犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム建設反対運動記録集ができた!

2019年09月10日 | 辰巳ダム
2017(平成29)年2月に最高裁の判断がくだされた後、記録集作成委員会で議論をしながら、進めてきた冊子『辰巳ダム建設反対運動記録集』がやっとできた。

1979(昭和54)年に金沢大学の先生が問題提起され、文化遺産である辰巳用水東岩取水口地点にダム本体が建設される計画であったことから、事業主体の石川県と学識者を中心とした住民との対話、並行して共有地によるダム反対運動も行われ、多くの金沢市民も参加するダム反対運動に発展した。石川県も一時、中止の動きを見せたが、紆余曲折があり、ダム本体建設に着手することが決定され、ダム湖にかかる共有地を収用するための手続きにより、2007(平成19)年11月に北陸地方整備局が事業認定処分を下した。この事業認定処分取消を求めて、2008(平成20)年5月に提訴することになり、2017(平成29)年2月の裁判終結まで合計で約9年間を要した。その後、辰巳ダム建設反対運動記録集作成委員会を設置して記録集の作成を続け、2019年(令和元)年8月に刊行した。

冊子のタイトルは、「うつくしき川は流れたり」として、辰巳ダム建設反対運動記録集は副題とした。
犀川のたもとで幼少期を過ごした室生犀星の抒情詩から拝借した。詩の転載等について、許諾、申請の必要はないとのことであったが、室生犀星記念館の室生洲々子さんに了解をお願いした。

ダムは建設されたが、辰巳ダム問題にかかわり、犀川の自然環境と辰巳用水の文化遺産の保護にとり組み、辰巳ダム建設反対運動を続けてきた我々の活動は無駄ではなかった。
空ダム(治水専用)に変更され、ダム位置も変更された(辰巳用水東岩取水口を避けて上流へ移動)。常時は水を貯めないので犀川本流の水の汚濁を防ぎ、文化遺産である東岩取水口も取り敢えずは破壊をまぬがれた。
辰巳の自然、辰巳用水東岩取水口をまもり、ひいては犀川の保全の一助となった。
いまもその川ながれ、うつくしき川は流れたり。

追伸:
 記録集は、国会図書館、石川県内の公立図書館に寄贈してありますので、閲覧/貸出ができます。
また、余部がありますので、記録集をご希望の方は以下へご連絡下さい。
犀川の河川整備を考える会 中登史紀(ナカ トシキ)
 メールアドレス:naka@nakaco.com
なお、頒価(500円)、郵送代(360円)です。

『記録集』の目次の紹介
はじめに    1
特別寄稿「公共事業と環境問題」               ・・・・宮本憲一 3
意見陳述書「辰巳ダム裁判控訴審最終意見陳述(2015年7月6日)」・・・・碇山洋  7
第1部
第1章 犀川の治水と辰巳ダム 11
第2章 辰巳用水保護・犀川峡谷自然環境保護とダム反対運動 20
第3章 合理的な治水政策を求めるダム反対運動 31
第4章 治水を中心に据えた裁判闘争 63
第5章 辰巳ダム反対運動の成果と残された課題 101
第2部
第6章 私と辰巳ダム反対運動 109
私と辰巳ダム反対運動(その1)
私と辰巳ダム反対運動(その2)
第7章 ダム反対運動にかかわって――専門家の立場から 119
第8章 辰巳ダムからみる私たちの社会  ・・・・・・  碇山洋 123
【私論】(千年確率の)洪水浸水想定区域図について ・・・・・・ 中登史紀 164
コラムA.平成20年・浅野川洪水の原因は辰巳ダムだ!――浅野川放水路という「切り札」を切り損なった
コラムB.虚構の文化財保護審議会答申
コラムC.北陸電力送電鉄塔移設の隠された理由
コラムD.「カチ殺せ」――現職県会議員の公式質問で出た暴言、背景には利権がらみの癒着
コラムE.治水ダムの根拠である基本高水の決定が、「既往最大洪水」主義から「確率」主義へ変わった
コラムF.辰巳ダムのマジック
コラムG.辰巳ダムの建設業者は13年も前に決まっていた ―― 巨大公共土木事業をめぐる政官業の癒着
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