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旅限無(りょげむ)

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菅アルイミ首相はミダス王? 其の壱

2011-07-16 17:52:59 | 政治
■ギリシア神話に出て来る「ミダス王」は、手に触れるすべての物体を黄金に変えられる超能力を持っていたそうであります。何んでも昔、昔、ディオニューソスの教師兼養父のシーレーノスが酔っ払って行方不明になってしまった時、ミダス王が身柄を保護して10日間も手厚くもてなして帰宅させてくれたことに感謝したディオニューソスは、ミダス王に「どんな願いも叶えてあげるよ」と言ったそうで、王は酔っ払っていたのか?うっかり「自分が触れるものすべてが黄金に変わればよいなあ」と言ってしまい、石ころや棒切れが黄金に変わるのを喜んだものの、飲食物までこちこちの黄金になってしまって餓死寸前になってしまい……。という物語なのですが、ミダス王は何でも手に触れる物を黄金に変えてしまいましたが、我が国の菅アルイミ首相は自分の舌に乗せたすべての事柄をウソか悪い冗談に変えてしまう能力を持っているのは実に困ったことでありますなあ。

■不倶戴天の政敵だったクラッシャー小沢を抱きこんで政権交代が実現すると「政治とカネの問題」を言い立てて「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い!」とばかりに小沢一派を干し上げておいて、自分の身にも違法な政治献金の問題やら怪しげな団体に寄付を続けていた事等が発覚すると、ぴたりと「政治とカネの問題」を語らなくなりました。念願の総理大臣になっての初陣となった参議院選挙に際しては「消費税10%!」と唐突に言い出して惨敗し、衆参ネジレ現象を生み出してしまっても知らん振り。自分の口には「消費税」を封印して、旧自民・旧立ち上がれ日本から増税論者の与謝野氏を一本釣りして腹話術の人形みたいに喋らせておりますなあ。

■「平成の開国!」と笛や太鼓で囃し立てたTPP問題も党の内外から反対意見が飛び出して来たら、やっぱり玩具に飽きた幼児のように先送りしてうやむやにしてしまいました。一時はベトナムに原発を売り付けたと人の手柄を横取りして胸を張っていたのに、いよいよ総理大臣の座を石もて追われる身になると、唐突に「脱・原発依存」と言い出したのでした。どれもこれも国家100年の計を定める重要な案件なのですが、菅アルイミ首相が言及した瞬間に陳腐な「思い付き」に変わってしまう。それが1年以上も続いているというのは本当に異常で悲しいことであります。

■不信任案に身内からも賛成者が出そうな気配に驚いて「一定のメドがついたら、若い世代にバトンタッチする」と、誰が聞いても辞意表明としか解釈できない奇妙な言い回しで憲政史上最も愚かと評価が定まった鳩山サセテイタダク前首相を4度目のペテンに掛けて窮地を脱すると、国会審議の場で自民党の石破サンパクガン政調会長の質問に対して「辞めると言ったことはない」としれっと答弁して鳩山サセテイタダク前首相の面子を御丁寧に再び踏み付けにして見せたのでした。既に国民の多くが忘れかけている選挙用『マニフェスト』も菅アルイミ政権の1年間ですっかりウソの塊と化して、ウソの純度をどんどん上げているようにも見えます。官邸で役人を怒鳴り付ける時の定番が「俺は聞いてない!」なのだそうですが、公の場ではもっぱら「俺は言っていない!」が決まり文句になっているようです。どうやら難解な菅アルイミ首相の発言には通訳や解釈人が必要のようなのですが……。

■枝野幸男官房長官は14日の記者会見で、前日に菅直人首相が開いた「都合のよい時だけの記者会見」について、「首相は脱原発依存とは言っていない!」と弁護士らしい珍説を強弁したようです。どんな凶悪犯でも「殺意は無かった!」と言い張る困った弁護士がいることを思い出す話であります。枝野(弁護士)官房長官の解釈・通訳によりますと「原発に依存しない社会を目指す」という菅アルイミ首相の言葉は「遠い将来の希望」を語っただけなのだそうです。これは民主党両院総会で原稿無しで熱弁を振るった「遠い将来の辞任」にも通じる解釈でありましょうか?何だか昨夜見た夢を記者会見を開いて開陳したようなもので、福島第一原発の大事故の後、誰が考えても日本の原発行政は根本的に変更せざるを得ないのですから、「変える!」と最初に言ったのは俺だぜ!と御本人が計画しているという10年後に上梓される『回想録』に、一つくらいは格好のよいネタが無いと困るから何の政策的裏付けもない「個人的な思い」を公共の電波と新聞を私用に使ってみただけだったのかも知れません。

■弁護士の耳を持たない高木義明文部科学相などは15日の閣議後の会見で、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について「廃止とか単純に継続とかではなく、そういうものを含めた全体的なエネルギー政策の中でどうするかという結論が、おのずとでてくるのではないかと思う。……(今回の福島原発での)重大な事故。これを踏まえて改めて議論することは当然だと思う」とうっかり述べてしまい。報道機関が一斉に「開発中止を検討!」と大々的に報じたのに驚いた官僚達が騒ぎ出し、役所内で吊るし上げられたのか?高木文科相は同日の夕方、「中止なんて一言も言っていない!」と懸命に言い訳していたのだそうです。内閣総理大臣を見習って意味不明の発言をしておいて、都合の悪い解釈をされたと言い立てて「俺は言ってないぞ!」と慌てて前言を撤回する。ミダス王ならぬ菅アルイミ首相の超能力が内閣中に伝染しているのかも知れませんぞ。


政府は15日、東日本大震災の復興財源を検討する関係閣僚会合の議論をスタートさせた。10兆円超の復興費用を賄うために発行する復興債の償還財源が焦点。税収の大きい所得税や法人税、消費税など基幹税の臨時増税が軸となる見通しだが、政府・民主党内には増税議論先行への反発もあり、難航は必至だ。同日の会合では、2011年度の第3次補正予算案の指針となる復興基本方針の月内決定に向け議論した。臨時増税には「補正を人質に取って増税しなければという発想はやめるべきだ」(片山善博総務相)との異論が閣内にもある。党側も消費税率10%への引き上げを決めた「社会保障と税の一体改革」に猛反発が広がった直後だけに、「税の話はもうこりごりだ」(政調幹部)と及び腰。本格的な税の議論は「8月以降になる」(平野達男復興担当相)との指摘もあり、基本方針にどこまで書き込めるかは不透明だ。 
2011年7月15日(金) 時事通信 

■二次補正予算・赤字公債・再生エネルギーの三点セットが成立したら、それを「一定のメド」として辞めるかも?と菅アルイミ首相は言っているのだと、民主党内やマスコミ各社は解釈しているようですが、これも土壇場で「俺は言っていない!」と菅アルイミ首相が切り札?を出せばうやむやの空手形になってしまう可能性がありそうです。本来なら次の首相が責任を持って編成すべき「第3次補正予算案」を内閣の体を成していない今の菅アルイミ政権が作ってしまってよいのでしょうかな?!それこそ次期首相も「俺は聞いてないぞ!」などと言い出したら、第3次補正は来年度予算と重なってしまいますぞ。政権交代の当初から常に財源問題が民主党政権のアキレツ腱でありましたが、言及する事柄をすべてウソにしてしまう菅アルイミ首相の超能力が発揮されて「社会保障と税の一体改革」も壮大なウソの作文になってしまいそうです。あの参議院選挙で「消費税は10%にする!」と啖呵を切った見せたら予想外の怨嗟の声が返って来て、「10%とは言っていない」「免税措置も考える」「すぐに上げるとは言っていない」などと主張が後退して何が何だかさっぱり分からない選挙公約になってしまった大失敗を、誰も責任を取らないように反省もせず再検討もしないで無為に過ごしてしまった1年は、実に空疎で長い長い時間でありました。「何も知らない、何も出来ない」人物を代表・首相に選んだのは誰なのでしょう?

アルイミ首相の「一定のメド」 其の伍

2011-06-09 06:23:01 | 政治
■殊勝な顔をして「死んだふり」延命を画策したものの、見事に目論見が外れてしまった菅アルイミ首相は何も出来なかった無為無策の日々を重ねて、とうとう1年もの長きに亘る鳩山サセテイタダク前首相よりも長い任期を記録できることになった由。これを喜んでいる人は民主党内でも少ないのではないでしょうか?「物言えば唇寒し」と申しますが、事ここに至れば何を言っても恥の上塗りにしかなりませんなあ。

菅首相は3日午後、参院予算委員会集中審議で、2日午後の民主党代議士会での発言について、自民党の山本一太・参院政審会長の「(マスコミ)各社が早期退陣と書いた。退陣表明でいいのですね」との質問に対し、「まさに(昨日の代議士会で)言った通り」と述べ、「メディアがどう表現するかまで、私がどうこうすることではない」と答えた。……山本氏は「内閣不信任決議案を否決するために、首相が使ったやり方は政治的な詐欺じゃないか。ひきょうで、姑息なペテンだ」と批判。菅首相は「そうした表現をされるのは適切ではない。(原発事故の対応など)一定のメドがつくまで責任を果たしたい」と反論した。
2011年6月3日(金) 読売新聞 

■「責任を果たし」に福島第一原発の現場に乗り込んでベント作業の邪魔をして水素爆発を早めてしまった疑惑がどんどん濃くなっているのに、まだ「責任を果たす」と言い張って首相の座にしがみ付くのは醜態と申せましょうなあ。3月11日午後7時3分に「原子力緊急事態宣言」を発令した時から菅アルイミ首相は夢にまでみた「独裁者」になっているのに、その絶大な権力の使い方をまったく知らなかったばかりにスタッフみたいな行動に終始してしまったのでした。従って日本国には原発事故の非常事態に立ち向かう最高司令官が今でも不在という悲劇が続いているわけであります。各省庁の権限で事故対応や震災復興の障害となる古い平時の規制をぱっぱと取り外すように指示を出し、さっさと野党と手打ちをして必要な特別法をちゃっちゃと成立させねばならなかったのに、「子ども手当て」がどうしたこうしたと内輪の痴話喧嘩に明け暮れてしまったのは残念至極。

■「社会全体で子どもを育てよう」というのは立派な理念でしょうが、皮算用した財源が見付からないのですから諦めるしかないでしょうに?!「国民の生活が第一」と連動する「子ども手当て」に固執するほど日本の子ども達が大切なら、詳細な放射能汚染の状況を発表して母子の安全を最優先にした避難誘導が発令されていなければなりませんでした。実質的に被災地の子供達は菅アルイミ政権に見棄てられておりますぞ!放射線に怯えながら「子ども手当て」を貰って誰が喜ぶのでしょうなあ?

■今朝6月8日のテレビに田上等という人物が出演していたようです。産経ニュースの報道によりますと、この方は昭和25年生まれで慶応大卒、父は民社党の田上松衛参院議員で在学中から市川房枝元参院議員の選挙にかかわり、菅直人首相と知り合い、社会市民連合の創設メンバーの1人で、昭和54年から衆院選などに計5回立候補するもすべて落選。平成3年から15年間、国民健康保険組合で働いたが18年に退職。借金も重ねた結果、約3年前から路上生活を送り、古本集めなどで生計を立てている。離婚した元妻との仲人は菅首相だったとの事です。テレビでは4000万円の借金が払えず自己破産したと報じておりましたなあ。

■横浜でホームレス生活を続けている田上氏が寄稿した文章がネット・ニュース上で注目を集めているのは、「三つ子の魂百まで」と言いますから菅アルイミ首相の政治家としての出自を知る上で貴重な証言となっているからなのでしょう。これも一種の「内部告発」かも知れません。東京電力も原子力安全保安院も現場で作業している人たちからの内部告発を握り潰して来たことも大事故の原因の一つですから、政治的大災害を最小限度に食い止めるためにも耳を傾けておく価値はありそうですぞ。


菅さん、内閣不信任決議案の否決ではあざとい手法で首がつながりましたが、本当にそれでいいんですか。「してやったり」と思ったのでしょうが、鳩山由紀夫前首相との辞任合意をほごにし、すぐに「辞めることを約束したわけではない」と言うなんて…。
 ペテン師と呼ばれて当然です。すぐにばれる嘘なんてしゃれになりませんよ。粘って時間稼ぎをしていればそのうち世論も付いてくると甘く考えていたふしがあるけれど、そんな延命策には誰もついてきやしません。いよいよ菅さんによって、日本の民主主義が壊されていくと感じました。…… 

■「民主主義が壊される」というのは只ならぬ危機感が込められた警告であります。この問題を考える時に忘れてならないのは、昨年6月11日の所信表明演説の冒頭で菅アルイミ首相が唐突に口にした「国会内閣制」という言葉です。菅アルイミ首相が個人的に師と仰ぐ政治学者の松下圭一という人の造語なのだそうですが、衆院総選挙で多数派となったら4年間の任期中は国民から白紙委任された権力を好き放題に振り回してもよいという独創的で実に乱暴な理屈なのだそうです。菅アルイミ首相自身も「議会制民主主義というのは、期限を区切った、あるレベルの独裁を認めることだと思っている。(中略)4年間なら4年間は一応まかせる」という意味だと御丁寧に解説してくれてもおりますから、菅アルイミ首相は本気で「俺は4年間は天下人だ!」と信じ込んでいる可能性があります。

■官僚が新しい情報や提言を告げると「俺は聞いてねえぞお!」と激高して咆哮するという噂も、自分がスターリンや毛沢東並の絶対権力者として日本を支配していると思い込んでいるからかも知れません。日本の民主主義は議会制民主主義で、内閣も議院内閣制の中で限定的な権力しか持っていないことをご存知ない首相が1年間も日本を迷走させているとしたら大変なことであります。困った隣人の北朝鮮は正式名称の中に「民主主義」が組み込まれておりましたなあ。


東京電力福島第1原発事故で何でも東電のせいにしたり、東電本店に怒鳴り込んだりしたのは、あなた独特の「合理性」からですね。みんな自己責任だと思っている。20年ほど前に私が自己破産したときも「自分の家を取られた不始末はお前の責任だ」と血も涙もなく突き放されました。それでも弁護士費用を立て替えてはくれましたが…。あなたと出会ったのは、市川房枝元参院議員の選挙を手伝ったとき。あなたが選対本部事務局長で私が会計責任者。4つ年上で頼もしく見えましたが、当時から国家観や哲学なんてものはありませんでした。…… 

■「お前の責任だ」発言に関しては詳しい事情が不明なので単なる私怨の可能性もありますが、「他人に厳しく自分に甘い」菅アルイミ首相ならばこれくらいの暴言は平気で吐きそうな気もします。「国家観や哲学」などという高級な物を菅アルイミ首相に求めたり期待している国民は皆無に等しいでしょうが、ここまで断じられますと西東京の有権者達はちょっと困ってしまうでしょうなあ。でも、民主党という政党自体が統一した国家観も哲学も無いからこそ政党としての綱領が作れないのでしょうから、菅アルイミ首相は民主党の代表として相応しいリーダーだという屁理屈も成り立ちそうです。


昭和51年の衆院選に初めて臨んだ際は私が選対本部事務局長を務め、次に参院選に挑んで惨敗した後、次はどうするのか語り合いましたね。あなたは「たとえ応援してくれる人がいなくなって、おれ独りになってもやる」と強気でした。いま、民主党内や野党からの「辞めろ」の大合唱にもめげない厚顔無恥な彼の姿に通じるものがあります。一度手にしたものは絶対、手放さない人です。…… 

■政党助成金制度も無かった時期に「応援してくれる人」が一人もいなくなっても選挙資金を何処から工面して来るつもりだったのか?違法に政治資金を集める方法を当時から使っていたのか?疑問がいろいろ湧きますが、それ以上に支持者さえも軽視する異常な権力志向はちょっと病的なものを感じますなあ。「厚顔無恥」という表現はまことに的確で、民主党への政権交代が起こってから日本が国際的な信用をどんどん無くして来た理由の一つを表わしているようにも思えます。


あなたは落選中、社会市民連合の代表となりましたが、口の利き方にはほとほとあきれていました。日ごろ手足となり応援してくれる年上の市会議員が事務所にきても、なぜか敬意を払おうとはしない。だから話はちっとも和まないんです。要は処世術がないのだと思います。昔から、よく怒鳴っていました。そのくせ都合が悪くなると「田上く~ん」とすり寄ってくる。ひいき目に見ても、政治家としては修業が足りない。…… 

■田上さんはこういう態度を間近に見ていながら、菅アルイミ首相から離れずに政治活動を続けていた理由が知りたいものですが、都合が悪くなると使ったという「田上く~ん」の言い方は一度聞いてみたい気もしますなあ。今回の偽装辞任発言から想像するのは簡単なのですが……。


私も昔は「菅さんが衆院議員になれば秘書になるのはおれだ」と思っていました。でも、結果が出ないと責任をすぐに「あいつが悪い」と人のせいにする性格が嫌になり、次第に距離を置くようになりました。「菅が将来、もし首相になったら日本人を辞める」という仲間が周りに少なくなかったことを、ご存じないでしょう。そんなあなたが首相になったのは国民にとっても不幸なことです。首相としての立ち居振る舞い、帝王学を学んだわけでもなく、たまたま自分のバイオリズムと世の中の周波数がかみ合ったからなれただけです。…… 

■仲間うちから「日本人を辞める」とまで言われる政治家というのも珍しいですが、こういう貴重な情報はもっと前に、遅くともあの政権交代が起こった選挙より前に教えて頂きたかった!そう簡単には日本人を辞められず、放射性物質で汚染された可能性が高い故郷も捨てられない多くの人々は、今頃になって菅アルイミ首相の恐るべき性格を教えて貰ってもどうしようもないでしょうが、マスコミから流れていた唯一の情報は「イラ菅」に関するものだけで、政治家として何より大事な責任を一人で追うことが出来ない人物だとは誰も教えてくれませんでしたなあ。


大型連休中、まだ多くの被災者が不便な生活を強いられている中であなたが家族水入らずで中華料理店に行ったというニュースがありましたが、出前を取ればいい話です。何を言われようと気にしない人だからしようがないけど、国民の生活が菅さんに「人質」に取られているように思えてくる。私だったら、自分の存在が果たして国民のためになっているのかを沈思黙考し、良心の呵責に耐えかねてすぐにでも首相の座は降りるんですけどね…。
2011年6月4日 産経ニュース 

■フランスで開催されたサミットの会場でも、とても1000年に一度の大災害に襲われ史上最悪の原発事故を起こしてしまった国の代表とは思えない気味の悪い「笑顔」を振り撒いておりましたし、突如として「1000万戸に太陽光発電装置を設置」などと言い出す始末で、それを言うなら「1000万個の高性能ガイガー・カウンターを全国に無料で配布」するのが先でしょう。確かに国民の生活は菅アルイミ首相が居座るための「人質」になってしまったのですから、正確な情報を求めるのは無理な話なのでしょうが……。

アルイミ首相の「一定のメド」 其の四

2011-06-08 15:41:08 | 政治
■少しは仕事らしい仕事をしておかないと……と菅アルイミ内閣の面々が本気で首相交代後の「再就職」を心配して頑張ったからでもないのでしょうが鬼より怖いIAEAに提出する報告文書が驚くほどてきぱきとまとめられていたようであります。中身は真摯な反省の意を表す文言が満ち溢れている由。北朝鮮の核開発問題が発覚するまでIAEAが最も力を入れていたのが日本が密かに核武装するのを監視するお仕事だったと聞きますから、もしも「怪しい!」と睨まれたら即座にウラン燃料が禁輸されて日本の巨大な原発ビジネスと莫大な利権が吹き飛んでしまうので、国民を平然と愚弄して情報を隠蔽する悪い癖のある電力会社や経産省も相手がIAEAとなると突如として非の打ち所の無い優等生に変身するのでしょうか?

■IAEAに恭順の姿勢を示し原子力発電の火は消さないように努めるのも大切な菅アルイミ首相のお仕事なのでしょうが、原発事故の真相を情報の透明化を謳った『マニフェスト』通りに国民に公開して的確な対応措置を迅速に取ることの方を本当は急いでやっておくべきでしたなあ。「辞めるなんて言ってないよ」と居座りを決め込もうとした菅アルイミ首相の周囲からは人々が去り寒々とした空気が漂っているようですが、官邸の外ではあちこちで生臭い皮算用談義が花盛りとか……。


菅直人首相はようやく、己の過ちを悟ったのか。
「東日本大震災の復興のめどが付けられれば、私は職に恋々とするつもりはないんです」
首相は4日夜、公邸で民主党の石井一副代表に切々と訴えた。ベテランの石井氏を招いたのは、復興基本法案、本格的な復興のための平成23年度第2次補正予算案、そして今年度予算の財源を確保するための特例公債法案の成立を「めど」に退陣することを発信するためだったのだろう。2日の内閣不信任案採決直前の党代議士会では「死んだふり」を決め込み、可決の流れを一気にひっくり返した首相。党内を二分する騒動は収まったかに見えたが、夜の記者会見で原発事故の「冷温停止」まで続投する意欲を示し、再び混乱の引き金を引いた。約束を破られた鳩山由紀夫前首相は首相を「ペテン師」と言ってなじった。…… 

■総理大臣に就任して間を置かずに菅アルイミ首相はかつての中曽根政権をみっちりと研究して長期政権の秘訣を熱心に探っていたという話があるようですから、「死んだふり」というのも中曽根首相が昭和61年の7月に仕掛けた史上2回目の衆参ダブル選挙の顰(ひそみ)に倣った乾坤一擲の逆転を狙った浅知恵だったのかも知れませんなあ。自分の任期が終わる更に1年後の参議院選挙まで何が何でも居座って、ねじれ国会を作ってしまった汚名を雪ぎ、それまでに目覚しい実績をたくさん作ってダブル選挙を仕掛けたら、きっと自分も中曽根大勲位と肩を並べる大政治家?と言われるだろうなあ、などと悪い夢でも見ているのかも知れませんなあ。とても正気の沙汰とは思えませんが……。某政治評論家などは菅アルイミ首相の勘違いは相当に深刻で、自分自身には小泉元総理以上のカリスマ性が備わっていると思い込んでいる節があるそうで、一世を風靡した小泉劇場に負けない熱狂が再び起こると神風頼みみたいなことを考えているとの説もあるようですから、妄想癖のある首相には即刻辞任の道しか残されていないでしょうなあ。


首相は4日午前には公邸で、「国のかたち研究会」(菅グループ)の津村啓介、本多平直両衆院議員の訪問を受けた。2人から「僕たち、いろいろあっても支えますから」と励まされて笑みを浮かべた首相は、自らの「続投宣言」がかえって逆効果になったことを悔やんだのか、こうつぶやいた。
「党のいろんな声をしっかり聞いていきたいんだ。やはり、コミュニケーションは大切だな」首相が書いた延命へのシナリオは、観客が期待した「退陣」という結末とは大きくかけ離れ、一斉にブーイングが上がった。首相は、退陣のタイミングを「一定のめどが立ってから」という言葉でしか説明しなかった。これが失敗のもとだった。「一定のめど」とは具体的にはいつなんだ-。与野党を問わず騒然となり、首相への不信感だけが募った。…… 

■「党のいろんな声」にはクラッシャー小沢とその一派からの声は含まれていないでしょうし、就任以来1年間、官邸で怒鳴り散らしてばかりいたことを棚に上げて今頃「コミュニケーションは大切だ」などと気が付いても、あまりにも遅い。こういう態度を「権力に恋々としている」と言うのでありましょうなあ。


鳩山氏が主張する「平成23年度第2次補正予算案の早期編成のめど」であれば、復興構想会議が1次提言を取りまとめる6月末ということになる。だが、首相が2日の記者会見で語った「原発の冷温停止」なら来年1月だ。……首相の「退陣偽装」とも言うべき言動に、鳩山氏のグループは、党規約改正による代表リコールを視野に、両院議員総会開催を求める署名活動を展開し、包囲網を狭めた。「日本人が世界に笑われていると思わなければダメだ。何としても、力ずくでも辞めてもらう」鳩山氏側近の中山義活経済産業政務官は4日のテレビ朝日番組で宣言した。…… 

■「日本人が世界に笑われている」などという事実は金輪際ないはずですぞ。今朝方も苦節12年の古川聡さんがバイコヌール基地からソユーズで飛び立ちましたし、キリンカップではサッカー戦士達が立派に戦っているではありませぬか?!震災・大津波の被災地で笑顔を作って耐えている多くの人々も過酷な任務に黙々と従事している自衛隊など関係者の皆さんも、世界から賞賛されることはあっても「笑われる」ことはありません。世界が笑っているのは民主党政権そのもので、笑いの対象になっている政党・内閣に属している人が言うのは実に奇怪な感じがしますなあ。まあ、鳩山サセテイタダク前首相の芸風と菅アルイミ首相の芸風はまったく違いますから、笑いの質は違ってはいるのでしょうが……。


「6月末退陣」へのカウントダウンが始まる中、枝野幸男官房長官が「居座るような気持ちは、首相には全くない」と述べるなど、閣僚や民主党執行部は収拾に躍起になった。首相の早期退陣が確実になったこの日、北海道白老町での「白老牛肉まつり」に駆けつけた鳩山氏は笑顔で軽口をたたいた。「永田町の話は、お肉がまずくなるからいたしません」
2011年6月5日 産経ニュース 

■白老町の人たちは鳩山サセテイタダク前首相の顔を見ながら牛肉を美味しく召し上がれるのでしょうか?肉が不味くなるような三文芝居を演じた御本人が、自分が永田町の外に立っているような話し方をするのは卑怯ではありますまいか?自由党との合併から民主党内を一つにまとめられなかった責任は鳩山サセテイタダク前首相が一身に背負わねばならないもののはずですぞ。どうして民主党の上層部は誰も彼もが責任を自分で負わずに仲間内でなすり付け合うのでしょう?御蔭で皆の顔が揃いも揃って泥だらけになっているようですぞ。

アルイミ首相の「一定のメド」 其の参

2011-06-08 06:11:03 | 政治
■東京電力は長年の政治献金と労働組合の力で民主党政権を押さえ込んでいるので法的処理やら国営化などで会社が解体されることなど無いと多寡を括っている節がありますが、さすがにIAEAは鬼より怖いらしく国会を空転させて知らん振りだった「注水中断」問題を、いよいよIAEAが乗り込んで来ると知ったらあっさり「自白」しておりましたし、今度はIAEAの閣僚会議に提出する報告書が必要だとて、原発から噴出した放射性物質の量をこれまたあっさりと2倍!だと白状したそうな。人間誰しも鬼より怖いものはあるもので、民主党ではやっぱり金持ちオーナーの鳩山サセテイタダク前総理はそれなりに恐れられているのかも知れません。お得意の「友愛政治」などは誰も本気で耳を傾けなくとも政治資金の御援助の方はしぶとく貰い続けねばならない議員が多いようであります。憧れ続けた総理大臣の椅子に座っていっぱしの独裁者を気取り、ぼんぼんオーナーを舌先三寸で煙に巻いて延命に成功したと得意になったのが運の尽きで、「金持ち喧嘩せず」が一変した鳩山サセテイタダク前首相は大魔神の形相になったとか……。

菅直人首相に早期退陣する気がさらさらないと知った鳩山由紀夫前首相の怒りはすさまじかった。
 「私の発言でみんな我慢して政党人として行動してくれたのに。不信任案に賛成すべきだった…」
3日午前、東京・田園調布の私邸前に姿を現した鳩山氏に笑顔はなかった。直後の夕刊フジのインタビューではさらに辛辣だった。……ただ、周到に延命戦術を練った首相に比べ、鳩山氏の「脇の甘さ」は否めない。
 5月31日夜、鳩山氏は公邸で首相との直談判で退陣を迫った。仲裁に入ったのが、平野博文元官房長官と北沢俊美防衛相だった。信頼する平野氏に確認書の原案を見せられた鳩山氏は「退陣という文言を入れてほしい」と求めたが、やんわり拒否された。
「そんなもん書かんでええですやろ。身内の話やんか…」…… 

■すっかり菅アルイミ首相の権謀術数に嵌められて大恥を掻かされた前首相は「みんな我慢して政党人として行動し」たと言い張っておりますが、直前まで不信任決議案に「賛成する!」と息巻いていた民主党議員達が、話が大甘の茶番劇で丸く収まったと議場に入る時のこぼれんばかりの笑顔と安堵の表情を見ていれば、「ああ、これで次の選挙の資金も推薦も心配ないなあ」との本音がぷんぷん臭い立っておりましたぞ。あれは決して「我慢して」いる顔ではありませんでしたなあ。正に「身内の話しやんか」という関西風の軽いノリで、各新聞社の政治記者たちがしかつめらしい顔をして報道していた「政局」が、どれほど軽薄で内向きで幼稚なものだったかを証明してしまったようなものであります。そもそも権力闘争の「仲裁」などという大任を経験もない前官房長官に頼む方がどうかしているのですが……。


2日午前、鳩山氏は「文書ができたので来てほしい」と官邸に呼び出された。鳩山氏が「第2次補正予算案の編成のめどがついたら身を捨てていただきたい」と求めると、首相は平身低頭に「分かりました。合意します」。それでも署名には「身内なんだから信用してください」と応じなかった。だが、代議士会での退陣表明は「一定のめどがついた段階で若い世代に責任を引き継ぎたい」と曖昧だった。一抹の不安を感じた鳩山氏は電話で念押しした。
 鳩山氏「いつまでに辞めていただけるんですか?」
 首相「あなたと会談で話したことに尽きる。それ以上でもそれ以下でもない…」
その数時間後、首相は記者会見で早期辞任をきっぱり否定する。鳩山氏が怒るのも無理はないが、実は平野氏は1日夜、仙谷由人官房副長官や北沢氏らと入念に打ち合わせていた。つまり確認書に関わった人物はほとんどが首相の“協力者”だったのである。…… 

■平野前官房長官は「二股膏薬」ではなかったのか?などと民主党レベルの下衆の勘ぐりもしたくなりますが、「第二次補正予算の編成のメド」などと言う曖昧な文言で交渉している事自体が間違いでありましょう。10兆円を超えると見られる二次補正ともなれば関係法案も多くなるでしょうし、財源問題もそう簡単には片付きそうにありません。その上、菅アルイミ首相は社会保障制度の抜本的改革と財政健全化政策とを同時に進めようと財務官僚の振り付けで裸踊りをし続けているのですから、辞任の時期など誰にも分かりません。こんな時だけはピントが合う発言をする渡部恒三さんも「鳩山君は頭がオカシイ」と言って、予算編成をした総理と国会で答弁して通過させる総理が別などというのは間違っている!との指摘は正しいと思われます。きっと鳩山サセテイタダク前総理は、今回の「文書」や穴だらけウソだらけの民主党『マニュフェスト』程度のすかすかなメモでも出来たら、「編成のメド」がついた!ということになると本気で思い込んだのでしょうなあ。そうなれば、菅アルイミ首相の1年間は、文字通り空っぽの空き缶政権だったことになるのですが……。


……3日の参院予算委員会でも首相は「文書以上の約束はない」と開き直った。強気の裏には首相なりの勝算があった。国会には同一会期に同一案件を審議しない「一事不再議」の原則がある。12月まで会期延長すれば内閣不信任案は再提出できない。野党は反発するが、復興の「大義」があるだけにいつまでも審議拒否はできない。復旧が進めば解散カードも行使しやすい。加えて内閣改造や連立をちらつかせれば延命は十分可能ではないか-。たとえ鳩山氏が党所属議員の3分の1の署名を集め、両院議員総会を開いても党規約に党代表のリコール規定はない。党規約を改定し、新代表を選んでも「首相が代表を兼ねる必要はない」とつっぱね、首相に居座ることはできる。…… 

■党の綱要も無い選挙互助会の寄り合い所帯と散々に悪口を言われて来た民主党ですから、党規定が穴だらけであっても決して不思議ではありません。しかし、震災対応のためには何としても6月22日の会期を延ばす必要があった時には早々に閉会して「逃げ切り」を図ろうとし、不信任案が危うく可決されそうになると12月まで延ばして「通年国会」と言い出す何も知らない何も出来ないアルイミ首相には呆れ返るばかりであります。この3箇月の間、何も決まらず何も動かず被災民は疲れ切っているのですから、それが更に半年も続くと聞いたら絶望は深くなるばかりでありましょう。国会という公の場で不信任案を否決しておいて、「身内」の寄り合いでしかない両院総会で首相を追い落とすなど税金と時間の無駄遣いそのものであります。


……「鳩山氏は御しやすい」とみる首相にとって残る危険分子は小沢一郎元代表だけ。首相は不信任案否決直後、岡田克也幹事長にこうささやいた。
「小沢を除籍処分にしろ」
岡田氏はすぐ実行に移したが、輿石東参院議員会長が「それならば俺はバッジを懸けて戦う!」と抵抗したため断念した。それでも秋まで政権を維持すれば小沢氏の政治資金規正法違反事件の公判が始まる。もはや動けまい-。ところが、首相のもくろみは崩れつつある。あまりに狡猾な手口は、不信任案を初めから否決するつもりだった中間勢力までも不信感を強めたからだ。早期退陣論は閣内にも広がった。口火を切ったのは松本龍環境相兼防災担当相。3日の記者会見で「一日も早く退陣した方がいい。(退陣は)6月いっぱいだというのが私の頭にある」と断じた。松本剛明外相も「6、7、8月というのが常識的な考え方ではないか」と述べ、新首相が9月に訪米すべきだとの考えを示した。玄葉光一郎国家戦略担当相は「首相は地位に恋々とする方ではない。必要なことはスムーズな移行だ」と自発的に退陣を促した。…… 

■菅アルイミ首相の思いつき発言とその後の迷走で大惨敗を喫したことが国会が捩れた原因で、その選挙を指揮したのが今の官房長官で、その後を継いだ岡田幹事長は地方選挙で連戦連敗……。従って民主党議員が最も恐れているのは総選挙で、国民はその総選挙を望んでいたのが震災前の悲しい政治状況でありました。代表・総理にまで献金疑惑が降って湧いたのですから多くの議員は次の選挙で落選すると本気で恐れたことでしょう。もしも、震災・津波・原発事故に自民党時代とはまったく違う見事な対処をしていれば総理大臣をとっかえひっ替えしなくても済んだのに……。マニフェストには「情報公開」と書いているのにやっているのは情報隠蔽と情報操作ばかり、地方分権と言いながら復旧復興作業を絶対に被災地の現場には任せないのですから、あの「政権交代」と大きな赤字が印刷されたマニフェストをもう一度引っ張り出して、現民主党政権からの「政権交代」を望む声が増えて行くのは止められないでしょう。次悪評高い菅アルイミ政権にトドメを刺した名声を我先にと争って追い落としが始まるのも、やっぱり選挙と延命のためなのでしょうなあ。

■自民党に居た堪れずに小さな政党の代表になってしまった舛添議員が、週末のテレビで民主党を「少年団と暴力団」と称していましたが、小沢グループが暴力団かどうかは不明なれど民主党自体は少年団と呼ぶに相応しい体たらくではありますから、いっそのこと菅アルイミ首相を追い落としたら抱き合わせでクラッシャー小沢も追い出したいと後先考えずに祈っている議員も少なからず居るようですから、そうなりますと議席数で政権を失うのは確実ということになって、小沢・菅抜きの大連立構想にしがみ付くしか選択肢は無くなるというわけでしょうなあ。


ある党幹部はこう嘆いた。
「せっかく不信任案を否決したのにオウンゴールしているよね」
自民党も首相の延命策を見抜き国会延長を阻止する方針に転じた。参院で首相の問責決議案を可決させ、首相が交代しない限り、予算執行に不可欠な特例公債法案などを宙づりにする構えだ。再燃した「菅降ろし」は以前よりも勢いが強い。鳩山氏は3日夕、小沢氏に電話した。
 鳩山氏「政治家同士の約束は必ず守らせます。しっかり決着をつけますから信じてください」
 小沢氏「わかった。しっかりやってください…」
 石原慎太郎東京都知事は3日の記者会見で、首相の座をめぐる飽くなき抗争をあざ笑った。
 「一定のめどって言ったら2年先の任期満了だよ。ふふふ…。せっかく手にした政権という宝物をそう簡単に手放すわけにはいかないだろ?」
2011年6月4日 産経ニュース 

■「落とし前をつける」「しっかりやれよ」と、何だかヤクザの抗争事件みたいになっておりますが、気が付いたらアホな親分の鳩山も小沢も菅アルイミ首相と一括して処分されて一挙に世代交代が進んでいるという流れになりそうなものですが、やはり鳩山のカネと小沢の票が無くなったら民主党政権はオシマイでしょうから、コップの中の離合集散がこれからも続くのでしょう。そんな事をしている場合ではないのですが……。

アルイミ首相の「一定のメド」 其の弐

2011-06-07 15:06:16 | 政治
■怒りが治まらない鳩山サセテイタダク前首相はぶら下がり取材だけでは言い足りないらしく、早々に夕刊紙の「独占取材」に応じておりました。

鳩山由紀夫前首相が3日午前、夕刊フジの独占インタビューに応じ、「ペテン師」「男として、人間として、あるまじき態度」「国難を乗り切れない」と吐き捨てた。対決姿勢を明確にした鳩山氏は今後、菅首相の早期退陣を目指して動くという。(夕刊フジ)
 ――菅首相は2日夜の記者会見で、来年1月までの続投を示唆した
 「とんでもない話だ。私は記者会見を見ておらず、同僚議員や記者から電話で聞いたが、あきれてものが言えなかった。東日本大震災や福島第1原発事故を抱える国難の時に、さらに国政を混乱させる気なのか」…… 

■鳩山家にも「呆れて物が言えない」という表現があることにはちょっとした驚きを覚えますが、「さらに国政を混乱させるのか?」という問いは御自身にも向けてみたら如何でしょうなあ?


 ――「俺は辞める気はない」と周囲に語ったとの報道もある
 「代議士会で、辞めると言ったではないか。退陣時期をはっきり言わなかったので、私がその後、確認文書の、(1)復興基本法の成立(2)第2次補正予算案編成のメドがついた段階での退陣-を披露した。菅首相も否定しなかった。不信任案採決直前だったので黙っていたとすれば、男として、人間として、あるまじき態度だ」…… 

■菅アルイミ首相は代議士会でただの一度も「辞める」とは言っておりませんぞ。「言った!言った!言った!」「言ってないよお。だったら何時言ったの?何年何月何日何時何分何秒に言ったの?」と、大昔の洟垂れ小僧時代に幼稚な口喧嘩をした苦く恥ずかしい思い出が甦って来ますなあ。「菅首相も否定しなかった」のは、腹の中で赤い舌を出して前首相の間抜け振りを嘲笑っていたのでしょうよ。まあ、それが感じられるからこそ鳩山サセテイタダク前首相は怒らセテイタダイテいるのでしょう。

 ――確認文書を交わした経緯は
 「党内の7、8割が『菅首相には辞めてほしい』と思っている。ただ、野党提出の不信任案に賛成することに、多くの議員が逡巡していた。党内で結論を出すべきと、菅首相に近い北沢俊美防衛相と、私の信頼する平野博文元官房長官で『退陣による収拾策』を話し合ってもらっていた」…… 

■「私の信頼する」平野元官房長官が現役時代にどんな仕事をしたのか?思い出してみれば北沢・平野コンビに密談させるようなことはしないはずなのですが、他に頼める人が居ないのでしょうなあ。菅アルイミ首相の方も怒鳴り散らしてばかりで誰も寄り付かなくなり、もっぱら北沢防衛相を相手に泣き言を聞いて貰っているという寂しい官邸の内部事情が漏れ出しておりましたなあ。


――直接会談の中身は
 「2日午前、官邸から『文書ができたので来てほしい』と呼ばれた。確認文書は、退陣の意義と時期を記したもの。第2次補正予算案編成のメドがついた段階とは、常識的に6月末ごろだ。私は『身を捨てて国民を救ってくれ』といい、菅首相は何度も『結構だ』と言った」…… 

■立会人の名も約定を結んだ当人達の署名も無く、成約の日時さえ記されていない一枚の紙切れを振り回して何を怒っているのでしょう?そもそも、あちこちのテレビ番組で晒し者になった件の「文書」は、要するに①民主党はバラバラだなあ。②悔しいから自民党への「政権交代」だけは嫌だよね。③少しは政権として仕事くらいしておこうよ。という意味の文言が事務的に並んでいるだけの紙っぺらではありませぬか?


「私は文書に『署名しよう』と言ったが、菅首相は『そこまではいいでしょう。私を信じてください』と言った。政治家同士の言葉は重い。時の首相であり、約束は守られると信じて、握手して別れた。もし、初めからだます気だったとすれば、許しがたい。『ペテン師』といわれても仕方ない」 

■おいおい、2年前に米国大統領に直接言ったの「トラスト・ミー(信じてください)」の約束を守りもしない人が「政治家同士の言葉は重い」などと言っては行けませんぞ。自分が「時の首相」だった1年にも満たない短い任期中に何回ウソをついたのでしょうなあ?ああ、問題は「初めから騙す気だったとすれば」という不純な動機が許せないという話なのですかな?自分の政治家としての無能を認識せずに思い付きでついてウソは許されるという理屈だとすれば、もっと恐ろしいことになりますが……。衆院選挙で大勝した時のマニフェストこそ『ペテン師』が作った詐欺商法まがいのパンフレットそのものだったのに、「約束は守られる」とまでは言いませんが、少しは自民党政権時代の負の遺産を清算してくれるかも?と淡い期待を抱いて投票した有権者たちこそ「許しがたい!」と怒っているのであります。


 ――小沢一郎元代表には?
 「会談後に電話で話した。小沢氏が『菅首相が退陣を確約したのか?』と聞いてきたので、私は『退陣時期を記した文書を交わした。首相本人が代議士会で話すと言っている』と伝えた。『鳩山はツメが甘い』といわれるかもしれないが、菅首相の言葉を信じた」…… 

■その通り「ツメが甘い」のです。それは総理大臣の重責を担っていた時に、何度も国民は確認しておりますし、公表された「文書」には何処にも「退陣時期」など明記されてはおりません。勝手に鳩山サセテイタダク前首相と前官房長官が自分達に都合のよいように解釈してぬか喜びしただけのことでしょう。


――党内の7、8割が「菅首相に辞めてほしい」と思う理由は
 「菅首相では、この国難は乗り切れない。他人の言うことを聞かず、イエスマンしか近くに置かない。意見した人間には怒鳴り散らして、徹底的に排除する。自分で責任は取らず、他人に押し付ける。この1年で、官僚は面従腹背になった。信頼関係が欠如している。震災・原発事故への対応が遅れているが、菅首相に大きな原因がある」
2011年6月3日 産経ニュース 

■鳩山政権の時代に「官僚との信頼関係」があったとは思えないのですが、この人の脳ミソには過去を勝手に美しいものに変えてしまう特殊な回路が組み込まれているようであります。確かに「他人の言うことを聞き過ぎ」「自分自身がイエスマンになってしまい」「意見した人には簡単に同意し」「徹底的に前言撤回する」という具合で菅アルイミ首相とはすべて反対の意味で無能な総理大臣ではありました。ただ一点違うのは、最後は開き直って「私は愚かだった」と愚直に認めて相手も国民も唖然として、腹を立てる気も失せてしまうという絶望的な手法が鳩山流だったということでしょうか?

アルイミ首相の「一定のメド」 其の壱

2011-06-07 15:05:17 | 政治
■急転直下で内閣不信任案が否決された政治劇は、その直後から茶番だったことが見え見えで鼻白んでしまいましたが、案の定、テレビ業界は大喜びで「さあ、どうなるのでしょうねえ」とこれ幸いに餌食にしておりますなあ。小耳に挟んだ永田町の噂話をちらちらと塗し付けては無責任な憶測話を並べ立て、それで報道番組が簡単に作れるのですから棚から牡丹餅ということでしょうか?政治資金規正法違反で命運が尽き掛けていた菅アルイミ首相が1000年に一度の大震災と津波と原発事故の発生で目出度く?延命できるかと思われたように、原発事故で露見した東電とマスコミとのどす黒い関係が、今度はアルイミ政権の命運が尽きる時期を占う下世話な揣摩臆測でうやむやになるとしたらマスコミ界としては一石二鳥なのかも知れませんが……。

■国内では「辞任表明」と報じられ、海外では「続投宣言」だと解釈された菅アルイミ首相の渾身の泣き落とし演説ではありました。メモも見ずに珍しく「てにをは」の手前で「うー、あー」などと言い淀むこともなく、問題の「一定のメド」という底の浅い謎を混ぜ込んだ延命嘆願は、ただの一度も「アルイミ」とは言わずに低姿勢のまま押し通して終わったのでした。もしも、いつもの口癖とは申せ「アルイミで一定のメドが付き次第……」と言っていたら、即座に延命・居座りの底意が暴露されたものを、菅アルイミ首相は必死で「アルイミ」の一言を絶対に言うまいと額に汗を滲ませて頑張り通したのでありました。

■かれこれ10日以上もブログを更新できませんでしたが、少しばかり仕事が立て込んで時間的な制約があったのも事実なのですが、そんな事よりも国の内外で歴史的な大転換を予感させる大きな動きが連続しており、1本のブログ記事にまとめ上げる前に、さらに大きな事件が起こるという具合で、頭の中は文字通り混沌状態でありました。それでも大震災と原発事故を乗り越えて行かねばならない国の民としては、どれほど馬鹿馬鹿しくとも政府の動向を第一に気に掛けておかねばなりませんから、「史上最低の総理大臣」の後に就任した「史上最悪の総理大臣」がとうとう1年間も在任してしまったという恐るべき現実から目を背けるわけにも参りません。それにしましても、日本の政治の悲喜劇は何処まで続くのか分からない泥沼状態でありますなあ。

■菅アルイミ首相が就任した1年前、テレビ東京で番組を持っているジャーナリストの田勢康弘氏が「三木政権の誕生時の印象に似ている」と語っていたことを思い出します。弱小政党出身で戦後の合従連衡の激流を泳ぎ渡って第66代内閣総理大臣に就任し、「政治とカネ」の問題を一枚看板にして「粘り腰」「二枚腰」で凄まじい三木降ろしの嵐に耐え続けた故・三木武夫さんと重なって見えたという田勢氏の勘は大したものだったようです。30数年前の田中金脈問題に揺れていた当時の政治状況下で「晴天の霹靂だ」と歴史に残る名言?を吐いてどさくさ紛れに総理大臣になった三木武夫さんは、自民党内の小さな派閥のリーダーであり異分子でもありましたが、田中金脈問題で危機感を募らせた自民党は一時凌ぎの煙幕にしようと当て馬同然の椎名裁定で三木総理を誕生させてしまったばかりに、後々、大変な苦労をすることになったのでした。

■菅アルイミ首相も党内での権力抗争に「政治とカネ」を利用してクラッシャー小沢を牽制しつつ、反小沢の風を一身に集めて民主党で二番目の総理大臣になったのでしたが、かつての年金「未納三兄弟」発言が、事務手続きのミスだったとは言え、自分にも未納期間があったと頭を丸めてお遍路さんに出掛けるハメに陥ったことがありましたが、やっと首相になったと思ったら外務大臣に不正献金問題が発覚して辞任する騒ぎが起こり、何と自分も同様の違法行為をしていた事実が発覚!もう「政治とカネ」の旗を揚げられなくなって万事休すかと思ったら、1000年に一度の大震災と史上最悪の原発事故が発生し、何だか嬉しそうな響きがあった「宿命」発言をして献金問題を勝手に水に流して知らん顔。しかし、怒鳴り散らすばかりで一国の首相としての責務はまったく果たせないまま、間も無く3箇月が過ぎようとしております。

■劇的な否決劇の日の夜から、鳩山サセテイタダク前首相が怒り心頭に発してマスコミの寵児になってしまいましたが、かつては米国大統領に「トラスト・ミー」と大嘘をついた御本人が、「人間、ウソをついては行けません」と言ったそうで、オバマ大統領は苦笑していることでありましょうなあ。自分自身も在任中に「たしかに私は愚かな総理かも知れません」と気味が悪いほど素直に認めた鳩山サセテイタダク前首相ですが、とうとう今度は「愚かな前首相」になってしまったようであります。


民主党の鳩山由紀夫前首相は3日午前、東日本大震災の復興などに「一定のめど」が付いた段階での退陣を表明した菅直人首相が来年1月ごろまでの続投を示唆したことについて「ペテン師まがい」と厳しく批判した。また、政府の緊急災害対策本部の副本部長を務める松本龍防災担当相は月内辞任を促し、自民党の谷垣禎一総裁らも早期退陣に追い込むため、菅政権と徹底対決する決意を示すなど、首相の退陣時期をめぐり混乱が拡大した。…… 

■こうして始まった実に馬鹿馬鹿しい永田町でのちっぽけな権力闘争が、今や日本で最も重大な関心事だとばかり、新聞もテレビも腰が引けた震災報道や無知を晒し続ける原発報道を放り出し、まさに水を得た魚のように嬉々として国会議事堂や首相官邸で広い集めたネタを捏ね合わせて連日連夜の報道合戦が展開されております。どうせ止めるのなら、大震災が発生した時でも原発で水素爆発が起こってしまった時にでも「私にはとても対処する能力はございません」と国民に謝って潔く辞任しておけば、菅アルイミ首相は歴史に大きくユニークな意味で名前が残ったのかも知れません。


鳩山氏は、内閣不信任決議案採決前の首相との会談に関し「(採決)直前に辞めると言い、否決されたら辞めないと言う。そんなペテン師まがいのことを時の首相がなさってはいけない」と強く反発し、月内の退陣を重ねて求めた。その上で、「党の規則の中で辞めていただくよう導いていかなければいけない」と述べ、首相の党代表の解任を目指し両院議員総会の開催を求めていく考えを明らかにした。都内の自宅前で記者団に語った。
 鳩山氏と支持グループの幹部はこの後、衆院議員会館で協議し、両院総会開催に向け、署名を集めていくことを確認した。松本防災相は閣議後の記者会見で「私の頭の中には6月いっぱいというのがある。めどは早く付けるべきだ」と語った。
2011年6月3日(金) 時事通信 

■御自分も普天間基地の移設問題では「国外、最低でも県外」と言い「腹案がある」とも言っていたのに結局はすべては時間の無駄で、元の木阿弥「やっぱり辺野古かも?」と日米関係の根幹を揺るがすような騒動を起こして起きながら問題をややこしくしただけで政権を投げ出してしまった大罪を犯したことをすっかり忘れておられるようですし、「首相を辞めたら政界を去る」と言ったかと思えば「やっぱり政治家は辞めない」と前言を翻すサセテイタダク前首相は、政界内で「1時間ごとに言うことが変わる」との定評を得ているとか……。鳩山流の前言撤回は病的な健忘癖は「ウソ」とは呼ばないことになっているようでありますなあ。

言った言わない菅総理 其の壱

2011-05-25 16:07:40 | 政治
■何事も正直であることは人として賞賛されるべきなのですが、事が深刻で正直になるのが遅すぎた場合は逆に罪深いことになるようであります。しかも見え透いたウソを混入させて誤魔化そうとすると「醜態」と悪口を言われることになります。

枝野幸男官房長官は25日午前の記者会見で、東京電力福島第1原発1号機への海水注入が菅直人首相の言動を受けて中断したとされる問題で、東電が海水注入の準備を政府側に事前に報告していたことを認めた。……3月12日午後6時から首相官邸で開かれた会議について「東電から『海水注入の準備をしているが時間がかかる』という報告を受けた」と指摘。さらに「それに先立って、経済産業省原子力安全・保安院にそのような趣旨の報告があったことは報告を受けている」とも述べた。…… 

■今でも菅アルイミ内閣の原発事故対応の初動段階での動きに関してましては多くが闇の中に隠されていますが、政府と東電との間で責任の擦り付け合いに決着がつかない内は誰にも真相は分からないのでしょうなあ。炉心溶融を認めるのに2箇月間もの時を要したのも、責任問題を棚上げして東京電力の存続が決めるのに、放射能汚染問題も被災者救済も横に置いて菅アルイミ首相の延命と政府内の調整に手間取ったからに違いない!全電源喪失に至った実態が判明したのも東電がメルトダウンを認めたのと同時なのですから、菅アルイミ首相と東電が腹の中では罵り合いながらも、結局は手に手を取って一緒に延命しましょうね、という話がまとまったのでしょう。しかし、補償問題を引き起こす大規模な放射能汚染を恐れてベント作業が遅れ、せっかく減価償却が終わった旧式のポンコツ原子炉で荒稼ぎできると皮算用していたのに「廃炉」に直結する海水の注入に躊躇している間に水素爆発を起こしてしまった舞台裏は絶対にうやむやにしてはなりませんぞ。


首相はこれまで、東電の海水注入について「報告が上がっていないものを『やめろ』『やめるな』と言うはずがない」と国会で答弁しており、矛盾が明らかになったといえる。枝野氏は、首相の言動について「まったく矛盾していない。首相は『実際に水を入れ始めた』という報告をまったく聞いていないということだ」と反論した。
2011年5月25日 産経ニュース 

■「海水注入したらどうなるの?」「爆発するかもね」と原子力に凄く詳しい総理大臣と一体何に詳しいのかさっぱり分からない原子力委員会の委員長とが真意が分からない問答をしていたとか、首相がまた激怒して怒鳴り散らしているとの忖度情報が流出して原子炉が破裂するよりアルイミ首相に怒られて会社が潰されるのが怖いとて気を利かせて東電は注入を停止させたとか、いろいろと状況証拠から事実関係が垣間見えて来たようですが、弁護士上がりの枝野官房長官の見事な弁護が煙幕となって、またしても菅アルイミ首相は逃げ遂せると安心して用も無いのにフランスはパリに飛んで行ったそうな……。世界中のエネルギー戦略が大きく揺らぎ始めるほどの衝撃を与えた大事故の後始末も出来ないのに、これが同じ政党の政策なのか?!と世界中がきっと唖然とするようなエネルギー政策の大転換を白々しく国際会議の舞台でぶち上げるとかしないとか……。原発依存度を50%にするぞ!と大見得を切った前の首相は世界有数のウラン鉱石輸出国のカザフスタンを訪問していたのは先週の事でした。

■海水注入を「止めろ」と言ったのか言わなかったのか、野党第一党の党首と総理大臣が、そんな悲しい水掛け論を1時間以上も続けていたそうですが、枝野官房長官の「矛盾しない」という強弁弁護でも菅アルイミ内閣の危機管理能力の低さは隠蔽できそうもないようです。福島第1原発1号機への海水注入に関する経緯を確認しておきましょう。


「いよいよ検証の時期に入った。ここは覚悟を決めなければならない」細野豪志首相補佐官は22日のフジテレビ番組で、海水注入中断問題に関連してこう述べた。省庁幹部も「いかに官邸が情報を止め隠してきたか。全部国民に克明に明らかにすべきだ」と事故調に期待感を示す。21日の政府・東電統合対策室の記者会見などによると、東電が3月12日午後7時4分に1号機に海水注入を始めたという情報は、官邸には届かなかった。だが複数の政府高官が証言する。「首相が『聞いていない』と激怒した」。首相は海水注入が再臨界を引き起こす可能性があると知人に言われたようで、海水注入を主張する官僚を怒鳴りつけたという。首相の問題行動は、部下である官僚や政府組織を信用せず、安易に外部に「セカンドオピニオン」を求めることだ。 

■橋洋一氏が何処かのテレビ番組で言っていましたが、官僚は常に「新しい情報」を上げるように訓練されているので、首相が聞く話は初耳であるのは当然なのだそうですなあ。いつも「俺は聞いてないぞ!」と怒鳴り散らしている菅アルイミ首相は官僚の仕事をご存じないまま総理大臣になってしまったのかも知れませんなあ。アルイミ首相が聞きたいのはゴマすり御追従とウソでもいいから褒め言葉だけなのでしょう。これまでの敬意から誰も褒めてはくれませんから、それも人情としては理解出来るのですが……。


「首相が再臨界について心配していたのは事実だ」細野氏は22日の番組でこう認めた。細野氏らは首相が直接指示して、海水注水を中断させたとの見方は否定するが、首相の言動が東電側に「首相の意向」として伝わった可能性がある。「首相が誰かから『海水にホウ酸を入れてもしようがない。むしろ有害だ』と聞いた。原子力安全・保安院も東電も『ホウ酸が必要』と訴えたが…」と官邸筋は語る。結果的に3月12日午後7時4分の海水注入時や、同8時20分の注入再開の際には、中性子を吸収し再臨界防止に有効な「ホウ酸」は投入されなかった。首相が外部の声に頼り判断を遅らせたとの疑惑は絶えない。…… 

■会議や本部を20以上も立ち上げて「情報」を混乱させて指揮系統を混乱させ、学者をぞろぞろと参与に引き立てて官邸内に百家争鳴状態を作り出し「判断」を自ら遅らせる工夫を一所懸命にやっていた菅アルイミ首相の本心は、絶対に責任は負わない!というリーダーとしてはあるまじき姑息な自己保身だったことは衆知の事実となっております。


……東電の清水正孝社長は5月2日の参院予算委員会で、3月12日の海水注入指示の時間を「真水停止(午後2時53分)の前」と証言。この日は官邸に東電幹部もいた。首相が本当に海水注入を知らなかったとしたら、初動時に、首相がほとんど状況把握できていなかったことになる。首相は、3月15日に自衛隊による空中放水の検討を指示する際の打ち合わせでも外部意見にこだわった。首相「ところでホウ酸は粉末で入れるのか液化して投入するのか」
事務方「…」首相「答えられないのか。俺の知っている東工大(首相の母校)の教授と議論してから来い」……
2011年5月23日 産経ニュース 

■「政治主導」を掲げて自分で作った奇怪な官邸システムが見事に機能不全を起こして情報は錯綜し、首相は首相で苛立ちを隠そうともせずに怒鳴り散らして八つ当たり、最後は誰も情報を持って来なくなる。東電本社に乗り込んだり、フクシマ第一原発に自衛隊ヘリで飛んで行ったりしたのも官邸が頭脳として機能しなくなっていたからでしょう。全力と万全を常套句にしている菅アルイミ首相の顔を見るたびに「無力の全力」「無策の万全」と一人呟いてしまいます。嗚呼

市民運動を続ける菅総理? 其の弐

2011-05-07 16:56:15 | 政治
■沖縄の基地問題は極東・東アジアの軍事バランスを無視する現行の憲法を前提にする限り、解決策は見付からないでしょうし、日本が軍事的な能力を含めて領海とシーレーンを自力で守り、米国と対等の立場で世界戦略を語り合えるようになるまでは日米双方が納得する妙案など得られないのでしょうなあ。沖縄問題にせよ原発問題にせよ、戦後の日本政治が先送りしてきた巨大な宿題ですから、ぽっと出の素人総理大臣が思い付きで簡単に解決できるようなものではありません。前の総理大臣は成り行きで米軍に「出て行って下さいね」と言ってしまう自らの稚拙さが原因で不名誉な辞任に追い込まれてしまい、その後始末も出来ないまま、今度は米国のエネルギー政策にケチを付けるような今回の唐突な脱原発めいた発表はますます日米関係をぎくしゃくさせてしまうことでしょう。ワシントンが本気で「菅降ろし」を画策し始めたら、寄り合い所帯の民主党政権など木っ端微塵になってしまうかも?

……海江田万里経済産業相が5日に浜岡原発を視察した際、「中部電の津波対策は不十分」と指摘した川勝平太知事は6日夜、「福島第一原発の事故を受けて安全確保に対する地元の要望を最優先した菅直人首相と海江田経産相の英断に敬意を表する」と談話で発表。知事は「国は地元経済への影響にも適切に対応しなければならない。県は省電力、省エネルギー対策にこれまで以上に取り組み、安全な代替エネルギーの確保を加速するように全力を挙げて取り組む」と訴えた。…… 

■節電と省エネで巨大な原発の発電量を補うのは最初から無理な話で、「代替エネルギーの確保」には数十年単位の期間が必要でしょう。日本のエネルギー政策を全面的に改編するのは民主党が引っ込めてしまった年金制度改革案を実行するのと同じくらいの時間と労力が必要だと考えておくべきでしょうが、どうも日本の国民は長過ぎたデフレ不況の影響で、安くて手軽で量の多い商品に慣れてしまって、何処かに安くて安全なエネルギー源が転がっていると勘違いしているのかも知れません。不思議なほど安価な生肉ユッケが危険であることと同様に、安いエネルギーは危険が付き物だと再確認すべきでありましょうなあ。高くても安全を優先するという冷静な議論が盛んになっていれば、日本の原子力発電所は今よりずっと安全な物になっていた可能性がありますし、廃炉費用や高レベル汚染物質の最終処分に必要なコストを押し隠してまで「安い!安い!」と宣伝して来た原発ムラの住人達も偽りの旗を降ろし易かったことでしょう。行き過ぎた原発依存の国策にも多少のブレーキが掛かって自然エネルギーの開発にも人材や資金が回っていたかも知れませんが、今となっては大急ぎで原発を少しでも安全に運転する仕組みを作り直し、電力行政を根こそぎ変えて新しい道を模索し始めるしか他に方法はなさそうであります。


一方、浜岡原発地元の御前崎市の石原茂雄市長は「昨日(5日)、海江田大臣が来て地元の意見を聞いてから3号機の稼働を判断するといっていた翌日にこの発表。愛情がない。40年余り国のエネルギー政策に協力してきたのは何のためだったか。国策というなら国内の全原発を止めるべきだ」と反発した。同市原子力対策室の男性担当者は「首相の会見を聞いて市役所に飛んできた。寝耳に水だ。事前に(地元には)連絡はまったくなかった」と当惑した様子。地元関係者の中には、「(菅首相には)展望がないのではないか。原発関係者が納得するわけがない」との声も出ている。
2011年5月7日 産経ニュース 

■これが菅アルイミ政権が言う「政治主導」の正体なのでありましょう。「地域主権」などという意味不明の公約を掲げていたのも、本当は地方に財源も権限も与える気などまったく無かったからなのかも知れませんし、政権を奪う(革命の)ためならどんなウソを並べても許されるという恐ろしい独裁志向が脈々と民主党内には生き続けていたのかも知れません。聞くところによりますと、今回の震災や原発事故が無くても今年中に13基の原子炉が定期点検のために一時停止することになっているのだそうで、日本中にある54基のうち震災と事故で止まったままの11基と震災前から定期検査で止まっている21基とを合わせると実に45基の原子炉が止まってしまうことになるとか……。問題の浜岡原発は1基が定期検査中で稼動しているのは2基なので、菅アルイミ首相の英断?により今年中に47基の原発が止まる可能性があるそうです。そうなりますと全電力の3割を占めている原発分が2割に落ちて、東京電力管内に送っている電力もままならなくなりますと東京・関東の生活はどうなるのでしょうなあ?


菅首相が運転停止を要請した中部電力浜岡原発は、近い将来の発生が予想される東海地震の想定震源域のほぼ中央に位置する特異な立地環境にあり、これまでも安全性が議論されてきた。首相は「想定外」の巨大地震と津波が襲った東日本大震災の教訓を重視した形だが唐突な印象は否めず、熟慮の上での判断だったか疑問も残る。……東海地震は南海トラフ沿いで繰り返し起きる海溝型巨大地震の一つ。国は30年以内の発生確率を87%と推定し、最大震度7の揺れを想定。極めて甚大な被害が予想されるため、日本で唯一、直前予知を目指す態勢を敷いている。日本の沿岸部には多くの原発があるが、国が巨大地震を高い確率で具体的に想定している点で、浜岡原発は特異な存在だ。…… 

■今回の東日本大震災が「想定外」とされたのは、その「東海地震」にばかり予算も人材も集中させ過ぎたからだという指摘もありましたなあ。観測装置も東海地震の発生地点に集中しているとも言われておりますが、大地震の予知研究と原発行政との間にも怪しいものがあるようです。地震学者は予算を獲得するために「予知」の価値を高く売り込むでしょうし、電力会社と政府は専門家の見識を尊重する振りをして責任を学者に負わせようとしていた節もあります。でも、東日本大震災で分かったように、いざとなったら全ては「想定外の天災」として処理され、誰も責任など取らないのであります。今、福島県には東電と政府を信じたことを悔いても悔やみ切れない声なき声が溢れているのですが……。


東海地震の警戒宣言が出た場合、同原発は停止されるが、予知が成功する保証はない。中部電力が平成19年に作成した津波評価では、安政東海地震(1854年)の6メートルを過去最大とした上で、数値計算により8メートルを想定。海岸沿いにある標高10~15メートルの砂丘を越えないため「安全」とした。しかし、大震災では国や電力業界の想定を大幅に超える巨大地震と津波が発生し、従来の評価法が未熟だったことを露呈。国の中央防災会議は南海トラフ沿いの大地震が3つ連動する可能性を視野に、巨大地震の想定を再検討する方針を決めており、浜岡原発の安全評価は揺らいでいる。ただ、こうした想定の見直しとリスクの再評価は、国が一定の判断基準を示した上で、すべての原発を対象に行うべきものだ。なぜ浜岡原発だけ停止すべきだと即断できるのか。首相の言葉からはその具体的な根拠は見えてこない。…… 

■「なぜ浜岡原発だけ……」なのか?それは震災後、ずっと菅アルイミ政権の痛いところを責め続けて売り上げをぐっと伸ばした週刊誌が書き立てていたからでしょう。特に『週刊ポスト』は政府がうっかり「真夏の大停電が起きるぞ!」と発表すると、東電の内部極秘資料を入手して「揚水発電と停止中の火力発電所の発電量」が意図的に外されていることを指摘。その取材過程でエネルギー庁と東電は掌を返したように「7月末の電力は大丈夫」と発表。さらに「菅官邸が隠した被曝データ6500枚」という特集記事を組めば、発売日直後に公開を始めているのですからなあ。週刊ポストと原発論争を繰り広げた『週刊現代』が4月30日号で「静岡・浜岡原発まるでフクシマ」という記事を掲載していたことを覚えている人々は、菅アルイミ首相が誰にも相談しないで「浜岡原発停止」を要請してしまった理由をすぐに推測できたのではないでしょうか?


収束の見通しが立たない福島第1原発の事故を教訓に、原発の地震・津波対策は抜本的な見直しが急務だ。しかし、稼働中の原発停止は電力需給バランスに支障が生じる懸念があるだけでなく、エネルギー政策の根幹にも関わる極めて重大な意思決定だ。首相は経済への影響など包括的な検討をどこまで行った上での判断だったのか、国民にきちんと説明すべきだろう。
2011年5月7日(土) 産経新聞 

■「国民にきちんと説明」することが最も苦手な菅アルイミ首相ですが、そのうち取り返しがつかない大混乱にでもなれば、参与の○○氏が言ったんだとか、海江田大臣が……などと言い出すかも知れませんなあ。鳩山サセテイタダク前総理が日本の防衛戦略をまったく持ち合わせていなかったのと同様に、菅アルイミ首相が国家の根幹に関わる「エネルギー政策」など持っている筈もなく、きっとテレビで原発反対を叫ぶデモ行進を観て懐かしい古巣の市民運動を思い出して即決したものと推察されます。でも、「原発は要らない!」と叫んでいる人達は決して「電気など要らない」とは言わないでしょうし、「子ども達を放射能から守れ!」と訴える人達も子ども達に真っ暗闇の夜を過ごさせたいと思っているわけでもないでしょう。安全なエネルギーを求めている人たちに応えるのなら、総理大臣として原発停止を要請する前に新しいエネルギー政策を国民に示すべきでしょうなあ。

市民運動を続ける菅総理? 其の壱

2011-05-07 16:55:37 | 政治
■東北の秋田や青森では桜が満開だと聞いても、何となく気の重い今年の黄金週間であります。大型連休が始まる前の4月26日は、四半世(25年)前の同日に旧ソ連のチェルノブイリ原発で、当時は文字通り「未曾有」「前代未聞」「空前絶後」の原子炉暴走・炉心爆発というトンデモない大事故が発生して、それまでは広島・長崎で採取された被曝データに基づいて何の役にも立たない安全基準が作られていたのでしたが、この大事故によって否が応でも新しい放射性物質に関する恐ろしいデータが掻き集められ、放射性ヨウ素と甲状腺癌との因果関係が初めて確認されるなど、決して目出度くはない知識が得られたのでした。

■放射性物質が乳幼児や妊産婦に与える影響に関する新たなデータが得られて各関係機関がせっせと安全基準を作ったものの、まだまだ未解明の部分も多いので解釈次第では安全にも危険にもなるグレー・ゾーンが残っておりました。専門家の中にも「最後は個人の自己責任だ!」と匙を投げてしまう声が出ているくらいですから、今の菅アルイミ政権に的確な判断を期待するのは土台無理な話なのでありましょうなあ。既に大地震・津波による天災とその後の東京電力と政府機関と総理大臣による「人災」とは違う!という悲しい事実が徐々に明らかになりつつあるようです。チェルノブイリで終わるはずだった原爆・原発の悲劇の歴史に「FUKUSHIMA」という地名が刻み込まれてしまったのは残念至極であります。

■そして連休が始まって5月3日の「憲法記念日」に、パキスタンでビン・ラディン殺害!の速報が流れて来たのであります。緊急事態に対応できない日本国憲法の欠陥が露呈して震災・原発事故に対応できずに右往左往するばかりの菅アルイミ首相は護憲派勢力の出身のはずですから、前政権が着手した憲法改正手続きの見直し作業など最初から引き継ぐつもりは毛頭なかったのでしょうが、平和憲法が前提としている国際信義など何処を探しても見付からない現状をどう考えているのやら……。そもそも民主党は政権交代のドサクサに紛れてインド洋での給油作業を打ち切って対テロ戦争から下りていますから、米国政府に対しても取って付けた様な評価と賛辞の言葉しか送れず、沖縄の基地移設問題を解決できぬまま震災後のトモダチ作戦の恩義を受ける外交的齟齬に、今度は対テロ戦争に関しても新たな矛盾を上乗せした格好になってしまいました。日本外交のお粗末さを裏打ちするようなウィキリークス発の恥ずかしい極秘情報が公表されまして、ますます日本の外交は面子を失い続けることになりそうです。

■新聞紙面には憲法改正に関する記事が散見されたものの、国民の目は原発から約5キロの福島県大熊町で行なわれた一時帰宅の予行演習に集まっておりました。白い防護服とマスク姿の自治体職員が緊張した面持ちでバスに乗り込む様子は、原発事故の影響の深刻さを改めて教えてくれました。どうして東京電力の職員が手伝いに参加しないのかいなあ?と思っていたら翌日の5月4日に清水社長御一行がひょっこり避難所を訪れて、数々の罵声を浴びせられてお決まりのエライ人が並んで土下座する虚しい儀式を強いられた由。5月4日は歴史的には何の意味もない「みどりの日」で、何でも自然環境を国民が身近に感じて考える「みどりの日の趣旨を広く普及し、緑豊かな自然と国土の形成及び国民生活の向上に資する」月間(4月15日~ 5月14日)の中核的意味を持っているそうなのですが、その日に福島第一原発が緑の農村地帯を汚染して住民を路頭に迷わせてしまった災厄を誰も収束させられない悲しい現実が再確認されてしまったようなものであります。

■5月5日の端午の節句(子どもの日)が過ぎて、連休気分を引きずって職場や学校に行く人も多かった6日の金曜日に、菅アルイミ首相から何とも唐突な「重大な発表」が飛び出しました。「後手、後手」と全国に非難の声が轟々と響いているのなら、今度は「先手」を打てば政権にしがみ付いていられると菅アルイミ首相は考えたのでありましょうが、これは「羹に懲りて膾を吹く」ようなもので、毎度の事ながら代替案も無ければ事後の対応策も皆無のまま、「浜岡原発を止める!」と言い出したから中部電力が電力を供給している各企業が蒼褪めるのも尤もな話であります。


6日夕、突然発表された中部電力浜岡原発の運転停止要請で、これまで環境問題やエネルギー安全保障の面から「化石燃料だけに依存できない」としてきた日本の原子力政策は真っ向から否定され、関係者に衝撃が走った。菅直人首相が自ら原発を捨て去ったことに、監督官庁の経済産業省幹部からも「海外に誤ったメッセージを送りかねない」との声が上がった。
「今まで実施してきた政策と矛盾する。(首相は運転停止の)根拠と考え方を示すべきだ」
日本原子力学会の沢田隆副会長はこう強調し、「浜岡原発は保安院に求められた対策へ手を打っている。このタイミングでの要請は不思議だ」と指摘する。エネルギー総合工学研究所・原子力工学センターの内藤正則部長も「すべての原発を止めるなら筋が通るが、なぜ浜岡原発だけなのか。対策を重ねることで、運転再開への理解が得られる」と批判する。…… 

■福島第一原発で起こった大事故の処理が終わるどころか、ますます出口が見えなくなって行くばかりで、被災住民は仕事と家と故郷を失うことを恐れ、関東一帯では真夏の電力不足の不安が募るばかりという時に、東京電力による補償問題さえ決着しないまま唐突に中部電力を相手に浜岡原発を止めろ!と言い出すのは、いささか八つ当たり気味の印象は拭えませんし、統治能力が無いのに新たな政治課題を背負い込んで、一体、菅アルイミ内閣は何をどうしようと言うのでしょうなあ?地道な努力をせずに次々に参考書や問題集を買い集める愚かな受験生のように見えるのですが、菅アルイミ首相としては孤立無援の官邸生活に耐えかねて、ととう自分の出自の市民運動を踏み台にして闇雲に支持率を上げようとでも思ったのでしょう。日本の総理大臣が反原発運動の先頭に立つことになろうとは、アノ政権交代劇の最中でさえ想像した人は居なかったのではないでしょうか?

■社会生活の基盤である電気エネルギーを安定的に確保する義務を負う総理大臣が、後先考えずに反原発運動のお先棒を担いで最高権力を振り回し始めたら、国民は夏も冬も節電・耐久生活を強いられることになるわけですが、それを承知で原発停止のドミノ現象が日本中を駆け巡ることを歓迎する人が大勢いるとは思えないのですが……。


東海地震が懸念される浜岡原発。今回、経産省原子力安全・保安院が「より一層の高い信頼性が求められる」と言及したように、「世界一危険な原発」などと指摘されてきた。だが、国などはそのたびに、「お墨付き」を与え続けた。浜岡原発をめぐる司法の場においても、平成19年10月の静岡地裁判決は「(国の)安全基準を満たせば、重要設備が同時故障することはおよそ考えられない」として原発反対派の住民側の請求を棄却した。中電は、東海地震の規模をマグニチュード(M)8クラスと想定し、耐震性や津波対策を考慮してきたが、技術評論家の桜井淳(きよし)氏は「停止判断は遅かったぐらいだ。想定を超える地震が実際に起き、条件は正当性を失った」とする。一方で、東京電力福島第1原発の事故を受けても、米国のオバマ大統領が推進政策の堅持を表明するなど、原子力推進という海外の流れは変わっていない。そのような中で発せられた「原発放棄」に、ある経産省幹部は「これまでの日本の原子力行政への信頼が失われ、誤ったメッセージを世界に送りかねない」と危惧を強めた。
2011年5月7日 産経ニュース 

■先の鳩山サセテイタダク首相時代に日米関係をぶっ壊しかけた事態に酷似した恣意的な政策転換の臭いがします。政権交代を錦の御旗にすれば外交やエネルギー政策の継続性を軽々と無視して国家の安全保障を台無しにしてしまっても構わないなどという暴挙は許されないのに、民主党政権はどこか幼児の暴力にも似た危うさが付きまとい続けているようであります。沖縄の米軍基地も危険な原発も、それなりに歴史的な経緯の中で生まれて存続して来たものですから、もしも大きな政策変換を試みるのならば国益とリスクを勘案して慎重に事を運ばねばなりますまい。

菅アルイミ政権の炉心溶融 其の伍

2011-04-27 11:16:43 | 政治
菅直人首相は26日の衆院予算委員会で、在日韓国人男性から受けた献金の返還について「弁護士が私に代わって(献金を)返した。こっそりやったとかではない」と説明した。首相は在日韓国人男性から自身の資金管理団体「草志会」に104万円の献金を受け、東日本大震災発生直後の3月14日に返金した。首相は返還の経緯について「弁護士が当事者(在日韓国人男性)と会い、公的な文書で国籍が日本でないと確認した」と語った。小野寺五典氏(自民)への答弁。
2011年4月26日(火) 毎日新聞 

■ご自身も地震・津波の被災者である小野寺議員は誰よりも被災地の実情を知っている立場の人ですから、本来ならこんな馬鹿馬鹿しい質問をしている場合ではなかったのですが、3月12日の朝に福島原発に乗り込んだ際に所轄大臣や次官は連れず、写真やビデオの撮影要員を自衛隊ヘリに同乗させていた危機感の薄さを指摘したことに続いて、よりによって3号機の建屋が爆発した3月14日という忌まわしい日に、前原前外相より多額の献金を外国人から受けて大震災直前まで進退窮まっていた管アルイミ首相が全国民の視線が爆発に集中しているタイミングを狙っていたかのように「こっそり」返金していた行為が、小野寺議員には納得し難いものだったのでありましょう。この質問を受けた段階でも、自分は献金主が外国人だと知らなかったと白を切り続けている管アルイミ首相ですが、震災前には各種週刊誌が献金した人物が相当の有名人であることや管アルイミ首相との濃密な付き合いから、首相が外国人だとは知らなかったはずはない!という状況証拠が積み上がっていたのでした。昔は得意だった「政治とカネ」の問題が自分の身に降り掛かったら、未曾有の災害を巨大な煙幕に利用して返金し、発表したのは1箇月近くも過ぎた4月8日、しかも「秘書が、秘書が」みたいに「弁護士センセイが、弁護士が」を連発した答弁は見苦しいだけでありましたなあ。


「政府は『想定外』という言葉をよく使うが、想定外といって政治が逃げることは断じて許されない」西岡武夫参院議長は26日、都内のホテルで講演し、東日本大震災や東京電力福島第1原発事故への対応をめぐり、菅直人首相や枝野幸男官房長官が「想定外」と連発したことに強い不快感を表明した。放射性物質を含む汚染水が事前通報なしに海に放出された問題については「国際的な犯罪だ」と断言。政府に震災や事故関連の会議が乱立したことにも「大きな方針は首相が示すべきだ。会議に丸投げすべきではない」と苦言を呈した。首相との面会を直前にキャンセルされたことも暴露。「聞く耳を持たないのは残念だ」と語った。
2011年 4月27日(水) 産経新聞 

■直近の民意である統一地方選の結果も世論調査の結果も、自分に都合の悪い内容だったら平然と無視してしまう管アルイミ首相ですから、ずっと耳の痛い苦言を参議院から発し続けている西岡議長の顔など見たくもないでしょう。「雑談」の相手になってくれて偶にはヒントもくれる参与に囲まれて精神安定を図っているような状態の首相が、理路整然と責任を追及する論客の西岡議長と対談などしようものなら、しょぼしょぼしている目から大量の涙が噴出し、口からは決して為政者が言ってはならない泣き言や八つ当たりが流れ出して収拾がつかなくなるでしょうからなあ。

■管アルイミ首相が「聞く耳を持たない」だけでなく、最も政府の真摯な言葉を待ち焦がれている被災者の皆さんの方が首相の言葉に聞く耳を持たなくなっているのは政治の悲劇と申せましょう。国会集中審議で首相が吊るし上げられている横で民主党内では「管は嫌いだ!」の薄汚れた怨念の旗を立てて「勉強会」が開かれた由。震災からの復興や原発事故の収束に関する「勉強」ならば分かりますが、勉強した内容は菅政権の邪魔をして苦境に追い詰めて総理大臣を辞めさせる方法だったようです。確かに現政権は絶望的に無能で混乱しておりますが、それは民主党という綱領も作れない寄り合い所帯の政党に染み付いている体質が原因ではないでしょうかな?

■勉強会では発起人の山岡賢次副代表が「座して死を待つわけには行かない!」と気勢を上げ、「国民の皆様が私の言葉に対して聞く耳を持たないなった」と言い残して辞任した前の総理大臣は「ポストを求め過ぎ、自らの仲間だけで行動し、国民の声が見えなくなっている」とか言ったそうですが、鳩山サセテイタダク政権の時から民主党の終わりは始まっていますし、鳩山サセテイタダク内閣も決して国民の声がよく見えていたとは誰も思っておりますまい。こうして民主党は身内の泥仕合を続けながら事故崩壊して行くのでしょうなあ。東日本の海岸も国会も同じで、残骸や瓦礫は大急ぎで片付けなければ被災地の復興も日本の政治の建て直しも出来ません。

福島県富岡町と川内村の住民が避難する郡山市の「ビッグパレットふくしま」。視察に訪れた菅直人首相は……午後1時半すぎに到着。バスから降りて出迎えた避難者に手を振りながら足早に館内へ。……
「何もできない。はっきりしない。何とも殺風景な男だったなあ」
「牛20頭を放して避難してきた。今さら来られてもねえ。本当は言いたいことがいっぱいあったんだけど」と冷ややかに首相一行を見つめた。
「にらみつけてやった。先見性がない首相だから原発を止められないのよ。福島県民をなめるな」
「……首相はみんなのそんな気持ちを分かっているのかしら」
首相は避難所の1区画で富岡町民と“対話”を行った。首相に詰め寄る人はなかったが、「すみませんって言うだけだったな」「首相に言っても何も変わらない」と感想は冷ややか。
他の区画は無言で握手だけして立ち去るケースが多かったという。80代の女性は「ニヤニヤして握手されたが、『頑張ってね』『体は大丈夫ですか』って言ってくれた方がよっぽどうれしかった」。
首相はこのあと、陸上自衛隊が実施している仮設浴場に立ち寄るなどして、記者団のインタビューに応じたが、地元記者の「県民の言いたいことは」という質問に対し、明確な謝罪の言葉はなかった。
2011年4月21日 産経ニュース 

■天皇皇后両陛下が細かい気遣いをなさりながら続けておられる慰めと元気付けの視察と比べられたら、政権の支持率がどんどん下がることを管アルイミ首相に教えてあげる人が居ないのか、最初から聞く耳を持たない首相は既に見限られているのか?かつてのお遍路パフォーマンスで苦境を脱した成功体験が窒息しそうな官邸で居た堪れなくなると頭の中にフラッシュバックして来て、居ても立ってもいられなくなって視察に飛び出してしまうのか?どちらにしても被災者の皆さんにとっては迷惑なだけでなく精神衛生上もよくない影響を及ぼすだけの視察などは止めて、少しは実のある法案をてきぱきと作って成立させて欲しいものでありますなあ。

空っぽな首相会見 其の七

2011-04-25 08:03:55 | 政治
■菅アルイミ首相は「自治体の皆さんともこの間、かなり丁寧にお話をして」と言いますが、「世界の100人」に選ばれた南相馬市長は正確な情報が入らず、現地の実情を政府に伝える方法も無かったと怒っているのですから、この「丁寧にお話」というのは解せない話であります。福島県知事を始め被災地の首長さん達は、この一言に激怒しているのではないでしょうか?誰も褒めてくれないから自分で自分を褒めて慰めたい気持は分からないではないのですが、公式な会見の場で倒錯的な自己弁護は慎んだ方がよいでしょうなあ。 

「……いろいろな課題がありますので。また、いろいろなことが進んだ後に、また新たな問題が生じてきているのがこの1カ月余りでありますので、どのような展開になると、すべて私が予測することは残念ながら不可能であります。しかし、東京電力の出した工程表は、私はしっかりと、国も含めて取り組めば、十分実現可能なものだと。このように考えております。さらに言えば、想定されるあらゆる事象に対しても、あらかじめ、こういう事象が生じた場合に、どうすべきか。まあ、こういったことについても、いろいろ、同時並行的に検証なり検討をしております。そういうやり方で、何とかこの工程表の中で、物事が進むように、全力を挙げるというのが政府の立場であります」…… 

■「東京電力が出した工程表」という言い方を繰り返している菅アルイミ首相は、先に「二正面作戦」の司令官としての立場を明言していたのですから、本来ならこの工程表は首相自身が発表して政府が責任を持つ意志を明確にすべきだ、と指摘する声があります。山ほど本部や会議を作ってしまったのも、参与を掻き集めるのも、東電に事故処理を丸投げして責任を押し付けてしまうのも、最終的な責任を一切取らないという菅アルイミ首相の悪い癖が引き起こしている悲劇のように思えます。「同時並行的に検証・検討」などという綱渡りみたいな作業を菅アルイミ内閣が出来るのか?「あらゆる事象」などとここでも抽象的な表現で逃げているようですから、とても復興に向けて政府が動いているとは思えませんなあ。


「復興構想会議の方には、6月末を一つのメドに考え方をまとめていただきたいということはお願いをしてあります。そのことと、それを踏まえてどのような形で、どのような規模の第2次補正を組むかということは、やはり、その内容などを含めてですね、その時点、あるいは、それに至る過程のなかで考えるべきことだと思っております。ですから、今の段階でそのメドが6月だから、国会をどうするという、そこまではまだ考えていないというか、まだその段階ではない。まずはこの国会で、1次補正と関連するいろいろな法案と、もともと、国会に提案しているいろいろな従来の課題を、しっかりとですね、国会で議論し、成立をさせていただくことが、まず今の課題です。その後について、今まだ申し上げる段階ではないと思います」 

■この会見の後、ガソリン価格に関する「トリガー条項」の凍結を巡って民主党内では骨肉相食む醜い権力闘争が始まってしまいました。何かと言うと「野党の皆さんの協力」に逃げ込む菅アルイミ首相ですが、正直に「小沢グループの皆さんの協力」を求めるのが先ではないでしょうか?党内で喧嘩ばかりしていて「危機の中の危機」を乗り越えられる筈もないのですから、まして大連立だの救国内閣だのと破れた大風呂敷を広げても誰も話しに乗っては来ないでしょう。「1次補正と関連するいろいろな法案」という最初の関門さえ無事に通過出来そうもない政府は、何がなんでも辞めない総理大臣に引きずり回されて疲れ果ててしまうかも知れません。既に財源問題で内閣不一致との報道も出始めているようですから、1次補正予算の成立を花道にして首相を辞任させるという話も現実味を帯びて来ましょうし、「6月末」に提出される復興構想会議の結論を受け取る首相は誰なのか?が民主党内で最大の議題になり兼ねない不穏な連休になりそうです。その間に東北の桜は悲しく散り、故郷から引きずり出されてしまった人たちは忘れ去られてしまう不安に耐えねばならなくなりそうです。

■国家の危機に首相を交代したら国際的な信頼が失われるぞ!という脅し文句もそろそろ賞味期限が過ぎてしまったようですから、政治家を選ぶ目がこれまでになく鋭くなっている有権者が天井知らずに増えている今こそ、解散総選挙の好機なのかも知れません。菅アルイミ内閣の存続を純粋に願っている人はほとんど居なくなっているようですからなあ。長々と付き合って読んで来た今回の首相会見が、菅アルイミ首相の最後の会見になるかも?
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空っぽな首相会見 其の伍

2011-04-24 07:40:50 | 政治
■ここから質疑応答になるのですが、相変わらずの暖簾に腕押し、蛙の面に水の状態だったようです。 

「まず実施本部のあり方については、過去の色々な例などは調べております。そのあり方そのものを含めてですね、できることなら野党の皆さんとも協議をして、形作って参りたいと。……呼びかけについては、連立を組んでおります国民新党の亀井代表の方から、自分もそうした、自由民主党や公明党など各党の皆さんが参加する形が望ましいと思うけれども、私に対して菅はどう思うか、ということを聞かれまして、いや、それは、そういう形が取れるものなら大変ありがたい。その方向に向けて亀井国民新党代表がご努力を頂けることは大変ありがたい。このように申し上げているところでありまして、そういうことを受けて、亀井代表がいろいろとご努力をしていただいていると、このように理解を致しております」…… 

■苦しい時の亀井頼み、苦し紛れの大臣増員について「バカ足すバカは、やっぱりバカ」と揶揄され、「菅が悪くても被災者に罪は無い!」とずばり言われても、野党対策を丸投げできるのは亀井代表しか居ないのでありましょう。民主党の幹事長は何をしているのでしょうなあ?


「……この大震災、加えて原子力災害事故ということで、それぞれ政務三役、これまでの平常時といいましょうか、大震災発生以前の仕事に加えて、大変、大きな仕事を抱えて、正に不眠不休でそれぞれ頑張っていただいております。そう言った意味で、現在の大臣やあるいは政務官、あるいは副大臣、補佐官というものは、法律で定員が決まっておりますので、できることなら、もう少しその定員を増やさせていただいて、それぞれの問題にさらに有能な方にそうした立場で加わっていただきたい。こういうことを考えております。その意味で、内閣法の改正について、自民党や公明党、各党の皆さんにもこの間、幹事長などを通してお話をしているところであります。まだ実現しておりませんが、ぜひとも、ご理解を頂ければと、こう思っております」

 「また、たくさんの本部があっていろいろ分かりにくいのではないかというご指摘があります。私は基本的にはですね、2正面作戦をやらざるを得ない状況にあるということについては、ぜひ、まずご理解を頂きたいと思います。つまりは、地震、津波というその自然災害、これに対しては緊急災害対策本部、法律に基づいて義務付けられたものを設置致しました。一方で、原子力の重大事故に対しても原子力災害特別措置法によって、法律で義務付けられた本部を設けました。それぞれの本部、一部に被災者支援などでダブる部分もありますけれども、例えば、補償の問題や色々な避難の問題のあり方については、それぞれ違った制度や違った意味を持っておりますので、そういう意味で、2つの大きな本部を設け、それぞれの下に、例えば避難のため、あるいは補償のため、それぞれのある意味での実行部隊を設けたところです。…… 

■この国難に際して仕事をサボっている役所は外務省を筆頭に数知れず、それもこれも首相になる前に「役人はオオバカ」と発言し、公約だった「政治主導」の意味を履き違えて独裁者気取りで何でもかんでも一人で抱え込んで自縄自縛状態になってパンクした菅アルイミ首相の下手くそな一人芝居が原因であります。新しい情報を持って説明・報告に来る官僚に「俺は聞いてないぞ!」と怒鳴り散らしてばかりいる菅アルイミ首相は自ら情報入手の手段を失い続けております。首相が知っている事ばかり報告していたら、何も新しい動きは出て来ませんから、複雑な「二正面作戦」の指揮を執ることなど夢のまた夢。


その名称が本部という形で重なっている関係もあって、あるいは皆さん方に複雑に見ているかもしれませんが、基本は2つの本部の下のいろいろな課題を取り組む、まあチームというか、プロジェクトチームのようなものと、このように理解を頂ければ、分かりやすいと思っております。それに加えて、党としてのいろいろな活動もありますので、その党の本部は、内閣の本部とは性格を異にいたしております。しかし、いずれにしても、かなり多岐にわたっておりますので、また、時期によっては状況が変わって参りますので、もう少し整理ができないかということで、現在、(枝野幸男)官房長官のところで整理をする方向で調整をしていただいております」……」 

■口が裂けても「組織を作り過ぎました」とは言えない首相は、組織の調整は官房長官に丸投げ。まるで玩具箱をひっくり返して後片付けできない馬鹿ガキみたいなものです。結果的には組織が濫立してしまいましたが、要は自己保身のためにポストを餌に勢力を拡大して党内抗争を少しでも有利にしておこうと思っただけのことで、その証拠に連日の会議が続いているのに何も具体的な対策が提案もされないし実行もされておりません。「船頭多くして船山に登る」とあちこちから皮肉られておりますが、少なくとも船を操る資質と能力がある人が参加しているのが前提ですから、菅アルイミ内閣丸に乗船しているのは乗客ばかりのような気がするのですが……。

空っぽな首相会見 其の四

2011-04-23 15:47:45 | 政治
■先日、海外の新聞、たったの7紙だけに遅すぎる「感謝のメッセージ」を掲載した菅アルイミ首相は、在外公館で情報発信の仕事をサボっているエライ役人達を叱り付けたとも聞きません。尖閣暴走衝突事件で開き直った「柳腰外交」の影響がこんな所にも残っているのかも知れませんが、日本は震災・原発事故の後、外交的に黒星が続いている原因は、外交らしい外交を行なったことのない未熟な政治家が総理大臣をやっているからなのでしょうなあ。 

「前回の会見において、過度ないろいろな催し物の自粛をやめて活気を取り戻すことが被災地の支援につながるということを申し上げました。しかしまだ一部には、自粛ムードが続いているようであります。そんな中で、私も視察に訪問しました(岩手県)陸前高田市では数百人のみなさんが集まる花見会が催されたと聞いております。がれきの中から見つけ出した太鼓が演奏されて被災者を元気付けたと聞いております。こうした集い、お祭りは古くからの地域の絆を強め、活気をもたらす上で、大変大事な行事であると思います」…… 

■ご自身が率先垂範して花見大会でも春祭りでも、何でも大々的に行なって見せたら宜しい。それが出来ないのは、やるべき仕事をしていない我が身を知ってか知らずか、国民から大変な反感を買ってしまうことを鋭い?嗅覚と皮膚感覚で知っているからではないでしょうかな?まして、挙党体制でイベントの開催を仕掛けたりすると、あちこちから造反グループが待ってましたとばかりに欠席者が続出し、別の場所で批判大会が始まってしまうこともきっとご存知なのでしょうなあ。海外向けのメッセージにも掲げられた「絆」の一文字を、こんな所に挿入していますが、漢字を使うチャイナでは「絆」は単なる物理的な結び付きの意味しかなく、日本語を知らない多くの人民は意味を曲解して腹を立てているという報道がありました。前の総理大臣と同様、今の総理大臣にも外務省は使いこなせないようです。


被災地では今後、仙台の七夕祭り、盛岡さんさ踊り、相馬野馬追など、こうした中ではあるけれども、いやこうした中であるからこそ、今年も開催する。そういう地域がどんどん出てきております。その勇気に敬意を表し、日本全国でこれらのお祭りを応援して参りたい。このように思っております。多くのみなさんが応援の気持ちを持って接している中で、一部に思いやりに欠けるような対応があるという指摘がありますが、そうしたことがないようにお互いに気をつけて参りたいということも国民のみなさんにお願いしておきたいと思います」…… 

■短い夏を精一杯楽しむための伝統的な祭りが多い東北ですが、このままでは菅アルイミ首相の元には一通も招待状が届かないでしょう。歯を食いしばって悲しみを忘れて祭りを楽しもうと努力している人たちの心が、一転、政府に対する憎悪を思い出してしまったら祭りの熱狂がどんな方向に暴走し始めるか分かりませんから、うっかりニヤニヤ参加などしていたら菅アルイミ首相の身に何が起こるか分かったものではありません。早く、被災地から心からの感謝と敬意を以って招待される有能なリーダーが日本に現れて欲しいものでありますなあ。きっと天皇皇后両陛下が御参加になれば、各地で万歳の声が満ちるに違いないのに……。


「来週からはまあ、連休で、今年は観光に出かけるのは控えようといわれている方も多いかもしれません。しかし、できることなら先ほど申し上げましたように、この東日本、東北におけるいろいろな催し物に参加をするために出かける。あるいはそうした地域で採れた野菜やあるいはお酒を買い、いろいろな民芸品を買って、それらの地域を元気付ける。中にはボランティアとして応援に行こうという方も多いのではないかと思います。どうかこのゴールデンウイークがそうした被災地のみなさんを元気付けるそういうゴールデンウイークになるよう、それぞれの立場で考え、行動していただくことを期待をいたしまして、私の話ということにさせていただきます」 

■こういう細々した事を熱心にねちねちと語るところが市民運動出身の総理大臣の本領発揮ということなのでしょうが、こんな事は担当大臣や官僚から発表させるなり、具体的なキャンペーンの形を取って実行されるべき項目であります。野菜・酒・民芸品などと国民に媚びるように、こんな物の名前だけは具体的で、政府として作らねばならない法律や条例の方は何一つ出て来ない。応援して貰った現地の業者は多少は喜ぶでしょうが、官邸でこんな事ばかり考えているのか?と疑問を持たれたら逆効果でしょうなあ。

空っぽな首相会見 其の六

2011-04-23 14:56:20 | 政治
 「……第1次の補正予算については、いわゆる国債ではなくて、従来のいろいろな支出項目を振り替えたり、そういう形で、提案を、概算の提案を致しております。その次の本格的な復興のための第2次の補正というものは相当の規模になるであろうと。……復興作業を進める上で、財源がないから作業が始められないといったことは決して望ましくありません。そういった意味では、必要な財源は一義的には、国債などの活用も含めて、そうしたものに充てていくということが必要になると思います。その前に、そうした国債などについて、どういう財源で、いつごろまでに償還をするのか。そういうことが、大きな議論として存在していることは、私も承知を致しております。……復興構想会議でも、いろいろと既に意見が出ているようでありますので、これからの議論に待ちたい。この場合には、将来に対するいろいろな見通し、あるいは、マーケットがどのように日本の国債市場を見ているか。そういったことも含めながら、しっかりとした議論をして参りたい。このように考えております」 

■実験を握って政府を動かしているのは財務省だと白状しているような答弁です。わざわざ「消費税」という言葉を避けて「財源」としか言わない。既に『マニフェスト』で謳った無駄使いの排除と特別会計の抜本的見直しによる財源の捻出という自慢の?秘策が破綻しているのですから、約束したバラマキ政策を実行するなら財務省の入れ知恵に乗って消費税の引き上げを模索するしかありますまい。経済音痴と言われている菅アルイミ首相が「国債市場」の動向にまで言及して、国債の暴落を回避するためには大増税が必要だという話に何としても持ち込みたい財務省の熱心な「御説明」が続いていることが覗えますなあ。何もしなかったけれど震災と原発事故を利用して消費税を引き上げた総理大臣として歴史に名を残そうと腹を括ったのか?
 

「……いろんな支援に対するお礼の意味を込めた広告を、各国の新聞などに掲載をお願いしました。まず、私の書いた文章を、各国の新聞に寄稿致しまして、かなりの新聞などが、それを載せてくれております。その中で、日本というこの国が、たとえば食べ物などにおいても、危ない物は市場には出していない。そういったことを含めて、その安全性について理解を求める、そういったことも行っております。これからもさらに、そういった外国から来ていただくことによる発信も大変ありがたいわけですけれども、もちろん、わが国自身のいろいろな機会を通しての発信を強く進めて参りたい。こう思っております」 

■感謝のメッセージを掲載したのは「かなりの新聞」ではありません。震災から1か月の2011年4月11日付けの外国紙に掲載されたのは事実ですが、翻訳された言語はたったの五箇国語で、国際英字紙「インターナショナル・ヘラルドトリビューン」、米紙ウォールストリートジャーナル、英紙フィナンシャル・タイムズ、韓国の朝鮮日報、中国共産党機関紙の人民日報など7紙は有料広告として掲載。その後、シンガポール。ベトナム、ミャンマーから「無料でも掲載したい」との申し出があったと報道されています。今回の震災(人災)に対して支援を申し出てくれたのは「142カ国・地域及び39国際機関」と外務省の公式HPに出ております。
送られた物資・寄付金を見れば、どうして7紙だけなんだ?と首を傾げてしまいます。

■この件につきましては、4月15日のラジオ文化放送で佐藤優氏が怒りの解説をしておりましたなあ。ロシアの日本大使館は築地からマグロの大トロを空輸させる金は惜しまないのに、菅アルイミ首相の感謝メッセージを新聞に掲載するカネは出し惜しむ!とのことでした。他の国々の出先機関を似たようなものなのでしょう。少なくとも外交に関しては、菅アルイミ内閣の「政治主導」は有名無実。菅アルイミ首相を震源地とする風評被害はこれからも退陣まで続きそうですし、海外の出先機関が正確な情報を広める努力をする可能性は非常に少ないと思われます。従って、これからも出所不明のトンデモ情報が世界中を駆け巡り続けるのでしょうなあ。

■海外雑誌の「世界に最も影響力をもつ100人」に選ばれたのが菅アルイミ首相ではなく、政府の無策を嘆き日本政府でなく世界に向かって救援を訴えた南相馬市長だったという事実の重さが菅アルイミ首相には分からないようです。
 

「……福島第1原子力発電所から20キロの範囲については、かなり早い段階で避難区域という形で指定を致しました。これは基本的には、その中に行っていただくと、健康上の問題が生じる可能性があるので、避難をしていただきたいという要請であります。それに対して、今回の警戒区域は、法律に基づくという意味で、確かに法律上の罰則規定といったものがありますけれども、基本的な考え方は、この範囲は住民の皆さんの健康や安全を考えると、避難をしていただいていなければならないという考え方では、特に変わったわけではありません」 

■地形も風も考慮せずに地図上にコンパスで描いた20キロ圏には、それ以上大きくすると避難者を収容する場所も支援する予算も足りない!と総務省あたりの泣き言が受け入れられたという本末転倒の話が隠されていると某週刊誌がすっぱ抜いております。日本に限らず世界中からガイガーカウンターを掻き集めて正確な汚染状況を迅速に調べてデータ化して公表するという作業を怠ったばかりに、世界中から疑惑の目で見られてしまった日本の信頼を取り戻すのは難しいかも知れません。20キロ圏が1箇月余で30キロプラス北西部へと危険地域が広がるというのは不思議な話であります。事故が収束に向かっているのなら安全圏が徐々に広がって行かねばなりません。突然の指示に困惑している現地の人たちにとっては「一から危険だったんだ?」という疑問が消えないでしょう。


「実際にはですね、この間は、自分の家に帰っておられた方もある程度おられたようでありますけれども、基本的にはそのことは、説得してですね、いきたい。法律があるからすぐに何か強硬な規定、そうしたものを、規定をですね、適用して、強制力を行使するということではなくて、基本的には説得をするという形で対応したい。今日、原子力安全・保安院長とも、そういう話を致しました。……その地域に住んでおられる皆さんが、一時的に自宅に戻って、必要なものを取り出してくることができるような、そういう態勢を今から順次進めて参りますので、……確かに家畜とか、ペットとか、そういった問題もあり、本当にご不便をかけ、あるいはご迷惑をおかけしますけれども、自治体の皆さんともこの間、かなり丁寧にお話をして参りましたので、今申し上げたようなこともご理解いただければ、多くの住民の皆さんにとっては、そうした形の方が安心できる形ということでご理解いただけるものと思っております」 

■東電もそうですが「御迷惑」という言葉を使ってもよいのでしょうか?子供が隣近所の窓ガラスを割ったとか、壁に落書きしたような他愛の無い話ではないのですから、他の言葉を使えないものか?と謝罪の場面を観る度に思います。何百年も暮らしていた「場所」を失うかも知れない。偶々、東電の原発が近くにあったというだけで、自分の故郷がチェルノブイリと並んで歴史に刻み込まれることになった。それが「御迷惑と御心配」なのか?どうも言葉が現実と乖離しているような気がしてなりませんなあ。

空っぽな首相会見 其の参

2011-04-23 14:54:35 | 政治
「そして、この2つの危機に対して、同時に、この危機を解決していくことが、今、私たちに求められておりますし、もっと言えば、この復興ということは、大震災を契機に、多くの国民が、自分たちが何とかしなければという思いを強くしていただいている。その思いを本当に力に変えて、この復興をバネにして、もともとの危機を含めて、2つの危機を乗り越えていく。つまり、日本再生が東日本の復興を支え、一方では東日本の復興が日本の再生のさきがけとなる。こういう形で推し進めてまいりたいと考えております」…… 

■震災と原発事故の危機を首相が(現場で邪魔することではなく)先頭に立って解決すべき時は「今」ではなく1箇月以上も前のことでした。この40余日の間、総理大臣は何をしていたのでしょうなあ?「復興をバネにして」既存の危機も解決するとは、随分と虫の良い皮算用であります。そんなことが出来たら凄いことでありますが、それを実行できそうな人が民主党内には見当たりません。「日本再生が東日本の復興を支え、一方では東日本の復興が日本の再生のさきがけとなる」という無内容な名調子は、菅アルイミ首相自身ではなく作文の上手な役人が思いついたような印象がありますなあ。

■「多くの国民が、自分達が何とかしなければ」と切羽詰った思いに駆られているのは、首相・政府が何もしないからであります。「その思い」が自分に向かって牙を剥かないように、倒閣や反政府の方向ではなく復興のための「力に変えて」しまえば、自分の政権は安泰という稚拙な計算かも?


「……マクロ経済面を含めた今後の日本再生の全体的方針を提示をするため、まあ連休明けには、本日も朝、行いました、経済の見通しを立てる会議を通して、全体の方向性もお示し、大きな方向性をお示しできるようにしたい。このように考えております。そして、こうした復興構想会議の努力やマクロ経済の見通しなどを踏まえて、いよいよ復興そのものを実施していく態勢、仮称ではありますけれども、復興実施本部というものを検討しなければなりません。この大きな復興には、自由民主党や公明党など各党のご協力が不可欠だと考えております。この復興実施本部について、ぜひともこうした自民党公明党はじめ、各政党のご協力をお願いしてまいりたいと考えております」…… 

■復興予算とマクロ経済政策とをどさくさ紛れに貼り合わせれば、出て来る答えは消費税の上積みと各種の実質的な増税だけでしょう。それを国難・危機を便利なバネにして野党にも責任を押し付けてネジレ国会を乗り切ってしまおうと菅アルイミ首相は財務省のシナリオ通りに踊って吼えているとしか思えませんなあ。


「そして、今回の大震災で亡くなられた皆さん、私はその皆さんが声なき願いを、私たちに強く伝えていただいているように思えてなりません。それは、生き残った皆さんが、私たちが、力を合わせてすばらしい日本をつくってほしい、こういった願いだ、このように思っております。私自身、この大震災のときに総理という立場にあった、一つの宿命だと受け止めておりまして、こうした亡くなられた皆さんの、その願いを実現するために、私に持てるすべての力を、全身全霊振り絞ってその実現に向けて頑張りたい、この気持ちを改めて強くいたしているところであります」  

■菅アルイミ首相にとっては「宿命」かも知れませんが、うっかり政権交代を実現させてしまった有権者としては、「悪夢」であり「不運」であります。日本の憲政史上最悪最低の首相と言う不名誉な地位が確定していた鳩山サセテイタダク前総理が、今となっては本当の最低最悪ではなかった!という恐ろしい事実に気が付かされた国民は、日々、絶望感を強めて得体の知れない不安の中で苛立ち、楽しくない生活に耐えております。被災地でもない場所でも重苦しい将来への不安が渦巻いているのですから、被災地で愚かな政府に翻弄され続けておられる皆さんの御心痛は如何ばかりかと悲しい怒りがこみ上げるのであります。
 

「……各国からのわが国に対する支援、あるいは激励は続いております。先日はクリントン・アメリカ国務長官がわざわざお見舞いと表敬に立ち寄っていただきました。昨日はオーストラリアのギラード首相が来られ、明日、オーストラリアの救援隊が救援活動を行った地域に自ら足を運んでいただく予定になっております。本日はOECD(経済協力開発機構)のグリア事務総長とも意見交換をいたしました。こういう皆さんが、わざわざこの時期、日本に駆けつけていただいて、激励をいただく、そして日本は必ず再生する、そういう強いメッセージを世界に発信していただく。さらには日本でいろいろな地域を視察をすることを通して、日本が決してある部分を除いては安心して外国人も来ても大丈夫なんだ、いろんなものを食べても大丈夫なんだ、そういうことを発信していただいていると思っておりまして、特にそうした発信がわが国を助ける本当に大きな機会になる。改めて感謝を申し上げたいと思っております。いずれにしても、そういったみなさんの期待に応えて、原発事故も含め開かれた形で国際社会と共同して復興と再生を進め参りたいと思います」 

■開いた口が塞がらない!対外的な情報発信は菅アルイミ首相の重要な役割であります。それを外国の要人に丸投げして感謝していてどうするのでしょう?そもそもクリントン国務長官が来日したのは決して「表敬」の意味などありません。表敬とは敬意を表するという意味ですから、原発事故の発生当初、米国からさまざまな助言や援助の申し出を受けながら事態の深刻さを過小評価し続けて事故を巨大な政治的人災に変えてしまった愚かな総理の、一体、どこに敬意を表わすべき要素があるのでしょう?米国務長官としてはオバマ政権が進める原発政策が受けるダメージを最小限に抑えることと、東アジア地域における米軍の存在感が増したことを周辺諸国に念押しするために来日したに違いないのですから、「お見舞い」などという軽々しい行動ではないでしょう。