認めた。選挙管理委員長を務めた大山親方(元幕内・大飛)は「不正行為の証拠が見つかれば選挙のやり直しです」と明かす。理事選の波乱はまだ終わる気配はない。
2月4日 スポーツ報知

■根回しには「実弾」が付き物で、旧自民党の総裁選挙などでは「ニッカ、サントリー、オールドパー」などと奇怪な隠語が使われていたのを思い出しますが、中学卒業から相撲一筋の生活に入った若者は、もしも修行途中で身体を作り上げられなかったり壊したりした場合、その後の見の振り方は特殊な困難を伴うという話もありますし、丈夫で長持ちした関取の間で年寄り株の融通売買が行なわれて相互に老後の保障を固めるという構造は、どうも弊害が多過ぎるようであります。
 
 
「安治川」株の前の所有者、伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)は、安治川親方が協会に残る意向を示したことに対し「友綱親方に一任しているから」と多くを語らなかった。しかし、造反については「貸した人の意に沿わないのはおかしい。相撲は礼節を重んじるのに、そういうところが見えてこない」と怒り心頭。「安治川は私が先代から受け継いだ名跡。今回の一件で汚されたのは悲しい」と険しい表情だった。
2月4日 スポニチアネックス

■嗚呼、何とも面倒臭い後腐れと申しましょうか?親方株にはこんな窮屈な拘束力があるのか?!と、こういう話を聞いた日本の若きアスリート達は、ますます相撲界を遠い遠い世界だと思うのではないでしょうか?サッカー場には溢れる若いサポーターと観客の姿が、相撲の本場所中継から消え去ってから久しく、手っ取り早く現金を稼いで祖国に帰るぞ!という独特の気魄に満ち溢れた外国人力士の取り組みが増え、その中から大関や横綱が生まれる伝統が定着したら、今の高齢者ファンが去った時には閑古鳥が鳴く寂しい本場所が、デジタル高画質放送で中継されるのでしょうか?空席が鮮明に見え、まばらな歓声と拍手が生々しく伝わって誰が感動するのでしょうなあ?
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三知と四知

2010-01-14 11:58:04 | 日記・雑学
■天が怒って日本列島の天候は酷い荒れ模様、地も怒って西半球の最貧国ハイチが壊滅、そして人が怒ったのか日本の検察庁がこれ見よがしにクラッシャー小沢周辺を一斉に立ち入り捜査に踏み切ったと思えば、大阪の市役所職員が散弾銃を乱射!どれもこれもいつかはやって来る大小のカタストロフィではありますが、異常な寒波は北半球全体を多い尽くす勢いですし、ハイチよりも巨大な地震が近付いているのは他ならぬ日本国であります。銃の乱射は米国が本場?みたいな事件ですが、
地震発生後のハイチでは略奪・強盗が続発し、襲う方と守る方とで殺人・放火が横行しているとか……。

■酒乱の市役所職員が自殺覚悟の発砲殺人を行なった大阪羽曳野市での事件は、銃刀法が改正されて間もない時に起こったことから、いくら法律をいじくっても効果が無いとの指摘もされているらしいのですが、法律と言えば政治資金規正法という法律も、作っているのも破るのも政治家という実に馬鹿馬鹿しいことを繰り返したおりますなあ。小沢幹事長は「違法行為はしていない」の一点張りですが、それが逆に検察の怒りに油を注いでしまう結果になったようです。

■昨日という日は、天は荒れ、地が震え、人が怒る、そんな一日だったなあ、と考えていましたら、ふと「天知る、地知る、人が知る」とかいう言葉を思い出しました。でも、正確には「四知」だそうで、出典は『後漢書』の楊震伝。楊震という堅物が賄賂を断ったというチャイナの大事件!の記録があって、「天の神、地の神、自分も貴方も知っている」と言ったとか……。つまりは「天網恢恢疎にして漏らさず」の教訓と同じことで、悪事は必ず露見するぞ!という戒めになっているのだそうですが、浜の砂子は尽きるとも、尽きないのが政治家・官僚の賄賂というもののようです。

■クラッシャー小沢の収賄や違法献金の罪が確定するかどうかは不明ですが、莫大な資金が隠されていたのは事実ですから「政治とカネ」の問題が再び国会の機能を奪ってしまうことになるのは間違いないでしょう。ずっと以前から「小沢VS検察」という図式で数多くの本や雑誌記事が書かれて来たのですから、ここで検察が空振りしてしまったら大変な失態となりましょうが、大掛かりな立ち入り捜査に続いて事情聴取が行なわれれば民主党政権が受けるダメージはそれ以上のものとなるでしょう。

■しかし、民主党が受けるべきダメージはマニフェストに書かれていない変な外交や参政権付与などの稚拙な政治そのものから発生して来なければならないはずであります。


……小沢氏の個人事務所などの家宅捜索が始まった直後の13日午後6時45分、小沢氏は名古屋市内で開かれた愛知県連パーティーに満面の笑顔で現れた。壇上で小沢氏は何事もなかったかのように昨年の衆院選のお礼を述べ、政権交代の意義を強調。最後にこう切り出した。「私事で若干お詫びしたいと思います。私の政治団体のことで大変ご迷惑をかけました。しかし、私どもは法に触れるようなことをしたつもりはない。国民はそれを理解してくれている。ですからこそ私たちに政権を与えてくれたんじゃないですか!」4000人を超す支持者から拍手と歓声がわくと、小沢氏は満足そうな表情を浮かべたが、記者団の取材には一切応じず、JR名古屋駅に併設されたホテルに入った。

■先の特例天皇会見が強行された際に披露された奇怪な憲法論以上に、この愛知県での小沢発言は珍妙な響きがあります。西松建設からの違法献金疑惑が噴出して民主党代表を辞したクラッシャー小沢が、政権交代が実現したらスーパー幹事長となって独占的に陳情を受けて集約し、「国民全体の声」を代弁して予算編成に決定的な影響力を発揮する!などという話は選挙期間中にまったく出ていませんでしたでしょうに?!鳩山サセテイタダク代表が頼りない口調ながらも税金の無駄使いを止めれば盛り沢山のマニフェストを実行するための財源はいくらでも出て来る!と言い募ったからこそ、脱自民党政治を願って多くの国民が民主党に投票したはずです。その証拠に民主党よりも明確に脱自民党を訴えた新党のみんなの党が300万票を超える支持を得たのでしょう。

■脱自民党政治が日米安保の解消や、国家予算から成長戦略を抜き取ってしまうこと、さらには大急ぎで奇妙な参政権拡大を実行するような物なら、それなら自民党政治の方がマシだったかも?と考える人がどんどん増えて行くでしょうなあ。


小沢氏は地検の疑惑追及の動きに無関心を装い、ひらすら参院選の選挙対策に熱を入れている。13日も午前中から党本部で選対幹部と16日の党大会や、参院選候補について打ち合わせ。今後も国会日程をぬって全国行脚を行う方針だ。……だが、強気の表情とは裏腹に小沢氏は地検の捜査の行方に神経をとがらせているとも言われる。「こんなになっているなぁ…」。13日夕、新幹線で名古屋入りした小沢氏は、ホームの殺到した報道陣を見てつぶやいたという。石川氏の再聴取と同時に着手された一斉捜索に「小沢氏もただでは済まないのではないか」(民主中堅)と政府・与党で動揺は広がっているが、議員らは一様に沈黙を守り続ける。地検の捜査が不発に終われば「禊(みそ)ぎが済んだ」ことになり、小沢氏の政権支配がさらに強まる可能性もあるからだ。「何だか去年の春先の状況に似てきてないか」ある民主党中堅議員はこう声を潜めた。昨年3月に西松建設による偽装献金事件が浮上し、小沢氏が党代表を辞任するまで民主党の支持率はじりじり下がり続けたことが脳裏をよぎったのだろう。
2010年1月14日 産経新聞


■ビスコンティ監督の『山猫』から気の利いた台詞を引用して「私も変わらねばなりません!」と殊勝な事を言って党代表を辞したクラッシャー小沢が、本当に変わったのなら、地検特捜部の追求を逃れた暁には、もっともっと変わった小沢大幹事長が生まれるのでしょうか?最新号の『文藝春秋』に中西輝政・京大教授が書いておられますが、対チャイナ外交の根本的な方針を勝手に相手側と確認し、天皇を「官」の一部に位置づけ、国民の請願権を奪って陳情を一元化し、選良たる議員の立法権を奪い取ってしまった小沢の100日間には危険がいっぱいです。


<……そして今、もっとも恐ろしいことは、こうして小沢氏が「民主主義」を乱発しながら独裁的な権力を行使する仕組みを作り上げていることに対して、まったく歯止めがかかっていないことだ。……(103頁)font color="#000000">

■と中西教授は書いておられまして、最終段落には小沢幹事長が「選挙で勝ったのだから正しい」と言うのなら、「ヒトラーだって選挙で勝った」んだぞ!と言い返せばよいとの激しい言葉も出来ます。税金の無駄を削るのは大変だ、予算が足りないからマニフェストの一部は棚上げだ、そんな事で支持率が急落するほど国民は愚かではありません。党名に掲げている「民主」の本当の意味が徐々に分かって来たからこそ、支持率が下げ止まらない現象が起きているのではないでしょうか?あまりに変な首相が登場すると、村山首相という前代未聞の自社連立内閣が生んだ総理大臣を思い出してしまいます。短い在任中に地下鉄サリン事件と阪神淡路大震災が連続して起こってしまった不運な?首相でしたが、たとえ偶然であろうとオカルトめいた「天人感応説」が原因であろうと、災厄を受けて苦しむのは国民でありますから、選挙祈願ばかりしていないで、昔ながらも五穀豊穣・国家安寧を真剣に祈って心に刻んで忘れないようにして欲しいものです。

■「四知」とは別に「三知」というのもあります。こちらの出典は『論語』で道を知るのに三つの段階があるという教えです。生得的に知っているのは「生知」、学んで知るのは「学知」で、苦しんで知る「困知」なのだそうです。政治家の家や大金持ちの家に生まれたことで知っている「生知」もあるでしょうし、人妻とねんごろになるほど暇を持て余す気楽な海外留学で得た「学知」や、父親の急死で中断する弁護士を目指して勉強した「学知」もあるでしょう。そして、政治家にとって一番の苦労は選挙ですから、多くの政治家は選挙で有権者の声を聞き政策を練って成長するものですが、先代が残した地盤・看板・鞄を受けつく世襲議員の場合はあまり良い「苦知」は得られないのかも知れませんなあ。

■鳩山サセテイタダク首相は首相の重責を思い知って、少しは「苦知」が進むのか?クラッシャー小沢は地検特捜部との暗闘を通してまたまた鍛えられて「苦知」をパワーアップするのか?これからの推移を見守るしかない国民・有権者は、先の選挙から何かを学んで夏の参議員選挙を向かえるということになるのでしょうなあ。

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日曜日のテレビから 

2009-05-26 10:47:51 | 日記・雑学
■日曜日は大相撲夏場所の千秋楽でしたから、長かった朝青龍時代の終焉を象徴する微妙な星取り合戦になって相撲本来の面白さを取り戻し、視聴率も高かったようです。もしかしたら4人が2敗で並んでプレーオフのトーナメントになるかも?という展開でしたから、たとえそのうち3人がモンゴル出身力士であろうと、相撲ファンには関係ない話だったようです。その一方で交流戦が行われているというのにプロ野球の試合はNHK衛星第一放送で阪神対ロッテの中継があっただけでした。ラジオでは3試合の中継番組があったようですが……。

■国会で補正予算の審議が始まったので、テレビの報道番組は一斉に政治色を濃くして日曜日のニュースショー系の番組は軒並み各党代表を集めてワイワイ討論会を開催していたようです。論客と呼べる政治家は少ないらしく、結局は同じ面子で似たような議論を展開するので金太郎飴状態になってしまうのは残念です。その中でフジテレビの『新報道2001』では米国の経済学者クルーグマン博士と与謝野財務相との対談を仕掛けておりましたなあ。ノーベル賞受賞者が100円ショップで買い物をしている姿などは、いかにもテレビ的で面白い見世物でした。

■バラマキ補正予算を正当化するための企画かと思いきや、「定額給付金」政策を零点だ!と一刀両断にされるわ、高速料金1000円制度は経済的にも環境面でも逆効果だ!と叱られるわ、日本政府の甘い皮算用を言下に否定されてしまったのでした。対談に引っ張り出された与謝野財務相はクルーグマンの著書を研究して予算を組んでいるんです、と最後は泣き言みたいなことを言っていましたなあ。奇怪な「基金」に流れ込む莫大な予算やら、麻生コロコロ首相の肝煎りらしいアニメ館やら、とても天下のクルーグマン博士にコメントを求められないような変なものが埋め込まれた補正予算案ですから、短めにまとめたのは番組として正解でした。

■北朝鮮による拉致被害者家族に「詫び状」を送ったとの報道がありましたから、田原総一郎さんご本人から何かコメントがあるかとテレビ朝日の『サンデープロジェクト』をちらちら観ていましたが、北朝鮮関連の話はまったく無かったようです。「横田めぐみさんはもう死んでいる」という発言は、特に視聴者全体に向かって詫びたり説明したりする必要は無いということのようです。その代わり、田原さん得意の討論という名の喧嘩を演出して面白がろうという企画が放送されました。


小泉構造改革を批判する新著を出版した自民党の加藤紘一元幹事長と、小泉内閣の閣僚として構造改革を主導した竹中平蔵慶応大教授が24日、テレビ朝日番組で、激しい非難の応酬を繰り広げた。加藤氏が「改革で地方の疲弊は程度を超えている。あなたの考えには、社会(への配慮)がない」と竹中氏を糾弾すると、竹中氏は「加藤氏は(経済が停滞した)『失われた10年』を作った責任者だ。それを終わらせた小泉氏を文明評論家のように批判するのはおかしい」と反撃した。

■途中で何度も口を挟んで「分かり易く」解説すると称して怒りの炎にせっせと油を注いでいたのは田原さん。まったく噛み合わない議論をどんどん混乱させ、感情的な怒鳴り合いになってしまいそうな危ない司会ぶりでありました。どうやら、田原さん自身がこの二人が議論すべきテーマなど最初から存在していないことを承知で、既に政治的には終わっているから後は野となれ山となれと考えて企画したもののようです。口火を切る時、自分の本と同様にテレビ画面いっぱいに加藤氏の新著を映してちゃっかり宣伝していた田原さんでした。


加藤氏は小泉内閣当時のゼロ金利政策や企業重視の姿勢が、個人の資産目減りや収入減につながり、「今や社会全体がイライラしている」と指摘。これに対して竹中氏は、加藤氏がバブル崩壊直後の1990年代、自民党幹事長などの要職を歴任したことを指摘し、「加藤さんがしっかり不良債権処理をしなかったから、われわれが処理した。後ろに戻れば未来があるというような議論は間違いだ」と述べた。
5月25日 産経新聞

■聞いている方としては、バブル崩壊の実態を把握出来ずに右往左往していた「失われた10年」の責任者も、小泉改革で日本を大きく変質させてしまった学者大臣も、どっちもどっちで、下品な表現ながら目糞鼻糞を笑う類(たぐい)の不毛な喧嘩にしか聞こえませんでしたなあ。

劇場政治の誤算 (角川oneテーマ21)
加藤 紘一
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■同じ日曜日、夜10時から放送されたフジテレビの『サキヨミLIVE』という報道バラエティは、扱う事件より司会者のスキャンダルの方が関心を集めるという変わった経歴を持つ番組らしく、偶に観る度に安上がりに作っているなあ、と脱力してしまう傾向があります。そんな番組でも熱心な視聴者がいるらしく、番組と同時進行でアンケート調査を行っておりました。質問は政治家の「世襲禁止」に賛成か?反対か?というものでした。スタジオでは取り留めのない茶飲み話が続いていたようですが、結果は世襲禁止に賛成だという意見が55%で、禁止すべきではないという意見が45%でした。番組としては分かったような理屈を付けておりましたが、ざっくり言ってしまえば、地方自治体の平均的な投票率と世襲禁止に反対している比率がほぼ同じなのです。

■従って、世襲議員でも問題はない!と主張する人達は選挙となればせっせと応援運動をしたり、必ず投票に行ったりする人達で、世襲議員は怪しからんぞ!と怒って見せている人達は、天気が悪いだの、遊びに行く予定があるだの、かったるいから家でごろごろしているなどの理由で投票には行かない人なのだと考えるとすっきりする数値なのでした。普通は選挙に行かない人がほんの少し考えを変えて投票に出掛けると、さいたま市の市長選挙みたいなどんでん返しが起こるというわけなのでしょうなあ。

■まあ、何にしても日馬富士の初優勝で終わった大相撲夏場所は、久し振りにテレビの有難味を思い出したイベントでありました。それにしましてもモンゴル力士は強い!もしかしたら日本人力士が弱過ぎるのかも知れませんが……。

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今日は悪日 其の参

2009-05-11 23:50:51 | 日記・雑学
 
北朝鮮による拉致被害者の家族会と支援団体「救う会」は11日、横田めぐみさん(行方不明時13歳)と、有本恵子さん(同23歳)の安否を巡り、テレビ番組で根拠のない発言をしたとして、ジャーナリストの田原総一朗氏とテレビ朝日の君和田正夫社長に抗議文書を送付したと発表した。……田原氏は4月25日放映のテレビ朝日の討論番組「朝まで生テレビ」で、2人について「外務省も生きていないことは分かっている」などと発言した。……田原氏は「家族のお気持ちは分かる。ただ、情報源は言えないが情報を得ている」と説明。テレビ朝日広報部は「内容を詳細に検討し、誠意をもって対応したい」と話している。
5月11日18時52分配信 毎日新聞
 
■田原氏が言う「外務省」とは誰のことを指しているのか?そして「情報源」とは何処の誰のことなのか?下手をすると『週刊新潮』の二の舞になり兼ねない危ない話のようですが、田原さんは以前に北朝鮮の平壌を訪問して横田めぐみさんの遺骨は本物らしい、という「情報」らしきものを自分自身で演出したことがありましたなあ。ああいう危ないことは、よほど相手を知ってからでないと出来ないものなのですが……。さてさて、この「情報源」が特定もされず公表もされないまま田原氏が頑張ってしまったらどうなるのでしょう?テレビ朝日の「誠意」だけで問題が解決するのかどうか心配ですなあ。

■それにしましても、田原氏の「情報源」は例の病院の裏庭に生えていた木の枝に紐を掛けて……という話を「事実」だと言っているのかどうか?もしも、田原氏も谷内政府代表と同じように、誰かさんのアドバルーン役を演じているのなら、ちょっと面倒なことになりそうですなあ。売り物・切り札が無くなるテレビ朝日は真っ青になっているかも?

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今日は悪日 其の弐

2009-05-11 23:39:43 | 日記・雑学
■懲りずに恥の上塗りをしていりうのは東京電力です。 
東京電力は11日、起動試験中の柏崎刈羽原子力発電所7号機(新潟県柏崎市・刈羽村)で同日午前、炉内の水位が低下した際、温度が上がりすぎないよう水を注入する冷却系システムで二つのトラブルがあったと発表した。……同日午前6時43分、注入する水をためている圧力抑制室(プール)の水位が通常より上がったため、水を抜く作業を行った。また、同53分には、冷却系システムの試験が終わり、止めようとしたが中央制御室での通常操作では停止できなくなった。このため、現場で手動で停止させた。7号機は9日、新潟県中越沖地震で運転停止してから1年10か月ぶりに運転再開し、試運転に相当する起動試験が始まったばかり。
5月11日 読売新聞

■新潟県刈羽は言わずと知れた故・田中角栄さんの領地みたいな場所だったそうですから、活断層が見つかろうと人災が起きようと、「列島改造論」の最前線として建設された原発は、きっと某プロ野球び球団以上に「永久に不滅」なのでしょうなあ。歴史にには城下町や門前町などがありますが、高度成長期に企業城下町という言葉が生まれ、その後「原発銀座」という楽しそうな言葉も発明されたのですが、何故か原発城下町や原発門前町などの言葉は普及しませんでした。政府や専門家は「原発は安全だ!二酸化炭素を出さない!」と大金を使って宣伝し続けているのですが……。


先月25日放送の討論番組「朝まで生テレビ!」で、司会を務めるジャーナリストの田原総一朗氏(75)が、拉致被害者の横田めぐみさんと有本恵子さんについて「生きていない」と発言したことに対し、拉致被害者家族会などは11日、田原氏と番組を放送したテレビ朝日に抗議文を送ったと発表した。……田原氏は読売新聞の取材に「家族の方が心を痛めたことは大変申し訳ないと思う。(発言には)事実に基づく明確な根拠があるが、情報源を明らかにすることはできない」としている。
5月11日 読売新聞

■いつの間にやら田原総一郎さんは「ジャーナリスト」の肩書きで語られるようになりました。でも、御本人は「自分はテレビ・ディレクターだ」と言い張っているとか……。視聴率を上げるためには何でもするのが信条のディレクターとジャーナリストはまったく違う職業のはずなのですが、新聞とテレビが癒着し記者クラブという泥沼・微温湯に浸かりきった日本のマスコミには、本物のジャーナリストは存在しない!という厳しい意見もありますなあ。

■出版不況の中で必ず数十万部を売る田原さんは、テレビの視聴率を取るのも上手だそうです。個人的に田原さんの本で感心したのは『セックス・ウォーズ』だけだったものですから、田原さんがジャーナリストかどうかを語る資格はないのですが……。
 
 
ジャーナリストの田原総一朗氏が……「朝まで生テレビ!」で、拉致問題交渉が難航する背景について、「2人は死亡した」と主張する北朝鮮側に対し、日本側が生存を前提に交渉しているためと説明。「外務省も生きていないことは分かっている」と発言した。めぐみさんの父、滋さん(76)は「めぐみが死んだという北朝鮮の説明に納得することはできない。外務省の見解についても根拠を示してほしい」。有本さんの父、明弘さん(80)は「死んだという前提で話をされるのは、とんでもないこと。家族は怒り心頭だ」と話している。田原総一朗氏の話 「家族会の方が抗議される気持ちはよく分かる。しかし、私は事実を言ったまでです」
5月11日 産経新聞

■田原さんがこれまでに書いたり喋ったりした「事実」が全部、「真実」だったというわけでもなさそうです。ロッキード事件で田中角栄さんが政治生命を絶たれた理由の推測とか……。件の深夜番組はほんの10分ほど観ただけですが、田原さんは田中均さんを熱心に擁護しているところでした。テレビ番組にも出演してもらっているし共著も出している間柄ですからなあ。

飽食時代の性―セックス・ウォーズ (文春文庫)
田原 総一朗
文藝春秋

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