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旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

菅総理の言葉 其の四

2011-03-31 16:15:03 | 政治
■昨夜、混乱と気休めばかりで先が見えない原発関連の報道番組に疲れて、テレビ東京が放映したブルース・ウィリス主演の『ダイ・ハード』を半分くらい楽しみました。放送中の画面には余震情報のテロップが流れたので作品世界に没入し切れないのは残念でしたが、傑作とされるシリーズ第一作を観たのは5回目か6回目でありました。こういう時期だからでしょうか?世界一運の悪い刑事と盗人テロリストとの息詰まる戦い以上に、事態をどんどん悪化させてしまうロビンソン副本部長という役が強く印象に残りましたぞ。そして同様にマニュアル頼りの強引な対応で盗人達の金庫破りを手助けしてしまうばかりかテロリストの罠に嵌って爆死してしまうFBI捜査官コンビも、以前よりずっと生々しく強く印象に残ったのでした。

■つらつら、その理由を考えてみますに、ロビンソン副本部長は部下を怒鳴りつけるだけの無能なリーダー像として象徴的に描かれていることが津波・原発事故の対応を間違ってばかりいる菅アルイミ首相と重なりますし、肩書きだけを偉そうに振り回して事態を悪化させてしまうFBIの二人組は安全保安院の愚かな人々を思い出させてくれたからだと気付いた次第であります。どんな大事件があろうとも、CMもバラエティ番組も通常通りに放送してしまう我が道を行くテレビ東京ではありますが、この時期に『ダイ・ハード』を放映したのは上出来だったかも知れませんなあ。付け加えますと最前線でテロリストと命懸けの戦いを強いられる主人公のジョン・マクレーン刑事とアル・パウエル巡査の姿が自衛隊とハイパーレスキュー隊の皆さんの雄姿とぴたりと重なって見えました。テレビ朝日版と同じ野沢那智さんの吹き替えだったのも嬉しかったのでありました。

■さてさて、気が重いことながら菅アルイミ首相の演説の続きです。我慢して最後まで読みましょう。


「また、第2の被災者支援と、これからの復興に向けて、申し上げます。支援物資の供給は、引き続き、充実させて参ります。また、ボランティアの円滑な活動を、震災ボランティア連携室が支援する態勢を取ります。岩手、宮城、福島をはじめ、さらに茨城、千葉など被害は広範囲に及んでおります。こうした全ての地域を漏れなく支援して参ります。その上で、今後は、本格的な復旧復興にも、目を向けて準備を進めていかなくてはなりません。住宅、医療、介護、教育、雇用など、そういった生活の面と同時に漁業、農業そして工業など、生産活動の両面から、この地域全体の、そして暮らし全体の再建が必要と考えております」…… 

■「支援物資の供給」「ボランティアの円滑な活動」「本格的な復旧復興」「暮らし全体の再建」と列挙された項目は子供にでも分かる課題でありますから、決して間違ってはおりません。しかし、首相として国民に伝えるべき具体的な方法となりますと「震災ボランティア連携室」を作ったよ、という話だけでありますなあ。○○本部だの○○室だの、指示系統を複雑にするだけでしかない組織の肥大化をせっせと進めている「船頭多くして」政策を行なっていることを恥も外聞も無く報告するしかないのが実情なのでありましょうなあ。この会見の後も学者や専門家を参与に加えて15人余のオトモダチを身辺に侍(はべ)らせて、埒も無い会議やレクチャーをどんどん増やしているそうな。『週刊文春』最新号の記事によりますと、参与は国家公務員と同等の身分扱いなので厳しい守秘義務を押し付けられるから、悪口を言いそうな奴を引っ張り込んで口を封じようとしているなどという穿った見方をしている人もいるそうですなあ。


「政府は、被災者生活支援のための対策本部を設けました。ここを中心に、人材を総動員して、各地域の要望を実現できる、そうした態勢を作りました。その一環として、被災地域の行政について、政府の職員も派遣をして支援する。そうした取り組みも進めたい。こう考えております。震災に伴う負担を、個人や個々の家庭だけに押しつけるのではなくて、社会全体、国全体がそれを、負担を分かち合う。こういう姿勢で臨んで参りますので、どうか被災を受けられた方も、勇気を振るって復興に向けて歩んでいただきたい。そのようにお願いを申し上げます」…… 

■対策本部が6つも7つもあるそうなので、今の体制は八岐大蛇みたいなもので首と口は勝手に蠢いているものの肝腎の本体は進むべき方向を見失って身動きが取れなくなっているように見えます。頭は一つで十分で、千手観音様みたいな働きをして貰わねば困る首相が、不動明王のような形相で役人や海江田経産相を怒鳴りつけているとも週刊誌に書かれておりましたし、27日に官邸を訪れたブレイン役の山口二郎北海道大学教授らと会談した際には、「一生懸命やっているのに(誰も褒めてくれない)」と愚痴をこぼしていたとの報道もありましたなあ。仮に手を抜いて不真面目にやっていてこの体たらくだったら大変です。被災地で寒さと怒りで震えながら耐え忍んでいる人たちは、総理大臣が交代したりお祭り騒ぎの選挙などをしていたら原発は「チャイナ・シンドローム」を起こすだろうし、ただでさえ進まない津波災害からの復興がどんどん遅延してしまうと冷静に考えているからではないでしょうか?誰も大きな事など菅アルイミ政権にこれっぽっちも期待などしていませんが、総理大臣の椅子に誰かが座っていなければ行政が停止してしまうから皆が我慢しているのでありますぞ。

■「人材を総動員して、各地域の要望を実現できる、そうした態勢を作りました」などと役人の作文を読んでいる暇があったら地域からの要望の一つでも解決して見せて欲しいものですし、片山総務相以外の閣僚は意味不明の防災服姿で国会周辺をうろうろしているようですから、ちゃんとヘルメットを被り軍手をつけてスコップを担いで被災地に出向いて倒れて流れた柱の一本でも片付けてくれた方が復興の役に立つと思ってしまいます。

■「その一環として、被災地域の行政について、政府の職員も派遣をして支援する。そうした取り組みも進めたい。こう考えております」とのんびりした演説口調は使わずに「行政機能が失われた被災地に政府職員をどんどん派遣しています!」ときっぱりと言い切ればよいのです。そして「震災に伴う負担を、個人や個々の家庭だけに押しつけるのではなくて、社会全体、国全体がそれを、負担を分かち合う。こういう姿勢で臨んで参りますので……」と何処にも見えない「社会全体」「国全体」などを引っ張り出して来るよりも、「首相の責任と負担」をしっかり自覚して適切な指示をてきぱきと出すべし!


「このように政府は、すべての能力を発揮する姿勢で、昼夜を分かたず全力を挙げていることを、ぜひ、国民の皆様にもお伝えしたいと思います。そして同時に、被災を受けられた皆さんをはじめ、すべての国民がこの戦後最大の危機に対して、それぞれ力を合わせ、力を振るって立ち向かっていただいていることに心から経緯を表すと同時に、これからもその姿勢でもって、この危機をともに乗り越えていこうではありませんか」…… 

■この部分には拾うべき何の意味も無く、聴いている人たちの心には何も伝わらない砂を噛む様な、木で鼻をくくったような、会見終了と同時に消えて一言も記憶に残らない、正に無残なものでありました。


「震災発生から2週間目にあたって、これからの国民の皆さんの一層の団結と、一層のこの危機を乗り越えていこうという、そういう気持ちを一つにする。そのことをもって、今日、2週間目にあたっての私からの国民の皆様へのメッセージとさせていただきます」
2011年3月25日 産経ニュース 

■無能な政治家は安易に「精神論」を喋りたがると申しますが、「危機」と連発した数に応じた具体的な対応策を並べて見せることもなく、「団結」「協力」しようにも救援物資や義捐金があちこちに滞留している現状を政治が解決してくれない限り、国民は歯痒い思いを強めるばかりなのであります。菅アルイミ首相が「2週間目」と言うと、無為無策で浪費空費された貴重な時間がひどく短かったような印象を受けるのですが、被災した皆さんにとってこの「2週間」という時間の長さと重さを、この首相は本当に分かっているのかなあ?とますます心配になったのでした。

菅総理の言葉 其の参

2011-03-29 16:07:21 | 政治
■あと一問だけ枝野ウカツニモ官房長官の応答を取り上げます。

--自主避難についてだが、放射性物質が出ている可能性がある中で自治体に避難促進を任せるのは楽観的ではないか

「逆にいうと、さまざまな可能性を想定する中で、将来的に現在のような状況が長期間継続したり、あるいは状況が悪くなった場合にはそうした可能性は否定しない。ただ、現状においては屋内退避で健康へのリスクは十分防ぎうるという状況である。ただ、今日の午前中に申し上げたのは、物資が届きにくい等々の事情もあるので、それは地域の事情も踏まえて、生活物資を送り届ける努力はさらに強化するが、地域の事情を踏まえて荷物が、物資が届かないという状況の中では、逆にしっかりとした受け入れ先に退避をしていただくことも十分な選択肢ですということを申し上げたので、安全性の観点からは、現地点では、今日、原子力安全委員会の方もコメントが出されているようでありますけれども、20~30の範囲内についての屋内退避が必要な状況であることについては、現状は変わっているわけではないという認識です」…… 

■「逆にいうと」と最初に煙幕を張って相手の質問の切っ先から逃げ出しておいて、「ただ」を連発してから「状況が長期間継続したり、あるいは状況が悪くなった場合」と恐ろしい事を唐突に言い出したかと驚く間もなく、「現状においては屋内退避で健康へのリスクは十分防ぎうる」と水・食料・医薬品の欠乏に苦しんでいる被災者が健康であるかのような無茶な話にしています。しかし、水も漏らさぬ官僚作文を駆使しても問題の核心は物資の補給である冷厳な事実は誤魔化しようもなく、「物資が届きにくい等々の事情」は避けて通れず「地域の事情も踏まえて、生活物資を送り届ける努力はさらに強化する」などと、まるで屋内退避を命じる以前から物資の配布に努力していたとホラを吹いて事実を捻じ曲げてしまっておりますぞ。

■「地域の事情を踏まえて荷物が、物資が届かないという状況の中では、逆にしっかりとした受け入れ先に退避をしていただく」、分かり易く言い直せば「物資は届けられないから退避しろ」ということでしょう。従って「十分な選択肢」ではなく選択の余地など無い絶体絶命の状況だという意味になりましょうし、「安全性の観点からは……20~30の範囲内についての屋内退避が必要な状況であることについては、現状は変わっているわけではないという認識」と最後まで自主避難指示の支離滅裂さは訂正されることもないまま、「物資は届けないけれど退避が嫌なら勝手にしろ」という恐ろしく強権的で血も涙もない会見内容になっております。放射性物質が降り注いでいる地域からの退避を勧めるのなら、防護用具や特殊車両を手配しておくべきなのですが……。

■ここから3月25日に菅アルイミ首相が行なった震災2週間後の演説と質疑応答です。気は重いのですが……。文字の起こしても内容が薄くて何を言っているのかさっぱり分からない代物なのですが、菅アルイミ首相が読み上げると更にせっかくの演説が台無しになってしまうのでした。誰かが教えてあげればよいのに!と苛立つのでありますが、菅アルイミ首相は「こそあど」言葉の後と「てにをは」の前で禁断の息継ぎをしてしまう悪い癖が治りませんなあ。「こそあど」言葉は「こうした姿勢」「そのモニタリングの強化」「そういった生活の面と同時に」などの頭に出て来る指示語ですが、「こうしたぁぁ姿勢」「そのぉぉぉモニタリング」「そういったぁぁぁ生活の」と後ろを間延びさせると言い澱んでいるように聞こえて相手に不信感を与えてしまい、話し手が不誠実な人物に見えてしまいます。

■「てにをは」の前に一呼吸置いてしまうと聞き手の緊張が途切れて文全体の意味が取りづらくなりますから、最後まで聞こうとは思わなくなってしまいます。野党時代に閣僚や官僚を攻め立てる時には決して出なかった口調なので、政権交代を支えた支持者もさぞやがっかりしていることでありましょう。


「地震発生から2週間を迎えました。被災された多くの皆さんに、改めて心からお見舞いを申し上げます。政府は現時点で、2つのことに全力を挙げて、取り組んでおります。その第1は福島第1原発事故の事態収拾と、放射能汚染へのしっかりした対応であります。第2は、被災者の方々への支援と、さらに復興に向けての準備を本格化させることであります」…… 

■正確には地震と原発事故が発生してから2週間です。未曾有の大地震と大津波ですから被災地の厳しい状況が大きく改善するには2週間はあっという間の時間であります、しかし、寒さと飢えと乾きと不安に耐えるには長過ぎる時間でありますから、「お見舞い」ぐらいは言うべきでしょうが、少なくとも人災の要素が多いと思われる原発事故に関してはエネルギー政策を所轄する最高責任者たる総理大臣は「お見舞い」ではない事を言わねばなりませんぞ。


「まず第1の福島第1原発について申し上げます。東京電力、自衛隊、警察、さらには東京や大阪などからの消防隊。そういった皆さんが、本当に命がけで活動をされていることに、心から敬意と感謝を表したいと思います。昨日、被曝により病院に搬送された方々にも、心からお見舞い申し上げます。安全性に十分留意し、冷却機能復旧に向けて、事故対策統合本部を中心に、官民一体で、さらには米軍などの支援もいただいて、事態収拾に全力を挙げているところであります」…… 

■海外で活躍するサッカー選手たちから「団結力」や「日本は一つのチームだ!」などの激励の声が届いているようですが、東京電力という変な電力会社は決して一つのチームではないように見えます。その反対に東電と原子力委員会と安全保安院とはべったりと癒着して一つのチームになっているように見えますなあ。菅アルイミ首相が「心から敬意と感謝」している相手の自衛隊・消防隊・警察の皆さんは見事なチームワークを見せて下さっていますが、どうやら首相に対する不信感が強くなっている節がありまして、素直に感謝の意を受けられない人が多いかも知れません。特にデモ隊鎮圧用の放水車を繰り出して恥を掻かされたも同然の警察は、菅アルイミ内閣の指示に翻弄されたことを決して忘れないでしょうからなあ。


「また一方、放射性物質の食物や水などへの影響については、自治体と連携をして、しっかりモニタリングをするよう、そのモニタリングの強化を進めてきました。得られた情報は、迅速に開示し、すべてを国民の皆さんに、あるいは国際社会に対しても透明性高く公開をして参りました。同時に、健康に及ぼす影響についても、しっかりと説明をして参りました。これからもこうした姿勢で臨んでいきたいと考えます」…… 

■肝腎の情報が「迅速に開示」されず、「透明性高く」ないから米国を筆頭に世界の国々から不信感を持たれてしまったのでしょうに?!農産物の放射線測定にしても恣意的で不完全な検査体制の不備が指摘されておりますし、大気中の放射線に至っては気象庁が秘蔵していた貴重な予測データをなかなか公表しなかったという大失敗もありました。健康に及ぼす影響について「しっかりと説明」された覚えがないからこそ、国民は風評に踊らされているのでしょうに?!


「さらに、農家や酪農家など事業者の皆さんには、大きな損害を与えていることに、心からおわびを申しあげたいと思います。こうした皆さんには確実な補償と支援を行うという点で万全を期したい。こう考えております」…… 

■政治家言葉の「こう考えております」には実に胡散臭いものを感じてしまう不誠実な響きがあります。よほど感動的な話を締め括る時ならば、聴衆が拍手を送る間を作る効果があるのですが、いつの間にか誰も拍手などしない愚にも付かない下手くそな演説の原稿にも混入してしまうようになりまして、不運な聞き手を大いに苦しめるようになってしまいましたなあ。

菅総理の言葉 其の弐

2011-03-29 13:56:58 | 政治
■菅首相は29日午前に開かれた参院予算委員会で、地震後初の国会答弁を行ったそうで、その冒頭、「多くの国民に避難や計画停電などでご不便おかけしている。国民が冷静沈着に対応していることに心から敬意を表し、感謝している」と述べたとか……。確かに海外からは日本の政府でなく「国民」の態度に驚嘆する声がたくさん届いているのですから、菅アルイミ首相が言及した「事実」に間違いはありません。しかし、未曾有の危機を乗り越えるリーダーが最初に言うことではないでしょう。今、国民が首相に求めているのは「敬意」や「感謝」などでは決してありません。正確な情報と希望が見えるビジョン、それより何よりリーダーとしての気概と覚悟が伝わる「言葉」であり、「顔」でありましょう。残念ながら保安員審議官・東電副社長・菅首相が、国民が見たくない顔の三点セットになってしまっているようでは、希望を失って元気が無くなってしまう人がどんどん増えて行きそうでありますなあ。菅アルイミ首相には、既に「冷静沈着」を保ちきれなくなっている現状が分かっていないのかも知れませんぞ。

福島県須賀川市で24日朝、野菜農家の男性(64)が自宅の敷地内で首をつり、自ら命を絶った。福島第一原発の事故の影響で、政府が一部の福島県産野菜について「摂取制限」の指示を出した翌日だった。震災の被害に落胆しながらも、育てたキャベツの出荷に意欲をみせていたという男性。遺族は「原発に殺された」と悔しさを募らせる。自宅は地震で母屋や納屋が壊れた。ただ、畑の約7500株のキャベツは無事で、試食も済ませ、収穫直前だった。遺族によると、男性は21日にホウレンソウなどの出荷停止措置がとられた後も「様子をみてキャベツは少しずつでも出荷しないと」と話し、納屋の修理などに取り組んでいた。…… 

■食料・水・燃料・薬の補給方法を提示できないまま無期限の「屋内退避」を命令するような菅アルイミ内閣ですから、最後の希望の糸を無神経に断ち切ってしまう政治主導の「摂取制限」を軽々しく命じることができるのでしょう。


23日にキャベツの摂取制限指示が出ると、男性はむせるようなしぐさを繰り返した。「福島の野菜はもうだめだ」。男性の次男(35)は、男性のそんなつぶやきを覚えている。「今まで精魂込めて積み上げてきたものを失ったような気持ちになったのだろう」 男性は30年以上前から有機栽培にこだわり、自作の腐葉土などで土壌改良を重ねてきた。キャベツは10年近くかけて種のまき方などを工夫し、この地域では育てられなかった高品質の種類の生産にも成功。農協でも人気が高く、地元の小学校の給食に使うキャベツも一手に引き受けていた。「子どもたちが食べるものなのだから、気をつけて作らないと」。そう言って、安全な野菜づくりを誇りにしていたという。遺書はなかったが、作業日誌は23日までつけてあった。長女(41)は「こんな状態がいつまで続くのか。これからどうなるのか。農家はみんな不安に思っている。もう父のような犠牲者を出さないでほしい」と訴える
2011年3月29日 asahi.com 

■報道はされていなくても、既に避難所の陰や孤立集落などで同じような悲劇が起こっているのかも知れませんし、農業の次は漁業、そしてリーマン・ショック後の長期不況を歯を食いしばって耐え抜いて来た中小企業の中にも絶望感が広がって行く恐れがあります。御遺族の仰るように「原発に殺された」のは事実の半分で、残りの半分は無能で無神経な政府にトドメを刺されたというのが真実かも知れません。こんな愚かな政府に殺されるのは御免だ!ともう一踏ん張りして民主党政権の断末魔を笑って見物する日まで頑張りましょう。

■大地震から「2週間」後に語られた首相の言葉を検証する前に、「前座」の枝野官房長官の難解な会見を振り返っておきましょう。


--枝野幸男官房長官は「大丈夫」「安心」と言い続けてきたが訂正したらどうか

「私のこの2週間の発言、記者会見の内容はすべてホームページで現時点でも公開している。私は今申し上げたようなことは、申し上げたことはないと思っている。その都度、あらゆる可能性や現状、その時点において『今、何をしなければならないか』ということについて、その時点における状況を踏まえながら、それぞれの時点における政府の判断を申し上げてきている。今、ご指摘いただいたような内容の発言はしていないと私は思っている」…… 

■大丈夫・安心という意味としか理解しようのない「内容の発言」を続けていて、そんなことは「言っていない」と開き直られては真面目に新聞を読む気が失せてしまいますなあ。学校教育の場で新聞を教材に使って授業をする運動があるそうですが、こんな馬鹿げた言葉のすれ違いを子供たちに教えてよいのでしょうか?「あらゆる可能性」に含まれてない問題が次々に起こっているというのも言葉の誤用でありましょうし、その場しのぎの思いつきを政府の判断として「何をしなければならないか」を発表しているからこそ、日本中が大混乱しているのでしょうに?!


--「人体に影響が出ることはない」と言ったが

「その時点で出ているさまざまな状況からは、現時点で出ることではない。ただし、今後の見通しについて、私は断定的なことはこの間、申し上げてきていないし、現時点においても、今後の状況については、あらゆる可能性を想定して、今よりも当然、原発の状況が良くなることを期待して、その最大限の努力を政府としてもしているが、状況が悪化して必要があれば、そのことについての情報データの公開は常に続けるが、必要があれば、その指示を今後とも政府としてしっかりやっていく。こういう立場だ」…… 

■身をよじって逃げ回るウナギの如き答弁は官僚作文そのもので、言質を取られないことだけに細心の注意を払っての条件付の「但し書き」の連発!要するに何がどうなるのかさっぱり分からん!と言っているだけでしょう。こんな会見をいけしゃあしゃあと続けられる神経の太さを一部の政治記者たちは「次の総理の器」と迂闊にも勘違いして紙面に書いているのは如何なものでしょう?


--放射能の数値は4日目に一番大きかったが

「具体的にそれぞれの時点のさまざまな発表と、それから客観的なその時点での事実関係との違いについて、改めてご指摘いただければ、それについてはしっかりと専門家の認識を含めてご回答申し上げる。できれば文書で具体的にご質問いただければと思う」…… 

■官僚に作文させないと何も言えないから、官僚がじっくり読むための「文書」を出せ!と居丈高な態度で逃げを打ちながら、自分は大事故の全貌をしっかり把握しているわけではない、と素直に認めてしまっているようですが、これは誠実さの穿き違いと言うべきでしょうなあ。会見に出て来るのがお好きなようですが、何の情報も出せないのなら思い切って回数を減らした方が節電に役立ちそうであります。

菅総理の言葉 其の壱

2011-03-29 13:12:12 | 政治
■大地震と大津波の後、絶望的な状況の中でも感動させて貰える話がいくつも報道されました。勇気ある行動、優れた自制心だけが為せる行動、自分よりももっと辛い人々を思い遣る言葉……残念ながら大事故を起こした原子力発電に直接かかわっている組織の中からは、徒(いたずら)に不安と怒りを駆り立てるだけの無責任な言動ばかりが流れ出て来るのは残念で堪りませんなあ。被災地ではもう誰も真剣に耳を傾ける気も失せているとか……。そんな無数の言葉が交錯した2週間でしたが、天皇陛下からの御言葉と東京消防庁の責任者3名が会見で聞かせて下さった抑制の効いた、無駄のない、正確な情報と率直な感情がしっかり聞き手に伝わる言葉は、多くの感動的な言動の中でも一層強く輝いていたと思います。未曾有の危機に襲われている最中だからこそ、人としての底意が自然に滲み出すものなのでしょうなあ。

■震災から2週間だからという何とも味気なく事務的な理由で菅アルイミ首相が会見に臨みましたが、「苦難な人を鍛えて育てる」とか「地位が政治家を作る」とも言われているのに、この2週間の体験を通しても、まったく成長も変化もない事をまざまざと見せ付けただけの残念至極の会見でありましたなあ。ただ混乱ばかりが続いて国民の不安が増大し続けただけの2週間でしたから、実質的には何の節目にもならない時期でもあり、ますます国民は首相の言葉を聞きたいとは思っていないようです。何せ夜のニュースでトップ項目として伝えたテレビ局が無かったくらいですからなあ。これでは無能で孤独な首相の独り言でしょう。


東日本大震災は25日で発生から2週間となるが、菅直人首相はこの間一度も記者団のぶら下がり取材に応じていない。首相官邸の記者会見場で一方的な「国民へのメッセージ」を発することはあったが、ほとんど質問は受けつけず、国民の疑問に答えなかった。「引きこもり」を続ける首相に最高指揮官の自覚はあるのだろうか。
「皆さんの熱気が伝わってくる。日本の危機を乗り越えるため歴史的な仕事をしているというプライドを持って頑張ってほしい!」
首相は24日夕、内閣府に設置された被災者生活支援特別対策本部を訪れ、職員をこう激励した。気分が高揚していたのかもしれないが、「熱気」「歴史的」との言葉に被災者へのいたわりは感じられない。ちなみに滞在時間は4分だった。…… 

■小泉プレスリー元首相の「感動した!」発言でも真似しようとしているのか、文字に起こすとそれなりに気の利いた言葉を選んでいることが分かるのに、あの顔、あの声、あの表情で発せられると忽ち無理して背伸びした言葉と化して相手の耳を素通りして心には何も残らず、わずかに不信と不安だけが余韻となって澱んでしまうのは何故なのでしょう?野党時代に磨き上げた?のは政権与党を一方的に責め立てては、大衆受けする机上の空理空論を振り回して次の選挙で少しでも票を上積みする芸だけだったのか?選挙に大勝して自分が総理大臣になることだけが政治家としての目標だったのなら、もう十分にその任に堪えないことは国民に周知徹底されてのですから、早々に首相を辞して適任者がいるのなら大急ぎで交代して欲しい!


ルース米駐日大使は23日、宮城県石巻市の避難所を訪問した際、被災者の肩を抱いてこう励ました。「米政府はどんなときも皆さんを支援する。できることは何でもしたい。自然は人の命を奪うこともあるが、人の魂や思いを奪うことはできない…」この真摯で誠実な態度は多くの人の胸を打った。同時にこう思ったはずだ。「それに比べてわが国のトップは…」
……そもそも12日の東京電力福島第1原子力発電所の視察が事態収拾に役立ったとは誰も思っていない。21日の被災地視察は悪天候で断念したが、この時は官邸スタッフも「首相が行っても誰もありがたいとは思わない」と漏らした。警備などで手をわずらわせるだけだからだ。…… 

■石巻の小学校に避難している人達を密かに米軍の司令官が訪問して激励したという話も漏れ聞いておりますが、日本の首相が布団を被って寝た振りをしている間もリビア情勢に最も気を配らねばならないはずの米国のオバマ大統領から次々に上等な言葉が日本に向けて放たれております。野党暮らしが長過ぎるとはいえ、政権与党になって1年以上、自分が首相になってから半年以上も経っているのですから、そろそろ総理大臣らしい「言葉」くらいは身に着けて欲しかった。


首相ならばどこで指揮を執っていようが、国民の不安を打ち消し、被災者を勇気づけ、復興に向けて奮い立たせるような言葉を発することはできるはずだ。ところが、首相は13日の「国民へのメッセージ」では涙ぐみながら「果たしてこの危機を私たち日本人が乗り越えていくことができるかどうか」と不安を助長させた。18日には「私も決死の覚悟で努力を尽くしている」と陶酔と自己弁護を繰り返した。しかも首相は震災のドサクサに紛れて参院で問責決議を受けた民主党の仙谷由人代表代行を官房副長官として政府中枢に復活させた。自民党の谷垣禎一総裁にも入閣を要請した。いずれも重大な政治判断のはずだが国民への説明は一切ない。福島県産野菜の「摂取制限」指示のように国民生活に直結した事案でも枝野幸男官房長官に説明を丸投げした。…… 

■この農産物問題では凄まじい風評被害が起こっているのですが、『週刊現代』4月9日号によりますと、菅アルイミ首相の勘違い政治主導・選挙用パフォーマンスが元凶だったそうですなあ。ホウレンソウなどから「暫定基準値」を越える放射性物質が検出された時から、農水省と厚労省とで風評被害を防ぐ手立てが練られており、まずは官房長官から「直ちに健康に悪影響を及ぼすものではない」と発表して事後の対策を進めようと話が決まっていたのに、官房長官からの発表の直後に「出荷制限だ!」と原発にスゴク詳しい元厚労相でもある菅アルイミ首相の鶴の一声が関東地方を中心に東日本を大混乱に陥れたのだとか……


それでいて陰で現場にあれこれと口出しし「東電のばか野郎が!」などと怒鳴り散らす。あげく来客に「東日本がつぶれることも想定しなければならない」と不用意に語り、風評被害を広めてしまった。枝野氏は24日の記者会見で首相が取材に応じない理由をこう説明した。
「政府として目の前で対応しなければいけない案件を最優先せざるを得ない。ぶら下がり取材、記者会見に対応する時間的余裕をどのタイミングでつくれるかは検討模索している」
これで納得する国民は誰もいないはずだ。首相は23日は午後9時24分、24日は午後9時7分に公邸に帰った。5分間のぶら下がり取材に応じる時間的余裕がないという理屈は通らない。
ある政府関係者は、最高指揮官の類型として(1)有能有為(2)無能無為(3)有能無為(4)無能有為-の4パターンを挙げ、こう言い切った。
「首相がどれに当てはまるかもう分かるだろう。無能なのに、できもしないことをやろうとする無能有為型だよ…」未曽有の国難に直面した今、首相の唯一の得意技である「逃げ」と「思いつき」はもはや通用しない。
2011年3月24日 産経ニュース 

■「無能有為」とはウマイことを言うものでありますなあ。典型的なのは旧社会党の「非武装中立」「自衛隊違憲」「原発反対」の三点セットでしょうか?どれも納得できる裏づけのある代替案が一度も示されず、理想論を結論に置いて自縄自縛に陥って政党として自滅して行ったのでありました。その二番煎じが民主党の選挙用マニフェストとも言えそうでありますなあ。官邸の外に漏れてくる話では、菅アルイミ首相が怒鳴ってばかりいて心身ともに消耗して会見や会議がなければ横臥しているとも言われていますが、最初から事態の深刻さを理解せぬまま法律の運用方法を知らず、馬鹿の一つ覚えの「政治主導」とはったりパフォーマンスしかやる事がなかった首相が、問題が刻々と大きく膨れ上がって行く事態に茫然自失状態になってしまったのでしょうなあ。

菅首相、今こそ「大法螺」を吹け! 其の壱

2011-03-25 13:19:28 | 政治
■関東圏の総電力の15%を占めると言われる巨大な原発が停まっているのだから電気が足りない!というのは納得できますから、国民はこぞって節電!節電!の大運動中であります。しかし、西日本には潤沢なガソリンが足りない!食料も足りない!の騒ぎが起こり、そして、とうとう「野菜が食えない!」「水が飲めない!」の騒ぎまで起こってしまいました。食えない・飲めない騒動の大元は観測機が示したミリ・シーベルトという正体不明の数値が生煮え状態のままマスコミから垂れ流されてしまったのが原因のようです。よくよく聞いてみれば「年間被曝・摂取基準」だと説明されているではありませんか?!それなら、「原子力にものすごく詳しい」今の総理大臣が、たとえ信頼もされず実行力に大きな疑問符が付いているにしても、まずはウソでもいいから「1年後のビジョン」を打ち出して安心させてくれれば、年間被曝量の「年間」が大きな意味を持って国民を落ち着かせてくれるのではないでしょうか?

■出来れば大法螺、大風呂敷でも構わない「1年後のビジョン」から逆算して半年後、3箇月後、1個月後とできる限り具体的なビジョンを丁寧に国民に提示してくれれば、「あと○○日の辛抱だ」と美しい国民性を大いに引き出してくれることでしょう。菅アルイミ首相は、出身地が山口県だというので、気安く自分の内閣を「奇兵隊内閣」と命名して大いに顰蹙を買ったことがありました。まあ、昨年9月に血みどろの代表選挙に辛勝して発足した内閣を改造した時に、「今後は412人内閣でいく。菅内閣が取り組む政策推進に引き続き協力を願いたい」とまったく意味不明で実現不可能なキャッチフレーズを思い付いて誰も相手にしなかった愚かしいネーミングに比べれば、「奇兵隊内閣」の方が少しは具体性があったような気がするのでありますが……。奇兵隊は当時の身分制度を木っ端微塵に吹き飛ばして「志願兵」を募って結成した驚天動地の新しい軍隊で、師・吉田松陰の教えを実践した高杉晋作が企画した日本の歴史上初の軍隊とされておりますから、自民党時代の派閥や政・官・産・学のシガラミを打破して適材適所の人材登用が可能になるのかも?と、一瞬だけはチラッと新しい日本の姿が見えたような気もしたのですが……。

■内閣改造直後の衆議院での代表質問で、かつての連立相手であった社民党の重野安正幹事長から所信表明は「説得力がない。『大風呂敷を広げた』といわれないだけの実績を残せるかどうかだ」と批判されたことがありました。その時、今よりは夢と希望を抱いていた菅アルイミ首相は「(所信表明は)率直に申しあげて大風呂敷を広げたんですよ」と開き直って見せたものでした。少しくらいは演説内容を実現していれば菅アルイミ首相の株も上がったのですが、残念ながら、当然ながら、100円ショップで買って来たような間に合わせの使い捨て風呂敷でしかなかった事がすぐにバレてしまったのは残念でありました。

■しかし、ものは考えようであります。「大風呂敷」の本家本元である後藤新平の猿真似でも結構ですから、ここは一番、一世一代の大風呂敷を広げて復興の牽引力を発揮して頂ければ、瓢箪から駒、怪我の功名、日本の政治史に本当に名前が刻まれますぞ!何せホラと大嘘で固めたマニフェストで国民の信頼を失って支持率も限界まで落ち込んでいる菅アルイミ首相なのですから、どんな大嘘をつこうとこれ以上の悪口を言われる心配はありませんからなあ。

■御本人は官邸のどこかに潜んでいるらしいのですが、発表はすべて枝野官房長官に丸投げして国民に語り掛けようともしない菅アルイミ首相の真意が分からず、「下手な考え休むに似たり」とは申しますが、今の日本に一人しかいない総理大臣ですから政治家としての矜持を示して貰いたい!と思っている矢先に、民主党らしい恥ずかしくも恐ろしいニュースが転がり出したのは残念でありますなあ。


菅直人首相の元秘書で、東京都武蔵野市の松本清治市議(41)が、東京電力が実施する計画停電で、市内の一部地域が対象から外れたことについて、「松本清治の要請が実現しました」などと記したビラを配布していたことが24日、分かった。武蔵野市は菅首相の選挙区でもあり、インターネット上で批判が集中、松本氏は同日、自身のツイッターで「配慮が足りなかった」などと謝罪した。……ビラは「市政報告レポート」と題したA3判の両面刷りで、約800部を配布。「わかりにくい計画停電」との見出しで、武蔵野市の病院などを含む第1グループは「当面、計画停電の対象地域から除外する」と東電側から連絡があったなどと記載し、「要請が実現しました」と記した。…… 

■まあ、元の親分が未曾有の震災をモッケの幸いとばかりに自分の政権の延命に役立てようと、馬鹿の一つ覚えのハッタリとパフォーマンスに勤(いそ)しんでいるようなので、元の子分がこの程度の武勇伝?を選挙用に吹聴するのも不思議とは思えませんが……。意気揚々と粗忽な自慢話を発表しておいて、批判が起こったら政治家らしい説明もせずに「配慮が足りない」では済まさないでしょう。最も愚かな火に油を注ぐ行為と申せましょうし、恥の上塗り、「物言えば唇寒し」でありますなあ。一介の市議が東京電力に圧力を掛けて大規模な計画停電の内容を捻じ曲げて見せたぜ!というのも奇妙な話ですが、菅アルイミ首相の秘書だったことを匂わせて最高権力と太いパイプがある!と虎の威を借りて偉そうに振舞ってみたかっただけかも知れませんが、何の役にも立たないくせに権力を弄んで偉そうに田舎芝居をしている閣僚や議員がぞろぞろと国会内を歩き回っている党の中枢を見れば、この程度の市会議員が現われても不思議ではありませんなあ。


これに対し、ネット上では「利益誘導か」「配慮に欠ける」などと批判が集中。松本氏はツイッターで「地益(=地元の利益)誘導ものではありません」などと釈明。「文章が誤解を与えているとすれば申し訳ありません」と謝罪した。松本氏は平成6~11年に菅首相の随行秘書を務め、薬害問題などに取り組んだ後、11年4月に武蔵野市議に初当選。同市議会の副議長も務めている。
2011年3月25日 産経ニュース 

■怒った人たちは文章の何処をどのように「誤解」したのか?さっぱり分かりません。停電計画の対象から外され、「要請が実現」したと書いてあれば、自分の業績を自慢するためのビラなのだろうと解釈する以外、一体、どんな理解の仕方があるのでしょう?天敵のクラッシャー小沢の秘書軍団に比べると、随分と子分の資質が悪いようですが、それも親分の不徳の至りと申せましょうなあ。後始末は武蔵野市議会と有権者の皆様にお任せするしかありませんが、これで国政への道は完全に無くなったことは確かでしょう。まあ、次の国政選挙の時に民主党が存在しているかどうか?菅アルイミ首相の元秘書の看板がどんな意味を持つようになっているかは、何となく予想はできますが……。

■子分にも恵まれない可哀想な菅アルイミ首相ではありますが、今はまだ日本国の総理大臣なのですから、しっかり災害からの復興に尽力して頂かねばなりません。それにはマニフェストに並んでいたちまちました小さなホラ話ではダメであります。気持が萎え始めている国民がホッホーッと感心して元気が出るような大法螺でなければなりませんぞ。

復興の邪魔をする者 其の七

2011-03-24 21:50:24 | 政治
■3月23日の段階で、露地野菜や水道水に原発事故が起源の放射性物質による汚染が検出されて、菅アルイミ首相の名前で出荷停止・摂取制限の命令が出されたそうですが、これが民主党政権が自画自賛する「政治主導」なのでしょうか?政・官・産・学に加えてマスコミまで絡め取って戦後の日本をミスリードした55年体制に巣食っていた病巣が福島県の太平洋岸で発熱し溶けて焼けて爆発しているというのに、太平楽な「原発安全神話」の追い風にでもするように、原発は危険だけれど……と日本よりはマトモな危惧を抱いている多くの国も参加して作られた国際的な安全基準を、自らの特殊性を隠蔽するように悪乗りして作った国内基準と、それに基づく法律に従って後先考えずに野菜が危ない!水が危ない!と、官僚が苦心して作ってくれているのが露骨に分かる支離滅裂な原稿を官房長官に棒読みさせて、俗に言う「布団を被って寝ている」状態も同然の雲隠れサイゾウとも呼びたくなる菅アルイミ首相の昨今の影の薄さが際立ちますなあ。

■世界一の地震大国に原子力発電所を並べるからには、他国には想像もできない法律が作られ、独自の対策を講じておくべきだった!と、今更ながらに臍(ほぞ)を噛み、地団太踏みながら復興に向けて一歩ずつ進みださねばならない時に、杓子定規に自分達が散々批判して来た自民党政権が残した原発関連の政策を負の遺産と承知の上で、国民から最終的に飲食物を奪い続ける事になるような命令を官邸の地下に隠れて下しているばかりで、まったく国民の前には姿も現さず、既にインターネットに直結しているラジオ放送も使おうともしない総理大臣など、一刻も早く辞職するべきでありましょう。この大混乱の中で、既定の地方自治体の選挙が腹が立つほど粛々と事務的に進められている由ですが、少なくとも大きな評価と期待を込めて「民主党」に投票する人は皆無に等しいでしょうし、かと言ってまだまだ反省が足りない自民党に華々しく返り咲いて欲しい!と熱望している有権者も少ないでしょうから、史上最低の投票率が全国の選挙区から報告されることになるのではないでしょうか?

■何が何やら分からなくなっているのにマスコミが習慣的に囃し立てている東京都知事選挙にしても、取って付けたように「防災都市」と言い出す候補が増えているとか……。五輪大会誘致より液状化対策を優先せず、あまつさえ液状化が最も激しい場所に博打場を作ろうとした石原都知事があっさり再再選されてしまうのか?宮崎県の知名度は上げたけれど、最後は国政への色気に迷って鳥インフルエンザの対策を怠って任地を見棄てた前の県知事が、リスク管理能力を売り物に出きるのか?などなど、都民ばかりでなく260万人とも言われる通勤都民達があれこれ買い溜めたり自転車を見直している時に実施される都知事選挙は、大手マスコミが好む与野党間の代理戦争とはまったく違う様相を呈して混迷するのではなかろうか?などと考えてしまいます。

■雲隠れ状態の菅アルイミ首相は、大地震に見舞われたハイチや独裁者を追放して大混乱が続くチュニジア、さらには北朝鮮の将軍様から義捐金や見舞いの品が届き始めたことをどう考えているのでしょうなあ?佐藤勝氏が言うように、これまでの日本外交が積んで来た陰徳の効果で日本を気遣ってくれる国際世論が生まれているのなら、それはそれで結構なことでしょうが、とても他国を思い遣っている余裕の無い国々から寄付が集まるという現象は、日本が本当に壊滅・消滅してしまう前に少しでも借りを返しておこう!との思いから発しているのではない事を願うばかりであります。元々、外務省を筆頭に情報発信能力が世界的にも劣っていると言われ続けて半世紀、今回も原発関連の情報とデータが対外用と国内向けに馬鹿馬鹿しく区分けされていると聞きますと、開いた口が塞がらないですなあ。


日本に対する諸外国からの善意と支援が行き場を失っている。混乱の中で、日本側の受け入れ態勢に不備があるのみならず、食品安全基準などが支援の大きな障害になっているようだ。日本に在留する母国民の安否確認と安全確保に追われる傍ら、支援に尽力している各国政府の「恩返しをしたい」という思いを、日本政府は結果的にソデにする格好となっている。ある国は、毛布を数万枚送ると申し出た。だが、日本政府はサイズ(80センチ×80センチ)を指定し、送られる予定の毛布が、わずか20センチほど「規格」に合わないとわかると、受け入れに強い難色を示した。すったもんだの末に、ようやく「規格外」の毛布が日本に届いた。…… 

■「規格」を決めていたのは誰か?それを平時と有事の区別もせぬまま放置したのは誰か?そして、政権交代の金看板にした「政治主導」の実現方法をこの緊急事態に臨んでも、皆目見当がつかずに国民向けには官僚作文をもったいぶって棒読みして聞かせ、裏では政局絡みの国会対策に最もエネルギーを注いでいるのは誰か?よくよくテレビ・新聞の報道の「行間を読んで」我々は考えねばならないのでしょうなあ。


日本政府から、救助犬の派遣を真っ先に要請され、それに応じて送り出そうとした矢先に、「待った」をかけられたケースもある。その際の説明は「空港での検疫に1カ月かかる。これを1週間に短縮してもいいが、救助犬をその間管理できない」だった。結局、救助犬が日本の地を踏むことはなく、関係者は「韓国やニュージーランドなどからは救助犬が入ったのに、なぜなのか」といぶかる。…… 

■この亡国的な「説明」をした担当者から、その直接の上司、ずっと辿って主管大臣までを一網打尽にして大津波の被災現場に送り込んで素手で瓦礫を片付けさせたら如何か?嗅覚と勘に自信がある人なら救助犬の代役を務めてくれれば尚結構。


コメ数万トンの援助を事実上、断られた例もある。送る予定のコメは日本人の口には合わないだろうと、わざわざモチ米を混ぜる工夫も施されていた。しかし、日本政府は「国内に余剰米があり、コメが不足しているわけではない」と回答。ただ、すでに空輸の手はずを整え終えた一部だけは、かろうじて届けられた。食料品を送ろうとして「食品安全基準のチェックがされていない。日本語の表示ラベルも張られていない」と、拒否された例もある。…… 

■食糧が不足しているのではなく地震と津波で物流システムが打撃を受けているという当たり前の情報をしっかり発信しないから、このような誤解が生まれて善意を無駄にするのではないでしょうかな?どうして菅アルイミ首相は対外的な情報発信に努めないのか不思議で仕方がありません。


……フィリピンのアキノ大統領は17日、マニラの日本大使公邸を訪れ記帳した際に、支援を改めて申し入れた。日本側の答えは「『本国からの回答を待っている』だった」(大統領)。
フィリピン政府はすでに、支援物資を整え日本側の「ゴーサイン待ち」。同政府筋は「第1便として、48品が入った箱を2500箱用意した。カップ麺やコメ、缶詰、タオルなどが入っている」。ようやく25日、日本に空輸される見通しとなった。…… 

■今の官房長官が、以前に「迂闊にも政治主導などと言ってしまい……」と真っ正直な反省の弁を述べたことがありましたなあ。勘違いも多い一方的な役人の悪口を並べて出来もしない空約束を並べて「マニフェスト」と称して政権を手に入れたものの、平時でも政治の動かし方を知っている人材がほとんど居ない!という重大な事実に遭遇した民主党政権ですから、緊急事態の有事にてきぱきと愚かな国民には気がつかない要所要所を抑えて、痒い所に手が届く政策を矢継ぎ早に打って行く……などということは最初から誰も期待はしていませんが、被害状況を正確に掌握するために民間のヘリコプターも動員して被災地を隈なく飛び回って情報収集に努めれるべきでしたなあ。首相自身が選挙用のハイヤー代わりに自衛隊のヘリコプターを玩具みたいに使っている場合ではなかった!嗚呼。


ベトナム政府もコメや毛布を送る意向を伝えているが、「日本政府は何も言ってこない」(同政府筋)と、戸惑いを隠さない。日本側には支援を受け入れても保管場所の確保や、被災地への輸送がままならないという事情がある。このため、物資ではなく義援金に切り替えてほしい、と要請された国も多い。だが、「日本からはこれまでにいろいろな支援を受けてきたので、その恩返しをしたい。受け入れ側の事情もよく理解しており、不必要なものを送るつもりもない。それでも日本政府の対応は首をかしげる」(東南アジア筋)という声は小さくない。断るにせよ、礼を尽くすべきだろう。
2011年3月24日 産経ニュース 

■「礼儀」などという高級なものを民主党政権に求めるのは酷というものでしょう。「政権交代」の看板に寄り集まっただけの有象無象の政党集団に、外交的な配慮を期待するのは最初から無理でしょう。何しろ国内の情報収集も出来ず、菅アルイミ首相自らが「俺は原子力にものすごく詳しいんだ!」などと情報を遮断するような馬鹿な発言をしているくらいですから、心配してくれる外国に対して礼を失しない言葉と方法で、本当に必要な支援を的確にお願いすることなど、夢のまた夢でしょうなあ。嗚呼、勿体無い!

復興の邪魔をする者 其の六

2011-03-24 16:13:43 | 政治
■大阪の象徴の通天閣が夜間の電飾を自粛しているとのニュース映像を観ましたが、これは実に不思議な光景だと感じました。犠牲者を悼み喪に服すのは決して悪いことではありませんが、直接的な被害を受けずほぼ無傷で元気なはずの大阪には別のメッセージを発して欲しいものだと思うのであります。大地震に襲われたのは東北の太平洋側で、巨大な津波が押し寄せて壊滅的な被害を受けたのは主に東北の3県、その後も原発事故の影響と余震に怯えている東日本全域ではありますが、長野県のほぼ中央辺りに南北に引いた仮想的な直線を挟んで、日本の経済活動と日常生活の風景が東西にくっきりと分かれているという話があるそうですから、日本全体の国力を下げないためには西側半分がこれまで以上に踏ん張って頑張って頂かねばなりません。

■大阪の通天閣が元気を失ってしまったような風景は、海外メディアが垂れ流す日本壊滅!のイメージを裏付けてしまう恐れもあります。情報発信が下手クソな民主党政権の欠点を日本全体で穴埋めして行かないと、アホな政府と一緒に日本全体が沈没してしまったら取り返しが付きませんぞ!どんなに長くても民主党政権はあと2年余りの寿命しかありませんから、その間はどうしようもない馬鹿息子を持ってしまった親の気分で、日本中の老若男女は一致団結して愚かな政府から日本を守らねばなりますまいぞ。そもそも、「全国的節電」などという日本の電気事情も近代史も知らないトンチンカンな指示が飛び出したのは、震災翌日の12日夕刻の枝野幸男官房長官が行なった会見であったようですなあ。

■例の「福島第1原子力発電所で何らかの爆発的事象があった」という官僚趣味満載の意味不明の作文を読み上げたアノ会見であります。その中でまだ余震・津波の可能性が残っているため、避難所など安全な場所で待機してほしいとも言ったのですが、「安全な場所」が何処にもないのが被災地の実態だと分かっていないらしく、更に燃料・食糧・水・医薬品が届かない孤立状態の人々に対して「待機してほしい」と言うのは餓死せよと同義語ではないのか?!と呆れ返ってしまいましたが、同じ会見で「発電総量が大きく落ち込んでいるため、全国民に節電をお願いしたい」と呼び掛けてしまったばかりに、無傷で電気エネルギーに余裕のある西日本でも節電を強制してしまう結果になったようですなあ。

■そもそも、明治時代に東日本では欧州系の周波数50ヘルツの発電機を、西日本は米国系の60ヘルツの発電機をそれぞれ輸入してしまったのに今に至るまで誰も東西の周波数を同一化する政治的判断を下せないままという歴史的事実がありますし、もしも西日本で節電して貰った電力を融通して頂こうと思っても、周波数を変換する施設が国内に3カ所しかなくて能力は計100万キロワット程度しかないという現在の状況を枝野官房長官は十分に承知の上で、「全国的な節電」を訴えたのか?ヘマばかりしている東電は既に、変換能力一杯の融通を受けているのだそうですぞ。日本全国を真っ暗闇にしてみても復興はどんどん遠のくばかりではなかろうか?

■「万全を期す観点から、第2原発についても10キロ圏内からの退避を住民に指示した」とも述べたのでしたが、第1原発の事故が起こってから5キロ、10キロ、20キロと地元住民を恐怖のどん底に落とすと同時に全国民を不安にするような避難指示を積み重ねて行った菅アルイミ内閣ですが、これは危機管理の専門家に言わせれば最悪のやり方なのだそうです。本物の戦争の場合、戦力のチビチビした逐次投入というのが最悪でるのと同じ理屈で、今回の自衛隊投入のやり方にしても阪神・淡路大震災時代の「村山政権よりはマシ」などという恐ろしくも恥ずかしい政治の基準点があるのも困りもので、「あの時に比べたら」の枕詞が付いた途端に社会の木鐸たるマスコミも一瞬で大本営発表に加担してしまいますからなあ。

■そもそも、カイワレ大根を下品にパクついたら知名度が上がったと歪んだ思い出に一縷の希望をつないでいる菅アルイミ首相は、自分で自分の轍をしっかり踏み締めて3月12日に「現地視察」へと赴き、最も行ってはいけない福島第一原発の現場に着陸して「大丈夫」「爆発しない」と、JALが潰れたら後に残った日本最大の国策会社たる東京電力の非常時とも思えぬ総理大臣御一行様専用の送迎儀式を受けて、最後の砦となる官邸地下の危機管理センターに意気揚々と舞い戻った時から大惨事が始まったようなものであります。何より大事な選挙でお世話になっている元連合会長のような身内を前にして「俺は原子力にものすごく強い」などと蟷螂の斧と呼ぶのも恥ずかしく悲しい強がりを言ってからは、事態はもっともっと酷くなって行ったのでありました。

■福島第一原発を中心にして半径50キロを、即座に最高レベルの警戒地域に指定して、本当の危ない近接地域からの脱出、少しは時間的有余が許される屋内待機が必要な地域に対する「自宅籠城用の物品」の緊急搬送を下命してから、始めて「事態を注視する」体制が執らるはずで、IAEAに「情報を隠すなよ!」と嫌味な叱責を受けたと世界中のマスコミがますます日本ハルマゲドンのシナリオを強化するような愚かしい会見をしなくても良かったのに……。最悪の事態を即座に想定して対応しておいて、公明正大で客観的な観測データを大規模に集めながら、最悪の事態からの脱却を誰にでも分かるように警戒地域を徐々に小さくして行けば、国民はパニックも起こさず無用な不安に駆られることもありません。但し大所高所から沈着冷静な判断を下せる信頼できる「司令塔」が存在しているならば、という前提があっての話なのですが……。

復興の邪魔をする者 其の伍

2011-03-22 11:16:27 | 政治
■全国的な自粛ムードで、うっかりNHKを真似て始めてしまったCM抜きの報道特別番組が経営を圧迫し続けていた民放テレビ各局でしたが、週刊誌に「チキンレース」と呼ばれた痩せ我慢も限界に達して、次々に「エースィー」で終わる仁科明子母子の子宮頸癌に御用心という話やら、思い遣り・心遣い、挨拶は大事と訴える旧・公共広告機構のCMをぐいぐい押し込んで、視聴者の中には余りのしつこさに癇癪を起こして抗議の電話をした人も多いとか……。道路が寸断されて大車輪で復旧作業をしている時期に新車の宣伝はそぐわないでしょうし、連日の死亡者名簿発表が続いて全国民が喪に服しているような気分の時に発泡酒を痛飲して「ッアー、ウマイ!」などと言っている場合でもないでしょう。更に以前から問題の多かったパチンコ業界の宣伝は尚更、少なくとも時期尚早でありましょう。食品関連のCMも東北各地の避難所で飢餓の不安が出ているのですから、何が旨いのこっちが美味しいのと宣伝するわけにも行きますまいし、薬関係も医薬品不足を訴える悲痛な声が報道されている時期ですから、これも遠慮しなければならないでしょう。

■そのように考えてみますと、大地震以前は何とも能天気なCMが垂れ流されていたと再認識させられますが、内需拡大が国是となっている限りは盛んに宣伝して商品をどんどん売らねばなりませんし、何より急がれる復興のためにも経済活動は盛んになって貰わねば資金も得られず将来が明るくなりませんから、被災者も元気になるように気遣いながら生産・宣伝に務めるのが企業の使命と申せましょう。自粛が続くテレビやラジオのCMの中には、電力会社が盛んに流していた「オール電化住宅」や太陽光発電を広めようと建築会社や電機会社が流していた「太陽光発電パネル」「エコ住宅」などがあったなあ、と妙に懐かしく思い出します。そして、同時にもしも被災地でローンを組んで「オール電化住宅」を建てたばかりの人はどれほど居られるのであろう?と考えると暗澹たる気持に襲われます。

■「燃料電池」も商品化され始め、「スマート・グリッド」という新しい電力分散供給技術も提言されていましたが、現実的には全発電量の3割以上を占めるまでに至った原子力発電を主軸とする電力供給システムが安定していなければ1日も安穏には暮らせない日々が続いていました。それでも太陽光発電パネルの技術は蓮舫大臣に何と言われようと世界一!ですから、売電制度を充実させれば一気に普及が進むであろうと言われたのは鳩山サセテイタダク前首相が国連で大風呂敷を広げて見せた頃のことでしたかなあ?


東日本大震災で被災地の電力供給が途絶え、東京電力が計画停電を実施する中で、太陽光発電システムの存在感が高まっている。東北~関東を中心に、太陽光発電を設置した家庭から、「太陽光発電を付けているのに、停電時に使えない」との問い合わせがメーカーや設置・販売業者に殺到。停電時には特別な操作が必要だが、周知が不十分だったとして、メーカー各社は一斉に啓発に乗り出した。
「屋根に設置している太陽電池が停電で動かなくなって宝の持ち腐れだ。どうしらいいのか」。大震災発生の翌12日以降、ある太陽光発電装置メーカーには、通常の約10倍近い電話問い合わせが相次いだ。…… 

■「地球に優しい」だけでは太陽光発電は広まらず、やはり、自家用電力を自給自足できる上に余った電気は売れる!というオマケも付いてこそ、国の補助もあるならばと新築だけでなく増改築を考えている人も考えるものでしょう。更に本音は万が一の時にも電気の便利さを失わないという利己的な目的があって心も動くというのが人情として当然の話でしょうから、正に万が一が起こった今回の大地震という緊急事態で目算が狂ったら、誰でも腹が立ちましょうなあ。


家庭用の太陽光発電装置は、パワーコンディショナー(パワコン)という装置を使い、太陽電池で発電した直流電流を、家庭で使用できる交流電流に変換している。ただ、パワコンを動かすための電気は、通常、電力会社から送られる系統電力に依存しており、そのままでは日中発電していても、電気が使えない。使用するためには、家のブレーカーをオフにし、パワコンに付属したコンセントに直接、電化製品の電源コードを差し込む必要があるが、意外に知られていないのが実情だ。…… 

■発電した直流電流を交流に変換するためには外部電力を買わねばならないとは、炉心や貯蔵プールを冷やす電源は外部に求めねばならない福島第一原発と同じ仕組みのようであります。どちらのシステムも通常の電力供給が安定していることが前提とされているという事は、日本の電力会社はよほど自信を持っていたことの証明なのでしょうが、外部電力を引き込む作業を始めるのが遅れたのは実に残念でありました。問題の家庭用パワコンのコンセントからどれほどの家電製品に電気が引っ張り出せるのやら……オール電化になっている御家庭などはどうなるのでしょう?まだまだ、改良の余地の多いシステムなのかも知れません。


……太陽光発電協会は、ホームページで停電時の設定方法について環境省のマニュアルを添付した告知を掲載。各メーカーも自社のHPで同様の掲示を始めた。あるメーカーでは「各販売店にも自立運転の使用方法を周知する。被災した家庭の役に立てれば」と話した。
2011年3月21日 産経ニュース 

■何でもかんでも「詳しくはホームページで」の一言で済まそうとする傾向が蔓延していますが、この高齢化社会でパソコンに触れたことのない人の数を知らないのか?と著しくイメージ先行型のテレビCMが増えるのと歩調を合わせて「ホームページへ」の呼び込みが際限もなく増え続けて行くのは如何なものか?と訝しんでおりましたが、今回の計画停電という事態では正確で詳しい情報を入手するのに苦労した人たちが続出してしまいましたなあ。テレビのデジタル化を強引に進めていたことに関しても反省する声が出ているようですから、技術革新で社会を変えるという大事業はよほど慎重に進めねばならないでしょうなあ。

■停電が起これば自宅のパソコンは使えなくなるのですから、太陽光発電から自家用電気を引き出す方法をパソコンで調べろ!というのはブラック・ジョークにもならない矛盾した話で、日本中で起こっているエネルギーや物流システムの大混乱を象徴しているような感じでありますなあ。

復興の邪魔をする者 其の四

2011-03-21 22:07:59 | 政治
■「其の参」の続きです。いよいよ気持の悪い温室育ちの電力エリート達が針の筵に座らされ世間の冷たい風に晒される時期になっているようであります。

「福島に安全を戻せるのか」。インタビューで質問に窮し、「申しわけございません」と涙を流しながら去る東京電力の小森常務=18日夜、福島市の県災害対策本部にて…… 

■という情けない写真が報道されております。


……小森明生常務は18日夜、福島県災害対策本部に訪れ、その場で報道陣に囲まれた。小森氏は福島県楢葉町に常駐するあいさつに来たのだが、その場で「準備なしの緊急会見」に。東電は企業統治(ガバナンス)の面でも、あまりにも未熟な体質が露呈。約50分間、厳しい質問が途切れず、県民に誠意ある回答ができず涙ぐむシーンもあった。小森常務は元福島第1発電所長。東電は福島県の浜通り地方では、地域経済や雇用の大きな受け皿で“名士”として持ち上げられてきた。それが一転、「福島に希望はあるか」「東電は今後も原発事業を継続するのか」…。想定問答集もなく、居並ぶカメラの前で「申しわけありません」「経営判断に及び、今即答できかねます」と答えるのが精いっぱい。涙ぐみながらの会見から、かつての所長の威厳はまったく感じられなかった。…… 

■常務さんは手ぶらか手土産を持って来たかは存じませんが、引越しの「御挨拶」のつもりで御自分の立場と身分をすっかり忘れて迂闊にも故郷を失う不安に耐えている人たちの殺気立っている嵐の真っ只中に足を踏み入れてしまったのでありました。一般の企業であれば仕入れコストに当たる発電に必要な原材料が値上がりしようと自動的にお客様の負担に上乗せ出来るし、生産財となる土地の購入費や各種工作資金が膨大になろうと、国から手厚い援助が得られる仕組みが法律によって保証されている国策会社の特殊性を、この常務さんがどれほど自覚していたかは定かではありませんが、経営上の厳しい決断も工夫も必要なく有力議員や幹部官僚と結託して仲良くやって高度成長期の夢幻でしかない成功体験を骨の髄まで浸み込ませた不思議に暢気な企業の中で出世して来た人に、現実に即した厳しい質問を投げつけてもマトモな答えは期待できないでしょうなあ。


事故を起こした福島第1の廃炉の可能性について、小森常務は「幹部と議論したことはないが、今後はそういうことも含めて検討していく」と明言。廃炉を検討せざるを得ないとの認識を示した。小森常務は「このような事態を招き痛恨の極みです。福島県民におわびします」と同社として県民に初めて謝罪した。 

■この「初めて謝罪した」という一節は重大な意味を持ちます。副社長さんや社長の会見を見た多くの人は、先の京都大学のエライ先生方が宮城県出身のカンニング学生に対して、教育者とも思えぬ安易さで、自らの監督体制の不備を棚に挙げて早々に重大な「事件」だと言い立てて警察沙汰にしてしまうことで、自らを被害者に仕立て上げてしまう田舎芝居を思い出したのではないでしょうか?旧帝大や国策会社には生臭くも生ぬるい気味の悪い半分腐った臭いが立ち込めているのかなあ、と長きに亘った自民党単独政権の時代の裏側を見せ付けられて実に嫌な気分にさせられます。危機管理の経験が今の民主党よりは抱負だと、これまた次の選挙用に宣伝している節のある自民党ですが、次々に日本を襲う人災・天災の根本的な原因を一身に引き受けるくらいの覚悟がなければ、二度目の政権交代は望めませんぞ!

■第二次就職氷河期と呼ばれる不況下ですから、きっと天下の?東京電力から内定を貰った新卒者の中には鯛の尾頭付きやら、赤飯を炊いて親族や御近所に配って歩くほどのお祝いをしてしまったご家族があったのではないか?と何度かの東電側の記者会見を見ながら、ぼんやりと考えたのであります。今となってはトンデモない会社に入ることになってしまった!と頭を抱えている親兄弟、親戚の皆様も多いのでなかろうか?などと想像してしまうほど、東電の対応は殿様商売丸出しの何の訓練も受けていない稚拙なものばかりであります。いざという時には政府が全部尻拭いしてくれることになっている仕組みが、今回の原発事故を歴史に残るほど大規模なものにしてしまった可能性を、たとえどんなポンコツ与党であろうとも政権交代が実現した後なのですから、じっくり考えてみるのも大切なのではないでしょうか?


一方、長年、原発の耐震安全性を強調しながら、事故について「地震、津波があったとはいえ…」と公然と言い訳した。東電の“安全神話”を信じ、国の原子力政策に協力し、地域振興に夢を描いた地元の思いを踏みにじるなど、無神経な答弁も目立った。福島県民はいま、放射能汚染への不安と怒りの中にあるが、事態収束の見通しについては、「厳しい状況が続いている。あらゆる手だてを講じて、安全確保に努めたい」と述べるにとどまった。放射能汚染を避けるために避難所を転々としている周辺住民に対し、「誠に申し訳ない」と謝罪したが、補償については「国と相談して考えていく」。同席した別の幹部が「避難所数がわからない」と述べるなど無神経な発言も多かった。東電では、地元対応のため小森常務らが、連休明けに避難所を回るという。 

■第一次産業しかない海岸沿いの地域が原発の立地候補地になり、裏から表から莫大な補助金や地域開発資金が投げ込まれ、最後は否応もなく建設を受け入れさせるという自民党時代に開発された手練手管が今回の原発危機を招いたに違いないのですが、幸か不幸か政権を失っている時期に当たって、「政権奪回」の旗を立てて与党の悪口さえ言っていればよい気楽で無責任な立場に甘んじていられると油断している限りは、政権奪回は実現しないでしょうなあ。東京電力をネオテニー(幼態成熟)のまま肥え太らせて化け物にしてしまったのは自民党政権の責任でありますぞ!それはJALを外側から食い荒らした罪業と同時進行で行なわれたのでしょうから、夢見がちの野党第一党との馴れ合い芝居でしかなかった「55年体制」を後生大事に半世紀以上も続けさせてしまった有権者の責任でもあるのですが……。


会見後、「へ理屈はいいから早く収束させてくれ」と肩を震わせながら立ち去る地元メディアの記者も。東電が計画から半世紀以上かけて、地元と築いた信頼関係を一気に吹き飛ばしたという極めて深刻な事実をあからさまにした。県民の反応も「社長謝罪の露払いか」(福島市の60代男性)と冷ややかで、東電にとっては、事故を収束できたとしても、その後長く続く苦難の地元対応の幕開けとなった。
2011年3月19日 産経ニュース 

■息子や孫が超一流企業の下請け仕事に従事できる機会を得られる幸運と、万が一の時には故郷の地面も空も無くなってしまう危険とを天秤に掛けさせられて、最終的には政府と東電の言うことを信頼して決断した地元の人々に対して、当時の苦渋の決断の責任を問うことは出来ません。たとえ相場の何倍もの値段で土地を買い上げて貰ったにしても、多くの若者がよい収入が得られる仕事が提供されたにしても、一歩間違えたら大事故になる危険な産業には違いない原子力発電所を「安全だ!安全だ!」の念仏・御題目が続く中で、本当の万が一に備えなかった責任は、やはり、旧自民党政権が最初に負わねばならないでしょう。民主党政権に辟易していても、あっさり自民党のリバイバルを許さない国民感情の根っこを今の谷垣総裁はどれほど理解しているのでしょうか?自分の政権を延命するためだけの大連立話を蹴っ飛ばすのよいとしても、本当に民主党政権が仕出かし続けた失政の穴を埋めつつ、旧自民党政権の負の政治的遺産を見事に清算するだけの覚悟と能力を持って、政権移譲を迫る根性がお有りか?

復興の邪魔をする者 其の参

2011-03-21 21:18:05 | 政治
■何とか原発事故は自衛隊・消防庁の決死の作業の御蔭で最悪中の最悪の事態には進まずに済みそうな希望が見えて来たようであります。事態が少しずつ落ち着いて来ますと世界の視線は菅アルイミ内閣がやった事とやらなかった事が整理されて一覧表となって突きつけられるでしょうし、それと同時に東京電力という親方日の丸体質丸出しの国策会社の実態も、大事故の主体として世界中のマスコミが取り上げるでしょうなあ。経営破綻した航空会社のJALにも似たところがあるような気がしますが、東京電力の場合はJALの労働組合問題よりも深刻な官僚主義的な体質に注目が集まるかも知れません。

■当初はスリーマイル島の原発事故に似ていると言われた東電福島第一原発の大事故でしたが、最悪の場合は旧ソ連時代のチェルノブイリ事故に匹敵する大惨事になる可能性さえ取り沙汰されるようになっているようですから、自民党時代に醸成された日本の電力会社に巣食った旧ソ連に酷似した恐るべき実態が詳しく調べ上げられて世界中に知れ渡ってしまうかも?勿論、他国の人以上に日本人の多くがその実態を知って驚愕するのでしょうが……。既に事故後に初めて顔を見た東電の社長や副社長の表情と口調をテレビで知ってしまった我々は、日本の電気エネルギー政策と電力会社との恐るべき癒着構造の実態を、何となく予感できているような気もしますなあ。


……マーキー米下院議員は18日、日本に技術者を派遣している原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長に対し、東日本大震災で事故が起きた福島第1原発の現状について、毎日情報を公開するよう求める書簡を送った。書簡は「避難を考えている人にとって、現状についての正確で先入観に基づかない分析は極めて重要だ」と強調した。
NRCは16日、福島第1原発から半径80キロ以内に住む米国民に対し、独自の判断に基づき予防的措置として避難するよう勧告している。
2011年3月19日 産経ニュース 

■自民党政権が続けた対米追従の外交政策を批判して登場したのが民主党政権だったのですが、日米同盟をスクラップにした後の戦略が無い!という「友愛政治」の本性を見せられてしまった後は一挙に米国重視以外に選択肢は無い!という方向に世論が動き、鳩山サセテイタダク前総理の後継者として日米関係の修復に努めねばならなくなった支持率が気になって仕方がない菅アルイミ首相としましては、米国からの御宣託が下れば唯々諾々と素直に従うしか方法は無いのでしょうなあ。週刊誌には海水注入の決断を実質的に下したのはオバマ大統領だったという情けない話も出ておりますが、東電と一緒になって情報操作や隠蔽を続けていれば、新エネルギー政策の中核に原発を位置づけているオバマ大統領としては、米国民が最も忌み嫌う情報隠蔽によって原発で大事故が発生してしまったらエライことでありましょう。まあ、事態が落ち着いて徐々に事故の実態や原因が明らかになれば、米国は日本の「特異性」を極限まで強調し始めるのでしょうなあ。

■大規模自然災害に耐え抜いて世界を驚嘆せしめた日本の国民に比して、政府と半国営企業が抱え込んでいる前近代的な闇のどす黒さは際立ってしまいそうです。


米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は19日、福島第1原発事故の状況に精通した複数の関係者の話として、東京電力が廃炉を懸念したため原子炉への海水注入が遅れたと報じた。……東京電力は地震発生の翌日となる12日朝、原子炉を冷やすために海水を注入することを検討した。しかし、実際に1号機に注入したのは、爆発があった後の同日夜だった。他の原子炉への注入を開始したのは13日以降だった。事故対応に当たった複数の関係者によると、東電が海水注入をためらったのは長年の投資が無駄になることを心配したためだという。海水を入れることで、原子炉が再び使える可能性はほぼなくなる。東電の広報担当者は同紙に「施設全体の安全を考えて、海水を注入する適切なタイミングを見計らっていた」とコメントした。
2011年3月20日 産経ニュース 

■「12日朝」、これが運命の時になったとしたら、やはり、菅アルイミ首相の思いつき「現地視察」パフォーマンスの罪は万死に値することになりましょう。東京電力側が「廃炉にしたら大損だなあ」などと馬鹿な逡巡をしている時に「俺は原子力に凄く詳しいんだ!」と自認する菅アルイミ首相が乗り込んだのですから、「即座に廃炉だ!海水を入れろ!」と一喝していれば、「さすがは原子力に凄く詳しい総理大臣だ」と賞賛されたでしょうが、迷惑千万な視察から東京に戻ってからの言動を見ると、「大丈夫ですか?」「大丈夫です」程度の儀礼的な会話をしただけだった事は明らかであります。海水注入を検討しつつ、1号炉内の圧力を下げようと排気を試みていた東電は、総理大臣の「御成り」に対応するために重要な作業をほぼすべて中断して接待した模様であります。本当に通常とは逆の意味で原子力発電に凄く詳しいようですなあ。

復興の邪魔をする者 其の弐

2011-03-21 10:27:19 | 政治
■「其の壱」の続きであります。

……2011年度予算案を審議する参院予算委は22日に一般質疑、23日に公聴会を行う。……公聴会は当初、15日に予定されていたが、震災の影響で延期されていた。民主党は予算案について早ければ28日の採決を目指す。参院は野党が多数を占めるため、予算案は否決されるが、憲法の規定により、衆院の議決が優先し成立する。予算関連法案のうち、地方交付税法改正案は与野党が修正で一致し、22日に衆院通過する運び。また、今月末で期限が切れる租税特別措置を3カ月延長する「つなぎ法案」についても、民主、自民両党は年度内成立を図ることで合意。自公両党が同日に提出し、24日の衆院本会議で可決する見通しだ。このほか、民主党は震災復興に取り組む政府の体制を強化するための内閣法改正案について、野党各党との協議に入り、年度内成立を目指す。
2011年3月20日 時事通信 

■予算審議の議場でも、国会議員のセンセイ方はあの真新しい作業服を着て愚にもつかない揚げ足取りを繰り広げるおつもりか?一体、誰があんな何の役にも立たない作業服を着る馬鹿馬鹿しい習慣を定着させてしまったのでしょう?よい例がサッカーで、指揮官たる監督は常に背広を着ていますぞ。確かに野球のように監督も選手と同じユニフォーム姿で試合に臨むスポーツもありますが、少なくとも政治家はノックバットを振ったりボールを投げる必要はありませんし、ましてやシャベルやツルハシを持って欲しいなどと願っている有権者は皆無であります。まあ、ロクな仕事もしない政治家には永田町をうろついているより被災地で瓦礫の一つも取り除いてくれた方がよい!と腹立たしく思える人も居ないではありませんが……。


東日本巨大地震の被災地では、法律やルールの不備、平時を想定した規定の硬直的な運用、さらには、国などが明確な指針を示さなかったり、システムがなかったりすることが、被災者支援や復旧に向けた活動にブレーキをかけることもある。
「うちの敷地に流されてきた、誰かの車や家財道具がある。処分していいか」
宮城県環境対策課には、こうした相談が相次いでいるという。担当者は「止めもしないし、お勧めもしない」と戸惑いを隠せない。見た目には「ゴミ」「廃棄物」であっても、当事者が「財産だ」と主張する可能性がある。一方的に行政の判断で処分を認めたり、代わって処分したりすれば、財産権侵害として訴訟に発展する可能性もなくはない。だが、「一つ一つ所有者を確認していたら、復旧作業に手が回らない」(担当者)のが現実だ。津波被害の大きい同県南三陸町の災害対策本部でもがれきとなった約3000世帯分の建材などの撤去に手を焼いている。…… 

■膨大な瓦礫ばかりでなく、多くの御遺体の扱い方にも困難があるやに聞きますが、政府は現地に責任を丸投げして知らん振りしているようです。非常事態を宣言して特別法を機関銃のように次々に打ち出してくれないと地方自治体の担当者は法律と現実の板挟みに苦しむばかりでしょう。救助から復興へと大方針を切り替える冷厳な決断は総理大臣にしか出来ないはずなのに、菅アルイミ首相は「全身全霊」でこども手当て法案を押し通そうと国会対策に取り組んでいるとは何たることでしょう?!


……200人以上の遺体が見つかり、多くの家屋が津波に流されるなどした同県東松島市の市立野蒜(のびる)小の校庭では16日以降、陸上自衛隊が人力や重機で、流れ着いたがれき、車を取り除く作業を進めている。ここで障害となるのが、持ち主と連絡が取れない乗用車だ。校庭には、浸水したり、窓が割れたりして動かなくなった約100台が取り残されている。校庭は公道ではないため、所有者の承諾なしに撤去できない。現場で指揮を執る陸自隊員(45)は「この混乱の中、どうやって所有者を捜し出せばいいのか……」と困惑している。校庭は、重機やトラックなどの拠点にする予定だ。「車さえ撤去できれば多くの重機を導入でき、早期復興につながる」と悔しがる。がれきの撤去については、処分予定を前もって公告し、一定期間内に所有者から何も反応がなければ処分できるようにするなどの方法が模索されている。「『財産権を侵害した』などと言われないような法制度を整備してもらいたい。前例のない事態だけに困る」と、県の担当者は国に苦言を呈する。
2011年3月21日(月) 読売新聞 

■さて、こうした現地の実情を知った上で菅アルイミ首相は立法府の仕事を放擲して「被災地視察」のパフォーマンスを強行したいのか?更に言えば誰も聴きたいとも思わない一方通行の記者会見も必要ありますまい。震災の前から菅アルイミ首相の言葉に誰も耳を傾けてくれなくなっていたのですから、記者クラブ所属の政治記者の皆さんは仕事に支障が出るでしょうが、元々、民主党政権になってからは政治面はずっと不人気で読み飛ばされていたはずですから、節電のためにも救援・復旧作業にエネルギーを傾注するためにも記者会見の数を大きく削減しては如何でしょう?マスコミが国民の声を代弁して一切の政治パフォーマンスの取材を拒否してくれれば、他にやることの無い菅アルイミ首相といえども感じるところがあるかも?

復興の邪魔をする者 其の壱

2011-03-21 10:26:13 | 政治
■東京から派遣され決死の放水作業を遂行したハイパーレスキュー隊員の皆さんに世界中から賞賛と驚嘆の声が寄せられているそうであります。「Fukushima50」という通称も作られ、チリの新聞は「福島の50人の侍samurai」と大見出しを打ったとか……。佐藤康雄総隊長(58)は「これから出動してくるよとメールしたところ、妻から『日本の救世主になってください』と1行の返事を受け取り、冨岡豊彦隊長(47)は、心配をかけた隊員の家族に対して「本当に申し訳ない。おわびとお礼を申し上げたい」と語っておりましたなあ。日本中が感動したに違いない見事な記者会見を拝見し、旅限無も目頭が熱くなりました。馬鹿丁寧で冗長なだけの「サセテイタダク」口調でない無駄のない引き締まった日本語が、凛々しい男達の口から流れ出すのは実に心地よく、頼もしく、忝(かたじけな)ささえ感じた次第であります。どうして政府の中から、この安心感と頼もしさが伝わって来ないのでしょうなあ?命懸けの任務を遂行したプロのあの表情と口調こそ、政府の各責任者が国の内外に伝えねばならないものなのに……。

菅直人首相が21日予定していた東日本大震災の被災地視察は中止となった。悪天候を理由としている。予定では、首相は宮城県石巻市の避難所を訪問。その後、事故が起きた東京電力福島第1原発から約20キロの距離にあり、東京消防庁が指揮本部を置く「Jヴィレッジ」(福島県楢葉町)に移動し、放水活動に従事する隊員を激励することになっていた。 
2011年3月21日(月) 時事通信 

■記者会見で一切の質問に答えずカメラと国民に背を向けてこそこそ逃げ去る姿を晒し続けていながら、菅アルイミ首相はどのようにして「激励」するおつもりか?!「被災地視察」と書けば何か立派なことをしているように錯覚しますが、今、首相が大急ぎで為すべき事は被災地ではなく官邸と国会議事堂の中に山のように有りますぞ!敢て申し上げれば「皆の迷惑を考えずにほっつき歩いている場合か!?」と言わねばなりますまいなあ。更に言うなら、どうしても被災地をほっつき歩きたいなら、さっさと任に堪えない首相の座を下りてしばらくは東京に帰らず得意の?「お遍路巡礼」をなさっては如何か?

■福島第一原発の1号機を吹き飛ばしたのは地震発生の翌日に「現地視察」を強行した菅アルイミ首相の責任だ!と各週刊誌は筆を揃えて指摘しております。本来なら格納容器内の圧力を下げるために蒸気を外に逃がす作業をしなければならない時に、お呼びでない菅アルイミ首相の支持率アップを目的とした幼稚で迷惑なパフォーマンスにつき合わされ、被曝の恐れがあると減圧作業を中断してせざるをえなかったとか……。菅アルイミ首相の愚かしい被災地視察を阻んだ「悪天候」は小さい天佑でありましょうなあ。きっと石巻市の避難所で不眠不休で危機と戦っている皆さんも、「Jヴィレッジ」の東京消防庁指揮本部で放射線と命懸けで戦っている皆さんも、雨を降らせてくれた天に感謝していることでしょう。


東日本大震災が発生して1週間余りがたち、休会状態にあった国会は本格的に動きだす。焦点は現行の子ども手当を6カ月延長する「つなぎ法案」の扱い。自民、公明両党は反対の構えを崩さず、成立は微妙な情勢だ。震災対応で与野党協調ムードも広がるが、菅直人首相が打診した大連立構想を谷垣禎一自民党総裁が拒否。国会運営での駆け引きに影響を与えそうだ。…… 

■一時は週に2回も3回も世論調査を行なっていたマスコミ各社が、震災の後はぱったり調査をしなくなりましたなあ。電話など通信網が混乱していましたし、それぞれの立場で苛立ちながらも危機に対応している人々に調査をお願いするのは気が引けたのでしょうが、国難を天佑神助と大きく勘違いしてミスを連発している菅アルイミ首相(内閣)に関する緊急世論調査をしては如何でありましょうや?本人は「全身全霊」「全力」でリーダーとして国難に立ち向かっているつもりになって気味の悪い高揚感に酔っている節がありますから、支持率が一桁になっている現実と誰も「こども手当て」など求めていない実情を寝ぼけ眼(まなこ)の菅アルイミ首相に認識させるには、最も恐れている世論調査しか他に方法は無いかも知れませんぞ。ついでに蓮舫・辻元コンビの起用や仙谷ノーコメント前官房長官の復帰についても是非とも調査して欲しいものでありますなあ。


子ども手当を拡充する法案は、自民、公明両党が反対しており、成立は絶望的な状況。このため、民主党は子ども手当の「つなぎ法案」を22日に議員立法として提出、24日の本会議で衆院通過させる日程を描く。共産、社民両党も賛成の方向だが、参院では過半数獲得のめどは立っていない。民主党幹部はつなぎ法案提出について「年度内成立には、ぎりぎりのタイミング。子育て政策を重視する公明党は何とか賛成してくれるだろう」と期待を寄せる。…… 

■一刻を争う命の救援活動が続いている現場にとって、各種の活動に支障を来たす古い法律の改正と、緊急事態に即応する新しい法律の制定が重要でしょうし、乳幼児の健康と命が危険に晒されている時に嘘八百のマニフェストに書いてある「こども手当て」が国会運営の軸になっているとは何事でしょう?本当に共産党と社民党は他の重要な仕事より「こども手当て法案」を優先して賛成しているのか?!反対している政党の方も緊急事態に対応した仕事の優先順位を明確に提示してはいないのも気掛かりであります。

花粉症と事業仕分け 其の壱

2011-03-08 22:33:32 | 政治
■花粉症に悩んでいた旧友が北海道に赴任して久し振りに弊宅を訪ねてくれまして、特に名医に診て貰ったでもなく、特効薬を見付けたわけでもなく、花粉症の悩みからすっかり解放されて日々仕事に邁進しているとのこと、既に春の風物詩、腹は立つけれど伝統的な俳句の季語にさえなろうとしている「花粉症」と、政権交代して以来、同じ時期に性懲りも無く?税金を使って開催される「事業仕分け」が重なりまして、次の選挙には立候補しないと噂される御高齢の石原東京都知事が、自分が初めて花粉症を発症して花粉の供給源の多摩地区で可愛そうな杉林をばっさり伐採(駄洒落ではなく)する予算を組んだのは数年前。

■春は霞(かすみ)と言われて無数の歌に読まれて来た日本の風土が、何処かの誰かさんの大失政で四季の移ろいを映しながら有機農業に欠かせない腐葉土や、日々の煮炊きに無くてはならない薪や焚き付けを供給してくれていた里山を含めて、近々、計画中の経済成長が成功した暁にはエネルギーや食糧ばかりでなく、木材も安価に買い漁れる時代が来ると分かってからも、杉を筆頭に建設材となる針葉樹を日本中に植えろ!と囃し立てていた時代が確かにあったのに、その後始末は放置され誰もどす黒く、所々は立ち枯れて赤茶けた不気味な山並みを元に戻す決断もせずに問題を先送りした結果が、新しい国民病の誕生だったと言われております。役人嫌いの石原都知事でさえ、古巣の自民党政権が積み重ねた失政の一つを取り立てて批判もできないほど、日本の山々を殺した罪は深いのかも知れませんなあ。

■変なルートから若干の?政治献金を受けていたとて、一国の外務大臣が週末を挟んであっさり辞職してしまうという大事件が起こりましたが、泥船からいち早く飛び降りて「辞め得」と身内からも羨ましがられている由。そんなドタバタ劇を挟んで、花粉症ならぬ事業仕分けのイベントが開催されたのであります。


蓮舫行政刷新担当相は8日午前の記者会見で、事業仕分けの手法を活用して不必要な規制や制度を見直す「規制仕分け」を3月6、7両日に東京・五反田のTOCビルで行うと発表した。蓮舫氏は「休日を活用して一般の人に数多く来てもらいたい」と述べた。民主党は地方選挙で苦戦が続いており、4月の統一地方選に向け、行政改革への取り組みをアピールする狙いがある。政府は今後、仕分けの対象となる規制や制度の絞り込み作業を進める。インターネットで販売できる一般医薬品の拡大などの規制緩和が焦点。
2011年2月8日 産経ニュース 

■最初の必殺!仕分け人イベントは、政権交代に大活躍して「政治主導」の金看板を振りかざして野党時代の毒気をそのままに高級官僚をテレビ画面に引きずり出して、国会質問や選挙演説と同じ調子で責め立ててみたら、予想以上に評判は上々で面白いように支持率も上昇!という結果に気を良くして、柳の下の泥鰌を信じて開催した2回目は小泉改革時代に雨後の竹の子みたいに現われた「独立行政法人は基本的に全廃」との大きな看板を掲げてみたものの、何の法的な裏づけも無い単なる見世物だと分かった後だというのに、完全に廃止となった独法は皆無という穴があったら入りたい!という結果になったのではなかったか?と思っていたら、これまでの「仕分け」の後始末など一顧だにせず、今度は小泉政権がし残した?「規制緩和」に全力を集中するとか……。それなら政権交代の意味は無かったかも?


……規制仕分け初日の6日、会場となった東京・西五反田のYOCビル(東京卸売りセンター)は一般傍聴席の空席が目立ち、閑散としていた。日曜日にもかかわらず一般来場者数は約430
人。昨年10月実施の事業仕分け第3弾初日の960人に比べ半分以下だった。首相はこの日午前11時に、枝野幸男官房長官も午後2時半に会場に現れた。だが、2人の登場で会場が活気づくことはなかった。…… 

■ただ総理大臣になりたかった何も知らない、何も出来ない市民運動出身の野党政治家でしかなかった底意が国民に見透かされてしまった菅アルイミ首相が、一体、何の目的で必殺!仕分け人の田舎芝居に顔を出したのでしょう?御本人は「マニフェスト堅守」やら、あわよくば「支持率アップ」などとトンデモない妄想を抱いての御登場だっかのかも知れませんが、年初にテレビ朝日の報道ステーションに顔を出して平均視聴率を見事に半減させた実績を何とも思っていないかのような行動に対して、多くの国民は「ああ、暇なんだなあ」としか思わなかったのではないでしょうかな?!

■菅アルイミ首相と先に参議院選挙をし切って見事に国会をネジレさせた張本人なのに、ちょっと潜っていただけで日本国の官房長官に成り上がってしまった枝野ウカツニモ長官が「お成り」になっても、見学者の中から歓声は上がらないのは誰にでも分かっていたでしょうに!?


「国民から見れば、納得できる議論の仕方で決まることが大変重要だ」首相は視察後、記者団にこう議論公開の重要性を強調した。だが、仕分け人経験者の民主党国会議員は「『仕分け』への評価は改革の中身で決まる」と指摘する。議論を公開するという政治パフォーマンスだけでは、真の評価は得られないという意味だ。…… 

■総理大臣に就任した日から、「納得できる議論」を一度も聞かされていない国民としましては、YOCビル(東京卸売りセンター)という仕分けの現場は、国会議事堂から追い出され、立会い演説会では誰も話を聞いてくれない与党議員のシェルター、或いは鬱憤晴らしの安酒場としか見えないのではないでしょうか?


……この日のリチウムイオン電池の取り扱い規制に関する議論では、総務省の逢坂誠二政務官が「議論がかみ合っていない」と仕分け人を批判する場面もあった。当初、電池の安全性に関する議論を展開していた仕分け人側が、途中から制度を所管する消防庁側の統計分析や海外事例の調査が不十分なことを追及し始めたためだ。
「何で組織論になっているんだ?」仕分けの混乱に、インターネットで議論を流していた動画サイトには、こんな書き込みもなされた。…… 

■大向こうを唸らせるような見栄を切って、政権交代の実感を増幅させるために自己陶酔感を加味する目的でマスコミの前で何の法的な裏づけもない必殺!仕分け人を演じたいだけの陳腐なお祭り騒ぎですから、議論が迷走するのは当然のことでありましょうなあ。


そもそも事業仕分けは、鳩山由紀夫前政権時の平成21年11月、「予算」を対象に始まった。それまで見えにくかった予算編成の議論を公開したことで国民の関心を集め、当時は仕分け人として登場した蓮舫行政刷新担当相の舌鋒鋭い追及も話題を集めた。だが、回数を重ねるごとに目的があいまいになってきた感は否めない。……
2011年3月7日 産経ニュース 

■「舌鋒鋭い追及」は、逆立ちしても政権交代など起こらない絶望的・喜劇的政治状況の時には、はかなく健気で美しく散る蟷螂の斧として賞賛してくれる温かい目もあったでしょうが、国政を預かる政権政党としては「舌鋒鋭く追及」して個人的に爽快な気分を味わって貰っても、政策自体に何の影響も無いのなら馬鹿馬鹿しくて誰も関心など持たなくなるでしょう。必殺!仕分け人のパフォーマンスですっかりいい気分になったからこそ、国会議事堂内で写真のモデル業のアルバイトも出来たのかいなあ?と今更ながら牽強付会気味に考えてしまいますなあ。

素人政権の災害対応 

2011-02-27 12:55:02 | 政治
■ニュージーランドのクライストチャーチを襲った震災で崩落した学校の残骸を目にして言葉も出ませんが、世界最高レベルのハイパーレスキュー隊の皆さんが続ける努力が奇跡を呼ぶことを祈るばかりであります。看護師養成コースが評判だったとはいえ、行方不明者に女性が多い事に驚くと共に日本の女性はグローバル化時代に即応して行動的なのだと改めて知った次第です。昼食時の大地震は関東大震災と同じですが、ニュージーランドでは大きな火災が発生しなかった換りに食事を摂る場所に多くの人が集まっていたのが大きな悲劇を生んだ原因なのでしょう。

■日本政府の対応は早かったと一部では評価されているようですが、党首討論で自民党の谷垣総裁が指摘した通り、小沢斬りのセレモニーに時間を取られていなければ、更に半日早く救助隊は現地に到着していた可能性はありましょうし、2月24日の記者会見で枝野ウカツニモ官房長官が「地震への対等に政府一体となって取り組んでいる……」と大見得を切りながらも松木農水政務官の「(辞任)報道は残念だ」と弱音を吐かねばならない民主党政権の内部分裂はますます深刻なようであります。

■「政府一体」などと実態を無視した言葉の遊びを続けているから支持率が奈落の底に向かって落ちて行くことに気付かない鈍感さだけは「政府一体」と言えそうなのですが……。


政府は23日、ニュージーランド地震を受けた国際緊急援助隊派遣など、日本政府の迅速な対応をアピールしたが、政府内で足並みの乱れもあった。「これまでのところ、極めて迅速に行動できた」菅首相は国会内で開いた関係閣僚会議で、政府の対応を自賛した。党首討論でも「迅速な対応が出来た」と繰り返した。その後、記者団に、「国際緊急援助隊の派遣要請がある前に先遣隊を送った」ことを強調。首相と枝野官房長官はそれぞれ、外務省の担当部局を激励するために同省を訪問し、枝野氏はドリンク剤を差し入れるなど、担当職員への気遣いも見せた。…… 

■素直に「迅速な対応」を賞賛したい気持ちにもなりますが、予算関連法案もTPP加盟問題も税制論議も普天間基地移設問題も、何もかもが「迅速な対応」を取れずに混迷が深まるばかりの菅アルイミ内閣が、多くの邦人も巻き込まれた異国の大地震という不幸に乗じて情けない点数稼ぎをしようともがいているようにしか見えないのは悲しい話であります。


……前原外相が22日夜、緊急援助隊を被災地に輸送するための政府専用機に被災者の家族を同乗させる考えを表明しながら、政府専用機を管理・運用する防衛省との具体的な調整も行われないまま、見送られたことだ。「一刻も早く政府専用機に旅立ってもらい、現地で対応する方が優先度が高い」(枝野官房長官)との考えからだが、防衛省では「外務省から協議の要請もなかった」として、根回しもないままのアナウンスに不満もくすぶっている。
2011年2月23日 読売新聞 

■残念ながら、民主党政権が「政府一体」「迅速な対応」と自画自賛する仕事の実態を象徴的に表わしているようなお粗末な話でありますなあ。花火を打ち上げては逃げ去る前原外相、そして、独裁専断の権化だった仙谷ノーコメント官房長官の精神を見事に受け継いた枝野ウカツニモ官房長官の独断が縦割り行政の壁をまたまた際立たせてくれる、総理大臣の首を何回挿げ替えても民主党はいつまでも民主党なのでしょうか?毎日新聞の記事には、発言内容など詳しく載っています。


……前原誠司外相は22日夜、「うまくタイミングが合えばという前提だが、現地に行きたい(被災者の)保護者も乗ってもらうよう段取りを今している」と述べ、政府専用機に国際緊急援助隊だけでなく、被災した富山市立富山外国語専門学校などの学生の保護者で現地入りを希望する人の搭乗も受ける意向をいったんは表明した。ところが、政府専用機を管理、運用する防衛省は「家族を乗せることについて、外務省から正式な依頼は来ていない」と説明、搭乗は見送られた。今回の派遣の根拠となる国際緊急援助隊法は被災者の保護者を想定していないという。北沢俊美防衛相も「聞いていない」と完全否定した。
2011年2月23日 毎日新聞 

■但し書きの「前提」を貼り付けておけば責任を追及される事は無いと予防線を張っていたようにも見えますが、防衛省との交渉をまったく指示していなかったとすれば、エエカッコシイと陰口を叩かれる前原流の言いっ放し・やりっ放しの悪い癖が甚大な被害が出ている局面でも出てしまったのかも知れません。更に根拠となる法律の内容にも疎くその運用にも不手際が目立つというのも、選挙前の「政治主導」が政権奪取後に「官僚依存」へと大転換した素人政治家集団から抜け出せない現状を物語っておりますなあ。

そして誰もいなくなる? 其の壱拾参

2011-02-03 15:08:03 | 政治
■巷間、「週刊誌の記事」と言うと事を荒立てる針小棒大な記事が多いとか、火の無いところから煙を上げて世情を混乱させるとか、半ばは嘘が書かれているものと思われていたもののようであります。しかし、30年前は『週刊ポスト』、最近では『週刊現代』が追求した大相撲の八百長「疑惑」が、野球賭博事件の捜査過程で浮上した携帯メールが動かぬ証拠となって、世間に「ああ、やっぱり」との溜息と囁きを広げているようですなあ。

■閉鎖的な記者クラブの弊害と内閣機密費による世論操作の疑惑をしぶとく追求しているのは週刊誌で、無視しているのは新聞とテレビという奇妙な構図が出来上がり、面白いのはラジオ界はちょっとした野放し状態で硬派な番組では追求・糾弾の姿勢を見せているようです。その理由が分かりませんでしたが、NHKと日本民間放送連盟が「はじめまして、ラジオです。」という名の共同キャンペーンを5月15日に開催するとの報道がありましたぞ。「若者を中心とするラジオ離れ」が深刻で「端末普及を含む送受信環境の整備」が必要なほどだそうです。つまり、最も影響力の小さなメディアになり下がっていたのですなあ。

■さて、長い枕になりましたが……最新の『週刊新潮』2月10日号によりますと、1月31日に民主党役員会で「党改革検討本部」という組織が設置された由。その下には3つの委員会が作られ、その目玉が「党規約検討委員会」なのだそうです。菅アルイミ首相は、この委員会で民主党代表の任期を2年から「衆院選毎」に改正しようと執念を燃やしているという話です。ああ、成る程、何を言われようとも「解散総選挙は無い!」とこれだけはブレずに明言している理由はこれか?!と合点がいった次第。


与謝野馨経済財政担当相は2日午後の衆院予算委員会で、1日の同委で民主党のマニフェストを「無知」と指摘したことについて、「やや礼を欠く表現になり、大変申し訳ないと思っている」と陳謝した。……「マニフェストを作成した当時、民主党は野党だったため、政策を作る場合の情報量はどうしても少なかった。そのことを申し上げたかった」と説明。「その当時、私は財務相だったが、財源問題は民主党が政策を行っていくうえで、最大の関門になるとすぐわかった。これからさらに厳しい壁があるだろう、と申し上げたかった」と述べた。
2011年2月2日 産経ニュース 

■三権の長から法務大臣に任命された江田法相は、民主党の「マニフェスト」に関して与謝野大臣と同様の理由を並べて「心眼」で作ったから欠陥商品だと平然と言い放っていましたから、「情報量不足」の状態で空証文を書く時に「心眼」を使うことを「無知」と言うのだと、妙に納得したのですが……。こんな言い訳が通用するのなら、二度と再び「政権交代」など起こしてはならないということになりますなあ。


菅直人首相は3日午前の衆院予算委員会で、昨年10月にブリュッセルで行われた中国の温家宝首相との「廊下懇談」の際、沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件に一切言及しなかったと報じた2日付産経新聞の記事に関し、「懇談では尖閣諸島はわが国固有の領土であり、領土問題は存在しないと申し上げた」と強調した。自民党の斎藤健氏の質問に答えた。…… 

■拙ブログでも『そして誰もいなくなる? 其の壱拾壱』で取り上げたスクープ記事ですから、御本人が飽くまでも外務省HPの記載を読み上げたようは答弁をしているのですから、無視は出来ませんぞ。


菅首相は懇談で尖閣問題について「温首相は日本の立場をご存じでしょうから、今日は言いません」と語ったことが明らかになっている。菅首相は斎藤氏の「『今日は言いません』という記事はウソか」との質問には「今申し上げたことに尽きる」と繰り返し、記事への反論は避けた。……
2011年2月3日 産経ニュース 

■「ウソだ!」と即答できない菅アルイミ首相の答弁は実に苦しい。どうやら「申し上げた」という表現に秘密があるのかも?「心眼」で選挙公約を作ってしまう政党の代表ですから、外交交渉の場で玉虫色の腰抜け発言をしても、「以心伝心」の秘術?を使って伝えたのだ!ぐらいの事は言い出し兼ねませんなあ。選挙用「マニフェスト」はウソだらけ、所信表明演説は抽象論と希望ばかりが並び、国会答弁になったら質問には答えず逃げ回ってばかり、これは「八百長」にも劣る三文芝居と申せましょう。三文芝居の菅アルイミ一座が大相撲の「八百長」を厳しく処断できるのでしょうか?


枝野幸男官房長官は3日午前の記者会見で、大相撲の八百長メール問題に関し、日本相撲協会が新たに公益法人の認可を受けられるかどうかについて「八百長が蔓延しているような法人であれば、公益認定は難しいと言わざるを得ない」と述べた。……「広く国技として受け止められている大相撲に対し、国民の期待と信頼を裏切るもので、大変遺憾だ。まずは徹底して事実を明らかにして、ウミはすべて表に出していただく」と述べ、厳しい処置が必要との認識を示した。…… 

■枝野ウカツニモ官房長官の発言に少し手を入れますと、「ウソが蔓延しているような政権政党であれば、国政を任せるのは難しいと言わざるを得ない。広く生活が第一の政党として受け止められている民主党に対し、国民の期待と信頼を裏切るもので、大変遺憾だ。まずは徹底してマニフェストのウソを明らかにして、ウミはすべて表に出して」欲しいものですなあ。枝野ウカツニモ長官の鼻息が荒い発言を外務大臣席に座って聞いていた前原外相は「偽メールじゃないだろうなあ?」とちょっと心配しているかも知れませんぞ。


……政府の公益法人制度改革に伴い、日本相撲協会などの公益法人は平成25年11月末までに審査を受けなければならない。政府が認可しなければ、税制優遇措置などが受けられなくなる。
2011年2月3日 産経ニュース 

■収益に対する税金ばかりでなく、財産や土地に対する税金なども免除されている巨大な公益法人から優遇措置を奪ったら、さぞや税収が増えるでしょうなあ。こういう美味しい話になれば、「必殺!仕分け人」の出番になります。


公益法人改革を担当する蓮舫行政刷新担当相は3日、大相撲の八百長メール問題に関し、日本相撲協会の公益法人認可について「今その条件を満たしているとは思えない。現段階では厳しいと思っている」と述べた。国会内で記者団に答えた。……「問われているのはこれまでの暴行事件や野球賭博疑惑など日本相撲協会のガバナンスそのものだ。内部の浄化がまずできているのか」と協会の体制を痛烈に批判した。日本相撲協会は新公益法人制度のもとでの公益法人化を目指している。
2011年2月3日 産経ニュース 

■理事会後の記者会見で放駒理事長(62)=元大関魁傑=は「過去には一切ない」と強調していたのが印象的で、一体、何を根拠にこんな事を断言口調で言ってしまえるのだろう?と非常に怪訝な思いがしたのでした。日本相撲協会外部委員も務めたことのある漫画家のやくみつる氏は「根拠はない」と一刀両断にしているのも当然でしょう。前言撤回と腰砕けが習い性の民主党政権ですし、看板倒れに終わった事業仕分けの実態を知っていれば、蓮舫大臣の発言など蚊に刺されたほどにも感じない日本相撲協会のお歴々なのかも知れませんが、またしてもNHKに見捨てられ、切符が山のように売れ残り、今度ばかりは櫛の歯を引くようにタニマチが次々と去って行く様な事態になれば、公益法人の旨味にしがみつくことばかり考えてはいられなくなるかも知れませんなあ。