犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム>難産の辰巳ダム建設反対運動記録集ができそうだ

2018年06月22日 | 辰巳ダム
 難産の辰巳ダム建設反対運動記録集ができそうだ。
 1979(昭和54)年から今日まで38年間、土木技術者として「辰巳ダム」に関わり、考えてきたことは、社会の富が増えて豊かになったかということである。土木技術者は、橋、道路、水道などの社会資本の整備にたずさわり、使命は、社会資本という富を増加して人々の生活を豊かにすることである。
 明治のキリスト教思想家である内村鑑三は、土木事業を見ることが非常に好きで「土木事業は永遠の喜びと富とを後生に遺すこと」だと講話した。土木構造物が子々孫々に永遠の富を与え続けてくれるから、土木事業をするのである。
 藩政期のエンジニア・板屋兵四郎は、「辰巳用水」を造り、数百年にわたり絶えることなく城下町金沢に用水を供給することに貢献した。「辰巳用水」は良い土木事業の典型である。
 一方、「辰巳ダム」は辰巳の自然と文化遺産を毀損した上に無用な財政負担を後世世代へ背負わせ続ける、悪い土木事業の典型である。富をもたらすどころか、すでに辰巳ダム建設が洪水を引き起こした。平成20年の浅野川水害の原因は、辰巳ダム建設に拘泥して33年前に完成していた浅野川放水路という切り札を切り損なったためである。これがフルに稼働すれば、犀川も浅野川も洪水氾濫はなく安全のはずだった。ところが、この放水路が完成してまもなく、さらにもう一つダム(辰巳ダム)を造らないと犀川が安全ではないと石川県が主張し始め、犀川を人質にとったことが災いして浅野川放水路の全稼働が妨げられた。これが浅野川水害の本当の姿である。
 辰巳ダム裁判において、辰巳ダムの技術的根拠である「(有史以来発生したことのないような)過大な基本高水」を最大争点として争い、敗訴はしたが、「法的根拠」があっても「技術的根拠」が薄弱であることが明らかにされた。無駄で無用な公共土木事業が実現しないようにするため、この「記録集」が役立つと思う。
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