goo blog サービス終了のお知らせ 

旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

空っぽな首相会見 其の弐

2011-04-23 14:54:01 | 政治
「また、この間で、復旧が次第に進んできております。仙台空港の再開、東北線の全線開通など、着実に前進しております。さらに本日は、第1次補正予算の概算を閣議決定をいたしました。来週、がれき処理など復旧のための補正予算を国会に提出し、連休中には成立できるよう、努力をしたい。さらに、震災関連の法律も順次、国会に提出してまいりたい。こう考えております」…… 

■高速道路の復旧作業の早さに多くの国民が驚き、日本の原発はボロだけど土木技術は世界一なのか!と畑違いの感動を覚えた向きもあったかも知れません。しかし、既存の道路を補修する作業は新設するより遥かに簡単だそうで、何より今回は入札競争などの手続きが一切省略されて、国家が費用を後払いすると保証してくれて技術と要員が用意できる企業が緊急に談合・分担し、世に日を継いであっと言う間に復旧作業が終了したそうです。緊急時の土木作業を後払いで保証する制度はあるけれど、被災地に近い観光地の宿泊施設を借り上げて、過酷な避難所から避難弱者に移って貰う制度は無いらしいのが不思議で、余震や放射能を心配する民心を更に追い立てる悪質で無責任な風評が荒れ狂って東日本の観光地は経営難に陥っている一方で、各地の避難所は過密ストレスが蔓延しているという奇妙なアンバランスを一挙に解決するための緊急予算が出ない!

■「補正予算」の成立を自慢げに語っている菅アルイミ首相ですが、紙くず同然の『マニフェスト』に羅列されたバラマキ政策を温存したまま、年金予算を取り崩して人質に取って近い将来の消費税増税への道を拓いてしまった責任をまったく感じていないようですなあ。そして、現時点で「震災関連の法律」が一本も作られていない!という重大な事態には言及せず、震災から2箇月も経つことになる「連休明け」あたりにポツポツ法律を作ろうかなあ、と言っているわけですから、連休前に辞任して貰わないと震災後1年経っても復興の光は見えないなどという恐ろしいことが起こるかも知れません。


「当面、仮設住宅の整備が大きな課題であります。各県で仮設住宅の建設を精力的に進めていただいておりまして、感謝いたしております。政府も資材確保などに全力を挙げており、自治体が場所を決めて、提供できる場所を決めていただいて、その中で作業を急ぎたいと思っております。5月末までには3万戸を完成させたい。まあ、最終的には仮設住宅、あるいは借り上げ等を含めて、10万戸を避難される方に提供できるようにしていきたいと、こう考えております」…… 

■仮設住宅の問題は、日本国内には資材の備蓄が無い!と心配されていたようですが、資材は国内の増産や輸入で十分に用意できたと思ったら、菅アルイミ首相が他人事みたいに指摘している「提供できる場所」が無い!という致命的な問題に逢着しているとか……。緊急事態に対処するには私権を制限する政治的決断が必要で、震災の後、あちこちで名前が挙がっている後藤新平が関東大震災に際して断行した首都改造も、「地主との戦い」から始まったそうですから、仮設住宅を建てる用地は立法府が作り出さねばならないのです。それが自分の仕事だと菅アルイミ首相は御存知ないのかも知れません。


「また、こうした復旧が進む中で、復興の議論も本格化してきております。14日には復興構想会議の第1回目が行われ、あすは第2回目となります。6月末をめどに、この復興構想会議で復興の道筋、あり方について、ご提言をまとめていただくようにお願いをいたしております。復興は単に元に戻すという復旧ではなくて、素晴らしい未来を作るという復興であってほしいと、そのことも多くの皆さんと共有している考えだと思っております」…… 

■現時点で被災地の現状を視察した上で「素晴らしい未来」などという能天気な文言を口にできる神経が分からん!一体、今の日本の何処に菅アルイミ首相と「考えを共有している」人がいるのでしょうなあ?構想会議の目的は震災復興ではなくて「政権復興」だと見抜かれている上、座長に「増税」を口走らせるわ、原発事故に関しては沈黙を強いるわ、会議の裏側に潜む邪心が図らずも露呈する滑り出しで、最終的な「構想」がまとまるのは年末?!そんなに悠長な「復興」などあるものか?!と真面目に腹を立てても仕方がないようで、所詮は自分の任期を会議終了の年末まで引き伸ばすために、少しでもマスコミが取り上げたくなるような有名人を掻き集めて「菅、辞めろ!」の声を「構想」話で押し潰そうというだけの話。どうせ提出される「構想」も、参考にさせて頂きますとか何とか言われて、官邸内のダンボールにでも放り込まれてお仕舞い?


「この復興を考えるうえで、私はさらに、今回の大震災、原発事故、この危機が、1つの危機ではなくて、危機の中の危機だ、このように位置づけをいたしております。つまりわが国は、この20年余り、経済的にも成長が低迷し、社会的にも自殺者が、なかなか3万人を切らないといったような多くの課題、社会的な、ある意味での危機を経験しつつあったわけであります。そうした中に、この大震災、原発事故という危機が、まさに発生した。危機の中の危機の発生、このように捉えてまいりたいと思います」…… 

■「危機の中の危機」だそうです。これでまた一つ、御本人は気が利いた歴史に残る名言のつもりで大仰に喋ってみせて誰も覚えていない菅アルイミ首相の無内容な語句コレクションが寂しく増えたというだけのこと。「一つの危機ではな」い事など、日本の小学生でも知っておりますし、大人の中では「一人の危機」だと考えている人も多い筈です。そして出ました!「ある意味での危機」。出口の見えないデフレ経済は、ずっと前から日本の危機だと言われておりましたし、自殺者が減らない社会状況も多くの人が心を痛めていた問題です。震災が誰かさんのヘマの御蔭で「人災」に転じてから、どれほどの被災者が政府の無策ぶりに絶望して自殺者の数を積みましたことでしょう?!これは「ある意味の危機」ではなく「菅の危機」でありましょう。それにしても菅アルイミ首相が官邸に籠もってやっている仕事は「危機の中の危機」などという文言を捻り出すことぐらいなのか?

空っぽな首相会見 其の壱

2011-04-23 11:45:47 | 政治
■一国の首相が記者会見で何を語ろうとも、もう誰も聴こうとしない。会見があったこと自体、ほとんどの国民は知らない。その多くは知りたくもないのかも知れません。大震災の発生から政治的には何の区切りもついていないのに、1箇月目という虚弱な理由で会見を開いてみたものの、何も語るべき事柄が無かった菅アルイミ首相があれから10日余を経て、性懲りも無く?記者会見に臨んだのだそうであります。正副官房長官は同席せず、NHKも中継しなかった金曜日の夕方、会場となった首相官邸には何とかの一つ覚えの「全力」の二文字が何度も虚しく響いていたそうな……。以下、2011年4月22日の産経ニュースが発信した菅アルイミ首相の内容でありますが、どうやら、やはり、首相の交代はないようですなあ。

「前回、大震災発生から1カ月目の記者会見を行いました。それから約10日たちまして、この間にさらに前進したこと、さらには、これからの方針、方向性について、私のほうから国民のみなさんにご説明をしたい。今後もそういう形を取れればと思っております。まず昨日、福島県を訪問いたしましたが。その中で被災者の方に何人もお会いしましたが、一番耳に残った言葉がありました。それは『私の家は今、アメリカよりも遠いんですよ。アメリカなら十数時間で行くことができるけれども、私の家には何週間も、場合によったら何カ月もかかっても帰れないかもしれない。なんとか早く帰れるようにしてほしい』。その言葉が、一番耳に残った言葉でありました。なんとしても、この原子力事故によって家を離れなければなくなっているみなさんが、1日も早く自分の家に戻れるように政府として全力を挙げなければならない。改めてそのことを強く感じた次第であります」…… 

■「前進したこと」など有ったのか?と聊かぎょっとするような気楽な発言に続いて「私のほうから国民のみなさんにご説明」という今回の未曾有の天災が世にも恥ずかしい政治的人災へと転換させてしまった元凶の「俺が、俺が」の愚かで危険な姿勢は変わっていないことを自白してしてしまった菅アルイミ首相は、「今後もそういう形」を続けると恐ろしい宣言までしてしまいました。嗚呼。「アメリカから遠い」のは被災者の帰れない御自宅だけでなく、原発事故に対する日本政府の対応能力も同様でありましょう。そして、何の具体性もなく無責任な印象しか与えられない「全力」が飛び出してしまいます。


「こうした中、昨日、警戒区域を設定し、本日は計画的避難区域と、緊急時避難準備区域を設けたところであります。この措置は住民の皆様の安全、健康を最も重視して決断をしたところであります。……特に警戒区域というのは、いわゆる原子力発電所から20キロ圏内において、基本的には避難をすべての人がしている。中には避難所、窃盗などがあるのではないかという心配もあります。そういった中で今回、警戒区域といった形で法律的にその中には入れないという位置付けにしたわけであります。それと同時に、中に住んでいる皆さんには一時的に家に立ち寄ることができるような、そういう形をこれから順次、計画的に進めてまいりたい。着の身着のままで避難された方が一時的に家に戻って必要なものをとってくることができるような、そういう対応をしてまいりたい。このように思っております」…… 

■「避難所」と「窃盗」の間が開いているので文意が混乱しておりますが、「窃盗などがあるのではなか」などと最高責任者として正確な情報を持っていないことを白状してしたのは大失敗。こんな不確かな発言を聞かされる甚大な窃盗被害を受けている数多くの避難民の皆さんは救われません。「原子力に物凄く詳しい」首相は被災地の治安維持も被災者の健康問題も、ずっと失念していたとしか思えません。1箇月以上も無法者達を野放しにしていた自分の責任など、まったく感じていないのは明らかであります。何のために現地視察を重ねていたのやら……。


「福島原発事故の今後についてでありますが、すでに17日に東電から今後の見通しについて、工程表が提示をされております。政府としては、この工程表を予定通り実現する。ステップ2は、ステップ1の3カ月に加えて、さらに3カ月から6カ月となっておりますけれども、できることならなるべく短い期間の間にそれを実現をする。そうすれば、その中から避難した皆さんに対して、どういう形で戻ることが可能なのかを提示することが、ステップ2が終わった段階に立ち入ればできるのではないかと、このように考えているところであります」…… 

■既に事故を起こした原発内の映像を米国製のロボットが撮影して公開、週刊誌を先頭に原発内での作業に当たる人たちの過酷な実態も詳しく報道されておりますから、専門家の間でも疑問や問題点をあれこれ指摘されている東電の「工程表」を丸呑みにしたばかりか、勝手に「なるべく短い期間」などと残酷なことを言い出してしまう菅アルイミ首相は、「特攻隊」と自嘲しながら人海戦術に参加している現場の作業員の苦境をご存じないのか?非常手段の危険なベント作業を陣頭指揮するつもりで現場に乗り込むような人だからこそ、他人の痛みや苦しみは分からないのでしょうか?東電の勝俣会長でさえも「一つの目安だ」と逃げ道を作っている工程表は机上の計算通りには進まないだろうと各方面から見られている現実を無視して、自分の政権維持のために前のめりになるのは止めて欲しいものです。

■『週刊文春』4月21日号に「東京電力「福島第一原発」の反乱」という内幕記事が掲載されていました。4月7日に始まった格納容器への窒素注入作業を巡って、免震棟の責任者である吉田昌郎所長がテレビ会議で東電本社に並ぶ「評論家」達に怒りを爆発させたという4月4日からのドラマが再現されております。現場スタッフの安全を第一に、事故を起こした原発を最悪の事態に陥らせない困難な作業を指揮している所長が「それでも窒素封入をやれと言うなら、オレたちは、この免震棟をから一歩も出ない!ここで見ている!」と東電本社の対策統合本部に対して反抗したという事件を、菅アルイミ首相は知っているのか?工程表には作業員が重大な事故に遭う危険性は織り込まれていないようですから、深刻な被曝事故が起こった場合でも、菅アルイミ首相は「早くやれ!」と冷酷に命じるのか?!

民主党はこれから花盛り? 其の四

2011-04-22 14:12:54 | 政治

新党改革の舛添要一代表は20日の記者会見で、東日本大震災の復旧・復興をめぐる与野党合同の「復興実施本部」(仮称)への同党参加について「慎重に検討せざるを得ないが、既存の組織を使ってやれるのならやればいい。そんな無駄なことをやる必要はない」と否定的な考えを示した。舛添氏は「屋上屋を架す会議を作るのは失敗する人たちのやることだ」と指摘。「そういうものを作ったり構想するひまがあったら、今の政府がしっかり動けばいい」……「こういう大事な時に司令官を代えていいのかという意見もあるが、そのままでは戦に負けるのならば司令官を代えるべきだ」と菅直人首相の退陣を要求した。
2011年4月20日 産経ニュース 

■「失敗する人たち」がずっと政権に居座っていることに多くの国民は絶望しておりますし、残念ながら舛添代表が期待する「既存の組織」も「今の政府」も、どちらも「しっかり動く」可能性は無さそうだと思っております。原発事故への対応を次々と誤って現地を大混乱に陥れることばかりしている政権が「復旧・復興」など出来ようはずはないと誰でも思っているのではないでしょうか?遅まきながら風を読み間違える舛添さんでも「司令官を代えるべきだ」と言い出したのですから、いよいよ菅アルイミ内閣の命運は尽きかけているようですなあ。


菅直人首相は21日午後1時前、福島県田村市の避難所である総合体育館を出た。「もう帰るんですか」「無視していくんですか」。首相に向かって同県葛尾村から避難している夫婦が呼び止めた。首相は「ごめんなさい。そういうつもりはありませんでした」と謝った。呼び止めた夫婦は「生後4カ月の孫を抱えている。この子たちは、これからなんです。先の見えない不安を抱えながらながらやっているんです」と泣きながら訴えた。首相は「子供たちのためにも全力を尽くしてやっている」と答えた。
2011年4月21日 産経ニュース 

■救国内閣を作ろうと奔走している亀井静香さんが、菅アルイミ首相の個人的趣味?で閣僚を更に3人増やそうとした時に「バカたすバカは、やっぱりバカだ」と言ったそうですが、菅アルイミ首相が繰り返す「全力を尽くして」発言が虚しいのは、無力な者が全力を振り絞っても何も出来ないという道理に国民が気付いてしまったからなのかも知れません。御自身も自分の「無力」を知っているからこそ、大臣を増やし会議・本部を濫造し、参与を掻き集めたりしているようにも見えます。何をしているのかは一切語らず、ひたすら「全力」を繰り返す首相の言葉はもう誰の心にも響きません。そもそも行政府のリーダーが重要な仕事が山積みになっている官邸を抜け出して被災地を訪問しても何の意味もありません。仮に阪神淡路大震災の時の村山内閣が震災後40日間で14本の特別法を成立させていた先例を超える実績を作っているのなら、その法律が実施されている様子を視察するのも宜しいでしょう。しかし、菅アルイミ内閣はまだ1本の法律も作れず、「こども手当て」がどうのこうの、紙くず同然の『マニフェスト』がどうのこうのと方向違いの小田原評定を繰り返しているだけなのですから、首相の現地視察は後ろ向きの暇つぶしにしか見えません。被災地の桜の花を愛でるような愚かなパフォーマンスをしなかっただけでも良かったのかも?


民主党の小沢一郎元代表が「菅降ろし」に向け具体的な動きを見せ始めた。21日にはガソリン価格高騰時に揮発油税を引き下げる「トリガー条項」を凍結する菅直人首相の方針に強い不快感を表明。退陣論は首相支持勢力にも徐々に拡大しており、小沢氏が同調を示唆した内閣不信任案の可決に向けた環境整備が着々と進んでいる。
「そんなことになっているのか…。ガソリンの値段が上がることは、被災地からすれば困るな」小沢氏は21日、個人事務所で小沢グループ議員からトリガー条項凍結の説明を受け、こうつぶやいた。同条項は、民主党がマニフェスト(政権公約)で掲げた揮発油税などの暫定税率廃止の代替措置として小沢氏の主導で導入された。しかし、東日本大震災からの復興財源として、菅内閣が凍結方針を示したことに小沢系が強く反発。大谷啓衆院議員ら数人が抗議のため関係法案を審議する22日の衆院総務委員会の欠席を宣言し、執行部は委員交代を余儀なくされた。…… 

■『週刊文春』の最新号には玄葉国家戦略相が震災直後のガソリン不足の折、自分の選挙区にタンクローリーを大量に送り込んで2度に渡って自分の政治力を誇示した疑惑が書かれておりますが、被災地の多くは一家に自動車3台も珍しくない日常生活を送っていたはずですから、政府が「逃げろ!」「家にいろ!」「やっぱり逃げろ!」などと勝手な指示を出してもガソリン不足に泣いて動くに動けない二次三次被害を受けて困ってしまいますから、少なくとも避難生活者にはガソリンを無料で使えるような特別措置を取るべきでしょうなあ。返す返すも「原子力に物凄く詳しい」総理大臣を持ってしまった国民は不運でありました。


……不信任案は約90人のグループ全員が賛成すれば可決するが、小沢氏は政策批判を通じて、さらに同調者を広げる戦略とみられる。小沢系以外の議員も、「菅降ろし」の激化に備え始めた。21日の前原誠司前外相の議員グループ(凌雲会)会合ではこんなやり取りがあった。
稲富修二衆院議員「ご迷惑をおかけしてすみません」
前原氏「迷惑なんてかかっていないよ。どんどんやったらいい」
稲富氏ら1年生有志45人は19日、「国難に立ち向かうための勉強会」を発足させた。凌雲会や野田佳彦財務相のグループ(花斉会)に小沢グループも加え、45人を集めた派閥横断の会合が「菅降ろし」とからめて報じられたことを謝罪した稲富氏を、前原氏はすかさず笑顔で激励した。首相はこれまで、党内の「小沢アレルギー」を自らの求心力維持に利用してきた。だが、震災対応に右往左往するうちに、逆に「菅アレルギー」が広がり、公然と不信任案への同調論が広まる事態を招いている。…… 

■いよいよ「壊し屋」の本領を発揮する時期が到来か?と背筋に寒いものを感じた菅アルイミ首相は居ても立ってもいられずに東北の避難所を視察するという名目で、本当は自分自身が「避難」したかったのかも?


一方、メールマガジンで首相を批判した桜井充財務副大臣は21日の記者会見で「辞めろとは一言も言っていない」と釈明したが、直接の上司の野田氏からは電話で「筆が滑りすぎないように」と注意を受けただけだったことも明かした。民主党の輿石東参院議員会長も21日の会見で、小沢氏の首相批判について「一日も国民が安心できる態勢をつくらなければという思いがあるのだろう」と理解を示した。……実は輿石氏は20日夜、都内で自民党の麻生太郎元首相と会談していた。「菅首相のままでは経済や復興はおぼつかない」麻生氏の主張に、輿石氏は深くうなずいたという。
2011年4月22日 産経ニュース 

■クラッシャー小沢は自分に従う者達こそが「本物の民主党」だと周囲の同調者達に言ったそうですから、ここで菅アルイミ首相を追い落として支持率急降下中の泥船政権から一刻も早く逃げ出して、次の選挙の時には「自分は本物の民主党だ」と言える保険を欲しがる議員が党内に増殖しているのかも知れません。政権政党として民主党が重ねた失政の責任は、そう簡単に許されるものとは思えないのですが、政党助成金を握っている党が消滅することなど考えたくもない議員たちは、少しでも菅アルイミ政権から距離を取って時を稼ぎたいのでしょうなあ。


米誌タイムは21日、毎年恒例の「世界で最も影響力ある100人」を発表し、東日本大震災の被災地、福島県南相馬市から動画共有サイト「ユーチューブ」を通じて住民の窮状を訴えた桜井勝延市長がその一人に選ばれた。桜井市長は動画で「(福島第1原発事故で)屋内退避措置の中にいる市民は兵糧攻め的な状況に置かれている。ご支援をお願いしたい」と呼び掛けた。同誌は「彼の訴えは世界中で反響を呼び、能率の良さで知られる国が弱い立場の市民の力になれなかった現実を多くの人に考えさせた」と指摘した。また、宮城県南三陸町の公立志津川病院で、津波が迫る中、入院患者を階上に避難させ、診療を続けた医師、菅野武さんも選出された。このほか、オバマ米大統領や、内部告発サイト「ウィキリークス」創始者ジュリアン・アサンジ氏、リビア最高指導者カダフィ大佐の次男セイフイスラム氏らも名を連ねた。
2011年4月22日(金) 時事通信 

■本来なら、国民の先頭に立って未曾有の天災に挑む日本の総理大臣が選ばれて然るべきところ。東日本大震災が起こるまで誰も知らなかった?南相馬市の市長が選ばれる裏には、我が国の首相にまったく情報発信能力が無い!という悲しい現実が隠れておりましょうなあ。「本当の民主党」を自称するクラッシャー小沢なら、もう桜井市長に次の選挙の出馬を打診しているかも知れませんが、政府はどんどん被災者から離れて行くだけの政争にはうんざりであります。
-------------------------------------------
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

山と溪谷社

このアイテムの詳細を見る

------------------------------------------

民主党はこれから花盛り? 其の参

2011-04-22 14:12:14 | 政治
■本来なら二大政党制の常として政権与党が失政を続ければ、野党第一党の支持率が急上昇して与野党間で活発な議論が繰り広げられるはずなのですが、野党らしさを身に着ける前に自民党はすっかり野党ボケになっているようで、政権を失った原因の究明するでもなく、新しい国家像を示すでもなく、復興事業と原発政策の利権を餌に大連立を持ちかけられるともぞもぞと悪い虫が動き始めるようでは、たとえ地方選挙で民主党が見るも無残な敗北を喫したとしても華々しく政権に返り咲くことはなさそうです。

自民党は19日、「全議員・選挙区支部長懇談会」を26日に開き、菅直人政権下での「大連立」不参加を正式表明する方針を決めた。また、平成23年度第1次補正予算成立後に、首相問責決議案を参院に提出することも検討。東日本大震災後、「復旧優先」を理由に政権への協力姿勢をとってきたが、統一地方選の民主党惨敗などを受け、「倒閣」路線に回帰した。…… 

■「復旧優先」を理由に菅アルイミ内閣を1箇月以上も支えてしまったのなら、それを反省してからでないと「倒閣」運動は国民に理解されそうにありません。統一地方選の結果待ちだったのなら、原発事故の深刻度を「レベル7」に引き上げる発表を選挙後に引き伸ばした菅アルイミ政権と五十歩百歩でありましょう。おそらく地方選の後半でも民主党は敗北するでしょうが、それは決して野党第一党の手柄でもなければ政権奪回への期待を意味するものではありますまい。谷垣総理大臣を待望する声など何処にも湧きあがっておりませんし、自民党内からもそんな声は出ていないのですから、今の日本には政権を担える責任政党も政権交代を正々堂々と要求できる野党第一党も存在していないことになるのは実に悲しいことであります。


谷垣禎一総裁と大島理森副総裁らは19日朝、都内で会談し、政府の1次補正予算案は財源に問題があるとの認識で一致した。自民党は当初、がれき処理などが中心の1次補正予算案の早期成立に協力する方針だったが、財源に基礎年金国庫負担分が流用されることなどを理由に反対姿勢に転じ始めていた。その後の緊急幹部会では「財源で民主党からの歩み寄りがない以上、1次補正に反対せざるをえない」(参院幹部)との意見が噴出。基礎年金国庫負担分流用の根拠となる国民年金法改正案に反対する方針で一致した。また、従来は問題なしとしていた補正予算案の歳出についても、組み替え動議を提出する検討に入った。…… 

■ここに出て来る「基礎年金国庫負担分流用」というのが曲者で、菅アルイミ首相が先の参院集中審議の席上、片山虎之助議員(たちあがれ日本)に「復興の道筋をつけたら首相を辞めるのも選択肢の一つだ」と質問されたのに対して「復旧・復興と、財政再建の道筋をつけられたら政治家として本望だ」と答えて、辞めろ!辞めるもんか!の口喧嘩をして見せたのでしたが、これは単純に地位に恋々としている菅アルイミ首相が本音を漏らしたというだけではなくて、すっかり政権を丸呑みにしている財務官僚達の悪賢い手品を本気で始めるという宣言だった可能性があるようです。

■莫大な費用を要する「復旧・復興」と一見相反する「財政再建」とを結び付ける発言は奇異に聞こえますから、どちらも途方も無い時間を要する大仕事を終わらせるまで、ずっと自分は総理大臣を続けたいなあ、と寝言を言っていたのではなく世界一の速度で高齢化が進む日本の有権者層から票を掻き集めるのに最も有効な年金制度を人質に取って「復旧・復興」という錦の御旗を突き立てて第一次補正予算を強引に成立させておいて、それでも予算が足りない!という理由で消費税を引き上げ、たとえ「復旧・復興」の期間が終わっても予め大穴を開けておいた「基礎年金国庫負担分」の穴埋めが必要だ!と言い立てれば、消費税を高止まりさせたまま恒久財源化が成功するという恐ろしい火事場泥棒政策が隠されているようでありますなあ。

■手品のタネが国民に周知徹底される前にと、慌てて4月22日に怪しい歳出規模4兆0158億円の「11年度1次補正予算」を閣議決定してしまう御手並みは、菅アルイミ内閣らしくありません。原発事故が更に悪化したら本当に東日本が潰れてしまう可能性は残っていますが、このまま菅アルイミ政権が続いたら日本国全体が潰れてしまうかも知れませんぞ!


……(自民)党税調幹部会では、政府が2次補正以降の財源とする「復興再生債」の償還財源に消費税を含む増税を検討していることにも「この時期の増税は景気を冷え込ませ復興を遅らせる」との認識で一致した。党執行部は24日投開票の統一地方選後半戦で民主党が再び惨敗すれば菅政権が窮地に追い込まれるとみている。このため、谷垣氏は26日の全議員懇談会で、大連立は菅政権の延命につながるだけだとして対決姿勢を鮮明にする方針だ。自民党国対幹部は19日、「首相に辞任の意思がない以上、内閣不信任案や首相問責決議案の話にならざるを得ない」と明言。1次補正成立後の5月上旬から中旬に提出する可能性に言及した。……国民新党の亀井静香代表は19日、「菅がダメでも被災民には罪はない」という口説き文句で与野党合同の「復興実施本部」(仮称)への参加を野党に呼びかけたが、快い返事は一つもなかった。
2011年4月20日(水) 産経新聞 

■自民党にも見透かされている消費税を引き上げる謀略めいた菅アルイミ内閣の財政政策は、本来の財政論議を停滞させてしまうでしょうし、復興予算の財源論も迷走させる二重の悪影響が出て来そうであります。菅アルイミ首相はお得意の「悪いのは野党だ!」と強行突破を試みるかも知れませんが、頼みの国会における「数」が党の内部崩壊によって不足するかも知れない風向きのようです。

民主党はこれから花盛り? 其の弐

2011-04-20 15:42:56 | 政治
民主党はこれから花盛り? 其の弐■大和心を象徴する桜の花は人々を束の間の夢心地にして潔く散り、葉桜の薄緑色は夏が近いことを教えてくれるものですが、民主党の菅ザクラは必死に枝(野)にしがみ付いて意地でも散らないつもりのようです。誰も褒めてくれないからと、参議院の集中審議で白昼夢のような「国民からの評価」を自画自賛してしまうくらいですからなあ。散らぬなら、散らして見せよう!と相談する寄り合いが永田町近辺で開かれ始めている由。さてさて、国難を乗り切るためには菅ザクラを無理やり散らすのがよいのか、造花にして天井から宙吊りにして実権の無いお飾りに徹して貰うのがよいのか……。先日、「カイワレの神通力」を頼まれて福島県選出の渡部最高顧問と並んで胡瓜とイチゴをぱくぱく食べていた菅アルイミ首相の姿を見てふと思ったのは、ぶら下がり取材を拒否して逃げ回るより、毎日毎日、各種制限が解除された生産物を卓上に並べて、産地の名前を連呼しながらパクパク食べてゴクゴク飲むパフォーマンスに徹して見せれば、いつも口中は野菜や牛乳や魚でいっぱいで質問には答えられないという大義名分も出来ましょうし、今の無力な総理大臣として役立つ唯一の方法ではなかろうか?という妄想でありました。

……衆院議員会館の一室で15日、「打倒・菅」のシナリオがひそかに練られた。
「あちらとこちらの対抗戦になってはいけない。中間派も糾合しなければ…」
集まったのは小沢氏に近い山岡賢次副代表、田中真紀子元外相、鳩山氏側近の中山義活経済産業政務官ら中堅・ベテラン議員9人。田中氏は「今の政権は本当にダメだ」と吐き捨てた。倒閣を目指す火の手はあちこちで発生している。首相に批判的な川内博史衆院議員は15日、「国民との約束を守り、震災復興を実現する会」を立ち上げた。小沢、鳩山両氏に近い国会議員46人が出席し、マニフェスト(政権公約)を見直す中で財源を捻出し編成された平成23年度第1次補正予算案に対する不満や首相退陣論が噴出した。…… 
■政権交代を願った有権者は、既に史上最悪の宰相と定まった鳩山サセテイタダク首相の半年間を経験してからは、「政権は本当にダメだ」と身に染みて分かっておりますので、どうせ反旗を翻すのなら大震災の前、少なくとも最初の水素爆発が起こった直後ぐらいには始めて頂きたかったですなあ。あれから何人の被災者が地震や津波から逃れられた命を失政によって失ったことでしょう。


山岡氏らは今月下旬に「総調和の会」を発足させ「菅降ろし」に同調する議員を結集させる考えだ。……衆院1年生有志は19日に「国難に立ち向かうための勉強会」を発足させる。中心メンバーは中間派の石津政雄、小沢氏を支持する「北辰会」の空本誠喜、前原グループ(凌雲会)の稲富修二、野田佳彦財務相のグループ(花斉会)の岡田康裕ら各氏。特に空本氏は北辰会の中心メンバーで、稲富氏は前原氏の子飼い。両者が手を握る意味は大きい。…… 

■クラッシャー小沢を筆頭に「菅降ろし」というと名前が出て来る政治家に共通するのは東日本大震災に関連して政治家として目立った活動をしていないことではないでしょうかな?「勉強会」を発足させる1年生有志議員の皆さんも、この1箇月余の期間、一体、何処で何をしていたのか分かりません。まさか小沢流の選挙向け限定活動を地元に張り付いて続けていたのではありますまいな?!クラッシャー小沢自身も1度だけ岩手県に入ったものの被災地には足を踏み入れず早々に戻って来たということですが、菅アルイミ内閣の失政を糾す気があったのなら、これまでにも多くの機会があったはずなのですが……。


原発事故の現場、福島県南相馬市が選挙区の石原洋三郎衆院議員が15日の党代議士会で「首相は『長期戦を覚悟して事故処理に臨む』と言ったが、むやみに長期戦になるのなら即刻退陣していただきたい」と声を上げると、拍手が湧き起こった。……原口一博前総務相は原発事故について「日本には放射性物質を外部に出さない技術があるのになぜ使わないのか。その決断ができないなら総退陣すべきだ」と語った。…… 

■4月18日(月)に放送されたテレビ朝日の『TVタックル』に自民党の河野太郎と一緒に出演した原口議員は前の週に引き続き日本の原発政策の闇と問題点について、ちょっとだけ話していましたが、遮蔽技術や総退陣にまでは言及していなかったようです。河野議員は『週刊現代』4月30日号の「原発反対の私が受けた嫌がらせの数々」という記事の中でテレビ朝日の『報道ステーション』に出演した折の事も含めて東京電力の嫌がらせネットワークの長くて執念深い「腕」のことをぶちまけておりますが、さすがにテレビ朝日の番組ですから別の話をしていました。


首相を支えてきた渡部恒三最高顧問も民放番組の収録で、先月19日の首相と自民党の谷垣禎一総裁の電話会談について「(首相は)自民党総裁室へ行って『私は副総理で仕える。谷垣さん、総理を引き受けてくれないか』と言っていたら断られなかった」と語った。…… 

■最初から「副」に格下げされることなど毛頭考えているはずもない菅アルイミ首相に関して、後知恵にもならない「策」を語っても後の祭りにもなりますまい。ご意見番だの黄門様だのとマスコミは便利な尊称?を与えているようですが、今の民主党内に渡部最高顧問の話を傾聴する議員は皆無なのではないでしょうかな?もしも、暴れん坊の菅アルイミ首相に党の最高顧問の席を上手に譲って総理大臣を辞めさせられたら渡部恒三の名は国難を救った大政治家として残ったかも知れませんなあ。


昨年から続く党内抗争は「親小沢」VS「反小沢」の構図だったが、今や党内は「反菅」一色に染まろうとしている。こうした動きを、海千山千の自民党ベテラン議員が黙って見ているはずがない。
「今、内閣不信任案を出したら民主党はどうなるのかね」
14日朝、国会近くのホテル。自民党の伊吹文明元幹事長は鳩山氏に探りを入れた。「不信任はまだ早いでしょう」と鳩山氏。だが、同席した平野博文元官房長官が「被災者を考えれば協力しなければいけないが限界だ。首相は官邸メンバー全員とうまくいっていない」と訴えると、伊吹氏は小さくうなずいた。
谷垣氏は、首相が国民新党の亀井静香代表とともに検討している「復興実施本部」(仮称)への参加を拒否することを決めた。……
2011年4月16日 産経ニュース 

■亀井代表も良い面の皮になりつつあるようで、少し可哀想にもなりますが郵政民営化問題という重荷を背負っている限りは国民新党が躍進するのは難しいと思われます。政治家としてのキャリアと官僚の動かし方に精通していると評価が高い亀井さんですが、菅アルイミ首相と組んでいる限りは常に貧乏籤を引かされて、いよいよ政権崩壊となれば骨折り損の草臥れ儲けでしかなかったなあという結果になる可能性が高そうです。菅アルイミ首相を辞めさせて誰なら原発問題を解決できるんだ?!と玄葉国家戦略相は吼えていたそうですが、今となっては誰でも菅アルイミ首相よりはマシなのではないか?と切り返せそうな気がして来るから困ったことであります。

民主党はこれから花盛り? 其の壱

2011-04-20 12:05:51 | 政治
■関東地方の桜は悲しく咲き誇って静かに散り始めております。あちこちで東北の酒を酌み交わして遠い北の被災地を少しでも元気付けようと、名もない庶民は心を痛めながらも酒の勢いと桜の美しさに、今の日本を導けない政府に対する実に大人しい抗議の態度を示しているようであります。開花宣言の指標となる靖国神社の桜が開く前から、素人寄せ集め集団の民主党政権は、実に不思議な後ろ向きの姿勢を強めつつ、何を考えているのかは分かりませんが、菅アルイミ首相を先頭にせっせと「足踏み」運動をしていたのでした。政治家・政府の足踏み運動とは、「会議」のことであります。

■民主党は3月11日、党本部に「民主党東北地方太平洋沖地震対策本部」を設置して全議員で全党を挙げて取り組む!と宣言したのに、3月23日には「東北地方太平洋沖地震災害復旧・復興検討委員会」の初会合を国会内で開催。翌24日の昼には、「東北地方太平洋沖地震対策本部」(本部長・岡田克也幹事長)の第2回総会を国会内の講堂で開催……。と名前だけは立派な看板がこれ以降もどんどん濫立し続けまして、よほどマニアックな政治記者でも雨後の竹の子、梅雨時のカビみたいに並んだ「対策本部」やら「会議」やらの全貌は分からないとも言われてるくらいで、そもそも、菅アルイミ首相御自身が自分が引き籠っている官邸の下に馬鈴薯・薩摩芋みたいにぶら下がっている急増組織の名前も全体的な構図も分かっていないだろう、と冷笑的に報道される始末であります。どさくさ紛れに現行の法律で許される枠いっぱいに、3月13日という非常に重要なタイミングで蓮舫・行政刷新相に「節電啓発担当大臣」を兼務させるわ、辻元清美・代議士を引っ張り出して災害ボランティア担当の首相補佐官に任命するわ、どう見ても有権者を馬鹿にした人気取りバフォーマンス人事を思いつきて強行して、世界中に原発事故に対して真剣に取り組む気などさらさらない!という恐ろしいメッセージを発した菅アルイミ首相でありました。あれから1箇月余、二人の女性政治家は何をしたのでしょう?


菅直人首相が各党に参加を呼びかける東日本大震災の復旧・復興のための「復興実施本部」(仮称)について、自民党の小池百合子総務会長は15日、「非常に疑義を感じる。会議ばかり作り、魂を入れないでどうするのか」と批判した。同本部は政府の「復興構想会議」がまとめる提言の実施機関として来週にも設置。本部長の首相と全閣僚、各党1人ずつの代表者で構成される。……岡田克也幹事長は14日、「詳細は分からない」と述べたが、本部長代行に内定している国民新党の亀井静香代表は15日、「非常事態でみんなが心を合わせて力入れなければいけない時に、政権与党の幹事長が何をやっているのか」と批判した。
2011年4月15日 産経ニュース 

■政権与党だった自民党の悪口が一番上手い政治家を神輿に担いで貧乏臭いコップの中の嵐を続けた末に、オカアチャン基金で子分を養っていた鳩山サセテイタダク首相が誕生し、その後継には子分がほとんど居ないハッタリ・パフォーマンスでしぶとく生き残った菅アルイミ首相が「小沢が嫌いな奴はこの指に止まれ!」と政策とはまったく関係のない怨念エネルギーを求心力に変えて仙谷ノーコメント前官房長官の暗躍協力によって代表選の票を掻き集めて当選したのでしたが、落選したクラッシャー小沢元代表との票差は極僅かなものでありました。この僅差がトラウマとなって民主党は大震災前から分裂・対立含みになって、怪しげな検察審査会なる小さな組織が下した無茶な結論を過大に評価して党員資格停止を言い渡し「小沢斬り」に大成功?!岩手県を拠点としているクラッシャー小沢の怨念でもありますまいが、三陸沖は大地震と大津波で壊滅し、無為無策の政府に失望した国民は数多くの菅アルイミ内閣の失政に耐えて助け合いの運動が展開されております。「ひとつになれ、日本!」の掛け声が民間に満ちているというのに、民主党内は挙党体制には程遠い内輪揉めを続けておるのであります。

■元々、党としての綱領も作れない吹き溜まりの寄り合い所帯ですから、国難に臨んでも一致団結して歩調を合わせて救援・復興に尽力できないのは分かってはおりましたが、手足となって働くはずの議員は妙に暇そうで、頭脳となるべき首相は官邸に引き籠り参与という名の家庭教師を次々に雇って自習中。緊急を要する重要な仕事は本部や会議を濫造して丸投げしたまま、大震災から1箇月余りの期間で菅アルイミ首相が実行したのは「東日本大震災」という名称を決定したことだけかも?名称が「東日本」全域を示しているというのに、首相の頭と官房長官の口は原発事故の対策だけに占有されて数週間、その間も今でも大津波には襲われなかったものの巨大な地震で壊滅的な被害を受けた地域も数多いという事実をマスコミが報道しないからなのか?菅アルイミ内閣の視界からはすっぽり抜け落ちているのが気になりますなあ。


民主党の桜井充財務副大臣(参院宮城)は19日付の自身のメールマガジンで、菅直人首相の震災対応に関連し、「首相を交代させろという声が出てくるのは当然のこと」などと首相を厳しく批判した。……政府内に対策本部や会議が乱立していることについて「目的や権限を具体的に議論していない組織だけを増やしているから混乱し、十分に機能しない」と指摘。「基本的な動作ができていないことが民主党政権の問題だ」と断じた。18日の参院予算委員会での首相の答弁に関しても「何か言われると、必ず自分の正当性を主張する。自分の非を認めると責任論につながると思っているのかもしれないが、反発を招くだけ」と苦言。その上で、「今後も首相を続けていくなら、もう少し歩み寄る姿勢を見せてほしい」と求めている。
2011年4月20日(水) 時事通信 

■「今後も首相を続けていくなら」と仮定形を使うなら期限を切って「第一次補正予算が成立するまで」と言って欲しかったですなあ。どうせ結論は聞き置くだけで無視されるに決まっている復興構想会議を立ち上げ、東京電力には現場で危険な作業を強いられている人達の安全を考慮しない工程計画を発表させ、3箇月・9箇月と不気味に長い居座り予告とも思える長期計画を入手した菅アルイミ首相は、本気で任期満了まであと2年半、下手をしたらその後の続投まで考えているかも知れませんぞ。18日の参院集中審議での自己保身・責任逃れの答弁は耳を疑うようなものばかりでしたからなあ。その審議の中で濫立する会議や本部の名前を全部言えるか?!と野党に攻められて見え透いた話のすり替えで逃げ回る総理大臣は滑稽でさえありました。


菅直人首相は19日、民主党の田中慶秋衆院経済産業委員長らと首相官邸で会い、東日本大震災と福島第1原発事故への政府の態勢について「全体的ないろいろな組織の見直しをしたい」と述べ、20以上の組織が乱立する現状を見直す意向を示した。田中氏によると具体的な内容には言及しなかったという。会談で田中氏は「組織ばかり作ればいいものではない。半分はだいたい同じメンバーだ。分かりやすくスピードのあるシステムを作るべきだ」と述べ、首相は「その通りだ」と応じたという。…… 

■あら?!前日の集中審議で公明党の加藤修一議員から「会議名を全部知っていますか?」と質問されて、「言えるわけねえよ!」などの下品な野次と怒号が議場に渦巻く中で「決して無責任に作ったわけではなく、(地震津波と原発事故の)二正面作戦にならざるをえなかった」と20以上もの会議・組織の数は決して多過ぎないと主張していたのに……。


震災や原発対応に当たる政府組織は「本部」だけで六つに及び、それぞれの下に「会議」や「チーム」が乱立。滝野欣弥官房副長官は19日、記者団に「非常に広がりの大きい震災なので、やむを得ない」と説明したが、官僚からは「ほとんど各省が取り組み状況を話すだけで終わり。報告ばかり求め、責任は取らない」と不満が漏れている。
2011年4月19日(火) 毎日新聞 

■菅アルイミ首相の政治姿勢が如実に反映した組織群のようであります。「報告ばかり求め、責任は取らない」という点は主語を入れ替えても誰も分かりませんぞ。それにしましても「非常に広がりの大きい震災」だからこそ、指示系統は単純明快で効率的なものでなければなりますまい。被災地からの連絡や要望が錯綜した組織群の中に絡め取られて行方不明になってしまうようでは被災者はいつまで経っても救われません。そしてまた、菅アルイミ首相は組織の再編成もしないまま福島県内の避難所を現地視察に出掛けて行くのであります。

菅アルイミ政権の炉心溶融 其の伍

2011-04-11 16:09:56 | 政治
■単なる責任回避の道具にしようと自分の周囲をエライ先生達で囲んでいるのは、官僚を苛めるための理論武装が目的なのでしょうが、まるで執務室を原発の格納容器しようとしているように見える菅アルイミ首相は、統一地方選挙での惨敗の責任を岡田幹事長に丸ごと押し付けて、自分自身は選挙運動そっちのけで原発事故後の対応に走り回って都知事選に圧勝した石原都知事を見習おうとしているのかも知れませんなあ。既に何とやっても裏目に出る民主党政権に明るい未来などないのですが……。

……菅の官僚機構と東電への不信は深まるばかり。東工大教授で原子炉工学研究所長の有富正憲らを次々と内閣官房参与として官邸に迎えたことは証左だといえる。その数はすでに6人。「セカンドオピニオン」を背後に付け、菅はますます高飛車になった。東京電力や原子力安全・保安院などが自らの指示に抵抗すると「俺の知ってる東工大の先生と議論してからこい」と言い放った。ところが、3月末になると菅はすっかり淡泊になった。細野が日課となった東電福島第1原発の状況を報告しても「そうかあ…」「それでいい」-。どうやら事態の長期化が避けられないことを悟り、気合を持続できなくなったようだ。菅は4月1日の記者会見で「専門家の力を総結集しているが、まだ十分安定化したというところまでは立ち至っておりません」と長期化をあっさり認めた。淡泊になったのは理由がある。東日本大震災の発生後、菅の頭は原発でいっぱいだったが、ようやくガソリンや物資供給など被災者支援が後手に回っていたことに気づいたようだ。…… 

■総理大臣としての視界が狭いと申しましょうか、短気な性格が災いして思考が近視眼的になっていると申しましょうか、本来なら自分の手足となって働いて貰わねばならない官僚群と喧嘩ばかりして、結局は国家の危機に際して優秀な人材を遊ばせておくことこそが税金の無駄遣いなのに、それにまったく気が付かない仕分けパフォーマンス政権が多くの被災者を忘れて原発事故に掛かりっきりで1箇月の貴重な時を無駄にしてしまったようであります。地震・津波で家族を失うことは辛く悲しいことですが、政府の無策によって体調を崩し心身共に疲れ果てて落命する犠牲者が出るというのは我慢ならない話であります。ましてや自殺者が出るような稚拙な指示を濫発されては国民は困惑するばかりです。


実は首相官邸の指示がなくても各省庁は阪神・淡路大震災を先例にさまざまな被災者支援や復旧策をひそかに準備していた。ところが政務三役の「政治主導」が障害となった。ある局長級官僚は「官邸も動かないが、政務三役も何も言ってこない」といらだちを隠さない。民主党政権になり政務三役に無断で仕事をやってはいけないという「不文律」ができた。「勝手なことをやりやがって」と叱責されるのを覚悟の上で官僚機構は黙々と対策を練ったが、実行のめどは立たない。政治不在がいかに恐ろしいか。官僚らは思い知った。…… 

■手柄は自分が独り占め、責任は一欠けらも負いたくない!そんな恐ろしい共通性を持ったエエカッコしいの独善的な目立ちたがり屋ばかりが幅を利かせて国会周辺を闊歩しているばかりで、肝腎の政治は官僚任せにしたら自民党政権を批判し続けて政権交代を実現したプライドに傷がつくし、かと言って本物の「政治主導」ができるほどの見識も実力も無いのが民主党政権なのでしょう。目玉政策の一つだった「政務三役」にしても、自分が偉くなったと恥も外聞もなく悦に入ってふんぞり返る快感をより多くの身内に味わって貰うためだけの制度だったようにしか思えませんからなあ。
   

自衛隊も官邸の機能不全の被害者だといえる。
「遺体の搬送や埋葬まで自衛隊が背負わされているんだぞ!」
3月23日、防衛相・北沢俊美は厚生労働省に怒鳴り込んだ。自衛隊の本来任務は行方不明者の捜索だが、遺体を発見すれば市町村に渡す。ところが市町村は被災で動けず葬儀業者も見つからない。やむなく遺体安置所から埋葬地までの遺体搬送や埋葬までも自衛隊が請け負った。救援物資輸送やがれき撤去などの任務にも影響が及んでいた。北沢は3月18日に枝野に調整を求めたが、官邸の最終的な返答は「関係省庁でよく協議してほしい」。そこで北沢は埋葬を所管する厚労省との直談判を試みたのだ。厚労相・細川律夫も「確かに自衛隊ばかりにお願いするわけにはいかないな」と応じ「官邸抜き」の調整が始まった。結局、事務レベルの関係省庁連絡会議が開かれたのは4月1日。運輸行政を担う国土交通省の協力を得て民間業者による遺体搬送態勢が整ったのは4月5日だった。…… 

■心身の疲労が極限に近付き殉職者も出している自衛隊の皆さんの活躍には頭が下がる思いだけですが、前の官房長官は「暴力装置」呼ばわりしても謝らないし、総理大臣は自衛隊の使い方をまったく知らないのですから、何でも便利に押し付けられても黙々と命令に従って活動し続ける自衛隊の皆さんが可哀想でなりません。地元隊員の中には被災者でもある人が多いと聞きますし、自衛隊の隊員も日本国民であることを菅アルイミ首相には考えて欲しいものであります。


「政治家だけじゃなくてあらゆる者を総動員させるべきだ。要は役人をどう使うかなんだ」
国民新党代表・亀井静香は2日、こう忠告したが、菅はのんきに返答した。
「まあ役人を使えるのは一に亀井さん、二に私、三に仙谷さんだな…」(敬称略)
2011年4月10日 産経ニュース 

■この菅アルイミ首相が言う「役人」というのは、自分が選り好みして栄枯贔屓する対象としての茶坊主みたいな取り巻き官僚を限定しているような気がします。どうして仙谷ノーコメント副官房長官より自分が上にランキングされているのか理由がまったく分かりませんが、亀井さんを持ち上げてご機嫌を取って擦り寄り、返す刀で菅降ろしの画策を始めたらしい仙谷副官房長官の悪口を言いたかったのかも知れません。何かというと「全力」だの「全員」だのと「全」を多用濫用するのが菅アルイミ首相の悪い癖で、それが実行されたことが一度も無い!という事実を国民はよく知っているので、今更「総動員」など出来はしないでしょう。もしかすると御本人がそれを自覚しているのだとしたら、これは悲劇ではかく喜劇ですぞ。

菅アルイミ政権の炉心溶融 其の四

2011-04-11 11:27:07 | 政治
■「原子力に物凄く詳しい」菅アルイミ首相の思い描いたようには、電源を喪失したベント作業は容易に行なえず、現場の作業員が決死の覚悟で手作業によってベントに成功したとしても多くの被曝者を出すことを意味するのですから、アルイミ首相が叫んだ「覚悟」には恐ろしい意味があるのですが御本人はどの程度の「覚悟」をしていたのやら……。真相を語らず、考えられる危険についても一切口にしなかった菅アルイミ首相の逃げ腰姿勢を見れば、覚悟は出来ていなかったのではないでしょうかな?

ところが、東電の反応は鈍かった。しびれを切らした菅は午前6時14分、陸上自衛隊のヘリに乗り込み第1原発の視察を強行。「こっちは人命を考えてやっているんだ。早め早めにやらなきゃダメだ」と東電副社長・武藤栄に詰め寄った。
「東電の見通しは甘い。どうなってるんだ!」
菅の意気込みはますます空回りし、秘書官らに当たり散らした。保安院幹部らの説明にも「お前たちは現場を見てないだろ!」。面識もない官僚に突然電話で指示を出し「何かあったらお前らのせいだぞ」と責任をなすりつけた。そして東電が第1原発からの撤退を検討していることを聞きつけると15日午前4時15分、東電社長の清水正孝を官邸に呼びつけた。
菅「清水さんだったらどうしますか?」
清水「残ります…」
菅は言質を取ったとばかりに5時35分に東京・内幸町の東電本社に乗り込み、「撤退などありえない。撤退したら東電は百パーセント潰れる」と恫喝した。……菅は「原発問題は官邸主導でやれる」と確信したようだ。政府と東電の統合連絡本部を設け、東電本店に経産相・海江田万里と首相補佐官・細野豪志を常駐させた。主要官庁の閣僚不在により政府機能はますます失われた。…… 

■この首相自ら乗り込んだ「現地視察」とベント作業の遅れとの関係には、まだ明らかにならない点が幾つも残されているようですが、少なくとも全電源喪失という絶望的な状況下で現場の担当者達は手動によるベント作業を続けていたのは確かで、首相が乗り込んで来てぎゃあぎゃあ喚いても作業の邪魔にこそなれ、困難な作業が一挙に進み始めるようなことは最初から無かったようなのであります。産経ニュースの記事を離れて讀賣新聞が始めている検証特集記事から抜粋して、ベントと現地視察の絡みを見てみましょう。


3月11日午後7時頃からベントの準備は始まっていた。
3月12日午前0時45分、保安院から海江田経産相に「1号機格納容器の圧力異常上昇」と連絡。
3月12日午前1時過ぎ、斑目委員長が経産相に「炉内注水と蒸気ベント」を強く進言。
3月12日午前1時30分、海江田と斑目が東電にベント急げと指示、東電は「電源喪失で弁が開かず」と返答。1時間おきに海江田が催促の電話。東電は手動による弁開閉を試みる。
3月12日午前6時50分、政府は『原子炉等規制法』に基づきベントを指示。
3月12日午前7時過ぎ、菅首相が現地に到着し作業遅れを叱責、東電は「1時間以内に決めたい」首相は激怒。
3月12日午前10時17分、1号機のベント開始。約5時間後に水素爆発。 
■という経緯が明らかになっていますが、『週刊現代』4月16日号に掲載された東電社員の説明はちょっと違っていましたぞ。


「……通常なら電気系統を使って遠隔操作で弁を開けることが可能ですが、電気系統が壊れ、手動でやるしかなかった。手動でベントを行なうためには数多くの作業員を組織して厳重に防護服を着、炉の側まで近寄って作業する以外にないんです。今回これに当たったのは福島でもエース級のベテラン作業員だった。ベント作業が遅れたのは、このチーム編成や防護服の準備などに時間がかかってしまったためです。……」 

■という証言が出ていまして、外部に放射性物質を放出するベントを決めるまでに、3月11日から日付が変わる頃の掻き集めた電源車のケーブルが接続出来ない!という想定外の失敗もあり、どうやら手動による困難な作業を決定したのは12日の黎明の頃かと思われます。その頃には1号機の格納容器内の圧力は設計値の2倍を超えていましたから、そんな恐ろしい物の間近で手動作業をするには技術的な準備の他に「覚悟」も必要でしたでしょうから、真っ暗闇の中でのベント作業が外部の人間から見ると遅い!と感じられても仕方がなかったのでしょうなあ。菅アルイミ首相が被曝するのを避けるためにベント作業が中断したのではないか?という疑惑は薄らぎつつあるようなのですが、折角、現場に乗り込んだのですからベントが始まるのを見届けるまで喚いていれば良かったのかも?どうせ、官邸に戻っても怒鳴っているだけだったようですから……。政権維持のためなら何でもしそうな菅アルイミ首相ですから、作業用の防護服を着込んで「俺がベントしてやる!」と啖呵を切るくらいのことはして来ても良かったかも?やっぱり、それこそ邪魔でしょうが……。


「助けてくれないか!」
3月16日夜、元防衛政務官、長島昭久の携帯電話に細野の悲痛な声が響いた。
長島「何を?」
細野「『何を』なんて次元じゃないんですよ…」
菅は自衛隊にヘリからの放水を指示したが、自衛隊は放射線量を気にしてなかなか応じない。地上からの放水のオペレーションも自衛隊、警察、消防の調整がつかないという。
その間も菅からは「早く放水させろ」と矢のような催促が続き、細野はすっかり参っていた。
原子力災害対策特別措置法を適用すれば、首相はいろいろな指示が出せる-。これを説明すべく2人は17日に菅と面会した。
「指示はとっくに出した。なぜ進まないんだ!」
菅は逆ギレした。ところが菅の「指示」とは口頭で個別の官僚に命じただけ。これでは官僚組織は動かない。長島らは慌てて指揮系統を自衛隊に一元化させる関係閣僚への「指示書」を作成させた。これがその後の放水作業につながった。
それでも菅は納得しなかった。18日に官邸を訪ねた元連合会長で内閣特別顧問・笹森清にこんな不満を漏らしている。
「現場の意思疎通がうまくいっていないんだ…」 

■政府の仕組みがよく分からない素人首相が喚くことと「指示」を出すことを混同していたばかりに指揮系統がめちゃくちゃになり、官僚組織が動かない。まるで菅アルイミ首相自身が原子炉内の制御棒みたいな物だったのですなあ。怒鳴られると簡単に凹んでしまう細野さんにも困ったものですが、法律を的確に運用できない総理大臣は最悪であります。

菅アルイミ政権の炉心溶融 其の参

2011-04-11 10:20:06 | 政治
■政治主導=政治家主導=俺主導=独裁政治という大きな勘違いを腹に抱えたまま「民主党」などという皮肉が過ぎる名前の政党代表に上り詰めてしまった総理大臣になりたい病の元市民運動家が、世界第3位の経済力と世界第2位?の技術を保有している巨大国家の統治運用システムを自在に扱えるなどとは、誰も思ってはおりますまい。菅アルイミ首相が長年に亘って訴え続けたのは「政権与党が悪い!」=政権交代せよ!=俺が総理大臣になる、という乱暴なシナリオに乗ったパフォーマンスだけだったと、今頃になって気が付くというのも悔しいところですが、本当に日本が壊れてしまいかも知れないと、直接の被害を受けた地域を越えて日本中に「反・民主党」の機運が湧き上がっているような気配を感じます。しかし、地震・津波対策と原理力エネルギー政策の両方で失政を重ねてしまった責を負う自民党も、「民主党よりはマシでしょ?」などと暢気な姿勢を晒し続けて、なし崩しの大連立で権力の甘い汁を再び吸おうなどと思っていると、統一地方選挙で民主党と自民党が抱き合い心中みたいに共倒れになるのではないか?と、政治の空白が生まれることが懸念されるのであります。

……官僚の訪問は絶えた。4月に入り、官僚が首相執務室を訪ねたのは7日まででわずか8組。ある官僚は吐き捨てるように言った。
「民主党政権であろうと大連立であろうと何でもいい。とにかく首相だけは代わってほしい。もう官邸を見るのも嫌だ…」
さすがの菅もまずいと思ったらしい。3月26日、前国土交通相・馬淵澄夫を首相補佐官に起用したあおりで首相補佐官を外された衆院議員、寺田学の机を首相秘書官室に置かせ、「開かずの扉」の“開閉係”を命じた。34歳の寺田は64歳の菅と親子ほど年が離れているせいか、腹も立たない。腰が軽く頭の回転が早いところも気に入っているようで妻・伸子と並ぶ「精神安定剤」となっている。…… 

■この気味の悪い話は何なのでしょう?!古代の王様でもあるまいし、門番ならぬドアの開閉係に選良たる衆議院議員を当てるとは、何事でしょう?秋田1区の支持者は、そんな役目を仰せ付かった地元の三代目世襲議員の姿に感動するとは思えませんし、御本人も喜んでドアの開閉をしているとも思えないのですが……。馬淵新補佐官の起用で押し出されたというのは、参与を掻き集めている菅アルイミ首相らしくない話だと思ったら、『内閣法』という法律で補佐官の定員は5人との規定があるのだそうです。統一地方選の緒戦での大敗、それに続く菅降ろしの大風も予想されていた菅アルイミ首相としては一人でも子飼いの手下を目の届く所に置いておきたかったのでしょうなあ。

■前任大臣の尻拭いで仙谷ノーコメント官房長官に対する問責決議のオマケにされた馬淵補佐官は、当時から「可哀想だ」と同情論が盛んでありましたなあ。でも、まったく同情されない「柳腰外交」の仙谷さんがしらっと官房(ランボウ)副長官に返り咲き、誰も知らないうちに馬淵さんも復帰したと思ったら、週刊誌が細野補佐官が菅アルイミ首相から浴びせられる罵声に耐えかねて「弾除け」として首相に起用を直訴したという裏話が出る始末。堂々と弾除け役に殉ずる覚悟の馬淵補佐官は、国民からの怨嗟の声を追い風にして本気でポスト菅を狙っているのかも知れませんが、国民の怒りは菅アルイミ首相個人ではなく民主党政権全体に向かっていることを忘れない方がよいでしょうなあ。


もう1人、頻繁に首相と会っている男がいる。内閣情報官・植松信一。官邸の裏通路を使い首相執務室に出入りするので新聞などの「首相動静」に載ることはないが、週に2~3回は報告に入っているという。植松の報告で菅がもっとも神経をとがらせているのは政界の「菅降ろし」の動き。次に気になるのは内外メディアが自らをどう報じているかだという。ある官僚は執務室に山積された新聞や雑誌の切り抜きを見て愕然とした。記者団のぶら下がり取材に応じないどころか、災害対策基本法に基づく中央防災会議さえ開こうとせず、執務室に籠もって一人で新聞や雑誌を読みふけっていたとは…。そこに未曽有の国難にどう立ち向かおうかという発想はない。…… 

■もしも小松左京著『日本沈没』のように、日本列島が本当に沈没しても太平洋に浮かんで漂う総理大臣の椅子にしがみついてプカプカ浮いて鮫の餌になろうとも、ニヤニヤしていられるような人が日本の危機に総理大臣をやっている事が大問題で、被災民や冷え込む日本の経済の動向よりも、「菅オロシ」の動向の方が気になるのならば、民主党全体が南洋の無人島にでも集団疎開して椰子の実の奪い合いでもして、しっかりボスを決めてから日本に戻って来ては如何でしょう?大連立などという火事泥棒・焼け太りを画策している自民党の権力欲亡者の年寄り連中も一緒に筏に乗せて連れて行ってくれると永田町界隈は風通しがよくなるのですが……。


「どんなことがあっても原発の異常を食い止めるんだ。みんな覚悟はできているだろうな!」3月11日午後4時25分すぎ。東電福島第1原発の異常を伝え聞いた菅は、首相官邸地階の危機管理センターから執務室に移ると、官房長官・枝野幸男ら官邸スタッフを前にこう命じた。鬼のような形相に一人はこう感じた。「死者が出ることを覚悟しているな…」
 東工大応用物理学科卒で「ものすごく原子力に強い」と自負する菅はさっそく執務室にホワイトボードを持ち込み、原子炉の格納容器への海水注入などを次々に指示。午後10時に経済産業省原子力安全・保安院から炉心溶融の可能性を指摘されると菅は12日午前1時半に炉内の蒸気を排出するベントを急ぐよう指示した。…… 

■外部電源がすべて失われたしまった中古ポンコツ原子炉の名をマークⅠ型というそうで、設計者のデール・ブライデンボー氏が『週刊現代』4月16日号のグラビア頁に登場して「原子炉格納容器が小さ過ぎる」「格納容器内の構造が複雑過ぎる」「使用済み燃料を入れるプールの場所が不適切」などの致命的な欠陥があると述べております。菅アルイミ首相が命じた「ベント」のガス放出弁は欠陥と危険性が明らかになって改良を加えた過程で「アメリカでは90年頃にすべてのMarkⅠに設置した」とも語っていますから、せっせと『安全神話』を作っていた東電などは、オマケみたいな放出弁の重要性に気が付いていなかったかも?ブライデンボー氏は全米で16基、日本で3基、ドイツなどで10基稼動していたMarkⅠ型原子炉の「操業停止」を提言したのにGE社が拒否したので、1976年2月に抗議の退職。同じく退職した仲間と原発関係のコンサルタント会社を設立してから、まだ若かったマイケル・ダグラスから電話が来て『チャイナ・シンドローム』という映画のテクニカル・アドバイザーになったのだそうです。

■『日本沈没』を書いた小松左京さんが、エライ建築学の先生に呼び付けられて作品中の高架式高速道路の倒壊場面に関して頭ごなしに怒られたのだそうですが、この映画も「専門家」から絵空事だ!と散々貶(けな)されたのですが、何と公開された12日後に映画の設定よりも深刻なスリーマイル島原発の事故が起こって大ヒット!という皮肉な結果になったのでした。
チャイナ・シンドローム コレクターズ・エディション [DVD]
クリエーター情報なし
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


菅アルイミ政権の炉心溶融 其の弐

2011-04-10 20:38:38 | 政治
■米国政府機関が日本に滞在する米国民に対して「半径80キロ圏外」への避難を勧告したのは、福島第一原発2号機の炉心溶融から格納容器の破裂!という最悪の事態が起こる可能性があると踏んだからだったそうですが、同時に菅アルイミ政府の炉心(内閣)が破損・溶融して圧力容器(官邸)の地下にどろりと沈積していて、いつ水素爆発(政権崩壊)が起こるか分からないと判断した在日機関からの情報で、オバマ大統領は電話や伝言で菅アルイミ首相の寝惚け顔に水をぶっ掛けていたのかも知れませんなあ。

■フランス大統領が来日した時などは、窮地に立つ日本に最も不足しているリーダーシップのある政治指導者をフランスが貸し出してくれたのかいなあ?と思ったくらいでしたし、週刊誌などに実質的に日本は米国の支配下にある!と書き立てられても、腹が立つより妙に安心してしまう現状はまさに国家の危機と申せましょうなあ。安全な水や品薄の納豆などより、我々は欧米並みの「正確な情報・予測」と民主的に選ばれた有能な政治リーダーに飢えているようなものですから。さすがに震災から1箇月もしますと、硬直した大手メディアも情報の整理が可能となるようで、官邸内部の様子がだんだんと分かって来たようです。でも、今回の震災・原発事故で「機密費問題」の根から生え出ている愚民政策=情報操作の裏側が、大手メディアVS週刊誌軍団という構図の中に浮かび上がってしまった事実を忘れてはなりますまいぞ。


首相官邸に「開かずの扉」がある。5階の首相・菅直人の執務室。3月11日の東日本大震災発生後しばらくは早朝から深夜まで怒号が響いていたが、震災から1カ月を迎える最近はトンと静かになった。中の様子はどうなっているのか。
「やっと精神的な安定期に入った」「気力がうせているのではないか」-。そんな臆測が乱れ飛ぶ。各国外交官も政府関係者に「首相は本当に大丈夫なのか」と真顔で問い合わせてくるという。なぜ扉が開かないのか。理由は一つ。よほどの緊急時でない限り、誰もノックしようとしないからだ。官僚であろうが、政務三役であろうが、誰かれかまわず怒鳴り散らす。ある官僚は東京電力福島第1原子力発電所の事故の最新状況の報告に入ったところ、菅から頭ごなしにこう言われた。
「そんな話は聞いていないぞ!」
日本の官僚は「首相がすでに知っている話を報告したら恥だ」と教育されてきた。マスコミに政策をスクープされることを嫌う最大の理由はここにある。ところが菅には通用しない。…… 

■既に週刊誌軍団があちこちから引き出した情報を再構成して官邸内部での菅アルイミ首相の様子は伝えていましたから、ベルリンの地下要塞で演じられたナチス第三帝国「ヒトラー政権の最期」との類似まで指摘されている絶望的な末期症状が新聞メディアが報じても、それほど驚く人はいないのではないでしょうか?震災翌日、自衛隊のヘリコプターに乗り込む雄姿?を全国に報道して貰おうと「これから現地視察に行って来ます!」とマスコミを呼びつけて芝居がかった安物の政治ショーを取材させた後は、ぶら下がり取材も記者会見も一切拒否!して何処かに雲隠れしていたも同然の菅アルイミ首相でしたから、偶に薄暗い?穴倉から這い出して来て「現地視察だ!」とじたばたしても、素人宰相の仕事ぶりが一変するようなことなど誰も期待してはいないでしょう。

■「俺は原子力に凄く詳しい!」とうっかり心許した側近に口走った愚かな言動があっと言う間に外部に漏れて、その後に御丁寧にも「臨海って何だ?」というオチまで付いた気味の悪い官邸小話が日本ばかりか世界中に流れてしまったからには、「何も知らない、何も出来ない」首相でしかなかった自分の姿を鏡に映して重責に耐えられずに半狂乱になるのも無理はないのであります。官邸内部を「映像」として観ることは叶わず、ラジオ用に菅アルイミ首相の罵声の音声だけでもと思っても、リークした者が簡単に特定できる状態では録音も難しいでしょうが、漏れ出て来る菅アルイミ首相の姿を想像するのに役立つシーンに思い当たりましたぞ。小林桂樹が東條英機を熱演した『軍閥』という映画で、辞職間際のカミソリ東條が側近からの如何なる進言や提案も聞く前から「不同意!不同意だア!」と叫んで机上の書類を待ち散らす場面、これであります。明治憲法下の事とはいえ、偶々、総理大臣になってしまった者の悲劇が丁寧に描かれていた作品でしたから、敵は米国を盟主とする連合軍ではなく、太古の昔から日本列島を乱暴に洗い続けた地震津波と長い長い自民党時代に増殖して硬直した原子力ムラの分厚い壁という難敵を相手にする絶望的な戦いを強いられるハッタリとパフォーマンス頼みの総理大臣の苦悩が、不思議にイデオロギー上は反対に位置するはずのファシスト(と乱暴に分類された)東條と酷似して来るのは、実に皮肉なことであります。
激動の昭和史 軍閥 [DVD]
クリエーター情報なし
東宝


菅アルイミ政権の炉心溶融 其の壱

2011-04-10 17:20:02 | 政治
■4月2日は土曜日でした。午前中に岩手県陸前高田市の避難所を視察した菅アルイミ首相は、手土産代わりだったのか、前日に1日の会見で、「山を削って高台に住居を置き、海岸沿いに漁港を造る。バイオマスによる地域暖房を完備したエコタウンにする。世界で一つのモデルになるような、新たな町作りを目指したい」とか何とか、唐突に復興ビジョンと呼ぶには余りにも地に足の着いていない絵空事みたいな事を言い出したのでした。4月1日はエイプリル・フールでしたが、まさか自粛ムードで冗談も言えない国民のために「何も知らない、何もできない」首相との評価が固まった自分の立場を逆手に取って、有能な総理大臣のパロディとして出来もしないことを言っているのだとしたら、なかなかの政治センスの持ち主だったのでしょうが……。

■津波の凄まじい爪痕を実際に目にしたら、結局、政治家らしい演説もしないで天皇御一家の真似でもないのでしょうが、膝をついて被災者個人に向かって「国もしっかりと対応するので頑張ってください」「精いっぱいやります」などと言って回っただけだったそうですなあ。あれから1週間、被災地の視察が原動力となったと思われるような政府の変化はまったく見られず、またまた、週末の4月10日の日曜日に宮城県石巻市などの被災現場の視察に出掛けてしまった菅アルイミ首相でありました。東京の官邸でやる事が無い暇な総理大臣だと思われるのがオチなのに……。

■現地に到着して村井嘉浩宮城県知事や亀山紘石巻市長など地元自治体の首長と会談して「仮設住宅は7万戸を当面の目標として進めたい」と言い、市内の漁港を視察したら「いくつかの漁港を重点的に整備する必要がある」と言う一方で「石巻が最優先であることはよく分かった」とも言ったとか……。先週の「エコタウン」はどうなったのでしょう?海に臨んでいる漁町や見渡す限りの水田地帯と同様に「山を削って高台に住む」のは無理な場所なのですが、それ以上に視察した現場を「最優先」と言って歩いたら後で辻褄が合わなくなりますぞ!

■地元のFM放送にも出演して「元気よく復興への道を歩んでほしい。国も全力で支援する」と既に意味を失っている「全力」を振り回したそうです。市街地や避難所などを視察して歩いた後「復興には相当の力が必要だと感じた。がれき処理は一部進んでいるがライフラインの復旧は不十分だ」と同行記者に語ったそうですが、そんなことは新聞・テレビやラジオからの情報で十分過ぎるほど分かるでしょうに?!避難所になっている石巻商業高校に到着したのは午前11時15分頃で、瓦礫撤去作業中の自衛隊と米軍兵士らに「ありがとう」と声を掛けていたそうですが、隊員の士気が下がらなかったでしょうか?政府対応の悪さを知っている米兵は、一体、どんな気分で菅アルイミ首相を見たのやら……。

■石巻高校には約60人の人たちが避難しているそうですが、暇な首相の顔を見る暇もなく家屋の片づけなどで外出していた人が多く、校舎内に残っていたのは15人!不在だった45人の中には首相の顔を見たくない!と腹を立てて外に出ていた人が何人いたのでしょうなあ?政府側の誰が言ったのかは存じませんが、5~6教室に別れて生活している住民を1カ所に集めろ!との要請があったそうであります。だからアルイミ首相の視察は邪魔扱いされるのでありましょう。言われた市側は「それでは避難所の実情が分かってもらえない」とにべも無く拒否。各教室には2~3人しか残っていなかったそうですが、市の担当者から「無人ではあまりにも露骨だから」と拝まれて渋々留まっていたような気がしますなあ。

■菅アルイミ首相が訪問したのはたったの2部屋だそうですから、5~6人の被災者に会えただけだったという計算になります。女川町から避難していた漁師の男性(34)は「首相には笑顔で握手され、『がんばってください』と言われた。それしか言えないのだろうが、自分たちが欲しいのはそういうことではない」と語り、首相がパスした部屋にいた別の漁師さんは「1年なのか2年なのか、復興にかかる時間を明確に示してもらいたかった。石巻には一度来る予定だったのが流れていたから、来ないわけにはいかなかっただけだろう」と冷静に感想を述べていたそうです。自分が仕掛けた大連立が引き金になって自民党からも党内からも辞任を求める声が徐々に大きくなっている菅アルイミ首相にとって当面の政権維持だけで頭がいっぱいで、1年後、2年後の将来を考える余裕は無いのだろうと被災した皆さんからも見抜かれているようですなあ。

■自衛隊機で津波をかぶった航空自衛隊松島基地(宮城県東松島市)に移動し、基地内を視察して隊員を激励したそうですが、「暴力装置」発言を不問に附して呼び戻した仙谷ノーコメント官房副長官の問題は頬被りして激励して貰っても、隊員に皆さんは割り切れないものが残ったでしょうし、警察・消防の皆さんと任務が重なっている指揮の混乱に対しても不信感が募っているはずで、その後に向かった陸海空3自衛隊の活動拠点で在日米軍との「日米共同調整所」が設置された陸上自衛隊東北方面総監部(仙台市)の訪問は終了した「トモダチ作戦」への返礼のポーズでオバマ大統領の覚えが目出度くなるようにとの外務省辺りからの進言があったのかも知れませんが、何ともチグハグな現地視察であります。

■チグハグと言えば、今回の視察の手土産となったのが近く設置される「東日本大震災の復興構想会議」で、「(被災地の)各県の知事と有識者に参加してもらい強力な実行態勢をつくりたい」と表明。目指す復興のイメージは「自然災害に強い町、1次産業に根差す町。弱者に優しい町」なのだそうです。「山を削ってエコタウン」構想とどのように結び付くのか不明な上に、当たり前過ぎて面白くも何ともないイメージですなあ。わざわざ「構想会議」など設置して話すほどの内容ではないのでしょう。似たような組織が党内にも作られるようですから、雨後の竹の子状態の○○対策本部の濫立に更なる混乱を呼び込んでしまうようで心配であります。菅アルイミ首相の視察に関して「がんばれしか言えないのか」「もっと具体的な対策を教えてほしかった」と不満の声を上げた被災者の思いはまったく官邸に届かないのが悲しくも腹立たしい、統一地方選の日であります。

復興の邪魔をする者 其の九

2011-04-03 15:16:23 | 政治
■3月27日に同じ福島県出身の俳優・西田敏行さんや女優・秋吉久美子さんら20人以上と共に東京・味の素スタジアムで炊き出しを行った野球評論家の中畑清さんは、畜産業を営む実家の兄さんも風評被害に苦しんでいるとて「毎日、しぼっては捨てるの繰り返し。このままでは、すべての酪農家が廃業に追い込まれる。政府は『飲んでも大丈夫』と言いながら出荷停止とか、何なんだろう。ざけんじゃねえ!」と激怒していたそうで、「本当にダメなら、そう言えばあきらめもつく。中途半端な言い方そのものが政治全体に感じる」と国民感情を素直に語ったそうで、被災地で物資不足が続く現状に「ヘリコプターを1機よこせ! 政府がやらないならオレが届ける」とこれまた的を射た事を叫んでいたとのことです。菅アルイミ首相が使った自衛隊のヘリコプターにも重要な任務があるとは思いますが、正直なところ無能な総理を何の役にも立たない「現地視察」に乗せて行くほど暇ならば、中畑氏に数日貸し出して物資を届けてもらい彼が「絶好調!」と叫んでいる姿が報道された方が、ずっと福島や宮城の人達を元気付けられるのではないかと思うのですが……。

首相の現地視察は、震災発生直後の3月12日に東京電力福島第1原発などを訪問して以来2回目。官邸内では被災地視察への慎重論が長く続いた。「現地に負担をかける部分がある」(枝野幸男官房長官)だけでなく、初動の遅れが批判される中での視察は、集中砲火を浴びかねないとの懸念があった。視察に先立って、首相は復興支援に本腰を入れる政府の姿勢を示そうと、1日の会見で、「山を削って高台に住居を置き、海岸沿いに漁港を造る。バイオマスによる地域暖房を完備したエコタウンにする。世界で一つのモデルになるような、新たな町作りを目指したい」と強調した。だが、視察で構想を語るどころではないと実感したようだ。首相同行筋は「被害の大きさを改めて感じた。まずは仮設住宅の建設、がれき、泥の処理をやらないといけない」と語った。 

■どうして民主党の歴代代表は、こうも揃いも揃って前提も無いまま起承転結の「結」だけを唐突に喋ってしまうのでしょうなあ?今、日本の首相が国民に示さなければならないのは各種補償・復興財源の確保方法・地方経済の復興の日程表、そして風評被害と自粛ムードを克服する協力なメッセージなどでしょう。家族の安否も分からず瓦礫の山を目の前にして呆然としている人に対して「エコタウン構想」を披瀝して何になると言うのでしょう?これは夢遊病者の寝言ではあっても政治家の言葉では決してありませんぞ。砂漠の真ん中で僅かな水を欲している人に、菅アルイミ首相は汲めども尽きぬ甘露の泉が何処かにあるとか何とか話して聞かせるのでしょうか?聞かされた人は一層渇きに苦しみいよいよ絶望感が増すことでしょう。

■何処で誰に吹き込まれた話なのかは存じませんが、国家財政にゆとりのある平時に語るべき夢物語を、今、この時に話し始める理由がさっぱり分かりませんが、少なくとも被災地の厳しい現実を目の当たりにしたら、さすがに野党時代のホラ話は出せなかったようですから、その点では総理大臣としての自覚が芽生え始めているのかも知れませんが、もう手遅れでしょうなあ。


首相は午後には第1原発事故の対応拠点である「Jヴィレッジ」(福島県楢葉町、広野町)も訪ねた。Jヴィレッジ訪問は、東電出身の笹森清内閣特別顧問(元連合会長)らが「前線で命を懸けている人たちの士気を鼓舞してほしい」と要請し、実現した。
「第1原発を何としても抑え込み、打ち勝ったところまで頑張らないといけない」「日本の命運をかける戦いだ」
首相は、活動に当たっている東電関係者や消防隊員、自衛隊員らを盛んに激励した。…… 

■総理大臣自らが官邸で為さねばならない「日本の命運をかける戦い」を放り出して、単なる暇つぶし、現場では傍迷惑な現地視察などしているのですから、菅アルイミ首相が「盛んに激励」してくれても一向に「士気」は高まらなかったのではないでしょうか?本当に笹森特別顧問が要請したのなら、この人も菅アルイミ首相と同じくらい「ものすごく原子力に詳しい」人なのでしょうなあ。「東電出身」とは言っても電力会社で労働組合運動を熱心に続けていた人を特別顧問にしている事自体が、選挙でお世話になった露骨な論功行賞でしかないのでしょうが……。


首相は大震災発生直後、第1原発の施設内にまで乗り込んだ。しかし、その日のうちに1号機で水素爆発が起きると、第1原発は悪化の一途で、今では高濃度の放射性物質(放射能)漏れで立ち入りが不可能になった。Jヴィレッジも第1原発から20キロほどにあり、政府が「屋内退避」を指示している地点になる。首相は「視察が事故への初動対応を遅らせた」との批判を浴びている。まさに放射能汚染の危険と隣り合わせの中で活動する隊員らは、首相の激励をどのように感じたのだろうか。(千葉倫之)
2011年4月2日 産経ニュース 

■会社や隊長からの動員命令に従わざるを得ない「東電関係者や消防隊員、自衛隊員」の皆さんは、決して喜び勇んで総理歓迎委員会に参加したわけではないでしょうし、誰一人として「士気」を鼓舞された!と実感したものでもないでしょう。もしも、菅アルイミ首相の空疎な激励の辞を聞きながら固く拳を握り締めた人がいたならば、それは勇気凛々の武者震いではなくて、選挙用と自分の政権維持のために現場の作業の邪魔ばかりしてヘラヘラしている無能な総理大臣の顔面に満身の力と怒りを込めた怒りの鉄拳をお見舞いしたい気持を押さえ込んでいたのに違いありません。でも、日本人は皆、行儀がよいですからなあ。被災地でも高齢者の中には菅アルイミ首相に握手されて恐縮していた人までいたそうですから……。

復興の邪魔をする者 其の八

2011-04-03 15:15:32 | 政治
■対策本部を10余りも新設して総理に意見具申する役目の参与もどんどん増やしている菅アルイミ首相は「屋上(おくじょう)屋(おく)を架(か)す」「船頭多くして船山に登る」などの諺をまったく知らないのか、或いは自分のような有能な政治家には凡人向けの警句や諺は無縁のものだと思い込んでいるのか、その真意は想像もできませんが、危機に臨む総理大臣の任務が何なのかを知らず、信頼関係が壊れたままの官僚組織の上に罪深い失敗を重ねて来た「政治主導」の組織を載せてみても、事態はどんどん悪化しているだけのように見えます。

■総理大臣としてリーダーシップを発揮せねばならない、ここぞ!という場面になると必ず「話し合って……」「所管の大臣が……」「○○本部から……」などと民主政治の最も悪しき面を見せ付けるような後ろ向きの発言しか聞かせて貰えないのは甚だ残念なことであります。最高責任者として為すべき事をせず「現場視察」にばかり執念を燃やす総理大臣を、多くの国民は「よほど暇なんだろうなあ」と思っているのではないでしょうか?官邸に籠もって何をしているのかと思っていたら、ぼんやりパソコン画面を眺めて所在無げにマウスを動かしているだの、誰彼となく当り散らして癇癪を起こしてはぐったり疲れてソファに寝転んでいることが多いだの、自分の責務がまったく分かっていない人物が総理大臣の任に耐えられずに頭を抱えているような話が漏れ出して来ます。

■ろくな仕事をしていない菅アルイミ首相の文字通り足元、首相官邸の地下には内閣危機管理センターという名前だけは頼もしい役所があるのですが、『週刊文春』4月7日号の記事によりますと、ここがただ飯喰らいの穀潰しが120人も集まっている最悪の部署らしいのであります。


……西川徹矢・官房副長官補や伊藤哲朗・内閣危機管理監ら、旧内務省系官庁の高級官僚を中心に、避難民の誘導、使える港や空輸可能なスペースや道路の確保、ガソリンなどの支援物資の補給などを行なう。……「被災地の状況は?」と問い合わせても「うちには情報はありません」とサラッと答える。大臣が確認しようとしてもナシのつぶて……。ここで政策方針が決まったことなど一つもない。地下に閉じこもって、やっているのは会議。時々、省庁から役人を呼びつけては“趣味的に”質問する程度……被災者のについての問い合わせには、いつも「保安院に確認してくれ」……枝野官房長官や仙谷官房副長官も知っているのに、なぜか放置している。ここを解散させれば、被災地への対応は、かなり迅速化できます」 

■こんな官僚のゴミタメみたいな組織が地下に隠されているのなら、さながら首相官邸はゴミ屋敷も同然。その特有の悪臭?に耐えらなくなって菅アルイミ首相は「現地視察」に出掛けたくなってしまうのかも?初期対応の邪魔をした疑惑が濃厚となっている菅アルイミ首相が、天佑の悪天候を理由に延期されていた2度目の視察を強行したそうです。さすがに4月1日のエイプリル・フールには行き辛かったのか、自衛隊のヘリコプターを首相官邸に呼び付けたのは4月2日でありました。でも、あのヘリコプターで被災地に運ぶべき物資があったのではないかなあ?と瞬きを忘れるほど固い表情で乗り込む菅アルイミ首相の姿をテレビで観たのでした。


菅直人首相は2日午前、東日本大震災で壊滅的な打撃を受けた岩手県陸前高田市を訪問し、被災者らと初めて意見交換した。1日の記者会見で「復興プラン」を打ち出したものの、避難所暮らしを続ける被災者らを前に「夢」を語る余裕はなかった。視察も短時間で「現場主義」の思いだけが上滑りした格好になった。
「国もしっかりと対応するので頑張ってください」「精いっぱいやります」
首相は避難所となっている陸前高田市立米崎小学校で、両膝を床につけ被災者一人ひとりに話しかけた。約20人の消防団員には「少し長い戦いになるが、政府も最後の最後まで一緒になって頑張るので、皆さんも頑張ってほしい」と鼓舞した。全壊状態の市庁舎前では、妻が行方不明の戸羽太市長らとともに犠牲者に黙祷をささげた。…… 

■まずは無事に現地から帰って来れたことを喜ばねばなりませんでしょうなあ。よくぞ石や瓦礫も投げつけられず、唾や罵声を浴びずに済んだものであります。よほど警備と前準備が念入りに行なわれていたのかも知れませんが……。既に3週間の「実績」があるのですから、今更「国もしかりと対応する」などと言われても希望を持って元気を取り戻せた人は皆無だったでしょう。スポーツ新聞の記事には被災された方々の冷たい態度や怒りの言葉が拾い集められているようですが、どうやら石を投げる気にもなれない存在感の薄い総理大臣なのかも知れませんなあ。

菅首相のエイプリール・フール 其の弐

2011-04-01 13:26:09 | 政治
東日本大震災を受け、民主党は国会議員や秘書が着用するおそろいの防災服をあつらえることを決めた。右腕には「民主党」の文字と、赤い丸を2つ重ねた同党ロゴマークが入るデザイン。党総務委員会が議員に配布した「党防災服購入のご案内」によると、色は濃紺。サイズはSSから5Lまで8種類を用意し、金額は5千円程度。4月中旬に配布する予定だ。
災服をめぐっては、閣僚が各省庁の防災服姿で国会答弁している姿についてすら、「現場に行くわけでもないのにわざとらしい」(若手)との声もある。遅まきながら形から入ろうとする民主党らしい取り組みにも、党内から「パフォーマンスをしている場合か」(中堅)と冷ややかな声が上がっている。
2011年3月31日 産経新聞 

■1着5000円にしても有象無象の陣笠議員も含めれば300余人にもなる大所帯の民主党ですから、議員の着替え用や議員の何倍もいる秘書の分まで防災服を作るとなると、一体、幾らになるのでしょうなあ?必殺!仕分け人の蓮舫大臣は黙っているのでしょうか?それとも国会内でファッション写真撮影会をしてしまう元水着モデルらしく、防災服のデザインに口出ししていたのでしょうか?国会内で背広に着替えている裏側では揃いの法被ならぬ防災服を大量に新調しているという、実に民主党らしい支離滅裂なカネの使い方をするものだと呆れるばかりですが、そんなカネがあるのならさっさと義捐金として被災地に送ったら如何か?


菅首相は2日、東日本巨大地震で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市などを視察することになった。枝野官房長官が1日午前の記者会見で発表した。首相は避難所などを訪問後、福島県にも入り、東京電力福島第一原子力発電所近くで自衛隊などが拠点を置くサッカー練習施設「Jヴィレッジ」(広野町、楢葉町)を訪れ、自衛隊や消防、東電関係者を激励する予定。
2011年4月1日(金) 読売新聞 

■「激励」と「邪魔」の違いを知らないのか?!と毒づきたくなるような発表ですが、激励は被災した各地元出身のスポーツ選手やタレント、そして最高の癒しのお仕事は両陛下がしっかり続けておられますから、総理大臣たる者の務めをもう一度じっくり考えてみた方がよさそうですなあ。また、何処かで水素爆発が起こったらどうするのでしょう?


菅直人首相は30日、社民党の福島瑞穂党首と首相官邸で会談し、経済産業省から原子力安全・保安院を分離させる可能性について「今後、議論になる」との見方を示した。福島氏が原発建設を推進してきた経産省に原子力施設を規制する保安院が付属している問題点を指摘し、分離を要請したのに答えた。東京電力福島第1原発の事故対応を巡る同省と保安院への不信感が背景にあるとみられる。福島氏らによると、首相は同原発事故の見通しについて「長期化を覚悟している」と説明。そのうえで「今は事故対応でいっぱいだが、自然エネルギーを応援する仕組みを考えなくてはいけない」と述べ、原発推進を前提としてきた日本のエネルギー政策を転換させる議論に意欲を示した。
毎日新聞 2011年3月30日 

■フランスからサルコジ大統領が国策産業の原子力を死守しようと「支援」名目に来日したというのに、その横に立って「原発政策を見直す」などという重大発言を軽々しくしてしまうのが菅アルイミ首相なのであります。40年以上もかけてまとめ上げた日本のエネルギー政策を白紙に戻してしまえるほど総理大臣の権力は絶対のものだったのか?!若い頃から社会主義に深入りしてしまうと日本の総理大臣と旧ソ連の書記長との区別が付かなくなってしまうのか?民主党内の権力闘争を勝ち抜けば一国の独裁者になれてしまうのか?百歩譲って仮に「原子力に物凄く詳しい」のが本当だとしても、それだけで日本のエネルギー政策を全面的に変えて仕舞って良いのでしょうか?まして、次の選挙で確実に政権を失うと誰もが知っている政党の名前だけ代表で、既に党内から自分の生首を差し出す大連立構想が噴出しているような人物が……。今度は「太陽光発電に物凄く詳しい」と言い出すのかも?
 

子ども手当つなぎ法案の採決で国民新党の亀井亜紀子政調会長が退席したのは、郵政改革法案に対し、民主党執行部が木で鼻をくくったような態度を続けたからだ。国民新党は民主党の統一地方選候補への推薦取り消しも決め、両党の関係は急速に冷えつつある。
「何を言っているんだ! 野党に反発されたからと言って公党間の約束を破るなんて政治ではない!」国民新党の亀井静香代表は31日、民主党の安住淳国対委員長を党本部に呼び、怒鳴りつけた。郵政改革法案審議のための特別委設置を4月7日の衆院本会議まで先送りしたからだ。地方選候補への推薦取り消しも即座に通告した。…… 

■最初から不純な動機でまとまった連立話でしたから、壊れる時はあっけない茶番劇で幕引きになるだろうと予想はしていましたが、「郵政改革」も人気絶頂だった小泉政権を攻撃するための方便だったと露骨にバレてしまっても構わないほど民主党は追い詰められてしまったのでしょうなあ。こうなると「救国内閣」を造ろうと頑張っていた亀井静香代表も匙を投げてしまうかも知れません。 


……ただ、自民党との大連立が現実味を帯びる中、民主党内では国民新党を「お荷物扱い」する空気が強まっている。「救国内閣」を掲げる亀井氏だが、このまま民主党と関係を修復できなければ、逆に絶縁状を突き付けられかねない。
2011年4月1日 産経ニュース

■福島第一原発みたいに国会(建屋)内の政党(格納容器)に支えられている内閣(圧力容器)が危機的状況ですぞ。内閣の中からも政党内からも批判(水素)が漏れ出して何処かに溜まり、亀井静香が飛ばす火花で国会(建屋)が爆発するかも?誰かが躊躇せずに海水を注入して冷やさないと大変なことになるかも知れませんぞ。爆発は迷惑至極ですから知恵を出して穏やかに政党を解体して粛々と政界再編を進めて、放射線と同様に無能な政治家を選挙でしっかり除去して日本を復興させねばなりますまい。この願いはエイプリール・フールではありません。
-------------------------------------------
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

山と溪谷社

このアイテムの詳細を見る

------------------------------------------

菅首相のエイプリール・フール 其の壱

2011-04-01 13:25:37 | 政治
■前の総理大臣は米国の新聞で「ルーピィ」と書かれて自分でも「愚かな総理かも知れない」と度が過ぎる殊勝なことまで言って、米紙の判定を自ら裏書きしてしまうような人でしたが、その次に党代表・総理大臣になってしまった菅アルイミ首相は純正日本語で馬鹿呼ばわりされるようなことしかやらずに今回の大震災・原発事故でその本領を遺憾なく発揮しておるようであります。前の総理大臣が「できれば国外、最低でも県外に出て行け!」と言い放った普天間基地所属の海兵隊が、押っ取り刀で被災地に飛来して獅子奮迅の大活躍中で小田原評定と国対活動ばかりしている政府よりも地元の人たちから感謝されているとか……。

■海外で活躍するサッカー選手から「日本は一つのチームだ!」「日本の強さは団結力だ!」と熱いエールが送られて来ているというのに、日本の政治は与野党が協力する様子も見えず、民主党内でさえ一向に団結する兆しは見えませんし、どうやら連立関係にも亀裂が生じているそうです。菅アルイミ首相の勘違い「政治主導」で官邸から官僚群は離反し始めているようですから、日本の中枢に団結の二文字は存在していないようであります。原発関連で言えば、東電など電力会社・経産省の保安員と内閣府の委員会など行政機関・補助金と研究費を貰っている学者の「鉄の三角形」別名、原子力村の団結だけは揺るぐことはなく、テレビや新聞を使って安全神話の修繕作業に忙しいようですが……。

■「馬鹿は死ななきゃ治らない」と名作『次郎長伝』で唸ったのは広沢虎造さんでしたが、総理が辞めなきゃ政府は治らないでしょうから、いよいよ権力欲のためならどこまでも非情になれる寄り合い所帯の民主党の内部からエイプリール・フールにしか聞けない冗談のような捨て身の「大連立」構想が飛び出しているようであります。


仙谷氏をはじめとする民主党の複数の幹部が、自民党の執行部や執行部に近い中堅議員に対し、大連立を打診しているということです。このうち谷垣氏を総理大臣とする大連立案は、官房長官や主要閣僚の一部も自民党から出し、仙谷氏が副総理に、さらに菅総理の後任の民主党代表に輿石参院会長が就任するという具体的なもの……
2011年4月1日 JNN 

■自民党側としては大連立の前提は「子ども手当」「高速道路無料化」「農家戸別所得補償」「高校授業料無償化」の「バラマキ4K」に「菅首相の退陣」を加えた「5K」になっておりまして、四角四面の岡田タリバン幹事長は聞く耳持たずの態度だったはずなのに、3月末日になって唐突に大連立に前向きの発言をしたのだそうです。原理主義者の名が廃(すた)るのも構っていられない党内事情があるのでしょうか?菅アルイミ首相はいよいよ裸の王様になってしまいそうなのですが、何故か春の衣替え……。


菅直人首相は1日、3月11日の東日本大震災発生時以降、初めて朝からスーツ姿で首相官邸に入った。閣議に出席した閣僚も、被災地視察のため欠席した玄葉光一郎国家戦略担当相を除くと、防災服姿は松本龍防災担当相、海江田万里経済産業相、大畠章宏国土交通相だけだった。枝野幸男官房長官はその後の記者会見で……「復旧、復興に向けた段階に入ったということで、平常時の服装にした」と述べた。政府高官も「新年度になるのもある」と説明した。
ただ、東京電力福島第1原発からの放射性物質(放射能)漏れ問題が長期化していることで、防災服姿を着続けるのも不自然という事情もあるようだ。
2011年4月1日(金) 産経新聞 

■本当に「新年度」という理由ならば、何の意味もなかった震災後「2週間目の会見」と同様にまったく現実に即さない手前勝手な気分の切り替えにしか見えず、被災地の人たちはいよいよ自分達が見棄てられるのか?!と不安になったり怒ったりするのではないでしょうかな?春も新年度も関係なく耐乏生活をじっと忍んでいる人達のことを考えれば、気分を変えるための衣替えは如何にも無神経な話ではないでしょうか?さらに、もしも「長期化」が理由ならば尚更のこと、放射線被害と風評被害で苦しみ抜いている地域の人達に対する配慮が足りない態度だと申せましょう。

■元々、現地視察でもない限りは防災服など着なければよかったのです!膨大な瓦礫と格闘しながら遺体収容の作業に当たっている自衛隊や警察・消防の皆さんがスーツを着ていたら可笑しいのと同様に、立法・行政府の仕事をしている政治家が防災服を着てうろうろしているのが大間違い!普通は過ちを正すのは美しいことなのですが、あまりに愚かな過ちを犯した場合は過ちを正すともっと愚かに見えるという貴重な教訓となりましょうなあ。