犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

八ッ場ダムは利根川を救ったと単純に信じるのは間違い

2019年10月19日 | ダム問題
 台風19号がもたらした豪雨を受けとめた八ッ場ダムを、利根川を洪水氾濫から救ったと単純に信じるのは間違いである。今回の洪水流量に関するデータをまったく確認していないが、手許にあるデータだけで説明する。

【データ】
①利根川の流域面積: 16,840km2
②八ッ場ダムが築造されている利根川支流吾妻川の流域面積:1,356km2
③八ッ場ダムの集水面積: 711km2

【計算】
甲: 八ッ場ダム集水面積の吾妻川の流域面積に対する割合=③/②=52%
乙: 八ッ場ダム集水面積の利根川の流域面積に対する割合=③/①=4%

 ダムは、集水面積の範囲の降水による流量をダム湖に一時的に貯留することで流量のピークを抑制する、つまり、集水面積の内に降る雨水だけをコントロールしている。コントロールする量が小さければ効果が少ない。流量は面積に比例すると仮定してほぼ間違いない。

【評価】
 甲の数値から、流域の約半分の区域のピーク流量を半減させるとすると、吾妻川の末端でピーク流量を3/4まで低減できることになる。
 乙の数値から、4%の区域のピーク流量を半減させるとすると、利根川の末端でピーク流量を2%低減できることになる。ただし、今回は、試験湛水で全量貯留していたので、4%低減したことになる。河道の水深を5mと仮定すると、2%で10センチ、4%で20センチである。

【結論】
 甲の数値から、八ッ場ダム下流の吾妻川は、洪水氾濫防御に対する効果はある。
 乙の数値から、利根川本流に対する八ッ場ダムの治水効果は著しく小さい。
 大河川の治水ダムの効果は、この程度であり、過大に評価するべきではなく、莫大な費用と時間をかけて実施することには疑問がある。
 利根川水系に八ッ場ダムを10カ所ほど造れば明らかな効果があるだろうが。
 
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