石川県作成の報告書等の『記録集』への転載あるいは引用
――著作権法に関連して――
辰巳ダム建設反対運動の『記録集』の作成にあたって、石川県作成の報告書の引用、転載について法的問題を調べ、石川県にも確認した。
(著作権とは)
著作権とは、著作物を創作する著作者の権利である。その内容は、著作物の公表権、氏名表示権、複製権、口述権などである。他人が、勝手に公表したり、複製したりできない。著作権法によって著作者の権利が保護されている。
(県作成の技術報告書に著作権があるか)
石川県が作成する報告書等は、著作権法による著作物に該当する。
著作権法の第10条(著作物の例示)によれば、
「一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物」、「六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物」、「九 プログラムの著作物」のいずれかに該当する。
石川県担当者によれば、著作権法を所管している「文化庁長官官房著作権課」に問い合わせ、地方公共団体作成の報告書にも(団体の)著作権は認められることを確認したとのこと。
(著作権の制限はあり、著作物の引用はできる)
著作者の権利の制限はある。研究その他で、引用の目的上の正当な範囲で、著作物の引用はできる。
著作権法第三二条(引用)では、「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」とある。
(引用した場合は)
ただし、引用した場合は、著作権法第48条(出所の明示)の規定により、著作物の出所の明示が必要である。
(転載をできる場合がある)
文章の一部を引用するのではなく、文章や図表、写真等をゴソッと転載もできる場合がある。
辰巳ダム計画の例では、犀川水系河川整備基本方針を策定するために、有識者による犀川水系河川整備検討委員会が公開で開催された際に関係者、マスコミ等に関連資料が配布された。また、犀川水系河川整備計画を策定するために、有識者による犀川水系流域委員会が公開で開催された際にも同様に関係者、マスコミ等に関連資料が配布された。この資料は、一般に周知させることを目的として作成されたものであり、その著作の名義の下に公表された資料等であるから、転載することができる。
著作権法第32条(引用)2項によれば、「国若しくは地方公共団体(中略)が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りではない。」とある。
この場合も、出所の明示が必要である。
(著作権はいつまで有効か)
著作権法第51条によれば、著作者の死後50年を経過するまでの間である。地方公共団体の場合、半永久的に存続するのでこの概念は当てはまらない。第53条によれば、著作物の公表後50年である。
【参考】『記録集』に関連する「著作権法」の条文
(目的)第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
(定義)第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
二 著作者 著作物を創作する者をいう。
三~ (略)
第一節 著作物
(著作物の例示)第一〇条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。3 第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。
第二節 著作者
(職務上作成する著作物の著作者)第一五条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
(引用)第三二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。2 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。
(出所の明示)第四八条 次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。
第四節 保護期間
(保護期間の原則)第五一条 著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。2 著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。
(団体名義の著作物の保護期間)第五三条 法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年(その著作物がその創作後五十年以内に公表されなかつたときは、その創作後五十年)を経過するまでの間、存続する。
――著作権法に関連して――
辰巳ダム建設反対運動の『記録集』の作成にあたって、石川県作成の報告書の引用、転載について法的問題を調べ、石川県にも確認した。
(著作権とは)
著作権とは、著作物を創作する著作者の権利である。その内容は、著作物の公表権、氏名表示権、複製権、口述権などである。他人が、勝手に公表したり、複製したりできない。著作権法によって著作者の権利が保護されている。
(県作成の技術報告書に著作権があるか)
石川県が作成する報告書等は、著作権法による著作物に該当する。
著作権法の第10条(著作物の例示)によれば、
「一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物」、「六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物」、「九 プログラムの著作物」のいずれかに該当する。
石川県担当者によれば、著作権法を所管している「文化庁長官官房著作権課」に問い合わせ、地方公共団体作成の報告書にも(団体の)著作権は認められることを確認したとのこと。
(著作権の制限はあり、著作物の引用はできる)
著作者の権利の制限はある。研究その他で、引用の目的上の正当な範囲で、著作物の引用はできる。
著作権法第三二条(引用)では、「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」とある。
(引用した場合は)
ただし、引用した場合は、著作権法第48条(出所の明示)の規定により、著作物の出所の明示が必要である。
(転載をできる場合がある)
文章の一部を引用するのではなく、文章や図表、写真等をゴソッと転載もできる場合がある。
辰巳ダム計画の例では、犀川水系河川整備基本方針を策定するために、有識者による犀川水系河川整備検討委員会が公開で開催された際に関係者、マスコミ等に関連資料が配布された。また、犀川水系河川整備計画を策定するために、有識者による犀川水系流域委員会が公開で開催された際にも同様に関係者、マスコミ等に関連資料が配布された。この資料は、一般に周知させることを目的として作成されたものであり、その著作の名義の下に公表された資料等であるから、転載することができる。
著作権法第32条(引用)2項によれば、「国若しくは地方公共団体(中略)が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りではない。」とある。
この場合も、出所の明示が必要である。
(著作権はいつまで有効か)
著作権法第51条によれば、著作者の死後50年を経過するまでの間である。地方公共団体の場合、半永久的に存続するのでこの概念は当てはまらない。第53条によれば、著作物の公表後50年である。
【参考】『記録集』に関連する「著作権法」の条文
(目的)第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
(定義)第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
二 著作者 著作物を創作する者をいう。
三~ (略)
第一節 著作物
(著作物の例示)第一〇条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。3 第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。
第二節 著作者
(職務上作成する著作物の著作者)第一五条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
(引用)第三二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。2 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。
(出所の明示)第四八条 次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。
第四節 保護期間
(保護期間の原則)第五一条 著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。2 著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。
(団体名義の著作物の保護期間)第五三条 法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年(その著作物がその創作後五十年以内に公表されなかつたときは、その創作後五十年)を経過するまでの間、存続する。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます