アトリエ澤野コンサート2008に来るジャン・フィリップ・ヴィレの新しいアルバムが出たので、11月1日に行く予習として拾ってみました。
1曲目、アルコの緊張したリズムから入っていく部分はすでに経験していたので、驚きませんでしたがその後のピアノとの掛け合いは凄いとまず思います。ピアニストのエドワール・フェルレはヴィレと同じくらいの重い存在で、私はついこちらに耳が行きます。
2曲目緊張したアルペジオからアルコのメロディ、それに参加する新しいメンバードラムスのFabrice Moreau もとてもタイトなリズムです。
3曲目、ピアノとベース、ドラムスがピアノの先導されて融合されたインプロが形良いフォームをつくります。
このアルバム、最初聴いた時は1曲目凄いと思いましたが後は解りませんでした。2度目を聞いたら2曲目が凄くいい。3回目で3曲目が良くなりました。
一回聞いただけでこのアルバムがすべてが良いと思う人凄いと思います。
とても印象の強い曲が続くので、1回に1つの曲と出会うのがやっとです。
4曲目のリズムが緊張した中で、ピアノのフレーズが他に融合していくくだり、とても美しい独自の色あいです。
5曲目ドラムスが激しい音で始めえるフリー系のリズムですが、ピアノは以外にもコリアのマトリックスを思わせるメロディが入ってシュールな感じです。
7曲目、美しい緊張感のあるピアノのメロディ、その後のベースの4ビートに乗ったソロは、なんともピアノとベースの美しい出逢いのようです。
最後はゆったりしたピッチカートから再び沈んでいくような美しくも悲しさが漂う曲。
私はずっと若い時に買った本の有名な一節を思い出してしまいました。
フランスのシュールリアリスト詩人ロートレアモン『マルドロールの歌』の一節です。
「そしてなによりも、ミシンと洋傘との手術台のうえでの不意の出逢いのように美しい!」 栗田 勇訳
ピアノとベースがそれぞれの個性を輝かせながら出会っている超現実の世界、最初エキセントリックな別のアルバムにシュールかなと思ってこの一節を思い浮かびましたが、それはもったいない。
いかにも雰囲気のある絵も付いて、この一節はこのヴィレのアルバムに使うのがピッタリでした。
LE TEMPS QU'IL FAUT / JEAN-PHILIPPE VIRET
Jean-Philippe Viret (bass)
Edouard Ferlet (piano)
Fabrice Moreau (drums)
1 Peine Perdue
2 Les Arbres Sans Fin
3 En Un Rien
4 Esthetique Ou Pathetique ?
5 7 A Dire
6 Dans La Peau D'un Autre
7 Ailee Au Sud
8 Si peu De Choses
このアルバム、フランスのレーベルから出ているような感じですね。
気位があり、良さは聴いてくれみたいなところ感じます。
ただ、個人的にはこういうオリジナル中心の比較的シリアスかつ非4ビートが中心のジャズは好きな方なので、これからも継続的に出してくれるといいなあ、と思ってしまいます。