「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

日本と世界のリアル状況確認と僕の思索を書き留めるブログ。
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「福島は絶望しかない」厚労省技官に言われた男性、身近でバセドウ病と突然死。大阪ガレキ実験に疑問。

2012-10-11 00:11:50 | 福島第一原発と放射能
 
 最近、僕のところに、電話で話す方の内容は、前と違ってきたと僕は思っています。はっきりいって、心配性の上にも、心配を重ねるお電話の類と言うよりも、だんだんいろんな意味で落ち着いて情報収集を続けてきていて、この話を何段にも何段にも思考してきている。状況確認に複数ソースでしていて、このリスクをどう考えるのかという事をさらに精密に思考している方が多いです。精密な思考を重ねれば重ねるほど、答えが正答に近づく類では本質的にはありませんが。しかし、こうした思考スタイルの方たちは、社会的に立場もあり、常識的な立ち位置も踏まえて、対応する方たちが多くなっています。こうした群の人々が、僕にアクセスをとられるのは、いろんなリスク回避をおこなってきて、首都圏での生活を継続できないのかと、考えてこられていたようですが(生活上の理由)、それを果たして継続できるのかという合理的な疑義を持ち始めていて、その過程の中で、僕に初めてアクセスしてくるような方たちです。たぶん、これまでは、僕のブログの読者として、読んでいたただけだったのが、自分や身近で、リアルに感じることがおきはじめたときに、アクセスをされているようです。「自分や身近にリスクを感じる事」が大きなポイントになっています。
 
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 木下様の昨年よりの精力的な活動をいつもブログを通じ拝見しております。
 
先日、状況報告をさせていただき、メールのご依頼がありましたので、ご連絡いたしました。
 
一人目は、さいたま市在住の親族の女性で、40代前半です。夫、子供二人の4人家族。
疲れやすく、近所のクリニックで受診したところ、紹介状をもらい、大きな病院へ行き精密検査。
その結果、バセドー病との診断を先日うけました。
 
私の家(横浜市)は、3月14日に大阪に避難し、月末まで過ごしました。
彼女らにも避難を勧めましたが、
大丈夫と聞き入れられず、そのまま普段どおりの生活をしていました。食材等も、普通に気にせず暮らしているみたいです。
特に食べて応援などはしていません。
 
私としては、二人の子供たちが心配なので、すぐに子供たちも検査をすすめました。
結果がわかれば、また報告させて頂きます。
近い親戚に甲状腺障害がでて、どちらかというと楽観的な妻も深刻な状況を理解してきました。
 
二人目は、仕事関係の40歳の役員(男性)が、心不全で急死した例です。
横浜の緑園都市在住。既往症なし。普段どおり仕事をし、家についてしばらくして、具合が悪くなり、救急車で病院へ。
そのまま、翌日死去したそうです。死因は、心不全とされています。
 
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 この方は、電話でお話ししましたが、いろんな医療関係のお仕事をされていて、お付き合いもあるようです。そのなかでは、こんな話もありました。「知人の厚労省の医療技官と話すと、福島は絶望しかないと、話していました。何が、どうのと、彼らが細かく言うわけではないのですが、普通にデータを見ていくだけで厳しい状況があり、医療的なことも認識のある彼らですから、わかっているんだろうな」と。
「木下さん、僕は一度初期に逃げて、家族も初期被曝は避けられました。反原発とかそんな感覚があったわけでなく、広瀬さんの『危険な話』を読んでいて、最低限の情報知識があった。だから、14日に、新幹線に乗るときに、なんですいているのだろうと思いましたよ。それでも、戻ってきて、気を付ければ生活できないのかと思っていました。体調不良も特にないし、なんとかならないか。」こう彼は話します。「それでも、身近にすこしずついろんなことがおきたのは、感じるものがあります。甲状腺の疾病も偶然かもしれないけど、身近な親族で突然おきる。知人で、しかもまだ若い人、壮健な人が突然死することは、僕の人生ではこれまで全くなかったこと。これも偶然かもしれないけど、偶然と片付けられない思いがあります。」とも。
 さらにこういわれます。「首都圏でなくて、もっと高濃度に汚染されている北関東のホットスポットがあります。ここの関係者との仕事があるんですが、このところ時間の約束が守られたためしがないんです。というか、前日に約束しても本人が来ていないことはあたりまえ。しかも日時の間違いのみならず、約束したことも忘れている。前日に電話でこちらが依頼されているのに。10回のうち8回くらいはそんな感じです。いくらなんでも、おかしいと思っています。」
 「おかしいことがおきていても、おかしいと感じにくいのがビジネスの世界です。微妙なずれは済ませてしまいます。でも、これは、あきらかにおかしいから、認識できる事案。こういう話はなかなかしないです。もちろん、その個人が別の理由でおかしくなっている可能性も否定できませんが、でも通常ありえない話です。」
 
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僕は、講演依頼やいろんな形での実務ベースのご依頼は、まずメールを頂き、お電話でお話しするスタイルにしています。もちろん、近隣においでいただけるなら、お会い致します。お名前と所属、内容を明記してメールください。

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金沢講演はいよいよ今週末!!

【10/13(土) 木下黄太講演 IN 金沢】

★☆★~ 大丈夫?! 震災ガレキの埋め立て ?? ~★☆★

日時:10月13日(土)14時~16時(13:30開場)

会場:金沢歌劇座 大集会室
(下本多町六番 )

参加費:500円(前売りチケットあります)

予約アドレス→d-t-r-s@mail.bbexcite.jpにメールを。お名前、連絡先電話番号、参加人数を明記してください。

主催:子どもたちを放射能から守る石川の会  共催:そらまめクラブ、わらべうたとえんげきの広場

*お車の方は、周辺の有料駐車場をご利用ください。
*会場内後方に、キッズスペース、授乳スペースあります。

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ヘレン・カルディコット博士のセミナー受付状況

東京・京都とも会場変更をおこないます。詳細は後日。

11/18(日)東京医師&専門家向けセミナー 9時半から15時半(受付9時より) 定員140席予定

開催場所  東京・御茶ノ水にある会場に変更調整中。(来週前半に詳細場所を出します。)
 
 申し込みが定員を大きく上回り、46人の方が、ウェイティング。全部で106人の申し込み。会場変更の作業を継続。御茶ノ水で折衝しています。140人規模の会場。詳細は、来週にお伝えします。その場合も申し込み順の対応になりますので、参加希望の方は、申し込み手続きは、今から、早めに行って下さい。なお、すでに申し込み済みの方は、会場変更になりました場合は、その旨は、ご了解ください。
 
 
 
11/25(日)京都医師&専門家向けセミナー 9時半から15時半(受付9時より) 定員120席予定
 
開催場所  京都市、西大路五条付近の会場に変更調整中。(明日以降に詳細場所を出します。)

 申し込みが京都は75人を超えましたので、こちらも会場を変更を致します。 この場合、利便性がやや不便な場所になる可能性がありますので、その旨、ご了解ください。烏丸五条から西大路五条付近になる可能性です。とにかく希望者を把握したいので、希望される方はまず申し込んでください。現在77人申込みの為、残席は45席となります。 

  セミナーの受け付けは→http://www.frcsrus.org/japan「みんなのカルテ」(主催)のトップページより。詳細内容も上記参照下さい。医療関係者優先ではありますが、意識のある一般の方の参加は歓迎いたします。

 このページの真ん中にある<参加申し込みはこちらから>をクリックしてください。

 ヘレン・カルディコット博士の一般向け講演会。申込み受付日時は事前にお知らせいたしますので、その場合は申込み先着順になります。お早目にお申し込みください。来週以降の予定となります。
 
 
11/17(土)東京講演 19時から21時 (開場18時)  成城ホール  定員390席
 
11/23(祝・金)徳島講演 18時半から20時半 (開場18時) 徳島県郷土文化会館 定員300席
 
11/24(土)岡山講演 14時から16時 (開場13時半)  岡山市勤労者福祉センター 定員300席
 
11/25(日)京都講演 18時半から20時半 (開場18時)  ひと・まち交流館京都 定員300席
 
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【大阪・ガレキ阻止】

 大阪市が焼却しようとするガレキが、岩手県宮古市のガレキなら、宮古市に搬出をしないように、こちらからお願いもしたいと思います。行動は、きょうからです。宮古市議会は、今月末から、11月議会も始まります。搬出元からガレキが来なければ、どんなにガレキを燃やしたくても、出来ませんから。これも全国の皆さんが力を貸してください。

 宮古市役所
〒027-8501 岩手県宮古市新川町2番1号
電話 0193-62-2111 /FAX 0193-63-9114 / 電子メール info@city.miyako.iwate.jp

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 さて、子どもたちを放射能から守る・八尾の会 よりの情報です。大阪市のガレキ試験焼却前に行われるラボ実験の詳細が10月5日に発表。このラボ実験は、10月11日の9時から、大阪市立環境科学研究所で行われます。大阪市の発表によれば、排ガス中の放射性物質濃度の測定が行われ、特にガス状のセシウムの挙動がどのようになっているのか、実際の測定方法と同様の実験装置を用いて確認を行うことになっているようですし、測定方法は、環境省『放射能濃度等測定方法ガイドライン』準拠の方法が採用されることになっているそうです。

  
 
 
 
  
 この環境省『放射能濃度等測定方法ガイドライン』準拠の方法では、排ガス中に放射性物質は漏れないという結果になるという、答えの決まった実験であると、指摘している専門家の意見書の一部を下記に掲載します。先程の八尾の会のホームページで詳細はご確認ください。
 
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平成24年10月7日
排ガス中の放射性物質の測定方法に関する実験に関する問題点、疑問点
大阪市が平成24年10月11日に予定している排ガス中の放射性物質の測定方法に関する実験について、平成24年10月5日付報道発表資料「放射性物質の測定方法に関する確認について」の内容を検討した。その結果、重大な問題点があり、放射性物質の測定方法に関し誤った結論を導くことになることがわかった。また、この問題点に加え、軽視できない疑問点もあることがわかった。
(1)問題点
放射性セシウムは反応性に富む元素なので、屋外では①焼却炉(850℃)中で分解してセシウム単体を放出する酸化セシウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、②焼却炉中でも分解しない塩化セシウムなどの化合物の形態で存在していると考えられる。しかし、今回の実験では試薬として塩化セシウムのみを使用する計画である。
実際の焼却施設では焼却炉を出た排ガスは200℃まで冷却された後バグフィルターでダストが取り除かれて煙突から排出される。酸化セシウム、水酸化セシウム、炭酸セシウムであれば、200℃はセシウムの沸点671℃、融点28℃の間の温度であるので、放出されたセシウムは霧(複数個のセシウム分子が結び付いた状態、広い意味でガス状と言える)の状態で排ガス中に存在することが考えられる。この場合、霧状のセシウムは、空気と共にバグフィルターおよび環境省の放射能濃度等測定方法ガイドラインで示された試料採取系(円筒ろ紙+ガス吸収びん)を通り抜けてしまう。
一方、今回の実験では、塩化セシウムは沸点1295℃、融点645℃なので、200℃まで冷却されれば、確実に固体になる。その結果、多くの塩化セシウムは円筒ろ紙で捕捉され、円筒ろ紙を通り抜ける微小のものがあっても、固体の塩化セシウムは重力の作用によりガス吸収びん内で蒸留水中に捕捉される。
以上述べたように、実際の焼却施設では、セシウムの化合物の種類によっては、バグフィルターおよび環境省の放射能濃度等測定方法ガイドラインで示された試料採取系を放射性セシウムが通り抜けてしまうのに対し、今回の実験では試料採取系に吸引されたセシウムはすべて捕捉されるという結果しか得られないという重大な問題点がある。
さらに、震災がれきの焼却が予定されている大阪市の舞洲工場のパンフレットによると、燃焼ガスは約850℃から950℃と記載されており(図1参照)、塩化セシウムであれば液化はしても気化はほとんどしない。この点でも塩化セシウムを実験における試薬として用いることは不適切である。
 
(2)疑問点
この実験には放射性セシウム134や137ではなく、放射性物質ではないセシウム133が使用されるではないか?その場合、放射線を出さないので、実際の焼却施設において試料採取系が捕捉する微量の放射性物質を測定する時に用いられるゲルマニウム半導体検出器は使用できない。このため、検出感度が悪い別の方法が使用されるのではないか?その検出感度が悪い方法でセシウムを検出するために実際の焼却施設で試料採取系に吸引される排ガスに含まれる放射性セシウムよりもずっと多量のセシウムが実験に使用されるではないか?
もし、そうであれば、この実験は実際における排ガス中の放射性物質の測定と等価性がないことになり、排ガス中の放射性物質の試料採取系に対する検証試験にはならない。
 
 
『大阪市の「放射性物質の測定方法に関する確認について」のコメント』
2012/10/8
京都大学大学院工学研究科
河野 益近
① 実験に使用されるセシウム化合物が塩化セシウムだけであること。
「実験」と言うのであれば、他のセシウム化合物についても調査すべきです。それぞれの化合物のガス化の割合に加えて、実際の焼却炉内でのセシウム化合物の存在割合を調べ、当該焼却炉内でガス化される放射性セシウムを推定できるようにするのが「実験」の基本です。実際の炉内での放射性セシウムの化学形態が不明な状況で行われる「実験」に説得力はないと思います。
② 実験の温度が850℃であること
大阪市の舞洲工場での焼却温度は約900℃となっていますが、焼却炉の種類が分らないので炉内での温度変化の範囲はわかりません。しかしこの焼却温度の範囲(島田市の溶融炉の場合300~1800℃)は重要であり、「実験」であればこの温度範囲の異なる温度で何点か行う必要があります。少なくとも最大温度でガス化の割合を調べる必要があります。